役目終了と思いきや異世界へ引きずり込まれたそうですよ? 作:問題児愛
万由里の設定が滅茶苦茶になってしまったので書き直しです。自分で設定した魔獄皇や殺戮魔宮とかよくわからない魔王は撤廃します。万由里が万由里でなくなるので………
内容は変わりますが、恋愛要素に変更はなしでいきます。ヒロイン未定ですが←
第一話 異世界へ飛ばされたそうですよ?
「私はもう、消えるために生まれた存在じゃない。あんたに逢えたから………」
そう少年に―――五河士道に笑って告げた少女は―――万由里は光の粒子となって消えていった。
五河士道の悲痛な叫び声が聞こえたような気がしたが、万由里の耳にはもう届かない。
「(これで私の役目は終わり。あとは〝無〟に還るだけ)」
万由里の表情は清々しかった。役目を果たせて満足の彼女はこのまま〝無〟へと還る―――はずだった。
『―――本当に君はそれで後悔しない?』
不意に、男とも女とも取れない声が万由里の耳に響かせた。
万由里は辺りを見回すが、声の主らしい存在は確認できなかった。
「………あんたは誰?というかどこにいるの?」
『質問しているのはこっちだよ。君はこのまま消えて―――本当に後悔しない?』
性別の判別がつかない声は万由里の質問には答えず、もう一度問う。
万由里は一瞬不機嫌そうな顔になるが、何者かの声の問いに真っ直ぐな瞳で答える。
「そんなの―――後悔しかないじゃん!可能ならまたこの世界でやり直したいよ………!」
そうだ。もしやり直せるのなら、今度は自分が士道とデートをして様々な経験を積みたいのだから―――。
万由里の願いに、何者かの声は嬉しそうに笑う。
『そうか。それが君の望みだね?』
「そうよ!だけど私にはもう時間がない………。役目を終えた私は、あとはただ消えるだけの存在だから―――」
悲しげな表情で天宮市の街並みを見下ろして言う万由里。
何者かの声はクスリ、と笑い告げる。
『ならお行き。この世界ではやり直せないけれど―――異世界なら可能だから』
「え?」と口にした瞬間、万由里の全身は突如発生した謎の光に包み込まれる。
そして万由里が何かを言おうとした刹那、彼女はこの世界から消えた。
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そして万由里の視界はすぐに開け、位置は上空4000mといったところだろう。眼下には天宮市ではない、彼女の知らない全く別の風景が広がっていた。
世界の果てを思わせるような断崖絶壁に、巨大な天幕で覆われた未知の都市。
万由里の前に広がる世界は―――完全無欠の異世界だった。
★★★★★★★★★★★★
「きゃあああああ!」
悲鳴を上げながら上空4000mもの高さから落下した万由里は、この余りにも異常な出来事に頭がついていけず混乱していた。
そして自分が精霊で、空を飛べる存在なのだが、それすらも頭からすっぽ抜けており、ザパーン!と落下地点にあった湖に着水した。
ちゃぷっ、と万由里は水面から顔だけを覗かせて不機嫌そうに呟く。
「誰だか知らないけど、あとで覚えてなさいよ………!」
万由里は自分をこのような目に遭わせた何者かに不服を漏らしながら陸へと上がる。そこへ、
「あら?他にも呼び出された人がいたのね。貴女の名前は?」
黒い長髪に赤いリボンが特徴の制服を着た少女が万由里に声をかけた。
金の長髪をサイドテールに括り純白な制服を着た少女―――万由里は黒髪の少女の目を真っ直ぐ見つめて名乗った。
「………私は万由里。あんたは?」
「〝アンタ〟ではないわ。久遠飛鳥よ。以後は気をつけて。………そう。よろしく万由里さん」
「ん、よろしく」
挨拶を交わす二人。飛鳥は続けて茶髪の少女に紹介を促した。
「それで、あそこで猫を抱きかかえているのが」
「………春日部耀」
茶髪のショートカットに簡素な私服を身に纏った少女―――春日部耀は三毛猫を抱きかかえたまま手短に答えた。
万由里も短く「ん」と返す。飛鳥はうん、と頷いて最後に金髪の少年に促した。
「最後に、野蛮で凶暴そうなあそこの彼は」
「逆廻十六夜です。とんでもない駄目人間なんで、気をつけて接してくれよ、金髪美少女様」
金髪にヘッドホンが特徴のシャツの上に学ランを羽織る少年―――逆廻十六夜は残念な自己紹介をした。
万由里は「そ」と短く返す。
「ならあんたには極力近づかないようにするわ」
「おいおい、そいつはつれねえな」
ヤハハと笑う十六夜。半眼を作って彼を見る万由里。
だがふとある疑問が浮上して三人に聞くことにした。
「自己紹介が終わったし一つ、あんたたちに聞いておきたいことがあるんだけど、いい?」
「なんだ?」
「あんたたちは―――――どうして私が
「は?」
万由里の質問に、十六夜達は素っ頓狂な声を上げた。だが万由里の眼は悪ふざけではなく真剣そのものだった。
