11月10日。
その日から、私の戦いは始まっていたのです。
東方希望録。始まります。
11月10日。朝日狂華が夜月白狼の為にと動き始めた日。私こと昼地灰人は、いつも通り登校していました。察しのいい方ならもうお気づきでしょうが、昼地とは、朝日、夜月と関わりがあります。昼とは朝と夜の間。地とは地球を指し、太陽…日と月の間。まぁ、これだけ言っても漠然としすぎていると思います。
軽く説明すると、朝日と夜月は互いを相手に結婚することは出来ませんでした。〈
両家はもちろん許しませんでした。ならばと、二人は当時の当主であったにもかかわらず、駆け落ちして家庭を築きました。それが、昼地家です。ただの一族…なら、良かったのですが…
「……〈
私の一族は、"使う,,能力を得ました。全てを達人級に扱うことができるようになる絶対使用能力。"創造,,と"破壊,,の狭間にあるモノ。それがこの"使用,,です。
"使う,,モノに制限はありません。触れさえすれば、人であれ、物であれ、"使う,,ことが出来ます。
「かーいとっ。」
「!…何ですか…朝日黒兎。」
私の前に現れたのは、朝日黒兎。朝日狂華の男装した姿で、私以外にはバラしていません。バレているのは
「ちょっと話があるんだ。
彼女は真剣でした。ならば、私も毅然として対応します。
「…わかりました。」
私達の学校では屋上に入ることができません。…本来なら。
「朝日
「もちろん、はい。」
「ありがとうございます。…〈
ヘアピンを受け取り、ドアの鍵を軽くピッキング。
「さっすが灰人。
「受け継いだだけです。さ、早くしましょう。」
「だね。」
私と朝日狂華はそそくさとドアの向こうへ入りました。晴れ渡る空。とても綺麗だったのを、覚えています。
「それで、話とは?」
「…灰人はさ、今の白狼、どう思う?」
やはり、彼のことか、と思いました。朝日狂華は、夜月白狼のことが好きなようです。…いつかの両家のように。
「どう、と言われましても、彼の自業自得だったのでは?」
「そんな言い方!」
「事実でしょう。夜月白狼は一人で抱え込むだけ抱え込み、私達を頼らなかった。だから今の状態ができた。…違いますか?」
「っ…」
彼は、頼られることに飢えていました。しかし、彼の性格、容姿、といったところから、クラスでは軽いいじめを受けていました。私達は親に動くな、と言われていました。助けられるのに。手が届くのに。伸ばすことさえ、許されなかった。
「私は…白狼を助けたい。」
「でもどうするんです?直接手は出せませんよ?」
私の問いに、彼女は笑って、
「"壊す,,の。全部。」
「…本気ですか?
「知らない。でも、これは私が白狼に贈るバースデープレゼント。」
そう言う彼女の顔は、彼がなんと言うのか、明らかに分かっている顔でした。
「…なるほど。で、私にも"壊れて,,もらう、と?」
「バカ言わないで。昼地家は白狼に何もしてないでしょ。」
彼女の根底には、彼がいます。朝日狂華は〈
「昼地家には、別の世界で生きてほしいの。この世界じゃない、どこかで。」
その目には、願いがこもっていました。私には、
夜月、朝日、昼地。この三家で有事の際は守るのです。その柱の一つを無くすつもりなのです。この女は。
「…貴女が、世界中の人を"壊して,,、私達を"壊し,,に来ない保証は?」
「…私、そんなに信用ない?」
「一応私も守る側…
「そう…じゃあ約束。私は灰人とその一族に手は出さない。
灰人も、私の邪魔をしない。これが契約内容。…乗る?」
「…ええ。ああでも、一度だけ、夜月白狼と接触させてください。やっておきたいことがありますので。」
その提案ならばと、私は朝日狂華と契約しました。
互いの不可侵を。…いいえ、共犯を。
全ては、あの優しき少年の為に。
…はい。というわけで、回想、昼地灰人編です。彼は夜月白狼、朝日狂華の親友です。
何も無い日々を送れていたなら、彼らはまだ日常を謳歌出来ていたかも知れません。全ては白狼が能力を見られたことから始まったのです…
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