レミリアに威厳(カリスマ)はありません!   作:和心どん兵衛

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艦これアーケードにハマり、レア駆逐を出そうと有り金全部はたいてみた結果。爆死しました( ´∀` )
それからは消衰しきって何もかもが投げやり状態。危うく自分の身までも投げ出す所でした。危ない危ない……

まぁ、そんな身の上話なんざどうでも良かれです。長い間開けての投稿となってしまい、少し反省。とりあえず、気休めに一読されるとありがたいです。


6・咲夜に抜かりはありません!

「どぉうりゃぁぁぁぁっ!!」

「はぁぁぁっ!!」

 

 勢いの籠った気迫と気迫がぶつかり合う。その瞬間、地震のような揺れと轟音が響き渡る。

 眼前には箒を振り下げる金髪の少女、対峙するのは銀髪の女性。咲夜である。彼女達の周囲には行く末を見守る野次馬達と私。

 さて、なぜこのような展開になってしまったのか。疑問が残っていると思うので、ここでかの実況者の如く解説してご覧になりましょう。……って、いつになく私らしくもない台詞を言ってみたり。まぁ、そんな子芝居はどうだっていいけれど。

 

 

 

 

 

 * * *

 

 

 

 

 ――――前略、我が紅魔館に侵入者が現れた。

 時刻は丁度、ランチタイムに入った頃。白昼堂々であった。侵入者は箒に跨って正面の門を突き破って堂々と侵入。侵入と呼ぶより、強行突破とも言える。侵入するにはあまりにも豪快なやり口である。豪快過ぎて逆に心地が良いという謎現象が起こるくらいだ。侵入するならせめて、裏口からひっそりと忍び込めよ。

 そのまま勢い良く突入してきた侵入者は、まっすぐにパチェのいる図書館へとまたも扉を突き破って行く。勢いなんて殺す気は全くなかった。中でパチェの悲鳴が聞こえた後、『借りていくぜ!』と男勝りな口調で話す少女が出てきたかと思えば、一直線に空へと飛んで行くのであった。

 時間にして約5秒といった所だろう。短い間に起こった事件であった。咲夜にドS行為をされない平穏な日に起きた、青天の霹靂。私に穏やかな生活はまだ遠いと、そう感じた瞬間でもあった。

 

「……という訳なの、お願いレミィ。あの困った泥棒猫をとっちめてきてもらいたいの。今回で101回目よ、もういい加減にしてもらいたい所だわ」

「泥棒猫の使い方が妙におかしい気がするのだが……」

「だって、猫みたいに可愛いんだもの」

 

 にゃぁ、と猫の鳴き声を真似るパチェ。後ろにいた小悪魔が溜まらず、『キャーっ!! パチュリー様の物まね芸キタコレ!!』と黄色い歓声を上げる。……そんなにテンション上がるものなのだろうか。普通に誰がやっても可愛いく見えると思うのだけれど……あ、咲夜は別ね。アイツがそんな事すると全身の毛が逆立ちかねない。って、私の方が猫に似ていなくない!?

 

「猫みたいに可愛い泥棒という意味じゃないからね!?」

「分かってるわよレミィ、猫耳被らせたら超可愛い愛嬌のある泥棒の事よね」

「全然分かってないよ、この魔女!! 本当に魔女なのか!?」

「いや、私魔女だから……」

「またこの言い回しかよ!? もう何なのよ、もうっ!!」

 

 コイツ、何気に私をおちょくってなくね? なんだか無性に腹が立ってきた。

 それに気づいたのか、パチェは話を本題に戻す。

 

「あはは……ごめん、ごめん。とりあえず、そういう訳だから後はよろしく頼むわよレミィ?」

「はいはい、分かったわよ。全くもう……」

 

 

 

 

 * * *

 

 

 

 

 そんな訳で、パチェの頼みを渋々引き受けた私は紅魔館からはるばる人里までやってきたのである。勿論の事ながら、咲夜も同伴である。『お嬢様の傍に常にいる事がメイドとして……否、十六夜咲夜としての務めなのです』と、彼女曰く。所がどっこい、そんな台詞は建前に過ぎなかった。本音は、『サラシを巻いて外出なさるお嬢様の身に、何かしらのハプニングが起こって胸が露わになって恥じる光景を見てみたい』との事。やはり、抜け目の無いサディストであった。絶対にそんな事なんて起こさせやしないわよ!! 意地でも起こさせないんだからね!!

