東方希望録、始まります。
紅き館、紅魔館。いつもなら、大して来客もいないここに、今日は珍しく来客が来た。
「俺のターン!ドロー!うーん、舞踏で消すか?イスラで殴るか?……よし!俺は!竜爪の首飾りを配置!そして、死の舞踏を発動!俺が破壊するのは、オズ!」
「白狼様、失礼しま……」
俺がデュエル(影)をしていると、咲夜が入って来た。そう、俺がポーズを決めてやっている時に、咲夜は開けたのだ。
「……」
「……失礼しました。」
「待ってええええ!咲夜さあああん!」
ほんとに、なんでこうもある意味タイミングがいいのかと、小一時間ほど問い詰めたかった。
「お客様です。」
「へ?俺に?」
「はい。ちょっとした依頼だそうで。」
「はあ。」
というわけで、応接室へ案内され、ドアを開ける。するとそこには、少女がいた。シャツに赤いズボン。サスペンダーでそれを留め、白く長い髪を白と赤のリボンで結んでいた。
「お前が夜月白狼か?」
思ったよりも低めな声。
「ええ、まあ。貴女は?」
俺が問うと、少女は頭を下げ、
「私は藤原妹紅。人里に知り合いがいてな。そいつが風邪をひいて、仕事が出来ない。その代わりを頼みたい。」
そう言って来た。
「え?えーと、失礼ですが、その仕事って、俺でもできるモンなんすか?」
「ああ。もちろん。それと、敬語は無しでいい。」
そう言われたら、そうせざるを得ない。
「わかった。引き受けよう。うちの人たちには言っとく。」
「助かる。」
と、聞くのを忘れるところだったと、俺は問う。
「ちなみに、その仕事ってのは?」
すると妹紅は、知らないとはいえ、デカイ爆弾を落としていったのだった。
「ああ、いってなかったな。寺子屋の教師だよ。」
「え………?」
それだけ告げて、妹紅は咲夜に連れられ、館の外に出る。
俺はいまだに、思考がフリーズしていた。頭の中で、緑のあいつがボタンを押した。
(Restart…)
「ハッ!?はああああ!?」
…で。
「どうしよう…」
「どうするもなにも、引き受けるって言ったんなら、やればいいだろうに…」
俺は食堂で昼食を食べ終え、うなだれていた。そして、レミリアに呆れられていた。
「そもそも、なんで渋っているのだ?お前は頼られるのが好きなのだろう?よかったじゃないか。」
「るっせーな。そんなにホイホイできるものじゃねぇんだよ。教師ってのは。」
そう。そもそもそんなに簡単に教師ができるのならば、
「まあ、人にものを教えるのだから、難しいのはわかるがな。そんなに難しく考える必要があるのか?」
「あるんだよ。教師は俺の唯一の夢だから。中途半端は許せねぇんだよ。」
俺の言葉に、レミリアは不思議そうに言う。
「?夢ならばなおのこと悩む必要なんか無いだろう。これはチャンスだぞ?」
そう。降って湧いたような大チャンス。でも。
「そう。チャンスだ。でも、だからこそ、こんなに簡単に叶っていいものじゃ無いって思う俺がいる。」
俺の言葉に、またレミリアはため息をついて。
「…はぁ…お前のその自分に対する厳しさは相変わらずだな。…いや。逃げ、か。」
「っ…!?逃げ、だと?」
「そうだろう?」
レミリアの言葉に反応する俺をレミリアは皮肉げに笑って言う。
「お前は外の世界のことはもう考えたくも無いのだろう。だから繋がっているものはなんであろうとスルーして来た。…違うか?」
「………………」
違わない。外の世界を思い出したくなかったから、俺は人里には近寄らなかった。結局、俺が極度なまでのビビリだった、と言うだけだが。
「お前がやりたいことならば、ものにしろ。お前が中途半端を嫌うように、私もそれは許さん。やるならやりきれ。いいな。」
「……ああ。」
こうして、決意は固まった。
その夜、俺は創世眼を使い、外の世界の教科書を"創った,,。寺子屋の子達がどこまで解けるかわからない。だからこそ、複数"創る,,ことになったがもともと霊力は有り余っている。
「これで良し、と。」
翌日。
「ここが寺子屋だ。んじゃ、あとは任せたよ?」
「ああ。なんとかする。任せてくれ。」.
ここに、俺の夢は叶う。
「すぅぅぅぅーはぁぁぁぁ…よし!」
俺は、意を決して、寺子屋の戸を開け………
ガララ…ヒュッ!
「っ!?【盾符 ドラゴンシールド】!?」
バチィ!盾に当たったのは、一冊の教科書らしきものだった。
……どうやら、わりと今回の俺に起きた出来事は、一筋縄ではいかないらしい。
はい。というわけで白狼の夢が思わぬタイミングと形で叶った回でした。さらに言うと妹紅との初エンカウント回でもあります。白狼の奥底には、晴人のようなヒーローになりたいという憧れと、教師という職業的な夢が両立していたわけですね。まあ、中学生ですから、その辺の現実もちょっとは見始めていた、という感じですね。
想像していたよりも問題児ばかりなこの教室。ならば、あれ、やるか。そうして、俺がやることは。
次回、東方希望録。
作ろう、実力主義の教室を!
学ばなければ生き残れない!
感想、評価、お待ちしてます!ではでは!