もうすぐ戦艦棲姫とのバトルも出しますので、お待ちしててください。
毎回、ちょくちょく出したい展開が思いついて本編が長引いちゃうんですよね…
夜の執務室。
戦艦棲姫討伐の条件として突きつけられたのは、絶対に護衛艦である漣を助けに行ってはいけないというものだった。
当然、ウチはそんな条件を飲めるはずもなく、
正也「何言ってんだ!? もしあいつの身に何か起きても助けるなって、そんなことできるわけ…!」
声を荒げてウチは皆が出してきた条件を拒んだ。
しかし、長門は凛とした表情で淡々と話す。
長門「さすがに、この条件については我々も妥協できん。 護衛艦とは本来対象を護る為の艦だ。 その護衛艦が対象に護られたとあっては本末転倒ではないか」
霧島「それに、司令のその優しさは同時に相手に漬け込まれる隙になります。 仲間として本当に私たちを信じているのならば、貴方は迷わず前に進んでください。 私たちはそのためにいるのですから」
正也「霧島…」
幸仁「もういいだろ正也。 あいつらが譲る気がない以上、お前が折れるべきだ」
幸仁「俺の家族は俺がいなくとも、必ず全員無事に帰還してきた。 だから俺はあいつらを信じてる。 お前も自分の仲間を信じてやれよ」
正也「………分かった」
ウチはがっくりと項垂れながら、皆の条件を呑む事にした。
北方海域の一角、カスガダマ沖。
叢雲「邪魔よっ!」
叢雲が敵の艦載機を墳進砲で撃ち落とし、
漣「そこなのねっ!」
その隣にいた漣が潜んでいた潜水艦へと爆雷をお見舞いする。
強烈な轟音と共に艦載機は空中で木っ端微塵になり、下からこちらを狙おうとしていた潜水カ級エリートは浮上することなく海の藻屑となった。
幸仁「くそっ! さっきからキリがないな。 まだ姫の下にはたどり着けないか!?」
鳥海「先の潜水艦が出てきたところを見ると、半ばまで差し掛かっています。 あと少しの辛抱です!」
兄ちゃんが悪態をついていると、先陣で敵の動向を窺っている鳥海が返事をする。
あれから少しずつ進撃しているが、これでもかと言わんばかりに敵の攻撃がすさまじい。
進撃事態は滞りなく進んでいるが、流石に敵の本拠地だけあって向こうは数の暴力で攻めてきている。
倒せど倒せどこちらに向かってくる深海棲艦達の対処に、こちらも疲労の色が隠せなくなっていた。
正也「さすがにこれだけの数相手はきつい…。 やっぱりウチ等も戦って…!」
利根「駄目じゃ! お主らが暴れる場面はここではないことを忘れたのか!?」
金剛「心配してくれるのは嬉しいですケド、私たちならノープロブレムデース! 提督には、そこで私達の活躍を見ててほしいネー!!」
その言葉と共に、金剛は長門と共に前線に立つ空母ヲ級フラグシップを連撃で仕留める。
そこから一気に突き進むウチ等であったが、
正也「な、なんだこりゃっ!?」
そこを突破して最初に目にしたのはとんでもない数の深海棲艦の軍勢だった。
重巡や戦艦といった耐久に強い連中がびっちり並び、防衛線を展開している。 どうやら、向こうもこっちを食い止めるのに躍起になっているようだった。
《艦娘タチヲ行カセルナ!!》
《コノママデハ連中ガ姫ノ元ニ到達シテシマウ。 ナントシテデモココデ仕留メルゾ!!》
敵艦隊からの必死の叫びが聞こえてくる。 あれほどの連中にとっても、戦艦棲姫はそれほど脅威という事なのか…
しかし、裏を返せばここさえ突破できれば戦艦棲姫のもとにたどり着くことができる。
それには問題が一つ、どうやって突破するかだ。
見ての通り敵は耐久に優れたメンバーでこちらを通さないよう防衛ラインを張っており、後ろにはヲ級やヌ級といった空母組が待ち構えている。 防衛線を崩そうとすれば、艦載機で狙い撃ちにされるパターンだ。
一体、どうやってここを通り抜ければ……
幸仁「……。 一つ、ここを突破する方法がある」
沈黙を破ったのは兄ちゃんだった。
幸仁「俺たち4人で防衛ラインに突撃し、長門たちに俺達が向かう防衛ラインをこじ開けてもらう。 戦艦棲姫は俺達が来ることを望んでいるのは他の深海棲艦たちも知っているし、下手に俺達に手出しはできない。 一点砲撃で敵の防御を崩し、そこを俺達が強引に突破するんだ」
正也「…理屈は分かるけど、それって残された皆が危険じゃない? ウチ等がいなくなったら皆が一斉に襲われる事になるじゃないか」
霧島「それについては心配要りませんよ、司令。 貴方達が防衛ラインを突破したのを確認したら、私たちもすぐここから撤退します。 お二人を戦艦棲姫のもとに送り届けるという、私達の役目はそこで終わりですからね」
霧島は眼鏡の位置を直しながらウチにそう答えた。
霧島「だから、貴方はなんとしてでも前に進んでください。 これを逃したら、もうここを突破する方法はないでしょうから」
正也「しかし……」
幸仁「腹くくれ正也。 俺達がここで足を止めたら、何のためにあいつらがここまでついてきてくれたのか分からないだろ」
正也「……分かったよ」
兄ちゃんの言葉にウチも決意を固める。
そうだ。 ここまで来たのはあいつを… 戦艦棲姫を倒すため…
皆はそのためにウチ等を護衛してくれたんだ。
その皆に報いるためにもウチはここで足を止めてはいけない。
前に進む。 絶対に勝つ。
そのために、ウチはここに来たんだから!!
