艦隊これくしょん 提督代理、着任する   作:なかむ~

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第67話 激突! 中峰正也VS戦艦棲姫 (前編)

 

 

カスガダマ沖の深層部。

ついにウチ等は敵の旗艦、戦艦棲姫を見つけ出し戦闘体制に入ろうとしていた。

 

 

戦艦棲姫《……。 サスガニ、貴方達二人ヲ相手ニスルノハ苦シイワネ》

 

正也「なんだ、やる前から降参宣言か? それでも、ウチはお前を許さないぞ」

 

 

ウチは槍の切っ先を戦艦棲姫に向けたまま睨みつける。

だが、戦艦棲姫はくすくすと笑いながら、

 

 

戦艦棲姫《ソウジャナクテ、アクマデ私一人デ貴方達ヲ相手ニスルノハ難シイト言ッタノヨ》

 

 

パチン、と指を鳴らす。

すると、海中から他の深海棲艦たちが戦艦棲姫の周囲に現れた。 どうやら、さっき漣たちに奇襲を仕掛けてきた奴らの残存部隊のようだ。

随伴艦は、戦艦タ級エリートと軽母ヌ級エリートが1隻、駆逐ロ級フラグシップが2隻。

護衛艦とはいえ、流石に漣たちにはそっちを優先して叩いてもらうしかない。

向こうではいまだに綾波たちがほかの深海棲艦たちと交戦中で、これ以上向こうの支援を受けるのは難しいからだ。

 

 

幸仁「……。 正也、俺は叢雲とお前の艦娘に指示を出しつつ随伴艦を片付ける。 戦艦棲姫はお前が行け」

 

正也「えっ、いいのか兄ちゃん?」

 

幸仁「指揮能力は俺が上だが、戦闘の経験に関してはお前が上だ。 俺達が加勢に行くまでどうにか持ちこたえろ」

 

正也「……いや、それは無理だ。 だって、兄ちゃん達が加勢に来る頃にはすでにウチがあいつをブッ飛ばしてるからね」

 

幸仁「はっ! お前も言うようになったな」

 

漣「ご主人様、言ったからには必ずやってくださいよ。 もし、漣たちが来るまでに死んでしまったら、漣は全力でご主人様をブッ飛ばしますからね!」

 

正也「当ったり前だ! お前こそ勝手に轟沈したら、沖ノ島で綾波に泣きついたこと皆に言いふらしてやっからなバッ…!」

 

漣「ああ、すみません。 うっかり手が滑っちまいました♪」

 

叢雲「はあ… アンタ達、茶番はそこまでにしときなさいよ」

 

 

そう言って、兄ちゃん達は随伴艦を倒すべく離れて行き、ウチは戦艦棲姫を倒すべく一気に突撃した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正也「行くぜ、戦艦棲姫! ウチの仲間に手を出したこと、死ぬほど後悔させてやる!!」

 

戦艦棲姫《来イ、人間ッ! 私ニ盾ツイタコトヲ水底デ悔イルガイイッ!!》

 

 

 

 

 

即座に戦艦棲姫は艤装に指示を出し、ウチを吹き飛ばそうと素早く砲門を向ける。

だがウチも負けていない。 素早く槍の矛先を向け戦艦棲姫より先に砲弾を発射、着弾の衝撃で砲門の向きがずれて砲弾はまるで的外れの方向へと飛んでいった。

 

 

戦艦棲姫《チッ、小癪ナ!!》

 

 

今度は艤装が大きく雄たけびを上げ、巨大な拳をウチ目掛け振り下ろした。 まともに受ければ、人間はおろか艦娘でさえ五体満足じゃいられないだろう。

しかしこっちも引くつもりはなかった。

 

 

正也「貫けっ! 猪突猛針!!」

 

 

ウチは向かってきた拳に、真っ向から槍を突き出し反撃した。

 

 

正也「ぬぐううう…!!」

 

戦艦棲姫《グッ、ウウウ…!!》

 

 

槍の穂先と艤装の拳からチリチリと火花が散り、ウチはどうにか押し切ろうと槍を突き出す手に力を込め、負けじと戦艦棲姫も艤装に命じて押し返そうとする。

力と力の比べ合い。 お互い膠着状態が続いたが、

 

 

正也「どわー!?」

 

戦艦棲姫《ウアアッ!?》

 

 

