艦隊これくしょん 提督代理、着任する   作:なかむ~

86 / 108
しばらくイベントで手がつけられなかったけど、やっと投稿できました。
今回のイベント、ラストはかなりきついですね…。 丙でも姫4とか出ますから。
とはいえ、自分はどうにかクリアできたので、他の人もめげずに頑張ってほしいです。


第74話 抜錨! 提督代理、捜索隊

 

 

青く澄み切った海原を駆ける一隻のクルーザー。 そこにいたのはトラック泊地の初期艦、漣を初め提督である中峰正也の捜索を希望した艦娘たちが乗り込んでいた。

操舵席にはこのクルーザーの持ち主であり、横須賀鎮守府の提督である神原駿が舵を切っている。 しばらく無言のまま眼前の景色を見る彼だったが、案内役を買って出た瑞鶴に視線を向けると、優しげな口調で話しかける。

 

 

 

 

 

神原「…それにしても、まさか偶然中峰君を目撃した君が、こうして彼の所属するトラック泊地へとやってきた。 幸仁君のことと言い、彼には何か運命めいたものがあるのかもしれないね」

 

 

柔和な笑みを浮かべる神原の言葉に対し、瑞鶴の表情は晴れなかった。

悲しげな顔を神原に向けて、瑞鶴は尋ねる。

 

 

 

 

 

瑞鶴「その… 怒ってないんですか? 曲がりなりにも、私はあの時見かけていたのに助けもせずそこから去って行ったんですよ」

 

神原「しかし、そのとき君は深海棲艦に襲われててその場から逃げるのに必死だったそうじゃないか。 それに、我々がいくら捜索しても見つけられなかった彼を君は見つけてくれたんだ。 怒るどころか、むしろ感謝しているよ」

 

瑞鶴「で、でも…! 場所はあの南方海域、危険度は他の海域とは段違いなのよ! そんな場所で普通の人間が生きていられるわけが……!」

 

漣「それなら心配ないですよ。 あのご主人様なら、生きている確立が1パーセントでもあれば十分です。 何せ、ご主人様もお兄さんも普通の人間じゃありませんから♪」

 

瑞鶴「そ、そうなの…? …まあ、私もひきうけた以上最後まで案内するわ!」

 

 

さっきまでとは打って変わって明るい表情を見せる漣に、瑞鶴は一瞬呆気に取られたが、今は彼女達のため、そして自分の姉のために自分がなすべきことを再確認するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくクルーザーを奔らせていた神原は、水平線の先に見えてきたものに気づくと、スピードを緩めた。

 

 

神原「どうやら、向こうはすでについていたようだ」

 

 

彼の視線の先を漣たちも見やる。

そこは南方海域の入り口ともなる南方海域前面。 そこで小型ボートに乗りながら皆を待つ幸仁と叢雲達の姿があった。

 

 

神原「本当なら私も同行したいところなのだが、さすがにこれ以上大和に余計な心配をかけるわけにはいかないんだ。 後はよろしく頼むよ」

 

漣「はいっ! こちらこそ、ここまで送っていただきありがとうございます」

 

ヴェル「司令官は必ずつれて帰る。 皆でそう約束したからね」

 

 

元気に返事を返す漣とヴェールヌイを見て、神原も笑みをこぼす。

そして、彼は横須賀鎮守府へ戻るため舵を切り返し、漣たちは南方海域へ向かうため幸仁たちと合流するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幸仁「皆、編成はこの前話した通りだ。 空母機動部隊・水上打撃部隊・そして水雷戦隊。 この3つに編成を分け、俺が指揮をとっていく。 いいな?」

 

 

幸仁の言葉に漣たちも頷く。

今回の南方海域は今までの海域の中で一番危険な海域。 それゆえ他の海域に関して情報が少なく、柔軟な対応を求められる。

そこで幸仁は空母を中心とした機動部隊、戦艦や巡洋艦で編成した水上打撃部隊、斥候や潜水艦対策として水雷戦隊、それぞれ3つの編成を組んで彼が指示を出すという作戦をとったのである。

 

 

幸仁「よし、まずは索敵で周囲の様子を探って……」

 

 

幸仁は空母機動部隊へと指示を出すが、

 

 

叢雲「すでに赤城たちが偵察機を出してるわ。 アンタならそう指示を出すだろうって言ってたから」

 

幸仁「…はは、それは頼もしいな」

 

叢雲「当然でしょ? 伊達にアタシ達もアンタの部下をやってないわよ」

 

 

水雷戦隊の代表を務める叢雲が返事を返すと、幸仁は苦笑いを浮かべた。

 

 

ヴェル「それじゃ、私たちも水雷戦隊に加わるよ。 お兄さん、指示をよろしく」

 

幸仁「任せておけ、お前達は絶対に沈ませやしない。 あいつを見つけて、皆で泊地へ帰るぞ」

 

 

ヴェールヌイは小さく頷くと、漣・叢雲とともに水雷戦隊への編成に加わり、幸仁は瑞鶴の案内に従いながら艦隊の指揮をとり始めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

赤城「提督、敵艦隊を発見しました! 旗艦が空母ヲ級2に戦艦ル級とタ級が1、駆逐ハ級が2。 空母と戦艦は全てフラグシップ、ハ級はエリートのようです!」

 

