相変わらずコメントの内容に四苦八苦してます。 いやー、マンネリって怖い。
まあ、それでも投稿はぼちぼちしていきますので、どうぞよろしくです。
南方海域、珊瑚礁沖にて…
「だりゃああああ!!」
ウチは勢いよく海面を蹴ると目の前の霧へと突撃、そこに見える敵へと攻撃を仕掛けるが…
ボフンッ!
またしても槍は何もない霧に突き刺さるだけで攻撃を当てられず、ウチは「くそっ!」と悪態をつき即座に霧から離れる。
その直後、ウチのいた場所めがけて霧の中から艦載機が飛び出してきた。
「うわった!?」
間一髪で回避したものの、艦載機は再び霧の中に紛れ姿が見えなくなる。
これでは攻めるどころか攻撃を避けていくだけでもやっとの状況。
額に浮かんできた汗をぬぐいながら、ウチは槍を握りなおす。
「くそーあんにゃろめ… これじゃ、やられるのは時間の問題だぞ……!」
霧の中で敵の深海棲艦、装甲空母姫と対峙していたウチは自身の艤装の槍を構える。
ここで奴を倒さなければ、この霧の中から脱出することはできない。 それどころか、ウチを探しに来てくれた漣とヴェールヌイも危険に晒される。
そんなことさせてたまるか…!
ウチは奴を倒すべく一気に槍を突き出し突っ込んでいったが、
《ウフフ…》
装甲空母姫は自身の能力で突然自分の周りの霧を濃くし、その中に紛れ込んでしまった。
突き出した槍は霧の中に入ったが、肝心の装甲空母姫には攻撃が当たらず、何もない霧中に突き刺さるだけだった。
ウチは素早く槍を引き抜き周囲を見回すが、
「くっ!? あいつ、一体どこに行ったんだ?」
辺りに見えるのは白一色の光景だけ。
視界がきかず、どこに奴がいるのかまるでつかめない。
ウチが狼狽していると、
「うおっ、あっぶねえ!!」
風切り音とともに背後から艦載機が襲来、ウチめがけ爆撃を放ちながら突っ込んできたのだ。
幸い艦載機が飛んでくる音で爆撃される前に気づき、直撃は免れたが、
「うわっぷ…!」
爆撃により発生した爆風に煽られ、ウチは霧だらけの海面を転げまわる。 服と髪をずぶぬれにされながらもウチは体勢を立て直し、艦載機の飛んできた方を睨むが、
「くそっ、霧しか見えないぞ!」
背後には霧しかなく、ウチめがけ攻撃を仕掛けた装甲空母姫の姿はなかった。
さらに、攻撃はこれだけでは終わらない。
再び霧の中から黒い物体が飛び出す。
しかしそれは艦載機ではなく、主砲から放たれた砲弾だった。
ウチの側面から飛んできた砲弾は近くの水面にぶつかり、派手に爆音をとどろかせた。
「どわ―――!?」
《アハハハハハ!! ドウ、霧ノ中カラ一方的ニ嬲ラレル気分ハ?》
霧の中から反響してくる装甲空母姫の声。
声は聞こえるが、それは周囲の霧からまるでスピーカーのように聞こえてくるので、声で奴の居場所を特定することは出来そうになかった。
ウチの耳元に届く耳障りな声。
装甲空母姫は余裕に満ちた口調でウチに語り掛ける。
《苦シイカシラ? 悔シイカシラ? デモネ、私ノ怒リハコンナモノジャ収マラナイノヨ…!》
《今ノ貴方ハコノ霧ノ舞台ニ放リ込マレタ哀レナ
辺り一面から聞こえてくる装甲空母姫の声にまぎれて、再び飛んでくる艦載機。
手も足も出せず、ひたすら飛んでくる艦載機を迎撃しながら、ウチは苦戦を強いられていた。
「ぐっ…!? 一体、どうすれば…!!」
《行キナサイッ!!》
南方棲戦姫の命令とともに、周囲を浮遊する艦載機たちが俺めがけ一斉に飛来してきた。
弾丸のようにものすごい速度で突撃する艦載機たちを前に、俺は自分の艤装である刀を構え、
「ふんっ!!」
どうにか刀の側面で艦載機をいなし、そのまま後ろへと受け流す。
同時に、こちらも艦載機めがけ反撃に打って出る。
「食い千切れっ!