 

「それで、人里に来たのは良いのだけれど。どうやって見つける気?」

「それについてはご心配いりません」

 

 自信満々にそう語るメイド。一体どこにそんな根拠があるのだろうか。全く見当もつかない。

 

「いやいや、そんな自信満々気に言われても納得しないから。そもそも、男勝りな口調でよくパチェの私物を勝手に持ち出していく人物といえば決まって一人しかいないじゃない。それに、居場所も割れているし」

「霧雨魔理沙。キノコ狩り魔法少女。魔法タイプはレベルを上げて物理で殴る系、いわゆるパワータイプ。魔法の森に住んでおり、やたらキノコに詳しい。別名、キノコ博士。男勝りな口調に性格は、同じ女性の心をも奪う何かを秘めているある意味危険人物。それに魅了された者は彼女にゾッコンになり四六時中彼女の事しか考える事ができないユリユリ状態に陥ってしまう。大変危険なので、会話する時はなるべく彼女の顔を見ず眉間のしわを注視しながら会話しましょう」

 

 突如、懐から手帳を取り出した咲夜。すると、書かれている内容を朗読し始めたのである。口調が若干機械っぽく無機質な感じなのが妙に癪に障る。それにしても、どこかで聞き覚えのある語り方である。そう、それは……カントー地方から物語が始まるアレのような。

 

「……って、ポ○モン図鑑みたいに言うなや!!」

「なんですかそれ? これは私の手帳です。幻想郷中に存在する少女という少女をまとめてある、言うなれば幻想少女録って所ですね。良かったら読みます?」

「要らんわ!!」

 

 咲夜の意外な一面を垣間見た気がした。にしても、幻想郷中の少女をまとめた手帳とか趣味が悪すぎる。まさかだけれど、あの手帳の中に私についての項目があったとしたのならば。それが万が一にでもこんな人気の多い場所で朗読でもされていたとしたら。悪寒が走った。

 ちぇーっ、と不貞腐れながら手帳をしまう咲夜。何がちぇーっての。そんな趣味の悪いもの読まされる私の身にもなれってんのよ。まぁ、前々から幼女に対する態度におかしな点がいくつかあったのだけれど。……にしてもそれをそんな所で、しかも主である私の前でしれっと暴露すんな。今後の対応に困る。

 

「とまぁ、とりあえず彼女の詳細はこんな所です。あとはどうやって捕らえるかという点なのです」

「一応、策はあるのね」

「ええ、勿論ですお嬢様。伊達に瀟洒と呼ばれている私に抜かりなどありません」

「念のために聞いておきたいのだけれど、どうやって捕らえるの?」

「それは……」

 

 咲夜はある方向に指をさす。そこには、うずくまって泣きわめく少女の姿。

 

「うわぁぁぁぁん」

「あの泣きわめいている彼女を利用するのです」

「最低だなっ!? お前、本っ当に最低だな!!」

「褒め言葉です。では、早速……」

「ちょ、何をする気!? やめなさい咲夜!!」

 

 泣いている少女を利用すると明言した咲夜。何か人としてやってはいけない外道な事しでかしてしまうのでは? そう思ったら不安で仕方がない。というより、やめさせないと後悔する羽目になる。そう直感した私は咲夜を止めに入る。が、時は既に遅し。咲夜はまるで時でも止めたかのような速さで少女の背後に立ち、身柄を拘束。そして、

 

「泣き止まないとこのキノコを口に咥えさせるぞぉぉぉぉっ!!」

「マジで何やらかしてくれてんの咲夜ぁぁぁっ!?」

 

 少女の口元にキノコを擦り付け脅したのであった。……完全にやらかしてしまった。もう後には引けないこの状況。周囲にいた人々達の間にどよめきが生まれる。突き刺さる視線が滅茶苦茶痛い。

 突然の出来事に、一瞬泣き止む少女。しかし、徐々に自分が置かれている事態に理解が追い付てくるや否。再び泣き出したのであった。

 

「うわぁぁぁぁん!!」

「ええい! 泣き止めと言ってるでしょうが! コレが目に入らないの!?」

「やぁぁぁぁっ!! 痛いぃぃぃ」

 

 咲夜はキノコをさらに強く、少女の頬に擦り付ける。かなり力任せに押している為か、少女が痛いと声を上げている。完全にやっている事が悪党そのものであった。もはや捕らえられるのは咲夜の方なんじゃないのか? ……にしても、一体どこからキノコを取り出したのやら。かなり大きなキノコである。それに、色が毒々しい。アレ、咥えてしまったら本当にヤバい奴なのでは? 色々と突っ込みたい所が山ほどある。けれど、今はそうしている場合ではない。咲夜の暴走を止めなければ!