お互いの力に押されあい、ウチと戦艦棲姫は大きく真逆に弾き飛ばされた。

海面を転げまわり、ウチは素早く体勢を立て直すが、すでに戦艦棲姫も艤装の砲門を構えウチに狙いを定めていた。

 

 

戦艦棲姫《消シ飛ベッ!!》

 

正也「させるかっ!!」

 

 

艤装から放たれた砲弾はすさまじい速度でウチ目掛けて飛来するが、ウチも全速力で前に進み砲弾の着弾地点から回避。 砲弾はぎりぎりウチの頭上を飛んでいき、ウチも負けじと自分の艤装である槍の穂先を向けスイッチを押した。

 

 

 

 

 

 

 

ズドオオオオオオオオン!!

 

 

 

 

砲撃は真っ直ぐ戦艦棲姫目掛け向かっていくが、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グオオオオオオオオオオッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦艦棲姫の艤装がそうはさせんと言わんばかりに彼女の前に腕を出し、飛んできた砲弾を叩き落した。

結果、ウチの放った砲弾は戦艦棲姫の手前で巨大な水柱を打ち上げた。

 

 

正也「くそ、おしいっ!!」

 

 

ウチが舌打ちすると、今度は艤装がウチを捕まえようとその腕を伸ばしてきた。

化け物と呼ぶにふさわしい黒光りする巨大な腕。 あれに捕まったらひとたまりもない。

だが、ウチは逃げるつもりはなかった。

腕がこちら目掛けきたところを大きく跳躍し、

 

 

 

 

 

 

正也「うりゃー!!」

 

戦艦棲姫《ナ、何デスッテ!?》

 

 

その腕にしがみついてやった。

あまりに予想外の行動だったのだろう。 戦艦棲姫も思わず目を丸くし、艤装は『グオッ!?』という素っ頓狂な声をあげ驚いていた。

だが、向こうもこのままおとなしくしてるつもりもない。

艤装はウチを振り落とそうと、その腕を大きく上下に振った。

ウチは全力で腕にしがみつき、向こうが腕を振るのを止めた一瞬を狙って、

 

 

正也「いくぞー!」

 

 

一気に艤装の腕を足場にして駆け出す。

腕から肩に伝い、本体である戦艦棲姫目掛け攻撃しようと接近した。

 

 

正也「くらえっ!!」

 

 

ウチは艤装の肩から飛び降り砲撃をしようと構える。 しかし…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!

 

 

正也「うおわ―――――!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

艤装の上げた雄叫びがすさまじい衝撃波となってウチに襲い掛かり、ウチは戦艦棲姫に攻撃できずに水面へと吹き飛ばされたのであった。

海面に落下し、転げまわりながらも

 

正也「いちち…。 そういや、雄叫びで艦載機を吹き飛ばしたって鈴谷が言ってたか。 すっかり忘れてたな」

 

 

痛む体を持ち上げ、ウチは再び戦艦棲姫に向き合う。

戦艦棲姫も、ウチを見るとニヤリと微笑んだ。

 

 

正也「ハア… ハア… 流石敵の大将だけあって、そう簡単には攻め込めないな」

 

戦艦棲姫《ソノ私ニココマデ食ライツイタ貴方モ大シタモノジャナイ。 褒メテアゲルワ》

 

正也「お前に言われても嬉しくないわっ!!」

 

 

ウチは即座に槍の穂先を向けて次の弾を放つ。

 

 

戦艦棲姫《フッ…! ソンナ砲撃、イクラ撃チ込ンデモ無駄ヨ!!》

 

 

戦艦棲姫は艤装に次の弾を叩き落すよう指示し、艤装は大きく腕を振り上げる。

だが、次の弾はただの砲弾ではなかった。

ウチの槍から放たれたのは以前リランカ島で空母ヲ級との戦闘で使った特殊砲弾。 そう、三式弾だ。

三式弾は戦艦棲姫の手前、艤装が叩き落す前に自ら爆散し大量の子弾を撒き散らす。

 

 

戦艦棲姫《グウッ! …クソ、小賢シイ真似ヲ!!》

 

 

姫クラスの装甲だと豆鉄砲ほどの威力しかない子弾だが、前方から大量に飛んできたため戦艦棲姫も咄嗟に腕を前に交差して子弾を防ぐ。

どうにか子弾をしのいだが、そこにはウチの姿はなくなっていた。

 

 

