モノクロウサギよ、狂々回れ   作:メガネ愛好者

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 どうも、メガネ愛好者です。

 更新再会! ……と思いきや、その実加筆修正版である(尚、作者のモチベが持てばGE3までやる模様)

 それでは。




第1喰目 「目覚め」

 

 

 そこは乾いた風が吹く場所でした。

 荒廃した土地に吹くその風は、景色と相まってとても物悲しい気持ちにさせられます。

 辺りに人影はありません。人がいる気配も感じられません。

 あるのは虫食いのように空いたビル群だけ。今や人は住んでいないと思われる居住区が、見るも無残な姿で立ち並んでいます。

 とても現実とは思えない……でも、眼前に広がる光景が間違いなく現実だということは、先程肌で感じ取った乾いた風が証明しています。

 

 そんな荒廃した土地に時折響き渡る"ナニカ"の雄叫びが……私の心に恐怖感を抱かせる。正直に言いますね? ……滅茶苦茶怖いです。

 

 ……あ、どうも皆さま。いきなりこのような始まり方をしてしまい申し訳ないです。……ですが、許してください。実のところ、私自身も現状に酷く混乱している真っ最中でして……

 

 えっと……とりあえず初めに、私が今どのような状況に陥っているかについて説明させていただきたいと思います。いいですか? ……ダメだなんて意地悪な返しはしないでくださいよ?

 

 

 まず、私の名前は…………すいません分かりません。

 

 

 あ、いやっ、おちょくってるわけではないんですよ!? 冗談を言っているとかではなくて本当にわからないんです!! 本当です! 本当ですよ!? 本当なんですよぉ……

 

 自分がどういった人だったのかを思い出そうとしても、何一つ思い出せないんです……これって、話に聞く"記憶喪失"ってものなのでしょうか……?

 ある程度の一般常識などはすんなり思い出せるのですが、私に関連する事……思い出とか経験などはサッパリなんです。何なんでこんなことになっているのでしょう?

 少なくとも自身の状況や周囲の環境などを見るに……私のこれからの人生がハードモードであることは確定的にあきらかです。

 

 現在、この場所は先ほども述べたように、人が住むにはあまりにも荒廃しすぎています。もう私以外の人は死んでしまったのでは? と思える程の荒れっぷりです。

 因みに、私は先程まで崩壊しかけのビルの中で眠っていたようです。起きた時、私はかろうじて原型を留めていたベッドの上に横たわっていました。(起きた瞬間にベッドが崩れるという寝起きビックリに心臓が止まるかと思いましたがね……)

 

 「ここはどこ? 私は誰?」とお決まりながらも言う機会など冗談でしかありえないと思っていた言葉、それを思わず口にしてしまった私を誰が責めようか……

 

 ……よし、切り替えていこう! いつまでもジッとしているわけにもいきませんからね!

 まず私はどう言った人なのか……は記憶がないから一先ず後回し。なら次は……自分の姿がどうなっているのかを確認してみましょう。

 

 第一に、私は女です。はい、それはすぐに確認出来ました。分かりやすいですしね。

 

 手を見てみます。小さいです。プニプニしています。まるで赤子の手のよう……いや、それは言いすぎかな? あはは。

 

 立ち上がってみます。そこまで低くはないかな? 高くもないですが。

 

 近くの壊れた出入り口の縁で適当に測ってみます。えぇっと……十代半ば程の身長でしょうか? 気持ちちょっと小さめかもしれませんが、多分そのぐらいです。

 

 声を出してみます。

 

 「あー、あー……?」

 

 うーん……自分で言うのもアレですが、透き通るような可愛らしい声でした。簡単に言うならロリボイス。アニメ声ではない。

 

 次は……髪ですね。

 ウェーブのかかったロングヘアーです。腰の辺りまであります。……ただ、色が少し奇抜でした。

 大部分は白ですね。混じりっ気の無い純白です。周りの砂埃とかで少し汚れていますが、綺麗にすれば本来の輝きを取り戻すことでしょう。

 ただ……”大部分”なんですよ。つまり、他の色が混じっているんです。

 ——黒です。濡れ羽色のようにある種の魅力を内包した漆黒でした。それがちらほらとメッシュのように混じっています。割合で言えば白髪七割、黒髪三割と言ったところでしょうか? その配色のせいで私の髪がまるでシマウマのような縞模様と化しています。どういった工程を踏めばこのような髪になるのでしょう? 謎です。

 

