問題児と大地母神の夫が異世界から来るそうですよ?   作:らんらんタワー

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第二話

 

 

「ちょっと待てよ・・・。もし俺とキュベレの契約が切れたりしたら・・・・」

 

望んでいないにしろ召喚されてしまった衛は、上空四千㍍という高さから現在進行形で落下しているというのに、その事は別に気にかけず自身の最愛の人物である大地母神であるキュベレとの契約について危ぶんでいた。

それもそうだろう。衛がキュベレと交わした契約は、表向きには大地母神の加護を受けるといったものだが、本人たちしか知らない裏ではキュベレの加護と大地母神の力および彼女が崇拝されてきた小アジアの信者からくる信仰心を衛は自身の力に変換することができ、逆にキュベレは神殺しである衛が今まで殺害してきた神の権能を、一部ながらも使用することが可能で、まつろわぬ神として降臨した自分が神殺しと一緒にいることで他の神殺しと戦闘しても生き残ることができるからだ。

もちろんこの契約は互いに恩恵を受けることができるだけのものとされていると始めに言ったが、実際は衛とキュベレが夫妻としてあることを証明することにもなり、互いが離れ離れになってしまってもちゃんとした儀式を通じて召喚を行えば呼び出せることができるのだ。

 

それとこんな思考をしていることで衛は気付いていないが、自身の真下に湖がありこの落下コースなら湖にシュートッ!されてしまうのを防ぐため権能を使用するはずが、衛は自分がいなくなったことによってキュベレが狙われてしまうことを危視してこれからどうするかの考えで頭がいっぱいになっていた。

 

その結果・・・・・・、

 

「きゃ!」

 

「わっ!」

 

「ん?なんだk・・・・」

 

ボチャンと音を立てて、緩衝材のような薄い水膜を幾重にも通って湖に落ちた。

そこで衛は一旦頭の中が整理されて、自分が召喚されて湖に落ちたことに気付き、更に自分以外にも召喚されて湖に打ち込まれた哀れな三人+αにも気付いた。

髪の短い少女は一緒に着水した猫を急いで抱きかかえて、後の二人はもう岸に上がっているようであった。

衛はこのような非日常で起こりそうな事には元の世界でカンピオーネとして様々な厄介ごとに巻き込まれてきたことによって、大体のことでは動じないような精神に成長していたが今は気分が悪い、何故なら彼はあまり水を好まない。主にゼウスの兄の所為で。

なので大急ぎで衛は湖から上がって、女神ニンリルを妻に持つメソポタミアの風と嵐の神とされるエンリル神より簒奪せし権能を使用して風を起こし、何食わぬ顔で服を乾かす。といっても元より着ていた野戦服は防水性に優れていたので言うほど濡れていなかったが。

ちなみにヘルメットにだけは障壁を張っていたので水は浸入していなかった。(どうしてって話になるとまた長くなるから今回はパスで)

それに加えて、衛以外の少年少女も決して機嫌が良いわけではなかった。それぞれ文句を言いながら服の端を絞っていた。

 

「し、信じられないわ!まさか問答無用で引き摺りこんだ挙句、空に放り出すなんて!」

 

「右に同じだクソッタレ。場合によっちゃその場でゲームオーバーだぜコレ。石の中に呼び出された方がまだ親切だ」

 

「・・・・・・・。いえ、石の中に呼び出されては動けないでしょう?」

 

「俺は問題ない」

 

「そう。身勝手ね」

 

軽口の応酬を終えた二人とも鼻をフンと鳴らして、服を絞り続ける。それに倣って猫を抱いていた少女も岸に上がってから服を絞る。猫は体を震わせて水を弾いていた。

 

「此処・・・・・どこだろう?」

 

「さあな。まあ、世界の果てっぽいものが見えたし、どこぞの大亀の背中じゃねえか?」

 

「そりゃ古代インドの人々の宇宙の考え方・・・だったっけ?」

 

「へぇ、変なヘルメット被ってる割にはこんな事も知ってるんだな」

 

「当然、こういう知識も重要な情報だからな。それと変なヘルメット言うな」

 

短髪の少女が呟いたことに問題児っぽい少年が答え、それに衛がどうでもいいような知識を付け加える。

そんな会話の後に、少年は服を絞り終えたのか自身の髪を掻きあげて、

 