放たれた斬撃は鎌鼬のような真空刃となって艦載機へ直撃。 したはずなのだが……
「…っ!?」
艦載機は斬撃を受けたにもかかわらず、すぐに旋回し俺めがけ特攻を仕掛けてきた。 その体には傷一つついておらず、まるでダメージを受けた様子は見られなかった。
《キャッハハハ!! 馬鹿ネ、私ノ艦載機相手ニソンナ斬撃ガ効クワケナイジャナイ。 ソレハアノ御方ノ技術ニヨリ作ラレタ特別製ノモノ、戦艦ノ主砲デモ破壊デキナイホド頑丈ナノヨ》
艦載機に翻弄される幸仁を見ながら、南方棲戦姫は腹を抱えてあざ笑う。
幸仁めがけ飛来する艦載機は、彼女の言う通りその外見が普通ではなかった。
本来深海棲艦が飛ばす艦載機は黒い色に先端が尖った独特の風貌をしているが、彼女が飛ばした艦載機は白く、さらにその形状は丸い形に口がついたものだった。
艦載機は口元から鮫のような鋭い牙をのぞかせ、再び幸仁を狙い突撃。
化け物じみた姿の艦載機を見ながら幸仁は、
「………」
無言のまま、刀を構えていた。
その頃、漣たちトラック泊地の艦娘たちは正也のもとへ向かうべく、眼前の霧を払おうと試みていた。
「全砲門! Fire!」
「距離! 速度! …よしっ! 全門斉射!!」
艦隊最高火力を誇る戦艦娘、金剛と霧島が霧への砲撃を行うが、
「…Shit! やっぱり駄目ですカー!!」
「…本当に、これは手ごわいですね」
砲弾から発せられた爆風はほんのわずかに霧を吹き飛ばしただけでほとんど効果がなく、吹き飛ばした場所もしばらくすれば再び霧が覆ってしまった。
「私たちが突入しても駄目でした。 ほとんど視界が効かず、気づけばこの場所へと戻されてしまって…」
「す、すみません。 私が行こうって言いだしたのに……」
「そんなに畏まらないでよ。 私や加賀さんじゃこの霧の中で戦うこともできないし、二人が突入を試みただけでも十分ありがたいよ」
霧への突入を行った鳥海と羽黒に、蒼龍が優しく言葉をかける。
二人は霧の中に入り、直接正也の元へ向かおうとしたが、装甲空母姫が操るこの霧には方向感覚を狂わせる効果があり、そのせいで二人は進む方向を変えられ再びここへと戻ってきてしまったのだ。
艦載機を使い空から正也の居場所を探ろうともしたが、霧はドームのように空中もすっぽり覆っており、それも失敗に終わっていた。
手も足も出せない現状に蒼龍は地団太を踏み、加賀は表情こそ変えないものの、弓を握る手からはミシミシと弓がきしむ音が聞こえてきた。
その時、霧の中からかすかに聞こえた音。
ブオオオオンという艦載機の音に、砲弾が放たれ爆発する音。
その音が何を意味しているのか、漣とヴェールヌイはすぐに理解した。
「い、今の音は…!?」
「…戦っているんだ。 ご主人様が、あいつと……装甲空母姫と戦っているんだ!」
正也が姫と戦っている。 その事実が皆により焦燥感を植え付けた。
あの時の、カスガダマの悲劇がよみがえる。
敵の旗艦と一騎打ちを挑み満身創痍になった提督。 その提督が漣をかばい魚雷を受けたこと。
かつてのトラウマが漣を苛める。
「漣……」
「……大丈夫よヴェールヌイ。 もう、取り乱さないって決めたんだから…!」
手元を震わせ、冷や汗を流しながらも気丈にふるまう漣。
必死に恐怖と向き合う親友の姿に、
「……分かった。 それじゃ、私たちもこの状況をどうするか考えよう」
ヴェールヌイは漣の肩を叩き、皆のもとに向かうのであった。
「吹き飛ばせっ!
