寝不足な高校生 東雲秀司が経験する、不思議な時間を感じていただきたいです。

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陽だまりのキミ・・・

初めてです。

皆さんに読んでいただける物が書ければと、おもいます。何気に立ち止まって時間つぶし、おねがいします。

 

 

 

 風がつよい。

 濃い緑の葉が、強くもない陽の光の中で大きく揺れている。窓の外の常緑樹の葉が大きく揺れるのは、冬だ。睡眠不足には、寒さが響く。4時間に満たない夜が5日目に

なる。教室の中、ただただ眠い。マジ眠い。本当に眠い。

 ギリ、登校に間に合い、席に着くのとチャイムが鳴るのと先生が入ってくるのは、ほぼ同時だった。

 暖かい教室の中で、唐の昔に先生の声は遠く、すべてが意識の外になった・・・

 

 寒い・・・

 おお!陽が・・・暖かそうだ

 

 ほぼ放置されているだろう雑木の中に、何の手入れもされていないだろう池?

 大きな建物の気配がある。人の気配もある。なのに手入れはない常緑や落葉樹。行き届かないのは池の周りの雑草もだ。

 

 『おいでっ!』

 

 誰を呼んでいる?伸ばされた腕は・・・俺かぁ!!!!

 

 俺の手ぇぇぇぇぇぇぇぇ! 足ぃぃぃぃぃぃぃぃ!!

 羽~~~~~?????

 チョ~~~~~~!!!!

 うわ!堕ちる!!!

 

 『君は初めてだね。餌、食べていきなよ』 

 

 陽の光の中に、小鳥が多くいる。餌を撒いてあるのだろう。放置された雑木によって風が遮られ、キラキラとしてあたたかかった。陽だまりの中で、彼が放つ優しい空気

と笑顔が、その場を暖めていると思えた。

 恐れるものなく、俺は彼の手に落ち着いていた。餌が乗っている。

 

 『きれいだね、君。明日もおいでよ。餌を撒くから・・・お昼ぐらいまでなら、ここは暖かいよ』

 

 学生服はここの生徒だと言っている。そう、俺の学校だ。

 歴史は100年ほどだったか。三重県との境、木曽三川に近い私立清林高校が俺の通っている学校で、いまどき珍しく男子校。まぁ、よっぽどじゃなきゃ誰でもこれる学

校だ。

 

 あんた授業は?何年だ??ここにいるのは、まずいだろう。

 

 『南雲!!授業はじまるぞ。いそげ!!』

 『あ・・はーい!』

 「またね。行くね」

 

 南雲って言うんだ・・・

 

 ズッパーーーーーーーン!!!!!!!!!

 「いってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 教師の手には、出席簿が握られていた。思いっきり叩かれたみたいだ。

 

 「あったりまえだ!初めから寝てただろう。今日の授業はしっかり試験に出させてもらう。よ~~~っくノートをみせてもらうように!!!わかったな!東雲!!」

 

 「え・・!マジか。起こせよ、先生!!」

 

 「起こしてやる必要はないぞ。義務じゃないからな!!

  みんなもしっかりまとめるように。まじめに出すからな。ふっふ。赤点の奴はレポート提出だから、心して励め!以上、授業終了」

 エーーーーーーーーーーーーーー!!!

 教室じゅうに悲鳴がいっぱいだ。そこかしこから俺に向かって、罵声が飛ぶ。ただただ頭を下げるしかなかった。

 

 まずい。本当に寝ていた。1時間、つぶしてしまった。

 

 「シノ!バカか・・・まじ、なけるわ。先生、幾度となく起こしに行ったのに・・・幕末って、嫌いなのにぃ」

 

 「ごめん。

  なぁ、学校に池ってあったか?どこかしってるか?キタ。」

 

 「俺は行ったことねぇけど、裏じゃね。耳にしたことはある気がする。」

 

 「そっか。ありがとう。次の授業、俺、保険室な。先生に伝えておいて、じゃ・・・」

 