「まず間違いないだろうけど、一応確認しとくぞ。もしかしてお前達にも変な手紙が?」

 

「そうだけど、まずはオマエって呼び方を訂正して。私は久遠飛鳥よ。以後は気を付けて。それで、そこの猫を抱きかかえている貴女は?」

 

「・・・・・春日部耀。以下同文」

 

「そう。よろしく春日部さん。次に、野蛮で凶暴そうなそこの貴方は?」

 

「高圧的な自己紹介をありがとよ。見たまんま野蛮で凶暴そうな逆廻十六夜です。粗野で凶悪で快楽主義と三拍子そろった駄目人間なので、用法と用量を守った上で適切な態度で接してくれお嬢様」

 

「そう。取扱説明書をくれたら考えてあげるわ、十六夜君」

 

「ハハ、マジかよ。今度作っとくから覚悟しとけ、お嬢様」

 

「それと最後に、変てこなヘルメットの様な物を被っている軍人みたいな貴方は?」

 

「だから変なヘルメットと言うなって・・・・、まあいい。俺は神妻衛だ。よろしく」

 

「此方こそよろしく、衛さん」

 

といった感じに軽く自己紹介を四人はしていたが、衛はヘルメットに搭載されている「熱線暗視装置」と心臓の鼓動音を音紋として視覚化する「聴診透視装置」(開発者命名)によって木陰に隠れていると思われる人型の生物を捕捉していた。

無論そんなものを使わなくともまつろわぬ神との戦いでは人智を超えた戦いになるのであの程度の隠密ではすぐに見破れる。なので危険視するべき対象ではないと判断し、いちをの確認として機能を使った。

元の世界に早く帰らなければいけないという思いを強めながら。

 

心からケラケラ笑う逆廻十六夜。

 

傲慢そうに顔を背ける久遠飛鳥。

 

我関せず無関心を装う春日部耀。

 

内心相当焦っている神妻衛。

 

そんな四人を見ていた黒ウサギは思う。

 

(うわぁ・・・・なんか問題児ばっかりみたいですねえ・・・・。それとなんかヘルメットを被っている殿方がこちらをチラッと見た気が・・・)

 

召喚した側なのに、このメンバーが協力している姿を想像できない黒ウサギはため息を吐いていた。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

十六夜は苛立たしげに言う。

 

「で、呼び出されたはいいけどなんで誰もいねえんだよ。この状況だと、招待状に書かれていた箱庭とかいうものの説明をする人間が現れるもんじゃねえのか?」

 

「そうね、なんの説明もないままでは動きようがないもの」

 

「・・・・・・この状況に対して落ち着きすぎているのもどうかと思うけど」

 

「こうゆう事には慣れてるんじゃないか?かくゆう俺もそうなんだが」

 

衛がまた付け足した所で、十六夜がため息混じりに呟いた。

 

「―――――――――仕方ねえな。こうなったら、そこに隠れている奴にでも話を聞くか?」

 

木陰に隠れていた黒ウサギは心臓をガシッと掴まれた様に飛び跳ね、四人の視線が黒ウサギに集まる。

 

「なんだ、貴方も気づいていたの?」

 

「当然。かくれんぼじゃ負けなしだぜ?そっちの二人も気づいてたんだろ?」

 

「風上に立たれたら嫌でもわかる」

 

「あれくらいは隠れているとは言わない。せめて放出される熱量を抑えることくらいしないとな、さすがに心臓の鼓動音まで消すのは無理かもしれないが」

 

「・・・・・へぇ?面白いなお前ら」

 

軽薄そうに笑う十六夜の目は笑っていない。四人は殺気の籠った冷ややかな視線を黒ウサギに向ける。

 

「や、やだなあ御四人様。そんな狼みたいに怖い顔で見られると黒ウサギは死んじゃいますよ?ええ、ええ、古来より孤独と狼はウサギの天敵でございます。そんな黒ウサギの脆弱な心臓に免じてここは一つ穏便に御話を聞いていただけたら嬉しいでございますヨ?」

 

「断る」

 

「却下」

 

「お断りします」

 

「元の世界に帰してくれるなら、考えてやってもいい」

 

「あっは、取りつくシマもないですね♪と言うか最後の殿方いきなり帰りたい宣言!?」

 

