なお、シーズン2は、これまでと違い、最初と最後くらいのみの話のみ載せます。理由は次回わかります。
時は無常。そして無情。常に流れ、情けなど無しに全てを置いていく。
時は優しい。負った傷を少しずつ、着実に癒してくれる。
ならば、世界は?
東方希望録、始まります。
新たな力、あるいは祝福。
紅き館、紅魔館。そこにある一室。そこで俺は眠っていた。
「すぅ…すぅ…」
規則正しく寝息を立てる俺のすぐ近くに、
「…白狼…」
フランがいた。俺の手を握り、椅子に腰掛けていた。
もうそろそろ朝日が昇る。今までゆっくりと生活を朝型にしていったため、普通の人間のような感じになっていた。いやまあ、吸血鬼の性質はもちろんあるのだが。
今日はたまたま、フランが早起きだったのである。
で、フランは時折、俺の寝顔を覗き込み、微笑む。
黒兎……狂華との戦いから、一週間後のことであった。
「ん…」
ゆっくりと瞼を開け、体を起こす。
「あ、起きた?」
すぐ隣で、よく聞く声がする。
「…あー、うん。起きたよ、フラン。おあよ。」
寝起きのため、あくびまじりに挨拶する俺を見たフランが、笑って返す。
「うん。おはよう、白狼。」
今まで、幾度となく繰り返したやりとり。
このやりとりで俺は日常に戻ったことを再確認する。
俺は紅魔館屋上にて、新たな力を試していた。
「んーと、左眼に【創符
【世界
その時、俺の目の前の世界は、まるで、違う、世界、に…
そこで、俺の意識は途切れた。
ふと、目が覚めた。ガバリと体を起こすと、
「!!白狼!」
「!?げふっ!?」
土手っ腹にフランの突進をくらい、再びベッドに叩きつけられた。
「ほんっとに、心配したんだよ!?」
「あ、ああ…悪い……だから、ちょっと、タンマ……」
朝飯が出ていきそうだ。
………で。
「なにを見たの?」
フランはとても真剣な顔で聞いてきた。なぜわかったのだろうか。俺が倒れるほどのナニカを見たと。
「……ピンポイントすぎる件について。」
「そりゃあね。だって、いつも以上に目が…ね?」
「いや、ね?じゃねえよ!?え!?俺眼ェ腐ってたっけ!?それなんて八幡!?」
と、フランの指摘に俺が慌てふためいていると、フランはコロコロと笑い、
「じょーだんだよっ!てしっ!」
「あだっ!」
デコピンを食らわした。もちろん躱せる筈もなくモロに食らう俺。
「…カマかけたのかよ…」
「うん。だって白狼素直じゃないし。っていうか自分が素直になる事を嫌ってる節があったし。普通に聞いてもわかんないかな〜って。」
……なんともまあ、ピンポイントな対策である。しかし、暴かれたことに変わりはない。今更誤魔化す事も出来ないだろう。
「……地獄を見た。」
「え、エミヤくん?」
…どうやら俺の第一声が悪かったようだ。
「いや待て。俺が悪かったから真面目に聞いてくれ。」
と俺が言うと、フランはさらりと、次のように言った。
「ま、白狼が見たのは、この世界がどれだけ脆いのか、という現実、でしょ?」
「っ!……わかる…か。そうだよな。フランも、"壊せる,,んだから。」
「うん。ずぅーっと前から見てきたよ?だから、大丈夫。慣れろ、なんて言わない。でも、悪いことは言わない。
……もちろん、わかっている。アレが、そういうものだ、ということくらい。だが、俺が倒れたのは、それだけではないような気がした。
「……?白狼?」
「……フラン、いざって時は、頼む。」
「え?」
フランが詳細を聞くよりも早く、俺は再び、
「白狼、待っーーー」
「【世界
次の瞬間、俺の世界は再び変わった。
「これは……っ!」
見るだけで頭が痛くなる。脳髄が焼き切れそうだ。体が熱を帯びていく。代わりに、頭の中に数多くの情報が流れ込んでくる。その流れは、津波のように押し寄せ、留まるところを知らない。
「あ、が、ああっ!ぐ、うっ…」
呻いたところで、処理速度を超えた速さでやってくる情報の波は止まらない。
「こ、の、っ…【く、
前を睨み、霊力による壁を"創る,,。バヂィッ!と弾ける音がし、流れはせき止められた。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ、…はぁー。……なるほど、そういうことか。世界を"統べる,,ってんなら、世界の全てを知ってろってことかよ。そりゃあ狂うわ。人間の脳に入る量じゃねえ。……けど。入れなきゃ使えねえってんなら、入れれるくらい、容量を増やすだけだ!」
ピシリ、と壁にヒビが入る。そして、すぐに決壊し、再び流れ込んでくる。
もう、準備は万端だ。
「来やがれ!全てを知ってやる!」
そうして俺は、世界を知った。
そう。世界において、いいや。
「……明らかに食い違ってやがるな。俺の知る記憶と。」
幻想入りした日、あの日の記憶が、世界の内容と食い違っているのだ。
記憶の中で、俺は
しかし、
世界の記憶では、
俺は、
「……どうやら、やってくれた奴がいるらしいな。」
まだ、終わっていなかったのだ。あの日、俺の世界のゴタゴタは。
はい。シーズン2、プロローグでございます!
白狼が幻想入りした日、そしてその前日。そこが、彼が改竄された記憶です。果たして彼は、真実を掴むことができるのでしょうか。
あの日、俺は狂華を倒した。
あの日、俺は雨の中を一人で帰った。
その日、俺は
その日の学校には、
その日、俺は、幻想入りした。
次回、東方希望録。
fake usual days.
俺は
感想、評価、お待ちしてます!ではでは!