ウチは槍を振り回し、暴風を発生させる。 この風で霧を吹き飛ばそうとするが、
「うっ、これでもダメか…! これじゃ焼け石に水だよ」
霧を吹き飛ばすことは出来るが、吹き飛ばした直後に周囲の霧が空いた場所を埋めるようにまた覆ってしまう。
おまけに槍を振り回しているこの体勢じゃ敵の攻撃を捌くこともままならない。
その証拠に…
「どわー!!」
背後から放たれた砲弾が爆発し、ウチは防ぐこともできず爆風をもろに食らい吹き飛ばされた。
水面を派手に転げまわり、どうにか体を持ち上げるがさすがに今のはダメージが大きかった。
爆風に煽られ続けたせいで体はボロボロ、ところどころに火傷の跡もあった。
おまけにまだ体が完治していなかったからか、カスガダマのとき受けた傷も痛みだしている。
「いちちちち…… くそー、このままじゃジリ貧だよ…」
あれからどうにか抵抗をつづけたが、辺りを見渡しても霧しか見えず、ほとんど視界が確保できない状況。 このまま戦えば、負けるのは時間の問題。 奴を倒すためには、この霧を消し去り装甲空母姫本体を引きずり出さなければならない。
(…何とかして、この霧を消さないとな。 でも、一部を消してもまたすぐ戻ってしまう。 この状況を打破するにはまとめてこの霧を消さなきゃならないし、一体どうやって……)
しばらく霧を眺めその場に立ち尽くす正也。
元々難しいことを考えるのが苦手な性格だったが、今はどうやってこの霧を消すか頭をひねっている。
しかし、数秒もかからないうちに正也はにやりと笑い、槍を構えた。
「…そうだ。 あったんじゃないか、この霧をまとめて吹き飛ばすとっても簡単な方法が……!!」
「たあっ!!」
俺は再び艦載機へと斬撃を繰り出すが、当の艦載機はまるで堪える様子もなく、俺にかみつこうと一気に突っ込んできた。
「ぐあっつ!!」
艦載機の一つが俺の脇腹をかすった。 俺が一体を止めたその隙をついてもう一体が攻撃してきたのだ。
噛みつかれこそしなかったものの、艦載機の歯は俺の体を引き裂き、じわじわと傷口から溢れる血で白い軍服を赤に染め上げてくれた。
脇腹を抑えうずくまる俺に、南方棲戦姫は感嘆の声を上げる。
《アラアラ… アナタ中々タフジャナイ。 コレダケノ艦載機ヲ捌キ続ケルナンテ芸当、艦娘ハオロカ深海棲艦デモソウハイナイワヨ。 …決メタワ、貴方ハアノ御方ノ元ヘ連レテイキマショウ。 サッキノ艦娘ヨリ、貴方ノ方ガヨッポド『アレ』ノ調整相手ニ使エソウダモノ》
勝ち誇ったかのように笑う南方棲戦姫。
現にこの状況を見て、奴の勝ちを疑う者はいないだろう。
俺は艦載機を捌き続けたせいでダメージがたまり、おまけに脇腹からは血が流れている。
艦載機たちは俺のはるか頭上を、まるでハゲタカのように旋回しながら飛び回っている。
今は南方棲戦姫の指示で待機しているようだが、奴の命令があれば一斉に俺に襲い掛かるつもりだろう。
圧倒的に不利なこの状況。
そんな中で俺はただ一言だけ、つぶやいた。
「……そろそろだな」