作者の妄想大戦k      作:kanaumi

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三話目ですが相変わらず字が少ないです。五千文字くらい書けるといいんですけどね。

修正しました 2026/2/28


第3話 オーブ連合首長国 

 あれから一週間が経ってだいぶ此処、オーブ連合首長国にも慣れてきた。一週間前にバルトさん……いや、バルトフェルドさんの案内を受けてこのオーブの一つの島、オノゴロ島に着いた。

 

 その後、事情聴取をしてモルゲンレーテ社の内部格納庫に機体を入れるように言われた。

 理由を聞くと機体を調べると同時に機体の修理をして貰える事になった。

 機体はベザードでの戦闘から整備などが出来ていなかった上に本格的な事はベザードに設備がなかったので出来ていなかったのでお願いした。

 

 正直にいえば、調べられるのはあんまり宜しくないのだがエンジンはともかくとして、他の部分や装甲は奴らの攻撃で傷ついているのでこのままは危険だったのだ。

 

 社内の客室に呼ばれた時は何事かと思ったがまさか、国家元首と呼ばれる人が来るとは思わなかった。

 何でもバルトフェルドさんが連絡して来てもらったらしいが、バルトフェルドさんは何者なのだろうか?

 はっきり言って所属不明で異星人な奴を連れて来て、軽い事情聴取して入れて貰えるのって普通おかしくないか?

 しかも、国家元首簡単に呼べるのって、おかしくないか?それに、あの時教えて貰った名前は偽名らしいし、本当に何でこの人軍人やってんだ?って思えた。

 

 カガリ・ユラ・アスハさんと言うらしいこの国の国家元首は俺より年下だった。

 そんな事考えたらカガリ・ユラ・アスハさんの後ろに控えてるサングラスを掛けた人から鋭い殺気のようなのを感じた。

 その人から来る猛烈な殺気に体がブルッと震えた。すると、隣のバルトフェルドさんにククッみたいな感じで笑われるし、カガリさんは解らないのか首を傾げてるし、あの人の前でカガリさんの事を年下のように見てはいけないと実感させられた。

 

 そんな彼女の計らいで、オーブにしばらく置いて貰える事になった。

 どうも、住む場所まで用意して貰えたようでさっきの事も踏まえて感謝の気持ちでいっぱいになった。

 その後はカガリさんたちと別れてバルトフェルドさんにオーブを案内して貰えることとなった。

 どうも、今日は早めに終わる勤務だったようで、都合が良かった上に俺が泊まる場所はバルトフェルドさんが暮らしている所らしいので案内しながら行くようだ。

 

 

 道中バルトフェルドさんからここ、地球について簡単に聞くことができた。

 

 この地球では、人間が「ナチュラル」と「コーディネイター」に分かれてるらしい。

 ……らしい、っていうのも変だな。俺には常識が無いから、全部“聞いた話”でしかない。

 しかも、きっちり二つに割れるわけでもなくて、例外とか、間にいる人もいるみたいだ。バルトフェルドさんは「まあ大体それでいい」って言ってたけど、つまり“説明だけじゃ片付かない”ってことなんだろう。

 

 で、その二つの仲が、ものすごく悪い。

 二年前に大きな戦争があったって聞いて、正直、背中が冷えた。戦争って言葉は、どこの世界でも軽くない。

 

 そして、ここオーブは中立国だという。

 確かに……街を歩いてても、両方の人種が憎しみ合ってる空気は感じない。少なくとも、表では。

 でもバルトフェルドさんの話だと、二年前の戦争でオーブも戦場になったらしい。

 

 国民を避難させて、軍事施設は爆破。

 敵にオーブの技術を渡さないため――そう言われると、理屈は分かる。分かる、んだけど。

 

 ……爆破、まで必要だったのか?