バンザーイ、と降参のポーズをとりながら黒ウサギは衛の交渉に食って掛かる。四人の値踏みをしながら。

 

(肝っ玉は及第点。この状況でNOと言える勝気は買いです。まあ約一名NOどころではない対価交換のような交渉でしたが。扱いにくいのは難点ですね)

 

黒ウサギはおどけつつも、四人にどう接するべきか冷静に考えを張り巡らせていると、春日部耀が不思議そうに黒ウサギの隣立ち、黒いウサ耳を根っこから鷲掴みにし。

 

「えい」

 

「フギャ!」

 

力いっぱい引っ張った。

 

「ちょ、ちょっとお待ちを!触るまでなら黙って受け入れますが、初対面で遠慮無用に黒ウサギの素敵耳を引き抜きにかかるとは、どういう了見ですか!?」

 

「好奇心の為せる業」

 

「自由にも程があります!」

 

「へえ?このウサ耳って本物なのか?」

 

十六夜が片方の耳を掴む。

 

「・・・・・・。じゃあ私も」

 

「はぁ・・・、ほどほどにしてやれよ」

 

「ちょ、ちょっと待っ――――――――――」

 

今度はもう片方の耳を飛鳥が。そして左右から力いっぱい耳を引っ張られた黒ウサギは言葉にならない悲鳴を上げた。その様子を傍観しながら衛は掠れていた印を見ながらこれから起こるであろう事を考えていた。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「―――――――あ、あり得ない。あり得ないのですよ。まさか話を聞いてもらうために小一時間も消費してしまうとは。学級崩壊とはきっとこのような状況を言うに違いないのデス」

 

「いいからさっさと進めろ」

 

十六夜の容赦ない言葉に半ば本気の涙を浮かばせながらも、気を取り直しこほんっ、と咳払いをして、

 

「それではいいですか、御四人様。定例分で言いますよ? 言いますよ? さあ―――――――――

 

 

ここからは少し長いので簡単に纏めさせてもらおう。

 

・ここは箱庭と言って、人外魔境共が生活する為の場所

 

・”コミュニティ”なるものに属さなければいけない

 

・色々なゲームがあり、ギフトと言うものを含めたモノを賭けたり逆に手に入れることもできる

 

・箱庭のルールはギフトゲームだとも言えるが、禁止事項もあるとのこと

 

 

といった所かな。俺を元の世界に戻すことが出来る奴がいたらそのギフトゲームって奴で勝てば帰してくれるみたいな感じにもできるということか。

 

「さて、皆さんの召喚を依頼した黒ウサギには、箱庭の世界における全ての質問に答える義務がございます。が、それらを全て語るには少々お時間がかかるでしょう。新たな同士候補である皆さんをいつまでも野外に出しておくのは忍びない。ここから先は我らのコミュニティでお話させていただきないのですが.....よろしいですか?」

 

「待てよ。まだ俺が質問してないだろ」

 

黒ウサギが話を進めようとするが、十六夜がそれに異議を唱える。

 

「・・・・どういった質問でしょうか? ルールですか? ゲームそのものですか?」

 

「そんなのはどうでもいい.....。腹の底からどうでもいいぜ、黒ウサギ。ここでお前に向かってルールを問いただしたところで何かが変わるわけじゃねえんだ。世界のルールを変えようとするのは革命家の仕事であって、プレイヤーの仕事じゃねえ。俺が聞きたいのは、ただひとつ。あの手紙に書いてあったことだけだ」

 

十六夜が不敵に笑いながら言った。

 

「この世界は・・・・面白いか?」

 

『家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨てて箱庭に来い』と、彼らの手紙には書かれていた。これほどのことを書いてありながら面白くないと言うのは許されることではないのだ。

もちろん衛は本人の意思でここに来たわけではないのでそれこそどうでもよさそうであった。

 

「YES。『ギフトゲーム』は人を超えたものたちだけが参加できる神魔の遊戯。箱庭の世界は外界より格段に面白いと、黒ウサギは保証いたします♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




主人公のヘルメットイメージ➔https://www.mamegyorai.co.jp/images/items/130821-w300.jpg
なおレーザーサイトは除かれています。その他の点も主人公用にカスタマイズされています。

うん、前回より変わっているところが無い。文がねぇ・・・?

まあええわ。
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