問題児と大地母神の夫が異世界から来るそうですよ?   作:らんらんタワー

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第三話

 

 

 

「はぁ・・・・」

 

ルンルンと気分よくスキップしながら先頭を歩いている黒ウサギを見ながら深いため息を吐く衛。

実は十六夜の質問の後に、衛は元の世界に帰るにはどうすればいいと聞いたが黒ウサギは帰り方をしたないみたく、更に帰したくないと来た。

そんなこんなで、そこまでして俺を帰したくない黒ウサギに衛は他の三人には聞かれないようにして黒ウサギにこの事について深くは追求しないことで、特別に後で儀式に最適な場所を探してもらうことにした。

儀式?そりゃ、俺の大切な唯一の家族であり最愛の人物であるキュベレをこちらに呼び出すためだ。

印が掠れている事が召喚に支障を来たすかも知れないが、やってみなければ分からないこともある。

なので元の世界に戻れる方法を模索しながら、黒ウサギのコミュニティにお世話になる。

この流れだとずっと黒ウサギのコミュニティにいることになりそうで怖いが。

 

「なあ衛。さっきから不機嫌そうだが元の世界に帰れないのがそんなに嫌か?」

 

「だから年上には敬語を使えと何度・・・・、いやもうどうでもよくなってきた」

 

「で、そんなに嫌かってそりゃあ嫌さ。なんてたって俺の意志で来た訳じゃないしな」

 

「へぇ、あんたの雰囲気と服装から察するに元の世界では傭兵か何かだったのか?あまり人と関わらなさそうだったし」

 

「傭兵・・・と言えば違うな。これは俺の普段着って言えるが、誰かに雇われて行動はしないな。むしろ色んな組織に依頼することのほうが多かったな。それに元の世界には残してきちまったのが何人かいるからな。確かに忙しなくて、危険と隣り合わせなところだったが愛着も少しはあったからとでも言っておこうか」

 

十六夜が話しかけてきたので、こちらも思考を一旦切り替えて応じる。

しかしこいつはやはり敬語を使わない、何度も注意しているのだが一向に直る気配が無い。それほど元の世界ではまともな扱いを受けて来なかったのだろう。

・・・・俺にも子供ができたらこう育たないようにしなければな。

 

「それでよ、世界の果てを見に行かないか?」

 

「世界の果てだ?それって俺たちが落ちている時に見えたって奴か?」

 

「ああ、そうだ」

 

「別に見に行くだけなら黒ウサギが心労で倒れることも無いだろうし・・・・。わかった行こう」

 

「お、本当か?それじゃあそっちの二人はどうするよ」

 

「私は遠慮しておくわ。あまり数が少なくなるとと黒ウサギに気づかれそうだもの」

 

「私もいい」

 

「OK、わかった。それじゃあ行くぞ衛」

 

直後、十六夜と衛は常人では出せない速度で駆け出した。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「ジン坊っちゃーン!新しい方を連れてきましたよー!」

 

黒ウサギが世界の果てまで駆け出したことを知らずに意気揚々としながら、外門前の街道を通って少しのところにある箱庭の外壁と内側を繋ぐ階段にいた少年に大きな声で呼びかける。

 

「お帰り、黒ウサギ。そちらの女性二人が?」

 

「はいな、こちらの御四人様が――――――――」

 

クルリと振り返りそのままカチンと固まる黒ウサギ

 

「・・・・え、あれ?もう二人いませんでしたっけ?ちょっと目つきが悪くて、かなり口が悪くて、全身から”俺問題児!”ってオーラを放っている殿方と、軍人のような格好で奇妙なヘルメットを被っていた常識人と思える殿方が」

 

「ああ、十六夜君と衛さんのこと?あの二人なら”ちょっと世界の果てを見てくるぜ!”とか言って駆け出して行ったわ。あっちの方に」

 

飛鳥があっちの方に。と指差す先は上空四千㍍から見えた断崖絶壁。そのことを聞いて呆然となった黒ウサギは、ウサ耳を逆立てて二人に問いただす。

 

「な、なんで止めてくれなかったんですか!」

 

「”止めてくれるなよ”と言われたもの」

 