 守るために壊すって、変な話だ。いや、変じゃないのか。守るってそういうことなのかもしれない。

 

 でも、俺がここで考えたって仕方ない。

 この世界の人が、この世界で決めて、背負ってきた結果なんだ。

 俺はまだ、よそ者だ。

 

 俺たちは、モルゲンレーテ社を出てオノゴロ島の海岸部にある慰霊碑のところに向かった。バルトフェルドさんと一緒に住んでる人たちがこの時間そこに居るようなので一緒に帰るそうだ。

 

「おっ!いたいた、キラ、ラクス」

「あら、バルトフェルドさん。…そちらの方は?」

「こいつは、今日からしばらく同居する奴さ」

「え、えっと、初めまして、ミスト・レックスです」

「あら、私はラクス・クラインです」

「…キラ・ヤマトです。…ミストさん?よろしくね」

「はい、よろしくお願いします!」

 

 そのあとの移動は、俺にとってはほとんど観光みたいだった。

 島を渡るたびに景色が変わる。海の色が違う。風の匂いが違う。

 

 ヤラファス島で買い物を済ませ、少しだけ観光もして。

 気づけば夕日が沈み始めたころ、アカツキ島にある家に辿り着いた。

 

 ――ここが、しばらくの“居場所”になる。

 

 

 

―――キラ邸―――

「キッチンから漂ってくる香ばしい匂いに、思わず腹が鳴りそうになるのを堪えた。

 

 ベザートでは、質素でも温かい食事だった。

 けれど――“家族で囲む食卓”というものは、ずいぶん久しぶりだった気がする。

 

 テーブルに皿が並べられていく。

 焼き色のついた肉、刻まれた野菜、湯気の立つスープ。

 

「それで、あなたがミストさんね。私はキラの母のカリダよ」

 

 柔らかい声。

 その声音だけで、この家が“安全圏”だと感じられる。

 

「で、その夫のハルマだ」

 

「私も同居人のマリューです、よろしくね」

 

 次々に紹介されて、俺は慌てて背筋を伸ばした。

 

「は、はい!右も左もわかりませんが、これからよろしくお願いします!」

 

 ……声が少し大きすぎたかもしれない。

 

 バルトフェルドさんが小さく笑う。

 

「そんなに緊張するな。取って食ったりはせんさ」

 

「いや、でも国家元首に会ったばかりでそのままこの家にって、正直まだ頭が追いついてなくて」

 

 言ってからしまったと思ったが、キラさんが少し笑った。

 

「うん、普通はそうだよ」

 

 その“普通”という言葉に、少し救われる。

 

 

「ラクス、サラダを運んで」

 

「はい♪ わかりましたわ、キラ」

 

 ラクスさんの動きは、どこか優雅だった。

 同じ年頃に見えるのに、立ち居振る舞いがまるで違う。

 

「あっ、キラさん。自分も手伝いますよ」

 

「ならミストさんは、これをお願いします」

 

 手渡されたのはパンの籠。

 その温もりが、やけに現実味を帯びる。

 

 俺は戦闘で機体を操縦していた人間だ。

 なのに今、パンを配っている。

 

 ……変な感覚だ。

 

 

 全員が席に着き、バルトフェルドさんが皿を見て目を細めた。

 

「ケバブか……ヨーグルトソースはあるかい?」

 

「え、ええ、ありますよ」

 

「やっぱりケバブはヨーグルトだよね……違う人もいるが」

 

「何かあったんですか?」

 

「まあね。昔、唐辛子派と真剣に議論になったことがあってな」

 

「議論っていうか、戦争だったけどね」

 

 マリューさんがさらっと言う。

 

 戦争、という言葉に一瞬だけ空気が揺れた気がした。

 でも次の瞬間には、皆が軽く笑っていた。

 

 この人たちは、ちゃんと“前に進んでいる”。

 

 

「ミスト君は、何をかけるんだい?」

 

「……ケバブ食べた事無いんですよね」

 

 一瞬、全員が止まった。

 

「なに!?」

 

 バルトフェルドさんが身を乗り出す。

 

「それは人生の半分を損しているぞ!」

 

「ええぇ!そこまでですか!?」

 

「まずはヨーグルトソースだ!いいか、肉の脂と酸味のバランスがな――」

 

「はいはい、説明は食べてからで」

 

 マリューさんが静かに制する。

 

 俺は言われた通り、ヨーグルトソースをかけて、一口。

 

 ……。

 

「……美味い」

 

 思わず本音が漏れた。

 

 肉の香ばしさと、ヨーグルトのさっぱり感。

 野菜の歯触り。パンの温かさ。

 

 戦闘糧食とは、全然違う。

 

「どうだい?」

 

「初めて食べましたけど……美味しいですね」

 

「そうだろう!」

 

 バルトフェルドさんが満足げに頷く。

 

「やっぱりケバブはヨーグルトソースが一番さ」

 

「はいはい」

 

 マリューさんが笑いながら水を注ぐ。

 

「はは…」

 

 キラさんは困ったような顔をしていた。

 

 ケバブを食べ終わり、ふうと息を吐く。そこでふと、気づく。

 

 このテーブルには、コーディネイターもナチュラルもいる。

 けれど、今は誰もそれを意識していない。

 

 ただ、同じ料理を食べて、同じ時間を共有している。

 

 バルトフェルドさんの言っていた確執はここにはない。二分した世界ではない。この光景はその証明でもあった。

 

 ……そういえば、アトリームにも、こんな食卓はあったのだろうか。

 

 隊長やアンジェリカとこんな食卓を囲っていただろうか?

