東方希望録   作:紡ぎ手@異人

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遅れてごめんなさい。しっかり考えて書かないといけないとこなので、難産でした。気にいるかどうかは人によって違うのでなんとも言えませんが、彼らの戦いを、どうか、一文字たりとも飛ばさずに見ていただきたいです。

愛すること。愛されること。
形は違えど、それは尊いこと。
たとえその果てに、逃れ得ぬ別れがあるとしても。
東方希望録、始まります。


黒兎チェンジ・トゥワイス

「くらえ!【絶力剛炎斬】!」

「【クラッシュ】!」

剣と鉄槌が交差し、剣が"壊れる,,。

「チィッ!【パワーソード】!」

「アハッ!アハハッ!アハハハハッ!」

黒兎の笑いは大きくなり、どんどん正気には見えなくなってくる。

「黒兎ォォォォ!」

「はははッ!楽しい!楽しいよ白狼ッ!」

創世眼で"不壊,,の性質を付与し、パワーソードを振るう。

右上から左下へと振り下ろす。

「アハッ!」

黒兎はひょいとかわし、ハンマーで反撃してくる。

「アハッ…アハハッ、アハハハハッ!くっはははははははははッ!」

黒兎は止まらない。鉄槌を振るい続ける。こっちは限界が近いってのに!

「【絶力…轟炎斬】ッ!」

剛より強い轟を使う。霊力に気なんて使ってられない。全力全壊だ。でなければコイツには勝てない。

「くらえ!」

上から右下へ振り下ろす、と見せ掛けて左へ振る。

「ッ!?ぐぁっ!?」

パワーソードは黒兎の体を右肩から腰にかけて切り裂いた。裂け目からは血が流れていた。

「ぐ…あ…はは。斬られちゃった。白狼、やっぱり本当は強かったんだね。」

「……そうだな。俺も最近、フランに気付かされたよ。」

「……また、あの子かい?白狼、この戦い中ずっとだよね。」

黒兎の目が、フランを見る。

「………」

そして、黒兎の動きが止まる。

「……?」

警戒はそのままに、俺は黒兎の様子を見る。

「うん。そうだね。その方がいいかな、()()()()()。」

そうして黒兎は、呼んだ。絶対なる破界者を。

元々赤い目はさらに赤く染まり、黒兎の体を濃密な霊力が覆う。

「『っく。くは、くはははははは!』」

「!?く、黒兎…なのか…?」

「『いいや?俺は子兎じゃねえよ。』」

明らかに違う口調。そして仕草。それによって理解する。こいつは、黒兎ではない。

「!白狼!気をつけて!そいつは…何か違う!さっきまでの黒兎とは、根本的なものが!」

「……ああ。わかるぜフラン。こいつは…黒兎の…朝日家の祖先…」

「『大正解。俺が、お前の祖先、創世者(ザ・クリエイター)と対と成す者。破界者(ザ・デストロイヤー)だ。ま、短い間だろうが、よろしくな、子狼(こいぬ)。』」

そう言って、破界者は、両手を広げ、悪い笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『こっからは俺が相手だ。子狼。』」

「…」

破界者は鉄槌を構え、俺もパワーソードを構える。

地を、蹴る。右足を一歩。しっかりと踏みしめ、剣を振りかぶり、思いっきり振り下ろす。ガキンッ!火花を散らし、弾き合う。

「『!"壊れねぇ,,な。ハッ。なぁるほど。"創った,,な?ルールを。』」

「っ!(バレた…)」

しかしまあ、バレて当然だと思い直す。相手は俺の先祖、創世者(ザ・クリエイター)と同じ高みに存在する奴である。ならば、すぐにでもこっちの弄した策や、ルールなど、見破ってしまうだろう。

(つまり、次にアレと打ち合えば、ルールが"壊される,,ッ!)

