東方希望録   作:紡ぎ手@異人

71 / 77
シーズン2.、開幕。
なお、シーズン2は、これまでと違い、最初と最後くらいのみの話のみ載せます。理由は次回わかります。

時は無常。そして無情。常に流れ、情けなど無しに全てを置いていく。
時は優しい。負った傷を少しずつ、着実に癒してくれる。
ならば、世界は?
東方希望録、始まります。


シーズン2 記憶を追う者《メモリーズ・チェイサー》 プロローグ
新たな力、あるいは祝福。


紅き館、紅魔館。そこにある一室。そこで俺は眠っていた。

「すぅ…すぅ…」

規則正しく寝息を立てる俺のすぐ近くに、

「…白狼…」

フランがいた。俺の手を握り、椅子に腰掛けていた。

もうそろそろ朝日が昇る。今までゆっくりと生活を朝型にしていったため、普通の人間のような感じになっていた。いやまあ、吸血鬼の性質はもちろんあるのだが。

今日はたまたま、フランが早起きだったのである。

で、フランは時折、俺の寝顔を覗き込み、微笑む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒兎……狂華との戦いから、一週間後のことであった。

「ん…」

ゆっくりと瞼を開け、体を起こす。

「あ、起きた?」

すぐ隣で、よく聞く声がする。

「…あー、うん。起きたよ、フラン。おあよ。」

寝起きのため、あくびまじりに挨拶する俺を見たフランが、笑って返す。

「うん。おはよう、白狼。」

今まで、幾度となく繰り返したやりとり。

このやりとりで俺は日常に戻ったことを再確認する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は紅魔館屋上にて、新たな力を試していた。

「んーと、左眼に【創符 創世眼(ザ・クリエイティブ・アイズ)】。んで、右眼に【壊符 破界眼(ザ・デストロイ・アイズ)】。そーしーてー?混合(ミックス)

【世界 世界眼(ザ・ワールド・アイズ)】!」

その時、俺の目の前の世界は、まるで、違う、世界、に…

そこで、俺の意識は途切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふと、目が覚めた。ガバリと体を起こすと、

「!!白狼!」

「!?げふっ!?」

土手っ腹にフランの突進をくらい、再びベッドに叩きつけられた。

「ほんっとに、心配したんだよ!?」

「あ、ああ…悪い……だから、ちょっと、タンマ……」

朝飯が出ていきそうだ。

………で。

「なにを見たの?」

フランはとても真剣な顔で聞いてきた。なぜわかったのだろうか。俺が倒れるほどのナニカを見たと。

「……ピンポイントすぎる件について。」

「そりゃあね。だって、いつも以上に目が…ね?」

「いや、ね?じゃねえよ!?え!?俺眼ェ腐ってたっけ!?それなんて八幡!?」

と、フランの指摘に俺が慌てふためいていると、フランはコロコロと笑い、

「じょーだんだよっ!てしっ!」

「あだっ!」

デコピンを食らわした。もちろん躱せる筈もなくモロに食らう俺。

「…カマかけたのかよ…」

「うん。だって白狼素直じゃないし。っていうか自分が素直になる事を嫌ってる節があったし。普通に聞いてもわかんないかな〜って。」

……なんともまあ、ピンポイントな対策である。しかし、暴かれたことに変わりはない。今更誤魔化す事も出来ないだろう。

「……地獄を見た。」

「え、エミヤくん?」

…どうやら俺の第一声が悪かったようだ。

「いや待て。俺が悪かったから真面目に聞いてくれ。」

と俺が言うと、フランはさらりと、次のように言った。

「ま、白狼が見たのは、この世界がどれだけ脆いのか、という現実、でしょ?」

「っ!……わかる…か。そうだよな。フランも、"壊せる,,んだから。」

「うん。ずぅーっと前から見てきたよ?だから、大丈夫。慣れろ、なんて言わない。でも、悪いことは言わない。世界眼(ザ・ワールド・アイズ)は、いざという時にしか使っちゃダメ。そうじゃないと……狂っちゃう。白狼が。」

……もちろん、わかっている。アレが、そういうものだ、ということくらい。だが、俺が倒れたのは、それだけではないような気がした。

「……?白狼?」

「……フラン、いざって時は、頼む。」

「え?」

フランが詳細を聞くよりも早く、俺は再び、

「白狼、待っーーー」

「【世界 世界眼(ザ・ワールド・アイズ)】。」

次の瞬間、俺の世界は再び変わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これは……っ!」

見るだけで頭が痛くなる。脳髄が焼き切れそうだ。体が熱を帯びていく。代わりに、頭の中に数多くの情報が流れ込んでくる。その流れは、津波のように押し寄せ、留まるところを知らない。

「あ、が、ああっ!ぐ、うっ…」

呻いたところで、処理速度を超えた速さでやってくる情報の波は止まらない。

「こ、の、っ…【く、創・壁(クリエイト・ウォール)】ッ!」

前を睨み、霊力による壁を"創る,,。バヂィッ!と弾ける音がし、流れはせき止められた。

「はぁっ、はぁっ、はぁっ、…はぁー。……なるほど、そういうことか。世界を"統べる,,ってんなら、世界の全てを知ってろってことかよ。そりゃあ狂うわ。人間の脳に入る量じゃねえ。……けど。入れなきゃ使えねえってんなら、入れれるくらい、容量を増やすだけだ!」

ピシリ、と壁にヒビが入る。そして、すぐに決壊し、再び流れ込んでくる。

もう、準備は万端だ。

「来やがれ!全てを知ってやる!」

そうして俺は、世界を知った。

そう。世界において、いいや。()()世界において、俺はなんでも知っていることになった。……どこの臥煙さんだろうか。おれの過去も、もちろんあった。が。

「……明らかに食い違ってやがるな。俺の知る記憶と。」

幻想入りした日、あの日の記憶が、世界の内容と食い違っているのだ。

記憶の中で、俺は()()()()()()に幻想入りした。

しかし、

世界の記憶では、

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は、()()()()()()()()()()()()()()()()で幻想入りしている。

「……どうやら、やってくれた奴がいるらしいな。」

まだ、終わっていなかったのだ。あの日、俺の世界のゴタゴタは。

 




はい。シーズン2、プロローグでございます!
白狼が幻想入りした日、そしてその前日。そこが、彼が改竄された記憶です。果たして彼は、真実を掴むことができるのでしょうか。

あの日、俺は狂華を倒した。
あの日、俺は雨の中を一人で帰った。
その日、俺は()()()()()()()()()
その日の学校には、()()()()()()()()
その日、俺は、幻想入りした。
次回、東方希望録。
fake usual days.
俺は真実(ほんと)へ手を伸ばす。




感想、評価、お待ちしてます!ではでは!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。