俺は、人は「飛ぶ」事はできないが、「跳ぶ」事はできると知った。
だから「跳ぶ」大剣を担いで・・・
※こんな感じでMHXのエリアル大剣の第一人者の話を書いてみました。
初投稿です。いろいろと至らないかと思いますが、感想よろしくお願いします。
俺は空に憧れていた。
でも、人は空を「飛べない」とも知った。
そんな俺が「操虫棍」に出会った。そいつは空を「跳び」、ホロロホルルを墜としたのだ。そして俺は、人は「飛ぶ」事はできないが、「跳ぶ」事はできると知った。
でも、不器用な俺には「操虫棍」が使いこなせなかった。いや、「大剣」以外の武器が自分に合わなかったといったほうが正しい。
世間的には上位ハンターなんて呼ばれるようになってだいぶ経つ、冗談でも「そろそろG級に挑戦か」なんて持て囃されるようになった。
それでも、空を忘れられなかった。
だから、例え「大剣」であっても「跳べる」と、「操虫棍」に負けないんだぞ、と勝手に思った。
それからの俺は、「跳ぶ」にはどうするべきか、どうやれば「跳べる」のか、寝る間も惜しんで考えていた。
もちろん、世間からはおかしいやつと思われた。「モンスターに頭をやられたに違いない、でなけりゃ大剣担いでぴょんぴょん跳ね回ったりしない。」なんて言われたりもした。
弁解するとすれば、まだ、跳び方が試行錯誤中であり、不格好で無様だったのも、理由の一つだと思う。
・・・それだけではないだろうが。
集会所に入ると、他のハンターから目を逸らされることが多くなり、下手に強力なモンスターと戦って死んでしまっては意味がないから普段のランクよりも幾分低いクエストばかりこなしていると、ギルドからも見離された。それどころか、やっと一人前になった駆け出しハンター達からは、自分達の依頼を奪っていく迷惑な奴だと、さらに周りから人が去っていた。
もちろん何も思わなかった訳ではない。むしろ今までは、上位でも指折りで、周りからの期待も大きかったから、その寂寥感は言葉では言い表せないほどだった。
それでも、空を諦めたくなかった。
まず、回避をただ転がるではなく、空中で回るように、武器出し攻撃を足に力を込め跳び上がるように。
でも、まだ空には届かない、これでは跳ね回っているだけだ、ここに来て壁にぶつかった。
「跳ぶ」イメージが思い浮かばなかったのだ。
そんな時、片手剣使いの昔からの友人で、今では数少ない狩り仲間が、狩りに誘ってくれた。
とてもありがたかった。このままでは、負の感情に潰されてしまいそうだったのだ。
受けたクエストは、最近のクエストに比べ、だいぶ難しいクエストだった。それこそ最盛期の俺でも、準備を怠ったらすぐ死んでしまうほどで、隣を歩く友人から
「変なことすんのはもうやめろ。」
「空なんか跳べるわけがない、諦めろ。」
そんな無言の言葉が聞こえた気がした。
でも、それは違った。
集会所に入った時、隣を歩く友人が「少し待ってくれ、実はもうひとり今日は付き合ってくれるハンターがいるんだ。」と言って連れてきたのは、「操虫棍」使いのハンターだった。そう、俺が跳ぶ事を知った時の、あの「操虫棍」の、あの時のハンターだった。
「空に憧れているんだろ。」
そう言ってカウンターへ向かう友人背中は、
「そんなビビってちゃ、先に進めないだろ。」
「死なねぇ様俺達が守ってやる、存分にやりたい事やってみろ。」
そう言っていた。
クエストの内容はリオレウスの討伐だった。
初めての討伐ではない、しかし手が抜ける相手ではもちろんなかった。
リオレウスが大空を飛び回る中、片手剣が駆け、操虫棍が跳び、大剣を振った。
最近では、全くといっていいほど感じていなかった、恐怖心、危機感、高揚感、様々な感情が懐かしく、それでいて新鮮だった。
それに普通に大剣を振るのも久しぶりだったから、この、地に足付いたガツンという手応えに、たまらなく感動した。そしてこの溜め切りの一振りに込められたロマンを思い出した。そう大剣には溜め切りがある。
この境地にたどり着いたとき自分が感じたのは、もどかしさと物足りなさだった。ここに来て空へのあこがれが、渇望が姿を現したのである。ただ「跳ぶ」ではない、大剣の華である溜め切りを如何に当てるか、イメージが見えてきた。でもまだ足りない、何かが足りない。
そんな時だ、思考に囚われていた俺は気がつかなかった。リオレウスが天高く俺を睨みつけていたのだ。スロウモーションに爪が迫ってくる、避けられない、諦めかけたその時、横からすごい勢いで跳んできた、操虫棍だ。バランスを崩しながらも飛んで逃げるリオレウスだが、そこへ崖を駆け上がりながらの片手剣の一撃、尻尾を掠めた。その時、閃いた、最後のピースが見つかったのだ。
リオレウスが、もう怒ったぞ、と言わんばかりの飛びながらの咆哮だ、並みのハンターであれば身もすくむほどの威圧だが、今の俺にはなんてことない、この高揚感に身を任せ、一心に駆け抜ける、目指すは尻尾の付け根、やることはひとつ溜め切りだ。尻尾にたどり着き、片手剣で崖を駆け上がるよう尻尾へ跳躍、そして操虫棍が跳び上がるように、思いっきり尻尾を踏みつけた、そしてもう一度、今度はもっと高く「跳ぶ」。ついに、空の王者の上を取った。俺は空を「跳んだ」のだ。そして当てる、渾身の一振りを、空の王者は地に墜ちた。
最高の狩りだった。
人生で一番の狩りだ。
俺たちが集会所に戻ったのは、日が落ちる頃だったから、そのまま三人で朝まで飲み明かした。
その後、俺は今までのように、いや今まで以上に精力的に狩りに出かけた。楽しかったのだ、新しい大剣の境地が。すると、いつの間にか俺の狩り方がギルドに認められて、「エリアルスタイル」なんて大層な名前で呼ばれていた。
「―――だからジンオウガが超帯電状態だろうが、アグナコトルが溶岩まとっていようが気にするな、跳べ。」
「さすが師匠、エリアルスタイルの第一人者は言うことが違いますね。」
こいつは、双剣使いの弟子だ。こいつも俺と同じく空に憧れている。だから俺は師匠として跳び方を教え、いずれは、こいつなりの新しい跳び方を見せてくれると信じている。
「それで、今日はどんなクエスト受注したんですか。」
「火の国が、また襲われているらしい。」
「またですか。」
だから俺は、こいつに自重するつもりは無かった。
初めまして、山トマトと申します。
今まで、読み専でしたが、この度デビューしてみました。
MHXのエリアル大剣が楽しくてつい、書いてしまいました。
楽しんでいただけたでしょうか。
ぜひ、感想いただけると嬉しいです。