 シェルディアやレムとはこんな食卓を囲めるだろうか?

 みんなは、今どうしている。あのとき目にした光景は、隊長は──

 

 箸を持つ手が、ほんの少し止まる。

 

「ミストさん?」

 

「あ、いえ。なんでもないです」

 

 笑ってごまかす。

 

 けれど、キラさんは一瞬だけ、俺の表情を読んだ気がした。

 

 

「ミスト君」

 

 バルトフェルドさんが、不意に真面目な声を出す。

 

「この家ではな、遠慮は不要だ」

 

「……」

 

「隠すべき事は隠していい。だが、食事だけはちゃんと食べろ。戦う奴ほどな」

 

 その言葉は、軍人のそれだった。

 

 俺は、ゆっくり頷く。

 

「……はい」

 

 それ以上の言葉は、今は出てこなかった。

 

 

 食卓に、再び笑い声が戻る。

 

 異星人の俺が、ここでパンをちぎっている。

 それだけで、なんだか不思議だった。

 

 でも――悪くない。

 

 少なくともこの場でだけは、

 レヴリアスのコックピットの警告音は、聞こえなかった。

 

 食器が片付いて、テーブルの上がすっきりすると、家の中の空気が少しだけ落ち着いた。

 さっきまでの賑やかさが嘘みたいに、静けさが戻ってくる。いや、静かというより――“安心して息ができる時間”が来た、という感じだった。

 

 俺は自分のカップを両手で包む。まだ温かい。

 この一週間、オーブで助けられてばかりで、ちゃんと礼を言うタイミングを見失っていた気がする。

 

「……ごちそうさまでした。すごく、美味しかったです」

 

 俺が言うと、カリダさんが柔らかく笑った。

 

「よかったわ。緊張していると、食べ物の味って分からなくなるものね」

 

 その言い方が妙に胸に刺さって、俺は曖昧に頷いた。

 緊張、してないつもりだったのに。してたんだな、俺。

 

「さて」

 

 ハルマさんが、軽く手を叩いた。

 

「書庫の話だったね。ミスト君、少し付き合ってくれるかい?」

 

「あ、はい。お願いします」

 

 ラクスさんが、片付けを手伝おうと立ち上がる気配を見せたが、キラさんが小さく首を振って止める。

 

「ラクスは、休んで。僕がやるよ」

 

「はい♪ では、お任せしますわ」

 

 そのやりとりが、妙に自然で――“ここが生活の場なんだ”って感じがした。

 

 ハルマさんに案内されて、廊下を歩く。

 途中、壁に掛かった写真や、棚の上の小さな飾りが目に入る。戦場の匂いじゃない、普通の家の匂いがする。

 

 扉の前で、ハルマさんが立ち止まった。

 

「ここが書庫だ。ちょっと散らかってるが、気にしないでくれ」

 

 鍵が回り、扉が開く。

 中は、思ったよりも“要塞”だった。床から天井まで本棚。紙の匂い。背表紙の色。整然としているのに、どこか“生きている”感じがする。

 

「……すごい。これ、全部……」

 

「好きでね。戦争が終わってからも、情報は武器だから。集めておくと安心する」

 

 安心――その言葉が、この世界の重さを含んで聞こえた。

 

 ハルマさんは棚から数冊、慣れた手つきで抜き出した。

 机に置かれたタイトルを俺は追う。地図、歴史、技術、政治。全部“現実”の本だ。

 

「まずは地理から。オーブ、プラント、地球連合……この辺りが分からないと、ニュース一つ見ても意味が取れない。

 ダンナーベースや光子力研究所もあるが、ここは省くかな」

 

「……ニュース」

 

 俺が呟くと、ハルマさんは少しだけ眉を上げた。

 

「見たいかい? 無理にとは言わない。混乱するだろうからね」

 