 「おい!シノ」

 

 通称キタ。本名は北山達也。幼稚園から一緒のご近所さんだ。俺の周りでは一番のミーちゃんハーちゃんで好奇心が制服着て歩いてる奴。だからこそのムードメーカー。 集まりに関係なく、雰囲気つくりはうまい。

  

 3階から駆け下りる。靴を突っかけて校舎裏に向かう。

 校舎は3階建ての2棟。調理室を中心とした建て物が、向かって一番東に位置していて、前後に3階建てが2棟。感じとしてコの字に似てるかな。1,2年が中庭を挟ん で北側に3年は南側の校庭側に、音楽室や美術室が調理室の上にある。調理室の一階が下駄箱やら玄関になっており、来客は東北の駐車場に車を止めることができ、教職 員は北西にある。その北西側駐車場に雑木があった気がしてきた。でも池の記憶はない・・・気がしてる。

 

 あ・・・ここだ。

 

 ちょっとウッソウとしてる。でも、思ったより風は吹いてないかも・・・。腰より少し高いぐらいの植木を掻き分け中心に向かって進む。思ってるよりもうざいか。慣れ ない上に道もわからず強引過ぎるかもだ。

 

 池・・・だ。誰もいない・・・か・・・・・

 

 最後の一歩。ほぼ蹴り入れるくらいに出した足が、何かを蹴った。

 

 「ごめん。」

 

 「い・や・・。」

 

 居た。

 見るからに細い腰のなさそうな黒髪に、光の輪が輝いて風に時折り踊る。白すぎない肌色が健康を印象ずける。

 顔立ちはだれもが五指に入れそうな、整ったつくりだが、その雰囲気は驚くほどやわらかい。ちょっと男の気がしない。

 

 「南雲・・くん。居たんだ」

 

 「えっと・・・

  僕の名前を知ってるって、君は誰?」

 

 「あ、

  2年の東雲。東雲秀司って言います。はじめまして・・・」

 

 にっこりと、南雲が微笑むと、空気がふわっとやわらかく暖かくなる気がした。

 腰を上げると制服を払い、視線が俺を見上げる。10センチほど彼のが低い。

 

 「僕は南雲海広。3年です。」

 

 「え・・・あ、すみません。先輩でしたか。海広って・・・前副生徒会長の南雲さん?」

 

 顔がほころぶ。空気が優しくなる。照れくさそうに、しかし、珍しそうに・・・風に乱れた髪に手を添えながら

 

 「めずらしいねぇ。海広で、生徒会を思い出す人はめったにいないけど・・・名前、珍しかったかなぁ。名前で僕を覚えたのって二人目だよ。」

 

 「名前で、海が広いのはあたりまえだろうって・・・屁理屈つけたってか第一印象がそれだったので。」

 

 顔が熱く、赤くなっている気がする。本人前によく言えると、我ながらつばの悪さを思う。

 南雲さんは、テニス部部長さんもやっていた人だ。選手にはなっていないので、テニスでの印象は無い人が多いだろう。でも、彼が部長をしていた昨年は、テニス部が県 大会優勝などいい成績は残している。

 スポーツやっていたのに、まとう雰囲気も、物腰も柔らかい人だと思う。

 

 「引っかかるところは同じなんだねぇ。・・・ははは。これから来る奴も、同じ事いってた。」

 

 彼は、池や小鳥たちばかりに視線をやっている気がする。好きなんだろうか・・・ストレス払い、なのだろうか・・・

 

 「海広さんは、ここで、いつも餌なんかやっているんですか?そういうこと、お好きなんですか?」

  

 「・・・僕は、もう進学が決まっているので、クラスにいてもあまりよくないかなぁって・・・決まってない奴は多いから。小鳥も嫌いじゃないしね。・・・いつもって、 僕が餌やってるの知っているの?」

 

