魔法科高校の比企谷君 再投稿   作:sazanamin

8 / 18
やはり司波兄妹はどこかずれている

比企谷八幡……

 彼は何者なのだろうか?

 俺は今日のことをとりあえず深雪に話そうと帰ってすぐリビングに深雪を呼んだ。

 

 「お兄様?どうかなさいましたか?」

 

 「比企谷八幡のことでお前に言っておいた方がいい事がある」

 

 「あの方ですか……」

 

 ずいぶんと苦々しい顔をするんだな……

 

 「こういうことをお兄様の前で言うのもお恥ずかしいんですけど……彼はなんとなく不気味なんです」

 

 「不気味……?」

 

 「はい、見た目が……ではありません。なんというか、その……」

 

 深雪は精神操作系の魔法も大きな素質を持っている。

 やはり何か感じるところでもあったのだろうか……

 皆には言わなかったが俺も≪分解≫と≪再構築≫のBS魔法師だ。

 とある≪目≫を所有している(これも魔法だが)ため≪分析≫にもたけて入ると思う。

 まぁ俺の場合は生まれつきと言うよりも埋め込まれたといった方が近いのだが……

 その俺でも心、感情、性格といった形がなく、エイドスの通ってない物の≪分析≫まではできはしない。

 

 「やはり、比企谷については調査をする必要がありそうだな」

 

 「そ、それでお話と言うのは……」

 

 「ああ、それはなーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

 

 その夜、俺は今日あの後あったことを全て話したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「おかしい、どうしてこれだけしか情報がないんだ?」

 

 比企谷八幡のデータについてだ。

 ハッキングなど非合法の手段を用いても彼の情報は全くと言っていいほど出てこなかった。

 出てきたのは出身の学校、そのデータベースにあった成績、身長体重だけだ。

 こんなものには何の価値もない……

 ふと、ある場所で俺は目を止めた。

 出席欄だ。

 彼は小学6年の初夏ごろに小学生で唯一休んでいた。

 2週間も……

 普通に考えたらたまたま長引く夏風邪でも引いたのだろう。

 だが比企谷は普通じゃない・・・・・・

 

 「調べてみる価値はあるか……」

 

 「お兄様、お飲物をお持ちしました」

 

 ノックとともに妹の声が聞こえてくる。

 ふと時計を見るともう日付をまたいでいた。

 少し根を詰め過ぎだろうか……

 

 「ああ、ありがたい。入っていいぞ」

 

 「失礼しますね……あらお兄様今日は何をなさっているのでしょうか?」

 

 「ちょっと、調べ物を…な、それより深雪いいのか?こんな時間まで起きていて。明日もちゃんと学校があるんだぞ」

 

 「ふふ、お兄様、もう今日ですよ。それにお兄様が何かをなさっているのに私だけ先に寝ることはできません」

 

 そこには言外に兄俺のすることは基本的に妹深雪のためである、と語っていた。

 そう、俺が人間でいられるのは間違いなく深雪がいるからなのだ。

 

 「ごめんなさい……」

 

 そんな俺の心中を察してか深雪は伏し目がちに謝ってくる。

 私のせいで……と、

 別にこんなことをした四葉を恨んでるわけではない。

 むしろ深雪を守るための力を与えてくれたんだ、そのことについては感謝すらしている。

 だが……

 だが、深雪をこんな風に謝らせている原因を俺は許せない。

 

 「大丈夫だ深雪、お前が気にすることじゃあない、今日はもう寝なさい。俺もそろそろ寝るから」

 

 「……分かりました」

 

 伏し目がちに深雪は了承をしてくれた。

 きっと彼女は俺がまだ作業を続けるということに気付いているんだろうな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 きっとお兄様はまだ作業をお続けになりますよね……

 彼のことを調べるために。

 先ほど言ったことは嘘ではなく、私だけ先に寝るなんて……と思います。

 ですがこれ以上起きていると結局お兄様の迷惑になってしまう。

 それだけは絶対に嫌でした。

 ただでさえ私はお兄様を束縛してしまっているというのに……

 

 「私ってば本当に嫌な女ですね……」

 

 束縛をしているのに迷惑をかけたくない・・・・・・・・・なんて……

 お兄様は昨夜も寝ていませんでした。

 行動に支障が出得るようでしたら、魔法で自動的に最適化される。

 それが怪我だろうと病気だろうと勿論、睡眠不足だろうと……

 

 「だからと言って睡眠を取らなくて良いというわけではないのですよ……」

 

 私は一人部屋でつぶやいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「原因不明の爆発事故?」

 

 6月??日

 千葉市で原因不明の爆発事故が発生、買い物をしていた小学4年生の女の子と小学6年生の男の子の兄妹が骨を折るなどして県内の病院に搬送されました。

 警察は魔法を使用した犯罪行為の可能性も視野に入れて捜査をしています。

 しかし魔法の専門家に話をうかがってみたところ「魔法の形跡が一切ありません」とのことでした。

 ----------

 

 この記事は比企谷が学校を休み始めた前日のニュースだ。

 先ほど見つけた情報をもう一度見直す。

 やはり……

 比企谷には妹がいる……2つ下の。

 それに魔法の形跡がないことも引っかかった。

 

 「間違いないな……」

 

 きっと彼は魔法を無意識に暴発させてしまったんだ……高すぎる魔法力のため。

 そして彼が魔法を発動したということを無意識にあの魔法(・・・・)で隠蔽したんだ。

 この事件で彼に接触をしたのだろう。

 その後の情報が何もなかったということは彼のバックには何かがある。

 俺のハッキングで見つからないんだ、一企業を軽々超える規模の何かが……

 結局わかったのはそれだけだ。

 比企谷の後ろには何かがある。

 そんな簡単に想像できるようなことしか分からなかったのだ。

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。