ある建物に緑色の髪の女がいた。彼女はそこで今日も…


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ゆうかりんと食べよう

「うふふ…ふふふっ」

 

薄ら笑う幽香の声のみが建物に反響する。彼女の目は夜明けの下弦の月のように、楽しそうに光っているのであった。

 

「ねぇ、いいわよね…? ふふっ」

 

そうたずねると、答えも聞かずに彼女はソレに手を伸ばす。

 

「…本当に、ホントに───」

 

 

───美味しそうだわ。

 

手に取ったソレをゆっくりと持ち上げ、胸前に掲げたかと思うと両手で持ち、()いた。

 

グチャア、いや、モシャア、と。

 

なんとも形容し難い音だが、彼女にとっては心地よいそうだ。

 

「…ねぇ、食べられないと、思った?私が一から育てたお前が、食べられないとでも思った?…うふふっ」

 

再び笑い声をあげながら目の前のソレを見つめる。

 

「あっはぁ。残念、食べるわよ」

 

と、次の瞬間ソレにかぶりついた。

ジュク、と音をたてながら溢れ出るその液体は幽香の口から滴っていた。

 

その間も彼女は恍惚とした表情で、しかししっかりと味わっているようだった。

 

「うふふふふ、美味しいわよ、アナタ。もっと食べたい…もっと、喰べたい」

 

それからも彼女はソレを貪り、かぶりつき、しゃぶりついた。

全てのソレを食べ終わるまでに十分もかからない。そこに残されたのは、もはや何の価値も無い、骨のみであった。

 

「ご馳走様。あははっ、美味しかったわよ、あなた」

 

と言って幽香は最後に、コーラを飲み干した。

 

 

画面が切り替わり、赤と黄のストライプが流れる画面になった。

 

テロップと同じことが音声でも流れる。

 

『ゆうかりん牧場から現地直送された鶏肉を使用!』

『4ピース1380円!』

『お持ち帰りにすると《ゆうかりんのドSボイス人形》がついてくる!』

『ゆうかりんと一緒に食べよう!』

 

さんざん謳い文句が終わると、画面中央にはお馴染みのシンボルマークが浮かぶ。

 

創業者のシルエット風の顔写真と、『miracle & not a common』の文字。

それと、大きくK(コチヤ)F(フライド)C(チキン)の企業名。

 

早苗のシルエット風の顔写真はとても楽しそうだった。

 

そこで、画面は切り替わり、違うCMに入った。

 

 

 

 

 

「……食欲失せるわっ!」

 

あたし、霊夢の声は居間に響いた。危うく先程の買ってきたフライドチキンを取り落としそうになってしまった。

 

食べようとしたところで、たまたまつけていたテレビに流れたCMに、驚きのあまりに魅入ってしまった。

 

あたしの入っているこたつの上では、ゆうかりんのドSボイス人形が「モットタベタイ、モットタベタイ」と喚いていた。

 

 

 

 




東風谷フライドチキンのせいだ!

値段もボッタクリですしw

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