 

「さぁ、泣き止め! 泣き止むがいい! でないと、お前はこのキノコをまるで薄い本のように咥えて舌で舐め回す羽目になるぞ?」

「いやぁぁぁぁ!! そんなのいやぁぁぁぁっ!!」

「今、明らかに公衆の面前で言っちゃいけない発言しちゃったよこのメイド!? てか、それって咥えた瞬間死ぬ奴でしょ!! いい加減にやめろおおおおおっ!!」

 

 だが、今の私にはせいぜい怒鳴ったりして抵抗する他に手段はない。今の状態で咲夜と応戦する事になってしまえば、明らかにこちらが圧倒的というよりも絶望的なまでの不利な状態となる。結論、もはや誰にも咲夜を止められる事はできない。私は周囲の人達と行く末を見守る事しかできないでいた。……こんな時に、吸血鬼の力が戻っていれば何とかなるのに。今はそれができなくて悔しい。誰か、誰かあの子を助けてあげて!!

 私が心の中でそう叫んだ瞬間、奇跡は起きた。

 一筋の光が咲夜めがけて一直線に飛来してきたのである。

 

「!?」

 

 虚を突かれる咲夜。その隙を見計らって私は少女の元まで駆け寄り、抱えてその場を立ち去る。

 

「小っせぇガキを人質にするとはな……メイドとしての誇りは何処に行った?」

 

 先ほど飛来した光の先に目を向けると、そこには一人の少女が立っていた。仁王立ちで、その男勝りな口調。百獣の王を彷彿とさせるような威厳を放ってそこに立つ彼女は、私達が探し求めていた人物であった。霧雨魔理沙である。しかし、どこか様子がおかしい気がするのは私の気のせいだろうか。

 

「さて? そんなの何処に行ったのかしらね。星の彼方かもよ?」

「ほぉう……そんじゃ、今のお前さんはさしずめ大悪党って所だな。手品師は大抵悪党だからな」

「あら、失礼ね。大悪党だなんて私に似合わないわ。メイドの方がまだしっくりくるわ。というよりも、私メイドなのだけれどね。それと訂正よ、私は手品師ではないけれど特技としてなら手品ができる程度よ」

「戯言抜かしてんじゃねーよ。とにもかくにも、今のお前はそんじゃそこらの悪党に変わりはしないさ。……ってなわけで、闇を照らし悪を討つ!! 普通の魔法使い、霧雨魔理沙。いざ参るぜ!!」

 

 それどこぞの風来坊の台詞じゃねぇか!! って、思う私であった。どうやら、最近妹の様子が変だと感じていたのだけれどまさかここに元凶がいたとは思いもしなかったよ!! 私の妹どうしてくれんのよ!? このままじゃ吸血鬼やめてヒーローになっちゃうよ!?

 

「……紅魔館メイド長、十六夜咲夜。押して参る!!」

「って、咲夜お前もかぁぁぁっ!!」

 

 私の突っ込みなど耳に入らない。そんな事は当に分かり切っていた。だが、どうしても口に出さなければ気が済まなかった。そもそも、私達の本来の目的は魔理沙から奪われたパチェの私物を取り返す事。完全に本来の目的を見失って暴走している駄メイド。挙句の果てに何も罪もない少女を人質に取るし。そんで事態に気が付いた魔理沙がやってくるし。まぁ、探し人が見つけられた事が唯一の幸いって所よね。さて、問題は今の状況をどうすべきか。これが私にとっての課題であった。考えろ、私!! この身でできる事を可能な限り、全細胞を駆使して考えるのよ!!

 しかし、考える時間など神様やお天道様、仏様に悪魔様はくれたりなんかしない。

 

「どぉうりゃぁぁぁぁっ!!」

「はぁぁぁっ!!」

 

 勢いの籠った気迫と気迫がぶつかり合い、轟音が響き渡る。

 ――――もうどうにもならない。かくして、咲夜と魔理沙による闘いの火蓋が切って落とされるのであった。

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