「ならどうして黒ウサギに教えてくれなかったのですか⁉︎」

 

「”黒ウサギには言うなよ”と言われたから」

 

「嘘です、絶対嘘です!実は面倒くさかっただけでしょう御二人さん!」

 

「「うん」」

 

ガクリ、と前のめりに倒れる黒ウサギ。壊滅寸前のコミュニティ復活のために呼んだ期待の人材がこうも問題児揃いだと嫌がらせのように感じるであろう。

 

「はぁ・・・、唯一の黒ウサギを心労から救ってくれると思っていた常識人の衛さんも成りを潜めていただけなんですね・・・」

 

黒ウサギは冒頭の衛のように深いため息を吐いてから、体を震わせて、

 

「あ、あの問題児様方はーーーーーーーーーーッ!!」

 

黒ウサギの悲痛な叫びが街道に響き渡った。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

時は変わって駆け出した後の衛。彼は今非常に大人として恥ずべき状況に置かれていた。

何故なら・・・・・、

 

「しまった・・・・、十六夜とはぐれただけでなく道に迷うとは」

 

絶賛迷子中であった。

 

「くそっ、久しぶりに全力でぶっ飛ばしたら十六夜がいなくなってるし、さすがにエンリルの権能で早めすぎたか」

 

木々の鬱蒼とした森の中を歩きながら悪態を吐く。

彼としては余裕をかましているつもりなんだろうが、ヘルメット越しにでも焦っていることが分かる。

しかしそんな彼は、少し開けた場所に出た。

 

「ん?なんだここ。こんな森の中に開けた場所があるって怪しいというか何が起こるかわからんから気味が悪い」

 

それは今までカンピオーネとして問題ごとに巻き込まれてきた経験からなのか、人としての本能がそう告げているかは知るよしも無い。

だが彼が「気味が悪い」と口から発してからすぐに彼は、中心に佇んでいた一際大きな樹木の元に駆け寄っていた。

なんとそこには血まみれで、真っ黒な体毛が紅く染まって倒れている犬がいたのだから。

 

「ちっ、迷った挙句こんなことになるなんて聞いてねえぞ」

 

衛が犬に近づくと犬は力を振り絞って精一杯威嚇をするが、衛はそれを気にも留めず犬に近寄り、鎮静剤を打ってからベルトキットからメディカルキットを取り出して応急措置を施す。

幸い出血が酷かったものの命に別状は無く、出血を止めてからキュベレの加護を付加したポーションを飲ませてしばらく寝かしたことにより立ち上がれる程度まで回復したようだ。

 

「ワンッ!!」

 

「ははっ、元気になってよかったな。しっかしあんな状態までなるってことは狩りでも失敗したのか?」

 

「ワフっ」

 

「ったく、俺は犬語なんぞ分からんぞ。キュベレがいれば違ったかもしれないが」

 

今元気よく咆えて俺と会話のようなことをしているさっきの犬は、必死に何か俺に伝えようとしているが、生憎俺は大地母神の加護を受けているといっても動物とは話せない。無論大地母神であるキュベレなら普通に犬語を理解してただろうが。

 

「それにしてもお前、ケルベロスの野郎に似てるな。親しい仲の奴に接している時のアイツとそっくりだ、尻尾の振り方といい」

 

「ワンワン!」

 

「ん?俺はこれから箱庭に行くためにまた一人悲しくこの森の出口を迷いながら探さないといけないんだが」

 

「ワンッ!」

 

「ふむふむ、その感じだと俺も付いて行くみたいな感じだが、いいのか?」

 

「ワフッ」

 

「OKOK、じゃあ付いて来な。出口が見つかるか分からんが」

 

▼ 衛は一匹、話し相手を見つけた

 

 

 

 

しばらくたって・・・・・

 

 

 

 

「ああ~くそぅ・・・・。いつまで歩いても木、木、木。嫌になるぜ」

 

まだ衛は森をさ迷っていた。このまま森に現れるさ迷う軍人のようになってしまうのだろうか。

 

「うし、今度は東に行ってみるか」

 

彼は深呼吸してから、腰掛けていた岩から立ち上がり歩き出す。

 