 後は服装です。

 白のキャミワンピの上に目元まで隠れる程の大きなフード付きコートを羽織っています。色は黒です。

 サイズが合ってないのか、黒コートは私の膝下まで届くほどに大きく、私の身体のほとんどを隠してしまってます。袖も大きいせいで腕まくりしないと手が隠れてしまいますね。

 全体的に装飾は少なく、あってもコートの端に白いラインがいくつか施されているぐらいですかね? 必要最低限と言ったところでしょうか。

 靴は黒を基調とし、各所に白の装飾が施されたロングブーツを履いています。

 靴下も白黒の縞々ニーソで——って、ちょっと待ってください。いい加減言いたいことがあります。

 これ、どこまで私を白黒にしたいんですか? 最早昔のテレビみたいにモノクロなんですが……

 

 現状でわかるのはこんなところですかね? そこまでじっくりと見た訳でもないので、後でもう一度詳しく確認してみることにしましょう。

 とりあえず、一つ言わせてもらいますと……

 

 

 私の見た目、なんでこんなモノクロなんです?

 

 

 いや、狙ったかのような配色に何らかの思惑を感じるのですが? 何があったのですか? 一体全体私の身に何があったらこんなモノクロカラーで統一される事態になるのですか? 最早周囲の光景から浮きすぎて違和感が拭えないのですけど……

 

 

 □□□□□

 

 

 ある程度自分の姿を確認した私は、次にこれからのことを考えます。

 とは言っても……私はこれからどうすればいいのでしょう? 漠然とし過ぎて思考が上手くまとまりませんね……一先ず、わかる範囲で少しずつ考えていきましょう。

 まず前提として、いつまでもこのような場所にいる必要は全くと言っていい程にありません。それならどうするか……

 ……水場……そう、水場です! 正直に言いますが、今の私、砂埃のせいで服も体も汚いです。お風呂とは言わなくてもせめて身体の汚れを洗い流せるところ、つまりは水場に行きたいですね!

 よしっ、そうとなればまずは水場を見つけることから始めましょう! 水場は様々な問題を解決する万能スポットです! 行けばこの状況も何とかなる筈ですよきっと!

 

 ……ですが、見たところ目に見える範囲にはそれらしいところはありませんね。それに少し風が強くなってきたせいか、ビルの外はちょっとした砂嵐で砂埃が待っています。下手に出ても余計に砂埃で汚れるだけなのでは?

 むぅ……なんだかお腹も空いてきました。見たところこのビルにはさっきの壊れてしまったベッド以外に原型を留めているものはありませんし、きっと非常食もないのでしょう……本当にハードモードです。辛い。

 

 ……まぁそれでも探しに行くしかない以上、仕方ありませんね。先ほど聞こえた雄叫びも気になるところですが、このままでは餓死するかもなのです。最低限、飲み水は確保しなければヤバいです。次点で食料ですね。

 

 思い立ったが吉日。私は水と食料を求めてビルの外へと乗り出すのであった。……あ、せっかくですし、フードをかぶっていきましょう。そこそこ厚めの生地のようですし、ある程度の砂埃からは問題なく防いでくれる事でしょう。これ以上、奇抜とはいえ自身の髪を汚すのは躊躇われますからね。女の子にとって、髪は大事なものですから!

 

 そこまで考えたところで私はフードをかぶります。——その時、私はフードの一部に違和感を感じました。

 

 なんでしょうか、これは……? 何やらフードに不安定な重みがあります。気になった私はその違和感のある場所に手を伸ばしてみると——何やら、掴みました。

 掴んだものの正体を知るために、一度コートを脱いでフードを確認してみます。……って、はい?

 

 「……兎の、耳……?」

 

 そこには兎の耳を模したかのような装飾——俗に言う”ウサミミ”が取り付けられていました。

 はい、ウサミミです。片耳(左)が半分辺りで千切れていますが、間違いなくこれはウサミミでしょう。

 よく見たらコートの腰下辺りにもちょこんと丸いものが……これ、尻尾に見立ててあるのでしょうか?

 

 

 ウサミミにウサシッポをつけた低身長ロリボイスの白黒少女……ダメです、意味わかりません。記憶を失う前の私って一体何者なの……?

 

 

 ……まぁ、いいです。特徴があることは別に悪いことではありません。今は他にやるべきことがあるのですから、服装の事は後程考えていきましょう。……そもそも、別にこの服装が嫌ってわけじゃないですし。

 

 

 気を取り直して、コートを着直した私は改めてフードをかぶります。では、いざ探索です!

 

 






 ウサギの容姿はデート・ア・ライブに登場する四糸乃の白黒カラーを思い浮かべて貰えればと。
 ただし、服装につきましては本編通りのものに変わっております。テーマは「荒廃した世界に必死で生きる兎」です。

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