もし不老不死の人間が生まれたらどうなるのかとマイナス思考で書いてみました。
「……」
真っ白な病室の中で、私は投薬された新薬の副作用に苦しんでいた。体の奥が焼けるような痛み…細胞が焼け爛れる苦痛に悶えて息遣いも荒くなり、視界が歪む……が、それらは全て元通りに再生した。後に残るのは苦しんだ記憶とジットリとパジャマに広がる汗だけ……。
「…仕方ない…よね?」
そう自分を納得させて私はベッドの中でゆっくりと背伸びした。そして、ふらつく体を起こして食堂へ向かった。
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食堂
「戴きます」
今日の献立はキュウリの漬け物とご飯、味噌汁というオーソドックスな物だった。それをじっくりと味わうように咀嚼して喉に通す。お水もガブガブ飲んで減った水分を補給した。
「真由美ちゃん、昨日のお薬はどうだった?」
私を見つけた看護婦さんが私に投薬した新薬について尋ねた。
「内臓に掛かるダメージが大きいです。確かに臓器で繁殖する癌の殲滅には向いていますけど……そもそも体力を削られている患者さんの治療には不適切だと思います」
「そう…まだ改良が必要ね。ありがとう。今日もお願いしていいかな?」
「はい……完成した新薬が患者さんの幸せに繋がりますように」
そう看護婦さんに伝えた私は、空になった食器を返却して覚束ない足取りで病室に戻った。
私…古霊真由美は、不老不死の体を持つ事を除けばただの女の子です。
私の能力が発覚した時、それは家族旅行に行っていた際の交通事故でした。私も含めて家族全員が木っ端微塵になっていた筈なのに…私だけが次の日に元通りに再生していたからです。事実を知った日本政府は私を現実から隔離しました。その日から私はモルモットになりました。
最初は特別な存在なんだと喜んでいたのも束の間。次の日から私は新薬の研究や不死の細胞の研究の為に幾度も実験されました。何度も死にたい、こんな力は要らないと嘆いていましたが、最近は達観するようになりました。
どんなに足掻いても、ドラマみたいに私が物語のヒロインになる事なんて無い。だから、私はこの時間の中で幸せを探す事にしました。そして、すぐに見つかりました。
私の唯一の楽しみは、朝食と投薬を受けた後に存在する副作用が発生するまでの間………。
その間、私は本や漫画を読みます。副作用が始まると苦しみ続けなければいけないので、その間に少しずつ進めています。また、こっそり朝食から失敬したご飯を窓からやって来る小鳥さんにお裾分けしています。
小鳥さんの囀りを聴いているとこれから続く苦しみが少し和らぐと信じています。
ほんのちょっぴりの幸せ……その3時間にも満たない刹那的な一時が私の幸せの全てです。
「!!!」
そして今日もまた、私は新薬の副作用にもがき苦しみます…………。