「今回の異変、無事に解決してよかったわ。ありがとう、白狼。」
「おいテメェいつどこから入って来やがった!?」
俺がいつものようにラノベを読んでいる頃、俺を幻想郷に呼んだ張本人、八雲紫が、スキマより現れそう言った。
「あら。普通にスキマで来ただけだけど?」
あっけらかんと言う紫。
「今度から普通にアポ取って正門から来いよ。ビビるだろ。」
「善処することを前向きに検討するわ。」
俺の言葉に紫は嗤って言う。
「なんで俺の世界の政治家達が言うようなことをお前が知ってんだよ。」
「あら。私は外の世界と幻想郷を繋ぐ境界にいるのよ?外の世界の多少の知識くらい、持ってるわよ。」
「お前の"多少,,がでかすぎなんだよなぁ。…で?本題はなんだよ?もう300文字だぞ?」
「突然のメタ発言はやめなさい。それに、本題ならもう言ったわ。異変解決、ご苦労様、と。」
俺のメタ発言を窘めつつ、再び本題を言う紫。
「ん?ああ。そのことか。いや、俺大したことしてねえし。ただ救いたいものを救った結果だよ。」
「…だから、そういう…あー、いえ、なんでもないわ。忘れて頂戴。」
俺の謙遜に紫は何かを言おうとして、やめた。
「貴方、その病的なまでの自己否定はやめたほうがいいわよ?そのうち、壊れるわよ?」
と、紫は警告した。俺は。
「あ?自己否定?いやいや。見てたお前なら分かるだろうけど、俺割と自信満々な発言してんだぜ?どこも自己否定なんてしてな…」
「私が。」
俺のまくしたてるかのようなセリフに、紫はすごい剣幕でかぶせる。
「私が異変の時
「っ…」
それは、その発言は、俺の日常での言動、行動を見ていることの証明だった。嘘を見抜かれた腹いせに、
「人の私生活を覗くとか、ストーカーかよ。どこのASTだよ。怖えよ。マジで。」
と、嫌味を言っておく。
「なんとでも言いなさい。とにかく、異変に向かわせた私が言うのもなんだけれど、少しは"自分,,という存在に自信を持ちなさい。それくらいの価値はあるわよ。」
そう言って、再び紫はスキマに入り、帰っていった。一人、自室に残された俺は、
「…はっ。自分を信じろ?誰も、
俺の、自身への問いに答えるものはいなかった。それは、つまり。
『………………。』
初代である創世者さえも、聞くだけで答えてくれなかった、ということである。いつも俺の心の中に巣食う大きな雪の山。その中に小さくあるかもしれない答えを、俺は見つけられるのか。もう春も近い。自然と解けることを祈るしかないのだろうか。
しかし。やはり現実は俺が嫌いらしい。
「どういうことだおい…………」
疑問とは、自分で答えを出すまで、解けることはないらしい。
「なんで未だに雪が降ってんだよ。もう4月だぞ!?」
さらに言えば、俺の救いを求める存在も。いなくなることはないらしい。
次回、春雪異変の章、開幕。
白狼は自らを信じることは出来るのだろうか。
春なのに雪が、冬がいなくならない原因とは?
創世者が答えなかった理由とは?
わからぬことだらけの冬が、今、幕を開ける。(なお執筆日は思いっきり夏。蝉がミンミン鳴いております。熊本の空は、かんかん照りです。