十六夜は「ふうん」と万由里の全身を見て答えた。
「お前がどういう意味でそんな質問を俺達にしたのかは知らないが、お前の姿はハッキリ見えるぜ?」
「ええ。私にも見えるわよ万由里さん」
「私も見える」
三人はさも当たり前のように答える。万由里は「そ」と短く返して一人思考した。
「(あの人たちは私の姿が見えるんだ。………そう言えばココって異世界だったよね。向こうでは世界のシステムとして特定の人物にしか私を認識できなかったけど………ここだと私の存在って世界にとってはちっぽけな一人の女の子、なのかな………)」
もしそうだったらどんなに嬉しいことか。向こうでは世界のシステムとしてとある任務を行い、それを達成できたら役目を終え消滅する存在だった。
その役割から切り離されて、自由に世界を駆け回れる存在になれているのなら、もうこれ以上望むものはない。
「(願わくばもう一度―――士道に会えたらいいな)」
万由里は密かに士道と再会できる日がこないか、と淡い期待を胸に刻み込む。
その様子を見ていた飛鳥達はひそひそと話し合っていた。
「ねえ十六夜君。万由里さんの言ってた〝姿が見える〟とはどういう意味?」
「俺も詳しくは知らねえが、恐らくあいつは元いた世界で何らかの力で姿を見えなくしていたんだろうな」
「どうしてそんなことを?」
「さあな。ただあいつは俺達に何か隠しているのはたしかだ。そしてそれを話さないってことは―――」
「あんたたち何コソコソ話してるのよ」
そこへ万由里が割り込んできて、十六夜達は「何でもない」と言った。
万由里は首を傾げて疑問符を頭に浮かべたが、「そ」と返した。
そんな彼らを物陰から青髪のウサ耳少女が覗き見ていた。
「(うわぁ………問題児だらけですねえ………。それに黒ウサギがお呼びしたのは先に召喚したお三人様のみのはず―――とはいえ協力者が多いのはいいことです!問題は………協力してくれるかどうかですが)」
青の長髪にウサ耳が特徴に加え、ミニスカートにガーターソックスと扇情的な格好をした少女―――黒ウサギは深い溜め息を吐いたのだった。
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なかなか進展しないこの状況に十六夜は苛立たしげに言う。
「で、呼び出されたはいいが誰もいねえってどういうことだよ。箱庭とかいうやつの説明をする人間はまだか?」
「全くね。いい加減ここから動きたいわ。早く説明する人来ないかしら」
「………この状況で落ち着きすぎじゃないかな?」
「それを言うのならあんたもよ、耀」
「(貴女もです!)」
黒ウサギは四人に気づかれないようにこっそりツッコミを入れた。
「(とはいえ悩んでいても何も始まらないですし、ここは腹を括って飛び出しますか!)」
などと、黒ウサギが覚悟を決めた―――その時、
「―――仕方ねえ、こうなったら
「(なっ!?)」
十六夜の呟きにドキリとした黒ウサギは飛び跳ねてしまい、四人に呆気なく見つかってしまった。
「あら、貴方も気づいてたの?」
「当然。かくれんぼじゃ負けなしの記録保持者だぜ?そっちの二人も気づいてたろ?」
「風上に立たれたら嫌でも分かる」
「あれは隠れていたと言えるのかな?」
「………へえ?面白いなお前ら」
十六夜は軽薄に笑う。目は笑っていないが。万由里以外の三人は理不尽な招集を受けた腹いせに殺気の籠った冷ややかな視線を黒ウサギに向けた。黒ウサギはやや怯みながら言う。
「や、やだなあお三人様。そんな怖い顔で見ないでくださいよ………黒ウサギとしてはできれば穏便にお話を聞いて戴けたら嬉しいでございますヨ?」
「「「断る」」」
「満場一致のNO発言戴きました♪」
バンザーイ、と降参する黒ウサギ。だがその眼は冷静さを失っておらず、三人を値踏みする。
「(肝っ玉は及第点。この状況で拒否できるのは中々です。が、扱いにくいですね………呆れ顔の彼女は果たしてどうでしょうか)」
黒ウサギはおどけつつも、四人にどう接するか考えていると―――
「えい」
「フギャ!」
耀が黒ウサギの背後に立ち、青いウサ耳を根っこから鷲掴みにして力いっぱい引っ張った。
黒ウサギはキッと耀を睨んで言う。
「な、何をするんですか!まさか初対面で遠慮無用に黒ウサギの素敵耳を引き抜きにかかるとは、一体どういう了見ですか!?」
「好奇心の為せる業」
「自由人!?」
「へえ?お前のウサ耳は本物なんだな?」
「へ?」
「………そう。私も触りたいわ」
「ちょ、待ってくだフギャアアアアア!!!」
飛鳥と十六夜は左右から黒ウサギのウサ耳を力いっぱい引っ張った。黒ウサギは大絶叫を上げる。
万由里はジーっと黒ウサギのウサ耳を見つめて言う。
「………私も触っていい?」
「え!?」
「いいぜ」
「いいわよ」