「いえ……見ておきたいです。知らないままだと、余計に怖いので」

 

 自分で言っておいて、喉が乾いた。

 俺は“知る”って言った。つまり、今までの自分の常識が壊れるのを受け入れたってことだ。

 

 そこへ、ドアの外から足音。キラさんが入ってくる。

 

「父さん。……ほどほどにしてあげて。いきなり全部は、きついよ」

 

「分かってるさ。だから“会話”でやる」

 

 そう言って、ハルマさんは一冊の本を軽く叩いた。

 

「ミスト君。今日の話題は二つだけだ。

 “オーブが中立である理由”と、“ナチュラルとコーディネイター”」

 

「……はい」

 

 俺が頷くと、ハルマさんは椅子を引いた。

 まるで講義みたいなのに、口調はあくまで家庭教師だった。

 

「まず、ミスト君。君の世界には『遺伝子をいじって生まれる人間』はいるかい?」

 

「……いえ。少なくとも、俺の知る限りは」

 

「なら、こっちはいる。コーディネイターっていう。能力が高い。高くなるように“作られた”からね」

 

 俺は息を呑む。

 それだけで、複雑な話だと分かる。善悪で割れない。便利と恐怖が同居してる。

 

「反対に、いじらないで生まれた人をナチュラルって呼ぶ。数で言えばこっちが多い。

 で、ここからが厄介なんだが……“どっちが正しいか”って話じゃない。人が勝手に、そういう線を引く」

 

 キラさんが、目線を落として言った。

 

「引かれた線って、消すのが難しいんだ」

 

 その言葉は、短いのに重かった。

 俺は思わず、手元のカップを強く握った。

 

「……それで、戦争が?」

 

「そう。二年前、大きな戦争があった」

 

 ハルマさんは淡々と言う。でも、その淡々が逆に“慣れ”を感じさせた。

 何度も誰かに説明したのだろう。あるいは、自分に言い聞かせてきたのか。

 

「オーブは、どちらにも組しない中立を掲げている。

 でも中立ってのは、立場を決めないってことじゃない。守るものがある、ってことだ」

 

「守るもの……」

 

「国民。生活。文化。自由。……そして、技術」

 

 “技術”と言った瞬間、俺の頭にレヴリアスの格納庫が浮かんだ。

 触られたくない。けど直してほしい。

 その矛盾が、いま言葉になって胸に刺さった。

 

「二年前、オーブは戦場になった。

 国民を逃がして、施設を爆破した。敵に技術をそして、希望を渡さないために」

 

 俺は、口の端がこわばるのを感じた。

 

「……やっぱり、爆破まで……するんですか」

 

 ハルマさんは一拍おいて答える。

 

「“する”というより、“せざるを得ない”ことがある。

 それが正しいかどうかは、あとになっても分からない。だから皆、今でも悩んでる」

 

 その言い方は、俺がさっき抱いた疑問を、否定もしないし肯定もしない。

 ただ、“そういう世界だ”と静かに教えてくれていた。

 

 キラさんが、俺の方を見た。

 

「ミストさん。……君の機体、レヴリアスって言ったよね」

 

「はい」

 

「直すのは、きっとできる。モルゲンレーテなら。

 でも、触られるのが嫌なら、その気持ちも僕には分かる」

 

 俺は、返事が一瞬遅れた。

 

「……俺、わがままですよね」

 

「違うよ」

 

 キラさんは、すぐに言った。

 

「機体は、帰るための“体”みたいなものだ。触られるのが怖いのは、普通だよ」

 

 その言い方が、不思議と胸に入ってきた。

 俺は少しだけ息が楽になった。

 

 ハルマさんが、本を閉じる。

 

「今日のところはここまでだ。

 ミスト君、色々と情報を詰め込んだ気がするが、眠れるかい?」

 

「……はい。おそらく」

 

「なら、明日は“この世界の空”を見に行こう。海でもいい。街でもいい。

 地図より先に、実感を持ったほうがいい時もある」

 

 それはたぶん、勉強というより“生活への導入”だった。

 俺は頷いて、立ち上がる。

 

「……ありがとうございます。助かります」

 

 書庫の灯りが落ちていく。

 その暗さは、レヴリアスのコックピットの暗さとは違った。

 怖い暗闇じゃない。――明日がある暗闇だった。

 

 

 

 

 

 

 

 




今回はミストがオーブに来た日の話でした。
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