どうも、メガネ愛好者です。
会話文が多くあるせいか文章が長く感じる不思議。
それでは。
——現在私は全速力で逃げていました。
いえ、よくよく考えてみてください? こんな怪物さん達がうようよいるであろうこんな場所に、変わった身なりをした少女がいたらどう思います? ……まず間違いなく不審に思いますよね?
その上、私は記憶がないのです。素性が分からない得体の知れない人間をすんなり受け入れてくれるでしょうか? 私が少女の姿をしていても微妙なところですよね?
ですから逃げます。今は逃げます。話し合うとしても、ある程度は相手のことを知っておかなければ話し合いにもなりません。一先ず彼等を撒いた後、情報収集してみようと思います。……え、手段? 後で考えます。人間、やろうと思えばどうとでもなりますよきっと!
とにかく今は逃げるのです! ……決してフードさんの声にビビって咄嗟に逃げちゃったわけではありません! 違うったら違います! 違ってなくてもそれは急に声を掛けられたことによる条件反射と言うものであって他意はないぃぃぃーッ!!
「止まれ!」
「ひうッ!?」
そんなことを考えながら逃げていた私は……気づけば回り込まれていた。……逃げ始めた場所からそう距離も置かないところで。
嘘ですやん。さっきまで後ろにいたじゃないですか……なんでもう前にいるのですかフードさん? 早すぎません?
後ろからも黒髪コンビに追い付かれています。そうして三人は私を逃がさないとばかりに周囲を囲んで退路を断ちました。その間、僅か数秒。迅速な対応ってやつですね。
ぐぬぬ……フードさんはまだ然程歳は離れていないでしょうけど……黒髪さん達、貴方達はもう大人でしょう? 小さい子供をよってたかって追い詰めるもんじゃありませんよ? ……だからその武器、私に突きつけないでください震えが止まりませんごめんなさい許してくださいもう逃げませんから勘弁してください止めて助けてまだ死にたくないぃぃいいーッ!!
「ちょっと待ってリンドウ。……彼女、怯えてるわ。神機を向けるのは流石にやり過ぎよ」
「いやぁ、俺としても心が痛むんだがな? もしかしたらってのもあるからよ、部隊を率いる隊長として油断は出来ないんだ。悪いな嬢ちゃん」
「変な
いえ、謝らなくていいですよ黒髪さん。不審者に対して警戒するのは当たり前のことです。間違ってないです。……傍目から見れば、見た目幼い少女に大の大人が武器を突き付けるというヤバ目な絵面ですが、仕方がないことです。私は許します。……怖いですが。
後フードさん、変な姿だなんて言わないでください。確かに最初は私も奇抜だなーって思いましたし、何だったら
以前の私がどうであれ、今はこれが私なんです。記憶を失う前などもうわからないのですから何事も受け入れる寛大さは大事なのです。
それに、探索している途中にあったガラス窓で姿を確認しましたが……今の私、結構可愛いんですよこれが。
顔立ちは年相応な童顔でしたが目つきが少しキリッとしていました。瞳の色は日本人特有の黒です。自画自賛になってしまいますが、おそらく私は美少女の部類に入ると思うのですよ! ……そんな訳ですからあまり変な姿だと言わないでくださいよ。なんだか否定されてる気がして悲しいです。
——それはそうと、今気になる単語がありましたね。
「……アラガミ?」
「ん? どうした嬢ちゃん」
「アラガミって……なんです?」
私は疑問に思ったことを聞いてみました。
そう、"アラガミ"です。フードさんは、私のことを見てアラガミと言いました。それが何を意味するのかはまだ確証が持てないですが……予想としては、先程の怪物達。
そんな私の疑問を聞いた三人は……まるで予想外と言わんばかりの呆けた顔を私に向けてきました。……え、なんで? 私、何か可笑しなことでも言いましたか?
「えっと……貴女、アラガミを知らないの? 本当に?」
「あの、その……さ、さっきの鳥さん達みたいな生き物が、そうだったりします?」
「あぁ。他にも様々な姿形の奴等がうようよいるが……その様子だと、今初めて知りましたって感じだな?」
「えっと……ダメ、でしたか?」
「いやダメって訳じゃないが……アラガミを知らないって、このご時世にあるもんなのか?」
「何か事情があるんじゃないかしら? ……ねぇ貴女、ご両親は? この近くにいたりするのかしら?」
私の反応に不可解な物を見たと言わんばかりに顔を歪める黒髪コンビ。因みにフードさんは静かに私達のやり取りを見ています。……若干私を睨むかのような目つきで視線を向けてきていますが、我慢です。今は我慢なのです……だから震えを抑えてください私の身体! もしもあの目つきがフードさんのデフォだったら失礼ですよ!