「ちょ、お二人様!?」
黒ウサギがギョッとすると、十六夜と飛鳥は彼女を羽交い締めにして万由里に差し出す。
万由里は興味津々といった瞳で黒ウサギのウサ耳を見つめて手を伸ばす。
ビクッと体を震わせた黒ウサギは、またウサ耳を引っ張られるんだなあと思い目を瞑った。
だが痛みは一向に襲ってこない。黒ウサギは目を開けると―――
「………え?」
「本当だ。フカフカしてて気持ちいいわ」
万由里は黒ウサギのウサ耳を優しい手つきで触る。黒ウサギはキョトンとした表情で万由里を見た。
「………万由里さん?」
「ん、なに?」
「お三人様と違って黒ウサギの素敵耳を引っ張らないのですね」
「………引っ張ってほしいの?Mウサギ?」
「違います!―――って誰がMウサギですか!」
うがー!とウサ耳を逆立てて怒る黒ウサギ。それに十六夜と飛鳥はニヤニヤと笑った。
「へえ、黒ウサギはMウサギなんだ?」
「Mウサギってことは―――もっと弄っても問題ないわよね?」
ガシッ、と十六夜と飛鳥は左右のウサ耳を鷲掴みにして、
「あ、あの!やめてくだ」
「「だが断る!」」
「フッギャアアアアアアアアアア!!!!」
思いっきり引っ張った。黒ウサギは先程以上の大絶叫を上げた。それに万由里は溜め息を吐くのだった。
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結局黒ウサギのウサ耳は問題児達の娯楽の生け贄となり、それは小一時間も続いた。
「―――あ、ありえない。ありえないのですよ。まさか話を聞いてもらうために小一時間も費やしてしまうとは。学級崩壊とはまさにこのことを言うに違いないのデス」
「そんなことはどうでもいいからさっさと進めな」
愚痴る黒ウサギに催促する十六夜。涙目を浮かべている黒ウサギはなんとか話を聞いてもらえることになった。
だが万由里を除いた三人は『聞くだけ聞こう』という程度に耳を傾けている。
万由里はそんな彼らを見て小さな溜め息を吐く。黒ウサギは気を取り直して咳払いをし、そして両手を広げて説明を始めた。
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「さて、続きは我らのコミュニティでお話させてもらいますが………よろしいです?」
「待ちな。まだ俺から質問あるぜ」
「どういった質問です?ルールですか?それともゲームそのものですか?」
「そんなことは
十六夜のその質問に他の三人は無言で返事を待つ。黒ウサギは笑って答えた。
「はいな!『ギフトゲーム』とは人を超えた者達だけが参加できる神魔の遊戯です。箱庭の世界は外界より格段に面白いと、黒ウサギは保証致します♪」
その言葉に十六夜・飛鳥・耀の三人は笑みを零した。
そして黒ウサギは万由里達を連れて箱庭へと向かおうとした。
「それでは皆さん。箱庭へご案内しますので黒ウサギについてきてください!」
「ちょっと待って」
それを万由里が引き止める。黒ウサギ達は立ち止まって万由里に振り向く。
「はい?他に何か質問でも」
「ううん、質問じゃなくてあんたたちに伝えておきたいことがあるんだ」
「ふうん。それで、俺達に伝えておきたいことはなんだ?」
十六夜が問うと、万由里は「ん」と言って話し始めた。
「まず、私はあんたたちとは違って手紙なんかもらってない」
「は?」
「私がここにいるのは姿を見せなかった誰か知らない声の人と話してたら光に包まれて気づいたらここに来ていたから」
「………気づいたら?」
「そ。最後に、私は人間じゃなくて―――精霊よ」
「―――………は?」
万由里の言葉に素っ頓狂な声を上げる十六夜達。飛鳥はすぐさま問い詰める。
「ちょっと待って!万由里さん貴女、本当に精霊なの?」
「ん」
「見た目人間の万由里が?」
「そうよ」
「へえ?精霊なのか。こいつは良いことを聞いた」
「………あんた今なんか言った?」
「別に?」
ニヤニヤと笑う十六夜。万由里が「そ」と返すと、黒ウサギが先程の話を纏めた。
「えと、つまり万由里さんは黒ウサギ達が呼び出して来たわけではなく、わけもわからず謎の光に引きずり込まれてこの箱庭へ来た、ということですね?」
「そういうこと。だから私はあんたたちのコミュニティにお邪魔しちゃ―――」
「いえいえ!そんなことはございません!我々のコミュニティは万由里さんを歓迎するのですよ!」
黒ウサギは慌てて万由里の手を握って力強く言う。その気迫に万由里は一瞬驚くが、「そ」と少し嬉しそうに笑った。
「わかった。行く宛もないからあんたたちと一緒させてもらうわ」
「どうぞどうぞ♪」
黒ウサギは嬉しそうな笑みを浮かべて言った。そんな彼女を十六夜が無言で見ているとも知らずに。
万由里の天使は雷霆聖堂と滅殺皇で魔王なしでいきます。
デアラのキャラ登場順ですが―――内緒です。