 

南方海域に突入してからしばらくたったころ、赤城の偵察機が敵の艦隊を見つけ報告してきた。

予想通りとはいえ敵はフラグシップを筆頭とした強力な相手だった。 赤城と共に偵察機を飛ばしていた加賀は幸仁の指示を仰ぐ。

 

 

加賀「提督、どうします? 先に艦載機を放って攻撃しますか?」

 

幸仁「…まずはお前と赤城で敵の艦載機を迎撃してくれ。 ただし放つのは戦闘機だけだ、いいな?」

 

加賀「なぜ? 航空戦を行うなら爆撃も必要になるんじゃ…」

 

 

幸仁の指示に疑問を抱く加賀。 普通艦載機を飛ばすなら、敵の艦載機を撃ち落とす戦闘機の他に直接敵を攻撃する爆撃機や攻撃機も必要になる。 戦闘機だけ放った場合、こちらが制空権を取りやすくなる分、航空戦で敵にダメージを与えることができなくなる。 敵の空母ヲ級は強力な分、先に航空戦で少しでもダメージを与えたほうが有用なはずなのだ。

 

 

 

 

 

赤城「大丈夫ですよ加賀さん。 提督も何か考えあっての事ですから、ここはあの人の指示に従ってください」

 

加賀「…分かったわ」

 

 

戸惑いながらも同じ一航戦である赤城の言葉に、加賀も幸仁の指示通り敵艦隊目掛け戦闘機を放った。

敵の艦隊も、どうやら偵察機の存在には気付いていたようで、すぐに空母ヲ級フラグシップは迎え撃つべく自分達の艦載機を飛ばしてきた。

航空戦はこちらの戦闘機のほうが圧倒的に多く、余裕で制空権を確保。 続いてくるであろう爆撃に備えるべく敵艦隊は身構えた。

だが、こちらにあるのは戦闘機のみ。 爆撃が来ず、どういうことかと向こうも困惑した。 そのとき、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズドドドオオオオオオオン!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突然足元から上がる衝撃。

それは、自分達の足元目掛け放たれた酸素魚雷が爆発する音だった。

 

 

叢雲「よし、着弾を確認! 敵の不意はついた、後は頼んだわよ!!」

 

 

無線から聞こえてきた叢雲の言葉に、

 

 

蒼龍「了解っ、大物を仕留めちゃうからね♪」

 

長門「案ずるな。 水上打撃部隊旗艦、この長門に任せておけっ!」

 

 

空母機動部隊の蒼龍・水上打撃部隊の長門から返事が返り、同時に爆撃機と攻撃機が敵艦隊目掛け襲い掛かってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幸仁の出した作戦は、まず敵の艦載機を落とす事に集中し、敵が航空戦に気を取られている隙に水雷戦隊が雷撃による不意打ちを行うというものだった。

本来、航空戦の後には敵艦隊から爆撃機や攻撃機による攻撃が来るので、それに対応するため身構えなくてはならない。

しかし、幸仁は常識とも呼べるその考えを逆手に取った。

航空戦を終え敵が身構えるということは、一瞬だが向こうに隙ができるということだ。 幸仁はその間叢雲・漣を筆頭とする水雷戦隊を敵の側面に回りこませ、魚雷を放つよう指示していた。

その結果、敵が飛んでくると思っていた爆撃は来ず、代わりに魚雷による雷撃を食らい、向こうは完全に編成を崩し隙だらけになっていた。

そして、幸仁は本命となる飛龍と長門に指示を出した。

敵に隙ができた瞬間を狙い、飛龍と蒼龍は艦爆と攻撃機による爆撃、長門たち水上打撃部隊による一斉砲撃で敵艦隊を全滅。 完全勝利を飾って見せたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

漣「すごい… これだけの数の艦娘相手に、的確に指示を出すなんて…」

 

 

叢雲と共に水雷戦隊を率いる漣は感嘆の声を漏らした。

幸仁は赤城と加賀に戦闘機を放つよう指示した傍ら、水雷戦隊にどこから雷撃を撃ち込むのが良いか、爆撃機を放つタイミング、そして水上打撃部隊に攻め入る瞬間などを簡潔に、だが的確に指示していった。

まるでこれだけの数の艦娘達を自分の手足のように動かしているかのようだった。

自分の提督である正也とは比べ物にならないくらい、優れた指示を出す有能な指揮官。

漣は自分達を指揮する男、中峰幸仁の実力に素直に感心するのであった。

 

 

叢雲「当然でしょ。 なんてったって、アイツはアタシ達の司令官なんだから♪」

 

 

隣にいた叢雲が嬉しげに言う。

普段はつんけんしているものの、何だかんだ言って彼女も内心では提督である幸仁を慕っているから、褒められて悪い気はしなかった。

 

 

ヴェル「それに、司令官はあんなに優れた人の弟なんだ。 絶対に大丈夫さ」

 

漣「ヴェールヌイ…」

 

ヴェル「行こう、漣。 皆で、司令官を迎えに…」

 

 

そっと差し出されたヴェールヌイの手を掴む漣。

そして、三人は指揮官である幸仁の元に戻るのであった。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。