「『ルールを"壊され,,たらまずい…そう考えるよな。』」

「ッ!」

破界者は目にも留まらぬスピードで接近し、ハンマーを振り下ろしてきた。

「くっ!【ドラゴンシールド】!」

「『甘えんだよ!』」

破界者は俺が盾を"創った,,瞬間にハンマーを止め、後ろ蹴りで盾ごと俺を吹き飛ばした。

「ぐあっ!?」

ドザァッ!と地に叩きつけられた俺は咳き込み、上にいる破界者を見据える。

「『おいおい。もう終わりかよ!チッ…つまらん。おい、子狼。()()()を出せよ。テメェじゃ役不足だ。」

破界者は心底つまらなそうにそう言った。その、言葉は。

「ーーーーッ!」

俺の中の火を、炎のように燃えたぎらせるのには十分だった。

「……めたんだ。」

「『あ?』」

「誓ったんだ。俺は自由に生きるって。過去に囚われることも、生まれた家に囚われることもせず、自分の思うままに生きるって!それを!その誓いを!お前に"壊されて,,たまるか!!終わらせてやる!もういない創世者とお前の宿命も、俺自身と黒兎の約束も!今、ここで!」

「『!…そうか。先に逝きやがったか、バカ兄が。………………ハッ。上等!」

俺は切れていた創世眼を再び起動し、体に残っている霊力全てを呼び起こす。破界者も、同じように力を解放する。もう割と周りはボロボロだ。そろそろ紫が異変だとか言って止めてきそうだから、早めに終わらせないと。

「【強化(アップグレード)】、【パワーフレイムソード】。」

剣に霊力を流し込み、赤き炎を灯す。

「『【クラッシュハンマー】。【絶壊衝】。』」

向こうも、ハンマーに霊力を流し込み、肥大化させていた。

「『いくぞ子狼。これでジ・エンドだ。』」

「……フィナーレだ。」

同時に距離を詰め、互いの獲物をぶつける。

「『馬鹿正直に打ち込んだなバカめ!』」

パリン、と嫌な音がする。おそらくルールが"壊された,,音だろう。

「【創・法(クリエイト・ルール)】ッ!」

新たに"不壊,,のルールを"創る,,。しかし今度は一瞬でパリン…

「なっ!?」

「『はははははは!そう何度も同じモンでどうにかなるわけねぇだろ!もらったぁ!」

そうして、今度はパワーフレイムソード本体が"壊され,,……るということはなく。

ギリギリギリ……

「『な…なぜ"壊れない,,!?確かにルールは"壊した,,はずっ!』」

「ああ。確かに"壊された,,さ。ルールは、な。」

「『!?まさか…』」

俺はニヤリと笑う。

「ああ。概念だけで"壊される,,なら、そうならないように物質でどうにかすれはいい。どっかの聖杯戦争みたいな、宝具のようにな!」

「『な…ならば物質を"壊す,,モードに……』」

「遅いッ!【絶力…轟魔炎斬】ッ!」

奴が力を一瞬緩めた瞬間、一気に霊力を解き放ち、態勢を崩し、剣の炎を紫色に変化させ、"魔,,の性質を付与した斬撃、"絶力轟魔炎斬,,で、破界者の右肩から腰にかけてを切った。