 俺が入ってきた方向とは微妙にずれて静かに来た人がいる。俺より少し身長が、あるだろうか。今いる3人の中で、体格は一番がっしりしている。しぐさも雰囲気も男そ のものだが、場を乱すものではなかった。

 

 「海広、またせた。」

 

 俺は頭を少し下げた。視線が合って、彼も挨拶を返してくれた。

 彼は知ってる。3年生で前生徒会長。テニス部の個人選手で昨年の県優勝者の、西須一徳さんだ。

 

 「こんにちわ。西須さんですよね。」

 

 少し訝しげな視線を投げかけたままで、彼は海広さんの隣まで進んだ。

 

 「えっ・・・・・・と

 俺は東雲っていいます。実は今日になってここに池のあるのを知って、確かめに・・邪魔するつもりじゃなくて。すみません。」

 

 「カズ。彼はね、キミと同じなんだよ。僕を名前で覚えてる。理由も同じさ。おもしろいねぇ。邪魔だなんて思ってないよ。学校の中だし・・・」

  

 「気がつかなくて、気分悪くした?西須です。

 海広なんて・・・名前のほうがよっぽど覚えられる気がするだろう?」

 

 西須さんは、俺を気にすることなく海広さんに向かって言葉をつなげた。

 

 「海広。通ったよ、一緒に行ける。待たせたね」

 

 小さな叫びと一緒に、海広さんは涙をこぼした。あっという間の出来事で、俺はともかく、西須さんすら何もできなかった。

 

 「バカ、泣くことないだろう。彼がビックリするだろうが・・・

  ほら・・・泣くなよ。」

 

 西須さんのハンカチで涙を拭きながら、海広さんは彼の胸に頭を預けた。スーッと空気が変わる。緊張が解けて暖かく優しくなった気がする。西須さんの笑顔はちょっと 忘れられないかも・・・進学するとき、俺もこんな笑顔が作れるだろうか・・・そんな友達ができるだろうか。

 

 「ごめん。・・・はずかしいなぁ。

 東雲くんは、僕がここで餌やってるのどうしてしってるの?カズだって最近知ったんだ・・よ。」

 

 そのとき、海広さんは気がついたように・・・なお、信じられないように言葉にした。俺もタイミングよく重ねるつもりで言葉にする。

 

 「鳥!」

 

 あ・・はははははは・・・・

 

 「信じられないけど・・・今朝の鳥って、君だったの?始めて来る奴で、驚くほどきれいなやつだった。すぐに呼ばれたので視る事自体が短くて・・うそだろう?」

 

 「どうしてそうなったかは解らないので、説明できないです。でも・・俺です。こんなところに池が・・って。暖かで優しい空間でした。授業をつぶして・・・先生にも怒 られて、クラスの友達からも文句タラタラで・・・でもいい時間だと思えたから、場所の確認だけでもって・・・誰もいないと考えていました。

 あっと、ソロソロいかなくちゃだ。」

 

 「俺らも戻ろう。東雲君、一緒しよう。ここからが楽だよ。海広もしっかり道を作っておきゃいいんだよ。」

 

 「これって、生徒会でもできたんじゃないのかな。獣道なんて道じゃないだろう。植木だって荒れ放題だし・・僕のせいかい?」

 

 「薮蛇か・・・」

 

 静かに植木を分けて校舎裏に。じゃ・・・と、手を上げて挨拶して彼らと別れた。やっぱいい時間だと思った。

 角まで進んで振り返ると・・・影をひとつにした彼らの姿が見えた。やっぱか・・・と、顔が赤くなったのを感じて教室に帰る。

 不思議な時間を過ごせたと思った。こんな日は、もう来ないかも・・・。

 教室に向かう足は、やっぱり重くなり始めたのだ。眠さは変わらない。だが、優しくなれそうな1日だと思う。

  

 

                                *** おわり ***

   

 

 

時間つぶしも難しいかもですが・・・感想が聞けたら幸いです。ありがとうございました。




不思議かどうかも疑問ですが、心安めになれたら幸いです。

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