「森を出るなら西のほうに行かないと出れませんよ」

 

「西ぃ?西ならさっき行った・・・・は・・・ず・・・・・」

 

「?どうしたんですか?いきなり硬直して」

 

「はっ?え?ちょ、いやお嬢ちゃん誰よ」

 

衛は振り返っていきなり後ろから森の出口の方角を教えてきた高校生くらいの少女に驚く。

これは誰が見てもヘルメット外したらアホ面晒しますわ。

 

「私ですか?しっかりしてくださいマイマスター。私は先ほどの犬ですよ」

 

「へ?マイマスターって、先ほどの犬って・・・まじで?」

 

「はい、私先ほどあなた様に助けて頂いたサラトガと呼ばれる者です」

 

「ほえ~、犬って人間になれるのか。・・・いやこの世界だけかも知れん」

 

「まあ・・・、普通は人間に成れませんからね」

 

さらさらとした絹のようでありながら無造作に伸ばされた漆黒の髪と力を強くしたら簡単に折れてしまいそうなほどの可憐な体に獣のような耳と尻尾があり、古代の狩人のような服を着ている粗野な女性に見えるサラトガと言った少女は、男なら惚れてしまいそうなほどのとびきりの笑顔で衛をマイマスターと呼んで、彼の手を引いて進んでいく。

そして当の本人である衛は、この状況に早くも対応しており、彼女に引かれる手を離す事を彼女が渋々了承したので彼女の後を付いて行って出口を目指す。

 

「なあサラトガ、その俺をマイマスターと呼ぶのをやめてくれないか?どうもその呼び方は好きになれない」

 

「むっ、それは了承したくありませんが、マイマスターの頼みならば変えましょう。それでは名前を教えてくださいませんか」

 

「そういや自己紹介してなかったな。俺の名は神妻衛だ。神様の神と夫妻の妻に、衛生の衛だ。それとこのヘルメットについては何も聞かないでくれ」

 

「分かりました。では衛様と呼ばせていただきます」

 

「結局様は付けるんだな。というより何時から俺はサラトガの上に立つ存在に・・・?」

 

「そんなことは簡単ですよ。だって衛様はあの死に絶えそうだった私を救ってくださっとのですから」

 

サラトガは顔を赤くしながら、少々頼りない胸を揺らして尻尾をぶんぶんと振る。

 

「ん、そろそろ森を出れますね。それと箱庭に行くなら森を出てからそのまま北に行けば着くのですが、衛様だけだと不安なので私もお供させてもらいます」

 

「おお、ようやくこの木だけの景色から抜け出せるんだな。最後に俺だけだと不安ってどうゆうことだ」

 

「やだなぁ衛様。言ったとおりですよ?この森に入り込んでしまう時点で色々抜けてるので」

 

「それはどうゆうことだ?」

 

「えっ?知らないんですか、この森は立ち入り禁止の場所なんですよ」

 

「はっ?嘘だろおい」

 

「本当ですって、主にこの森のトップとも言えるサイクロプスの所為ですね」

 

「サイクロプスって・・・、ああキュクロープスのことか」

 

キュクロープス・・・・サイクロプスというのは英語による呼び名で、ここから2次創作などに派生したものが多い。ゼウス、ポセイドン、ハデスの三神によってウラノスに拘禁されていたところを解放された事でその三神のためにそれぞれ雷霆、三叉の銛、隠れ兜を造った。

ただ叙事詩によっては旅人を喰らうだけの粗暴な怪物になっている。

 

「もしかしてサラトガも単眼野郎(キュクロープス)にやられたのか?」

 

「はい、挙句の果てに私の獲物まで奪って行きましたから。次会ったら必ず殺す・・・」

 

親の敵を見るような眼で森を睨みながら、恨めしそうに単眼野郎(キュクロープス)に対する呪詛をブツブツと唱えているサラトガにしばらく衛は話しかけれなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回はここまでじゃ。ちょやめて出荷しないで(´・ω・`)
できることならすぐに次の話を投稿できるようにしたい。流れが重要☚ここ重要
オリキャラについては別な機会で・・・・。









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