東方希望録   作:紡ぎ手@異人

76 / 77
これは、私から見た、夜月白狼の誕生日までの1週間、というか、その最初の日。

11月10日。
その日から、私の戦いは始まっていたのです。
東方希望録。始まります。


使用者〜【追想】外の世界〜

11月10日。朝日狂華が夜月白狼の為にと動き始めた日。私こと昼地灰人は、いつも通り登校していました。察しのいい方ならもうお気づきでしょうが、昼地とは、朝日、夜月と関わりがあります。昼とは朝と夜の間。地とは地球を指し、太陽…日と月の間。まぁ、これだけ言っても漠然としすぎていると思います。

軽く説明すると、朝日と夜月は互いを相手に結婚することは出来ませんでした。〈能力(ちから)〉が消える可能性があったからです。しかし、私達三人よりもずっと前の代において、互いが惹かれあってしまいました。

両家はもちろん許しませんでした。ならばと、二人は当時の当主であったにもかかわらず、駆け落ちして家庭を築きました。それが、昼地家です。ただの一族…なら、良かったのですが…

「……〈"使用,,(ユーズ)〉。」

私の一族は、"使う,,能力を得ました。全てを達人級に扱うことができるようになる絶対使用能力。"創造,,と"破壊,,の狭間にあるモノ。それがこの"使用,,です。

"使う,,モノに制限はありません。触れさえすれば、人であれ、物であれ、"使う,,ことが出来ます。

「かーいとっ。」

「!…何ですか…朝日黒兎。」

私の前に現れたのは、朝日黒兎。朝日狂華の男装した姿で、私以外にはバラしていません。バレているのは()にのみのようですが。

「ちょっと話があるんだ。()()として。」

彼女は真剣でした。ならば、私も毅然として対応します。

「…わかりました。」

私達の学校では屋上に入ることができません。…本来なら。

「朝日()()。ヘアピンはありますか?」

「もちろん、はい。」

「ありがとうございます。…〈"使用,,(ユーズ)〉。」

ヘアピンを受け取り、ドアの鍵を軽くピッキング。

「さっすが灰人。

「受け継いだだけです。さ、早くしましょう。」

「だね。」

私と朝日狂華はそそくさとドアの向こうへ入りました。晴れ渡る空。とても綺麗だったのを、覚えています。

 

 

 

 

 

 

 

「それで、話とは?」

「…灰人はさ、今の白狼、どう思う?」

やはり、彼のことか、と思いました。朝日狂華は、夜月白狼のことが好きなようです。…いつかの両家のように。

「どう、と言われましても、彼の自業自得だったのでは?」

「そんな言い方!」

「事実でしょう。夜月白狼は一人で抱え込むだけ抱え込み、私達を頼らなかった。だから今の状態ができた。…違いますか?」

「っ…」

彼は、頼られることに飢えていました。しかし、彼の性格、容姿、といったところから、クラスでは軽いいじめを受けていました。私達は親に動くな、と言われていました。助けられるのに。手が届くのに。伸ばすことさえ、許されなかった。

「私は…白狼を助けたい。」

「でもどうするんです?直接手は出せませんよ?」

私の問いに、彼女は笑って、

「"壊す,,の。全部。」

「…本気ですか?()がそれを望むとでも?」

「知らない。でも、これは私が白狼に贈るバースデープレゼント。」

そう言う彼女の顔は、彼がなんと言うのか、明らかに分かっている顔でした。

「…なるほど。で、私にも"壊れて,,もらう、と?」

「バカ言わないで。昼地家は白狼に何もしてないでしょ。」

彼女の根底には、彼がいます。朝日狂華は〈(夜月白狼)〉の為になら、狂いもする、そういう人でした。

「昼地家には、別の世界で生きてほしいの。この世界じゃない、どこかで。」

その目には、願いがこもっていました。私には、()を食い物にした世界に興味なんてありませんでした。しかし、昼地家として、となれば話は別です。

夜月、朝日、昼地。この三家で有事の際は守るのです。その柱の一つを無くすつもりなのです。この女は。

「…貴女が、世界中の人を"壊して,,、私達を"壊し,,に来ない保証は?」

「…私、そんなに信用ない?」

「一応私も守る側…()()()からね。」

「そう…じゃあ約束。私は灰人とその一族に手は出さない。

灰人も、私の邪魔をしない。これが契約内容。…乗る?」

「…ええ。ああでも、一度だけ、夜月白狼と接触させてください。やっておきたいことがありますので。」

その提案ならばと、私は朝日狂華と契約しました。

互いの不可侵を。…いいえ、共犯を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全ては、あの優しき少年の為に。




…はい。というわけで、回想、昼地灰人編です。彼は夜月白狼、朝日狂華の親友です。
何も無い日々を送れていたなら、彼らはまだ日常を謳歌出来ていたかも知れません。全ては白狼が能力を見られたことから始まったのです…



感想、評価、お待ちしてます!ではでは!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。