戦艦棲姫《奴メ、一体ドコニ…?》

 

 

戦艦棲姫はしばらく周囲に視線を走らせていたが、

 

 

戦艦棲姫《………。 ソコカッ!》

 

 

艤装に指示を出し、おもむろに水面に拳を打ち込んだ。

打ち込まれた海面は大きくえぐれ、周囲に津波のような巨大な波しぶきを作り出す。

そして、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正也「どわ――――――!?」

 

 

海中に潜んでいたウチは、戦艦棲姫の作り出した波しぶきに押され外へ放り出されてしまった。

 

 

戦艦棲姫《全ク… サッキノ三式弾ニ紛レテ海中カラ私ノ背後ニ回リ込モウナンテ、ヨク考エルワネ。 デモ残念、ソノ奇襲ナラ鎮守府海域ニイタ部下カラ見テ知ッテイタ》

 

戦艦棲姫《人間ノ貴方ガココマデ私ト戦エタノハ賞賛ニ値スルワ。 ダケド…》

 

 

艤装の巨大な腕が大きくしなり、動き出す。

その先には空中に放り出されたまま身動きが取れないウチの姿。 避ける術は、なかった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦艦棲姫《コレデ終ワリヨ》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

艤装のパンチがウチの体を直撃。

そのすさまじい衝撃はウチの体を激しく海面に叩きつけ、激痛となって全身を駆け巡った。

 

 

正也「がっ!! はあ…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海面に叩きつけられた衝撃で血を吐き、波しぶきを立てながら転がっていく正也。

まるで人形のようにぴくりともしない彼を見ながら、戦艦棲姫は確信した。

 

 

戦艦棲姫《…流石ニ、コレニハ耐エラレナイデショ。 サテ、次ハ向コウモ始末シナイト》

 

 

自分の背中にある艤装は、化け物じみた外見通りその力も尋常ではない。 鋼鉄より強力な未知の金属である艦娘の艤装、それをひねり潰すことなど造作もないし、鯨のような大型の生物もしとめるほどの威力だ。

そんな艤装の出したパンチを、人間が食らって生きていられるわけがない。

戦艦棲姫は残った幸仁たちを始末すべく、踵を返しその場から去ろうとした。 そのときだった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズドオオオオオオオオオオオオン!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突如自分の背後から鳴り響く砲撃音。

後ろを振り返ると、そこには自分目掛けて一直線に飛来する砲弾があった。

咄嗟に艤装が腕を伸ばして受け止めるが、当たり所が悪かったのか、艤装は『ギャオオオオオオオッ!!』と悲鳴のような咆哮をあげ悶えていた。

戦艦棲姫は黒煙の立ちこめる中、こちらめがけて砲弾を放った人物に目をやる。

そのときの彼女は、目を大きく見開き驚愕の表情を浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ま…ち…やが…れ……」

 

 

黒煙のその先、戦艦棲姫の視界に飛び込んできたのは、

 

 

「…言った…はずだ。 お前、は……絶対…、ゆるさねえって……」

 

 

口元と額から血を流し、息も絶え絶えになりながらもこちらに槍の切っ先を向けている正也の姿だった。

服は叩きつけられた衝撃でボロボロ。 足を怪我しているのか、フラフラになりながら向かっている。 確かにダメージは負ったのだ。

だが奴は立ち上がった。 人間はおろか、艦娘ですら命を落とすほどの攻撃を受けて、あの男は戦うことをやめなかった。

そこまでする彼の姿を見て、思わず戦艦棲姫は嘲るような口調で正也に尋ねた。

 

 

 

 

 

 

戦艦棲姫《ナゼ、貴方ノヨウナ余所者ガココマデ首ヲ突ッ込ムノ? ソンナ死ニ掛ケノ体ニナッテ、マダ戦オウトスルノ? 理解デキナイワ》

 

正也「…ウチは、あいつらが戦わなくても平和に過ごすため、神原さんや電のように大事な人を失って悲しむ者をなくすため、この戦争を終わらせる。 そのために戦っているんだ!」

 

 

苦しそうに肩で息をしながらも、己の決意を示す正也。

しかし、姫の次の言葉には正也も困惑の色を隠す事がなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦艦棲姫《艦娘達ノタメニ、コノ戦争ヲ終ワラセル。 カ……》

 

 

戦艦棲姫《果タシテ、本当ニソレガイイノカシラネ…?》

 

 

 

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