東方希望録   作:紡ぎ手@異人

38 / 77
始まりは、小さな喜びだった。クラスメイトに、少し教えただけ。その時のお礼の言葉が。わかってくれた喜び、高鳴りが。俺に夢を持たせた。俺の、将来の夢は…
東方希望録、始まります。


思わぬ成就

紅き館、紅魔館。いつもなら、大して来客もいないここに、今日は珍しく来客が来た。

「俺のターン!ドロー!うーん、舞踏で消すか?イスラで殴るか?……よし!俺は!竜爪の首飾りを配置!そして、死の舞踏を発動!俺が破壊するのは、オズ!」

「白狼様、失礼しま……」

俺がデュエル(影)をしていると、咲夜が入って来た。そう、俺がポーズを決めてやっている時に、咲夜は開けたのだ。

「……」

「……失礼しました。」

「待ってええええ!咲夜さあああん!」

ほんとに、なんでこうもある意味タイミングがいいのかと、小一時間ほど問い詰めたかった。

「お客様です。」

「へ?俺に?」

「はい。ちょっとした依頼だそうで。」

「はあ。」

というわけで、応接室へ案内され、ドアを開ける。するとそこには、少女がいた。シャツに赤いズボン。サスペンダーでそれを留め、白く長い髪を白と赤のリボンで結んでいた。

「お前が夜月白狼か?」

思ったよりも低めな声。

「ええ、まあ。貴女は?」

俺が問うと、少女は頭を下げ、

「私は藤原妹紅。人里に知り合いがいてな。そいつが風邪をひいて、仕事が出来ない。その代わりを頼みたい。」

そう言って来た。

「え?えーと、失礼ですが、その仕事って、俺でもできるモンなんすか?」

「ああ。もちろん。それと、敬語は無しでいい。」

そう言われたら、そうせざるを得ない。

「わかった。引き受けよう。うちの人たちには言っとく。」

「助かる。」

と、聞くのを忘れるところだったと、俺は問う。

「ちなみに、その仕事ってのは?」

すると妹紅は、知らないとはいえ、デカイ爆弾を落としていったのだった。

「ああ、いってなかったな。寺子屋の教師だよ。」

「え………?」

それだけ告げて、妹紅は咲夜に連れられ、館の外に出る。

俺はいまだに、思考がフリーズしていた。頭の中で、緑のあいつがボタンを押した。

(Restart…)

「ハッ!?はああああ!?」

 

 

 

 

 

 

…で。

「どうしよう…」

「どうするもなにも、引き受けるって言ったんなら、やればいいだろうに…」

俺は食堂で昼食を食べ終え、うなだれていた。そして、レミリアに呆れられていた。

「そもそも、なんで渋っているのだ?お前は頼られるのが好きなのだろう?よかったじゃないか。」

「るっせーな。そんなにホイホイできるものじゃねぇんだよ。教師ってのは。」

そう。そもそもそんなに簡単に教師ができるのならば、()()()の人たちも困ったりしていない。

「まあ、人にものを教えるのだから、難しいのはわかるがな。そんなに難しく考える必要があるのか?」

「あるんだよ。教師は俺の唯一の夢だから。中途半端は許せねぇんだよ。」

俺の言葉に、レミリアは不思議そうに言う。

「?夢ならばなおのこと悩む必要なんか無いだろう。これはチャンスだぞ?」

そう。降って湧いたような大チャンス。でも。

「そう。チャンスだ。でも、だからこそ、こんなに簡単に叶っていいものじゃ無いって思う俺がいる。」

俺の言葉に、またレミリアはため息をついて。

「…はぁ…お前のその自分に対する厳しさは相変わらずだな。…いや。逃げ、か。」

「っ…!?逃げ、だと?」

「そうだろう?」

レミリアの言葉に反応する俺をレミリアは皮肉げに笑って言う。

「お前は外の世界のことはもう考えたくも無いのだろう。だから繋がっているものはなんであろうとスルーして来た。…違うか?」

「………………」

違わない。外の世界を思い出したくなかったから、俺は人里には近寄らなかった。結局、俺が極度なまでのビビリだった、と言うだけだが。

「お前がやりたいことならば、ものにしろ。お前が中途半端を嫌うように、私もそれは許さん。やるならやりきれ。いいな。」

「……ああ。」

こうして、決意は固まった。

その夜、俺は創世眼を使い、外の世界の教科書を"創った,,。寺子屋の子達がどこまで解けるかわからない。だからこそ、複数"創る,,ことになったがもともと霊力は有り余っている。

「これで良し、と。」

 

 

 

 

 

翌日。

「ここが寺子屋だ。んじゃ、あとは任せたよ?」

「ああ。なんとかする。任せてくれ。」.

ここに、俺の夢は叶う。

「すぅぅぅぅーはぁぁぁぁ…よし!」

俺は、意を決して、寺子屋の戸を開け………

ガララ…ヒュッ!

「っ!?【盾符 ドラゴンシールド】!?」

バチィ!盾に当たったのは、一冊の教科書らしきものだった。

……どうやら、わりと今回の俺に起きた出来事は、一筋縄ではいかないらしい。




はい。というわけで白狼の夢が思わぬタイミングと形で叶った回でした。さらに言うと妹紅との初エンカウント回でもあります。白狼の奥底には、晴人のようなヒーローになりたいという憧れと、教師という職業的な夢が両立していたわけですね。まあ、中学生ですから、その辺の現実もちょっとは見始めていた、という感じですね。


想像していたよりも問題児ばかりなこの教室。ならば、あれ、やるか。そうして、俺がやることは。
次回、東方希望録。
作ろう、実力主義の教室を!
学ばなければ生き残れない!

感想、評価、お待ちしてます!ではでは!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。