燃えていく。
村が人が家が
嗚呼何で・・・なんて尊いんだろう
「アイツと・・・紫と作り上げた世界が幻想郷が」
地に倒れ伏す、されど男は足掻き前に進む、その体の四肢を無くそうとも。
地に、大きなキャンパスに血を塗りたくりながら。
それは一人の男の生き様でもあった。
苦悩、怨み、悲しみ、悪意
人としての、人ならではの意思を彼は背負い続けていた。
しかし、それは能力のせいでもあった
彼の能力は『■■■■■程度の能力』
そしてそれが今回の崩壊に繋がった
彼は優しかったのだ、何処までも、それ故に愚かであった。
ふと、足音がこちらに向かってくる
少しずつ少しずつ
それと共に頭にひどい激痛が
「ぐうぅぅぅ・・」
頭を押さえようにも自らに腕は無く
ただ虚しく足掻くだけ
ついに目の前にまでやって来た
目の前にいたのは
怨みのような、苦痛のような、悲しみのような、悪意のような
それはまさしく
絶望だった。
「嗚呼嗚呼ぁぁ嗚呼ぁ!」
バサァ!!!
布団を勢いよくめくる音が部屋中を支配する
一瞬パニックに陥ったが次第に意識が覚醒していく
「夢か」
確認のために自らの腕と足を見つめ直すがそこには相変わらずの生まれた頃より共にいる傷一つない四肢が有るだけで後はなにも無かった。
「ホッ・・・」
再度見直して漸く安堵の息を吐く
・・・それにしてもなぜあんな夢を見るんだ?
彼はその夢の内容をその幻想郷と言う場所を紫と言う女性の名前を知らない。
故に混乱を引き起こしていた
・・・あれは夢なのか?リアルな夢、だが何故懐かしいと感じるんだろう?
解らない、理解ができない
考える毎に頭痛が走る
「止めよう。そろそろ時間だしな」
自分の隣に有る目覚まし時計を見てそろそろ起きようとベットからゆっくりと抜け出して、自室から抜け出し寝癖やらを治すためにシャワーを浴びる
シャワーから流れてくる少し暖かめのお湯が体を包み、その温もりに身を任せる様に目を瞑り力を抜いていく。
・・・・・
しばらく浴びて芯まで温まった体にふわふわなバスタオルを巻き付け水分を吸い取り下着を身に付けリビングに向けて足を進める
目の前にあるのはなにも変わらない誰もいない風景音もなく色もない
その空間がただポツリと存在していた。
「おはよう」
誰に言うわけでもなく彼はただそう呟いた
・・・別に寂しいわけでは無い、ただ日課なだけだ。
彼には家族と言うものがいなかった。否、昔はいた。
顔も何もかも解らないが
そう彼はいわゆる捨て子だった。
昔幼い頃に有る家族に拾われ一緒に過ごした時があった
その時の名残であり癖でも有る。ただそれだけの事
それを毎日やる彼の芯は真面目で純粋な人間と言えるのだろう
・・・と言ってもそれは何年も前のことで今はその家族もどうしているかも解らないが
「何故今ごろ気になるのだろう?」
・・・自分から捨てたのに
覚えているのはその家族の母親と自分を兄のように慕ってくれた少年
それを彼は捨てたのだ。
眩しすぎたから、自分には遠く儚い存在だったから
・・・そろそろいこうか
彼は『味』のない食事終え上着を着て外に出る
彼が向かう場所は上井大学
そこの経済学部の三年生だった。
そう『だった』のだ。この時までは、
この世界の物語が始まる前までは。