僕は、君のことならなんでも知っている。
なんでもしてあげる。
知れば知るほど好きになる。知らないことも増えるけど、すぐに知るよ。だから教えて?
東方希望録、始まります。
「でええい!」
俺はパワーソードを振りかぶり、振り下ろす。
「おっと。ハハッ!」
ひょいと躱し、ハンマーを振るってくる黒兎。
「ッ!っぶね!【リボルバー】!」
スペカを使わずに銃を何梃も"創り,,、発砲させる。
「アハッ!【クラッシュハンマー】!」
黒兎の声に呼応して、ハンマーが肥大化。前にドスンと壁のように叩きつけ、弾を防ぎ、ハンマーに当たった弾は"壊された,,。
「チィッ!(あの時よりも格段に強くなってやがる!能力の練度!使い方!どれもレベルアップしてやがる!)」
そうなれば、迂闊に近接攻撃はできない。うっかりハンマーに触れれば、そのまま"壊され,,かねないからだ。
「アハッ。だから遠距離戦…?でもねぇ?それじゃあ僕は倒せない!」
「…だよなぁ。だから、こうするしかないッ!【絶力炎破】ッ!」
「ッ!?【クラッシュ…ぐあっ!?」
黒兎が"壊そう,,とする前にダメージが与えられるものであれば通る。まあ、それに応じた技と、それを発動させる霊力がいるのだが。
「く…やってくれるね!【クラッシュハンマー】!」
黒兎が叫ぶと、ハンマーが呼応し、肥大化する。
「いいッ!?【く、
ガシィンッ!と、振り下ろされる前にその腕を鎖で拘束し、
「【スピードダガー】in…my body!」
身体に速度を上昇させる短剣を溶け込ませ、すぐに近づく。そして、
「【絶力…剛炎斬】っ!」
さらに強化された"力,,をぶつける。
「アハッ!"クラッシュ,,。」
一度ニヤリと笑った後、心底怖い顔で、そう言った。
「なっ!?」
ぱきり、と鎖が"壊れた,,。それと同時に、黒兎が自由になる。そして、ガシッと黒兎が剣を捕まえる。炎が、掴まれた瞬間に消えた。いや、"壊された,,。そしてすぐに、パリン、とパワーソードも"壊される,,。
「アハッ…あはははは!バカだなあ白狼は。今までのはただの遊びさ。なんでも"壊せる,,この僕が、君の"創った,,ものを瞬時に壊せないとでも?」
「し、白狼!」
フランが声をあげるも、どうしようもない。俺は、黒兎に近づきすぎた。
「【クラッシュハンマー】…これで、世界は…」
(ここまで、か。…ま、よくやったほうじゃないかな。だって、俺、本当はそんなに強くなんてなくてーーー)
黒兎のハンマーが、俺の体に当たるーーーー前に。
パリン………
「くはは。なんだ?その無様な姿は?フランの希望とかのたまってた割には、随分とあっけない諦めだがーーー」
ぎゅう、と握りしめたその右手。ばさりと広がった、普通なら飛べそうもない翼。紅く、妖しい光を帯びた瞳。俺の横に飛んできたのは、フランの心の中に巣食っていた、狂気だった。
「え……フラン?じゃあ、今"壊れた,,のは…」
と、黒兎を見る。そこには、ハンマーを握っていた右手、いや、右腕を抑える黒兎の姿があった。
「く…き、吸血鬼…キサマァ!」
「フン。知らなかったようだから教えてやる。
と、フランは得意げに言った。
「……ふ、フラン…どうして?」
「勘違いするな。私はただ、お前が私以外の誰かに"壊される,,のが癪に触っただけだ。他意はない。いいな。」
「………ああ。わかってるよ。」
「……ふん。ならいい。とっとと奴を倒して、世界とやらを統べろ。その後にお前を"壊して,.、私が統べるというのも一興だ。」
と、そう言ってフランは元に戻る。
「っフラン!大丈夫か?」
「……っうん。白狼こそ…何もされなかった?」
「ああ。最高の手助けをしてくれたよ。」
「そう。良かった。」
一度地に立ち、フランを下ろす。
「助かった。礼でも伝えといてくれ。」
そう、一言だけ述べて、俺は再び黒兎の元へ飛び立つ。
「ぐ…があ…白狼…ぼくは、君に勝つ。勝たなきゃいけない!」
「……なんでだよ。どうして、そこまでこだわる?」
「!アハッ。そういえば、話してなかったっけ。僕が君の力を手に入れて、世界を統べる理由。簡単さ。世界を"創り,,直すんだ。君も含めてね。ただし。この世界では能力者は現れない。朝日家だからって、夜月家だから、なんていうこともない。平等な世界さ。」
「な…そんな世界を"創る,,意味があるのか!?」
「ああ。だって、これは君のためだ。白狼。」
その、黒兎の言葉に、俺は衝撃を受ける。
「俺の、ため…!?」
「そう。全て、全て君のためだ。君を初めて見たときから。君がいじめられていたのを知ったときから、僕は君のために行動すると決めていた。」
わけが、わからなかった。あの世界の全ての人間を"壊した,,ことも、俺の為?
「そう。君を守る為さ。君ほどの男が、気づいてないわけないだろう?君は世界の食い物にされていた。あんなにひどい目にあっていたのに、君が少し本当のことをバラしただけであの始末だ。あんな世界に、価値はないよ。だから"壊した,,。そうすれば、君は自由だからね。まあ、まさかこっちにきてるなんて、思わなかったけど。」
つまり。黒兎は、世界の食い物にされていた俺を、見ていられなかった。だから、こうして、世界を"壊した,,。そういう、ことだった。言葉の上では、理解できる。だが。だがっ!
「ふざけるなよ!誰も、誰もんなこと望んじゃいねぇんだよ!誰が言ったんだ!?ああ!?俺が酷い目にあってて!苦しいから!辛いから世界の全てを"壊せ,,なんて!誰が言うかよ!?」
「君は、望んでなかったのかい?」
「ったりめーだ!馬鹿!」
俺ごときのために、世界が滅んだ。そんな事実を、叩きつけられて。
冷静でいられるほど、俺は冷酷ではない。
「そっか。知らなかったよ。まさか君が、あの世界を守りたかったなんて。」
黒兎は手を広げて。
「…テメェはやっぱ危険だ。ここで殺す。今度は幻想郷、なんて、シャレになんねえからな。」
俺は再びパワーソードを"創り,,、構える。
第2ラウンド、開始。
はい。もうそろそろ黒兎戦終了にしたいです。まあ、結果がどうなるかはわかってるとは思いますが、そこに行き着くまでの、過程を楽しんでいただければな、と思います。
世界ってのはな、拝むほど良くはない。けど、吐いて捨てるほど悪くもない。…そう。悪くなかったんだ。だから。次回、東方希望録。
黒兎チェンジ・トゥワイス。
さあ、ショータイムだ。
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