『人の心を読める少年』はどう生きるべきだったのか。
自分の知ってはならない、相手の心まで読めてしまう彼は
人間の汚さに気づいていく。

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ケッペキショウ

僕は物心ついた時から他人の心を読むことができた。

特殊能力、チカラ、アビリティ

こんな言い方をすると、とても良いものの様に聞こえる。

そう思うならキミがそうなってくれればいい。

 

「お前も一緒に遊びにいくか?」

クラスメイトが友達を遊びに誘っている。

良く見る構図だ。

普通の人ならこの光景を微笑ましく感じるだろう。

遊びに誘ってあげる優しいクラスメイトとその友達。

光景としては素晴らしい絵なのだろう。

が、僕には光景では分からない『心』が見える。 見えてしまう。

クラスメイトはゲームをする気らしい。

対戦型の·····格闘ゲームだろうか。

しばらく心を探るとクラスメイトの本音が見えた。

『お前はボコられる役なんだよ そうするために誘ってやってるんだ』

自分よりそのゲームの上手くない友達をあえて誘っているらしい

やはり人間は汚い。

 

こんな光景を毎日見続けた僕は、他人を信じるどころか接する事さえ苦手になっていった。

僕はこのまま、キレイな、純粋なままで生きていけるのだろうか。

そんな疑問を日々繰り返していた。

 

勉強は人並み以上には出来た。

周囲の人の心を読むことでカンニングすることもできた。

でも僕はそれをしない。 汚くなりたくなかったから。

 

僕が中学3年生のころだっただろうか。

唯一自分えお理解してくれていた祖父が死んだ。

葬式で、祖父の顔を見て、素直に涙を流した。

もう会えない祖父。 この世は無常なのであり、非情なのだと悟った。

その葬式に集まった人達も、素直に涙を流しているように"見えた"。

僕は父親を見て、軽蔑した。

『兄に金を相続させて自分は家を貰おうか でも金の方が価値があるのか?』

そんな事を繰り返し問答していた父親がそこにはいた。

死んだ祖父より生きた金が恋しいのか。

そんなに金が大事か、と。

 

こんな能力を得てしまうなら感情なんて要らなかった。

感情が僕の心を苦しめ、汚していく。

一度汚れた心はもう二度と戻らない。

 

人間は求めすぎなのかもしれない。

幸せな生活や、富、········· どうも人類はもう手遅れだったらしい。

 

『目は口程に物を言う』 とはよく言ったものだ。

口で言うことなんて信用ならない。

結局は都合を押し合わせていくのが人間なのだから。

 

こんな世界で生きていく事が僕の一生なのなら、

もう終わらせてしまっても構わないんじゃないか。

僕は家を出て、近場のビルへと忍び込み、屋上へと出た。

空は夕暮れに赤く染まっている。

空までもが、他のものに染められて変わっていくのか。

そして僕は屋上のフェンスを飛び越えた。


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