と、とりあえず私は彼等の問いに素直に答えていくことにした。彼等の雰囲気から、あまり嘘偽りを交えて話すのは得策じゃないと感じましたので。……そもそも私はあまり嘘を吐くことが出来ません。多分苦手です。ポーカーフェイスとか特に。
そんな嘘偽りのない私の発言が……余計に場を混乱させてしまうことになるのでした。
「どうでしょう……さっき起きたばかりですので、何とも言えないです……」
「……ん? さっき起きたって……ここでか?」
「は、はい。私、あっちのビルの中にあったベッドで眠っていたから……」
そう言って私は先ほど目覚めたビルがある方に指を指しながら答えます。……改めて自分が言った内容を思い返すと、自分でも「何言ってんだコイツ」って思いますね。ホント何言ってるんですか私……
案の定、御三方はどういうことだと顔を顰めます。要領を得ない返答をしてしまい申し訳ないです。
「眠ってたって……そりゃまた、何て言うか……よくこんな場所で眠れたもんだな?」
「正直、私にもよくわからないんです……気づいたらあの場所で眠ってて、なんであそこにいたのかもわからなくて……」
「その言い方だと、自分の足でここに来たって訳ではないのね?」
「はい……そもそも、ここは何処なんです? 私にとって、ここは見覚えのない場所で……これからどうすれば……」
改めて自分の状況を振り返るごとに、私の中にあった不安がどんどん膨れ上がってきました。
先程までは頭が現状に追い付いていなかったから、あそこまで楽観的な考えでいられたのでしょう。ですが今は、こうして他人と話すことで冷静に物事を捉えることが出来、結果こうして不安感が拡大してきたのでしょう。
……なんだか先のことを考えるのが怖くなってきました。これから私はどうなるのだろう? どうやって生きて行けばいいのだろう? 今まで無意識化に溜まっていた負の感情が私に圧し掛かる。気づけば私は顔を俯かせていました。
そんな私の様子を見て思案する御三方。
「……どう思う?」
「今のところ……捨て子って線が一番妥当かしら? もしくはこの子を隠してご両親がアラガミの注意を引き付けて……」
「そうか……」
俯いた私に聞かせまいと静かに意見を交わす黒髪コンビ。……ですがごめんなさい。私に聞かせまいという気遣いが身に沁みますが、どうやら私の聴力はそこそこ良いみたいで……バッチリ聞こえてます。
ですが私は空気を読める少女。あえて聞こえてない体で俯いたまま黙します。
私が聞こえているとも知らずにどうするかと話し込む黒髪コンビ。ある程度話し合った末、私に次の質問を投げ掛けます。
「あー……一応聞いておくが、お前さんどこに住んでたんだ?」
あ、ここだ。ここで私の事情を言うべきですね。
「……ごめんなさい、わかりません」
「……は?」
「あ、あのですね……信じられないかもですが……わ、私、起きる前の記憶がないみたいなんです。ある程度の知識とかはある、とは思うんですけど……思い出とか、家族や友人のこととか……全然、思い出せなくて……その、多分私……」
「……記憶喪失?」
「えっと……はい……」
「「「………」」」
私の独白に硬直する御三方。無理もないですよね……
でも、うーん……このタイミングだと思ったんだけど、流石に突飛すぎましたかね? でも相手の質問には真摯に答えないとですし、このまま隠し続けるなんてことも出来そうにないですし……
もうっ、しょうがないじゃないですか! 他にどう説明しろというんです? 子供だからわかりません! 逆ギレしてすいませんっ!
「……本当にか?」
「はい……」
「……どうする?」
「……とりあえず、保護しない事には始まらないわね。いろいろと疑問は尽きないけれど、民間人の保護も私達の役目。このまま見捨てて帰るなんて出来ないわ」
「そうだな。とりあえず帰投した後、一旦落ち着いてからもう一度事情を聴くとするか。帰れば姉上もいるだろうし、その辺りのことは俺達よりも適任だろう。嬢ちゃんもそれでいいか?」
「私としては、行く当てもなかったので願ったり叶ったりです……けど……いいん、ですか?」
「ま、困ったときはお互い様ってやつさ。少なくとも、取って食ったりなんかはしねぇから安心しな」
や、やりました! 無事保護されました! これで勝つります!(何に?)
保護してくれるということは、私一人増えても支障がない程度の生活ができる環境があるってことかもしれないというわけですね! 欲張り言うなら、できればお風呂があるといいなぁ……
「あ、そうそう……自己紹介がまだだったな。俺の名前は雨宮リンドウ。そっちにいるのが——」
「橘サクヤよ。よろしくね?」
「んでそっちのボッチオーラ漂わせてるのがソーマだ」
「おい、人に不名誉なあだ名作ってんじゃねえ。俺はボッチじゃ——」
「誰か親しい奴いんのか?」
「……」
保護してくれるということで私が内心舞い上がっていると、皆さんが自己紹介をしてくれました。……お一人不名誉極まりない紹介になってしまいましたが、私は気にしませんから落ち込まないでくださいね? これから増やせばいいんですよ! 何だったら私が友達になりますよフードさん!
「とまぁ、そんなところだ。それでお前さんは……って、そういや記憶がないんだったな。名前も覚えてねぇのか?」
「は、はい……あ、でも、不便かと思って、一応考えてた名前はあるんですよ? 今の私の見た目にピッタリな名前です!」
はい、実はこの容姿をみて思いついた名前があるんですよ。……まぁ名前とは言えないかもしれませんけど。
どちらかと言えばあだ名やコードネームにならありそうな名前ですが……うん、いいんです。なんとなくしっくりときましたから!
だから私は、今日からこの名を名乗らせていただきますね?
「初めまして、皆さん。私のことは——"モノクロウサギ"って呼んでください!」
ゴッドイーターからは逃げられない←
そしてようやく主人公の名前が……え、これ、名前?