「『ぐわああああああああ!』」

破界者はその場に崩れ落ちた。ハンマーもすでに消え去っている。

「やった!やったよ!白狼が勝った!」

後ろで見ていたフランが喜びを露わにする。まあ、ギリギリのまさに死闘だったし。

「『ぐ…………俺たちの負けだ。子狼。とっとととどめを刺せ。』」

どかりと座り、目を閉じる破界者。…いつの時代の武士だこいつは…

「……嫌だね。」

「『………は?』」

俺の言葉に、破界者はポカンとした顔をする。まあ、見た目黒兎なんだが。

「嫌だ、断ると言ったんだ。言ったろ?俺はもう宿命とか、うんざりなんだよ。縛んな。邪魔くせえ。」

「『ふ、ふざけるな!そんな事が認められるとでも思っているのか!?』」

破界者は犬歯をむき出しにして怒っていた。

「だから、認めるとかそういう話じゃないっての。……ああもうめんどいなあ。俺は、誰も殺したかねえんだよ。」

と、簡潔に言った。破界者はもう何も言わなかった。ただ、その代わりなのか、

「でもね、それじゃあ、()は納得いかないんだよね。」

「「!!」」

今度は、黒兎が出てきた。

「ねえ、白狼。本当に、僕を殺したくない?」

「……たりめーだろうが。俺とお前は……その…親友なんだから。」

少し、顔を背けて言う。これでもし違うとか言われたら物理的に穴"創って,,入るまである。

「アハッ。嬉しいなあ。うん。僕もそう思ってる。…そっか、できない、か。じゃあ、仕方ない。」

「え?」

妙に物分かりがいい。何故だろうか。

「じゃあさ、白狼。最後に、その剣、構えて見てよ。」

「あ?なんで?」

「いや、これから外の世界(あっち)に帰るからさ、最後に君の勇姿を写真にでも、と思ってね。」

……少し怪しいけど、黒兎の頼みだし、と、俺は剣を中段に構える。足もしっかり広げて。

「……うん。やっぱり、白狼はかっこいいな。」

黒兎は何か小さく呟いて、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザシュッ………

「………は………?」

とん、と地を蹴り、自分の心臓まで届くぐらい深く、黒兎は剣に身を貫かれた。スペルカードなしで"創った,,この剣は、殺傷能力がある。もちろん戦いの最中だって、絶対に殺めることのないように気を配っていた。だが、その努力は無に帰す事になる。

「ゴプ……」

黒兎は血を吐き、そして、にへら、とわらった。

「おい……おいッ!テメェッ!何やってんだよ!?」

直ぐに体を横たわらせ、厚い布を"創り,,、血が出てくる場所を抑え、止血を試みる。が、血は止まらない。

「あ……は。前に…言わなかったっけ。白狼のできないことは……僕がやるからって……」

もちろん記憶に残っている。互いに交わした約束だ。思えば、約束事の多い関係だったと思う。

「だからって……だからってこれはねえだろ!?なんで!?」

「そんなに……怒んないでよ。僕だって、死ぬのは怖いんだよ?」

「だったら自分から死にに来るようなことすんじゃねえよ!」

俺の声も、顔も、涙でグッシャグシャだった。

「でもね、仕方ないんだよ。白狼は、世界を統べるんだから。」

「んなもんいらねえよ!んなもんの為に…お前は…破界者は!」

「泣かないでよ。僕は、君の中で生き続けるんだからさ。君の中での僕が、どういう存在なのか、知る事ができないのが、少し残念だけど…」

「おい…?おい!クッソ!止まれ…止まれ…止まれってんだよォーーッ!」

「……もう、何も見えなくなってきちゃった。…近くにいるかわかんないから、もう、いいか。」

そう言って、黒兎は、今までのどこか嘘を含んでいたような笑みをやめ、安らかそうな顔をして。歌うように、囀るように言った。

「白狼。夜月白狼。静かな、決して自分からは輝こうとしない白い月。僕は、そんな君に憧れた。近くにいたいと思った。君は気づいてなかっただろうけど、僕はずっとそう思ってた。僕が、()()()()()()()()()()()。」

「!!やっぱり…」

小さく、俺の喉から声が漏れる。だけど、もう、黒兎の耳には聞こえていなかった。

「僕の、前の名前は朝日…狂華。君とは別のクラスで、生活していた。」

声は、だんだんと弱々しくなっていく。

「あは、冷たい。これが死ぬ直前、なのかな。僕が"壊して,,きた人たちは、みんなこれを味わったのかな。……怖いなあ。隣に、白狼がいてくれたら、こんな冷たさ、なんてことないのに。ああでも。いたら、こんなこと言えないよね。」

そうして、黒兎は。

「僕……ううん。私、朝日狂華は。夜月白狼のことを、愛しています。」

………

……………

…………………

黒兎は。いいや、狂華は。こうして、死んだ。奇しくも狂華の体を貫いたのは、外の世界の時と同じ、パワーソードであった。

 




………はい。というわけで、黒兎対白狼、決着です。【追想】を読んでくれた方はご存知だと思いますが、黒兎……いえ、狂華ですね。狂華は本当に白狼の事が大好きです。許されるなら、某AST(最近精霊になったけど)のような事だってやります。…5割ほど盛りました。

戦いは終わった。だからと言って、傷痕は消えない。
時は無慈悲に流れゆく。新たな力を得た俺は、
次は進まなければならなかった。
次回、東方希望録。
白狼と未来と愛する事
さあ、ショータイムだ。
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