正也「行こう、兄ちゃん・漣・叢雲。 合図と共に一気に敵の防衛ラインに突っ込むよ」
その言葉に三人は同意するように頷く。
そして、掛け声と共にウチ等は敵艦隊目掛け突撃した。
鳥海「よしっ、私たちも行きますよ!」
長門「全艦、この長門に続けっ! 提督たちを援護するんだ!!」
少し遅れて後続の長門たちもウチ等が向かう先目掛けて一斉に砲撃を放った。
数多の艦娘たちによる一点集中の砲撃には、さすがに戦艦クラスの深海棲艦たちも耐え切れず轟沈していく。
そこへ開いたわずかな突破口に向けて、ウチ等4人は全速力で突っ込んでいった。
背後にいたヲ級やヌ級もウチ等をとめるべく艦載機を放ってきたが、
正也「吹き飛ばせっ!
幸仁「食い千切れっ!
ウチは槍を扇風機のように激しく回転させ、それにより発生した暴風で艦載機を吹き飛ばしていく。
兄ちゃんは遠く離れた深海棲艦に斬撃を飛ばす。 放たれた斬撃は鎌鼬のように水面を駆けぬけ、次々に敵の艦隊を切り裂いていったのであった。
リランカ島の一件で兄ちゃんも戦う提督としての力を会得した後、ウチと兄ちゃんはたまに会ってはお互い手合わせをしながら腕を上げていたのだ。
そして今は特訓の成果を発揮するとき。 ウチと兄ちゃんは全力で敵の襲撃を捌きながら防衛ラインを突破したのであった。
幸仁「よし、このまま一気に奥まで行くぞ。 足を止めるなよっ!」
正也「ああ、分かってる!」
そのまま足を止めることなく、ウチと兄ちゃんは奥へと突き進む。 護衛艦である漣と叢雲を傍らに置きながら…
正也「よし… 待ってろよ戦艦棲姫。 今、お前をブッ飛ばしに行くからな!!」
正也と幸仁が奥へと向かっていく姿を見送るヴェールヌイたち。 周囲の深海棲艦は二人の駆逐艦を取り逃がした事に歯軋りし、せめて残った敵を沈めようと彼女らに武器を向けている。
戦力的に見ても圧倒的に不利なこの状況。
しかし、彼女達は逃げる素振りを見せず、お互いに武器を構え深海棲艦に対峙した。
ヴェル「……。 やっぱり、皆もここに残るつもりだったんだね」
誰にでもなく一人呟くヴェールヌイ。 その言葉に金剛が頷く。
金剛「もちろんデース。 提督たちが戦うのに、私達が逃げるわけには行かないネー」
加賀「それにここで私達が敵を逃がせば、残った提督たちの身が危うくなるわ。 私達がここで足止めしなくては」
長門「全く… お前達も元から残るつもりだったのか。 かくいう私もそのつもりだったんだが…」
霧島「やれやれ… もしかしたら、私達にも司令のバカがうつってしまったんですかね?」
赤城「そうかもしれませんね。 でも…」
赤城はふっと笑うと、真っ直ぐに矢を引き絞る。
目の前の敵を狙い、自分の大事な人を護るために…
赤城「それでもあの人を失うよりずっとましです。 さあ、やりましょう皆さん。 あの四人が… 提督たちが戻ってくるのをここで待ちましょう!」
その言葉と共に、赤城は矢を放し艦載機を発艦させる。
それを合図にするかのごとく、他の艦娘たちも己の艤装を敵に向け、戦闘を始めるのであった。