コードギアス―抵抗のセイラン―   作:竜華零

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TURN1:「ナイト オブ ラウンズ」

 神聖ブリタニア帝国帝都、ペンドラゴン。

 世界の3分の1を支配する超大国ブリタニア、その政治・経済・軍事の中心がこの帝都だ。

 帝都だけで60万、圏内人口は一千万に届くとすら言われる大都市でもある。

 しかしながら、帝都自体は目に優しい構造をしているとは言い難い。

 

 

 元々、帝都としての機能のみを追求した計画都市であるペンドラゴンは、どこまでも人工的だ。

 そもそも周囲には都市外壁に沿うように築かれた人工森林を除き、荒野と砂漠が広がっている。

 峻険な山々と複数の河川に囲まれたそこは攻めるに難く守るに易い、そう言う土地を選んで築かれた「強き都」がペンドラゴンだ。

 

 

 そのため、皇帝の居城であるペンドラゴン皇宮や宰相府を始めとする行政区画やブリタニア軍施設、貴族の邸宅や娯楽用の劇場などを除けば、実はペンドラゴンに住民生活に必要なインフラはあまり備わっていない。

 だから他国人の中には、ペンドラゴン近郊に存在する皇族の離宮群や市民居住区の方を「帝都ペンドラゴン」だと勘違いしている者すらいる。

 

 

 しかし、帝都ペンドラゴンは皇帝の居城ペンドラゴン皇宮の所在地こそを言う。

 例え実勢人口が他にあろうとも、皇帝のおわす地こそが帝都ペンドラゴンなのである。

 これこそ、ブリタニア皇帝の持つ権力の巨大さを示す物だ。

 そして当然、ブリタニア皇帝直属の12騎士、ナイトオブラウンズの本拠地もまた。

 

 

 ――――皇帝の居城、皇宮ペンドラゴンの中にある。

 

 

  ◆  ◆  ◆

 

 

 意図的にそうされているのかはわからないが、その部屋は薄暗かった。

 照明が絞られているのは、数百人規模の人間を収容できる大広間の割に、現在そこにいる人間がの数が2人であることと関係があるのかもしれない。

 いずれにしても、その大広間――ブリタニア皇帝の謁見の間は広大と言って良い程に広かった。

 

 

 白亜の天井と壁、柱には金の装飾が施され、磨き上げられた床の中央には真紅のカーペットが敷かれ、そして玉座たる真紅の椅子の背後にはブリタニア帝国の国旗と真紅の布がかけられている。

 階段の上に存在する至高の座に座ることが出来るのは、世界で唯一人。

 神聖ブリタニア帝国第98代皇帝、シャルル・ジ・ブリタニアのみである。

 

 

「チャールストンの主義者共の討伐、ご苦労であった――――ナイトオブイレヴンよ」

「――――は」

 

 

 「主君」たる皇帝に呼ばれたナイトオブイレヴン、セイラン・ブルーバードは階段の下で膝をつき、胸に手を当てつつ深く頭を垂れた。

 忠誠の姿勢、その黒髪を見下ろすのは世界の3分の1を手中にしている男。

 老齢でありながら衰えを見せぬ眼光、豪奢な衣装とマントに覆われた厚い胸板と長身。

 皇帝シャルルは、己の「騎士」を鋭い眼差しで玉座から見下ろしていた。

 

 

 肩の下まで伸びた黒髪、女性として発展途上の肢体をナイトオブラウンズ専用の衣装で覆った少女。

 襟元に覗く黒のインナーに裾の長い白の上着、足首まで包む白のロングスカート。

 スカートは一見野暮ったいように見えるが、実はキュロットに似たパンツ構造であり、見た目程に動きを制限されないようになっている。

 そして身体を覆うようなデザインのマントの色は、黒に近い濃紺(ダークブルー)

 

 

「報告、ご苦労であった。次の勅命あるまで、皇宮で待機しておくが良い」

「イエス・ユア・マジェスティ」

 

 

 流暢なブリタニア語で応じて、少女……ナイトオブイレヴン、セイラン・ブルーバードは、その場で立ち上がった。

 そして、退出のために手に持っていた物を顔に近づけていた。

 仮面である。

 

 

 いや、仮面と言うよりはバイザーと言った方が良いだろう。

 ナイトメア戦などで眼を保護する、顔の上半分を覆うタイプのバイザー。

 眼や表情が読めなくなるが、セイランは外にいる時は皇帝の勅命でこのバイザーをつけて生活している。

 その、漆黒の色合いの仮面(バイザー)を。

 

 

「時に、セイランよ」

「は、何でしょうか」

「身体に、変調は無いか?」

「……?」

 

 

 突然皇帝が見せた気遣いに、セイランは東洋系の幼げな顔に不思議そうな色を浮かべて、少し首を傾げた。

 バイザーを片手に持ったまま、瞳に不思議そうな色を浮かべる。

 しかしそれも一瞬のことで、彼女はすぐに姿勢を正すと「主君」の言葉に応じた。

 

 

「お気遣い有難うございます、陛下。しかし主義者討伐程度で変調をきたす程、柔な身体はしていないつもりです」

「……ふ、ふふふ、そうか。ならば良い、下がれ」

「……イエス・ユア・マジェスティ」

 

 

 奇妙な笑い声を上げるシャルルに、内心でますます首を傾げるセイラン。

 しかし「主君」に対して不敬だと思い直したのか、その場で礼をした後、今度こそ背を向けて謁見の間から退出した……今度はきちんとバイザーをつけて。

 濃紺のマントに覆われた細い背中を見送りながら、しかしシャルルは笑みを消さなかった。

 

 

 それはセイランの姿が扉の向こうに消えてからもそうで、何が面白いのか、その顔に深い笑みを刻み続けている。

 今にも哄笑を始めそうな雰囲気で、しかしシャルルはそうしなかった。

 何故なら、玉座の後ろから1人の少年が現れたからだ。

 床に届く程に長い金の髪に、神官のような衣装を纏った美しい少年。

 

 

「ねぇシャルル、あの子……青鸞(セイラン)、本当に記憶は戻っていないのかな?」

「そのようですね、兄さん。しかし大丈夫です、記憶が戻ればあの娘は己の地位を利用して私を討ちに来るでしょう……そしてあの娘の記憶が戻ったと言うことは、つまり」

「アレが再びの覚醒を果たした時、か……」

 

 

 煩わしげな溜息を吐く少年に、シャルルはどこか優しげな笑みを浮かべて見せる。

 その笑みを見ると、少年もどこか照れたように笑んだ。

 そして、どちらからともなく呟く。

 

 

「……嘘の無い世界を、兄さん」

「嘘の無い世界を、シャルル……」

 

 

 老人と少年の静かな声が、誰もいない謁見の間に木霊した。

 

 

  ◆  ◆  ◆

 

 

 ナイトオブラウンズ、帝国最強の12騎士。

 ブリタニア皇帝直属の名の通り、皇帝以外の命令に従う道理は無く、例えどれほど高位の皇族・大貴族であろうともその行動を掣肘することは出来ない。

 ラウンズを罵倒した皇子が賜死されたと言う歴史さえある、故にその権限は強大なものだ。

 

 

 皇族・貴族社会であるブリタニアにおいて、皇帝以外からの命令は受けない――無論、原則としてであって、傍若無人に拒絶して良いわけでは無い――と言うのは、すでにそれだけで特権階級であることを証明している。

 他にも免税権、軍指揮権、部隊編成権、予算権……様々な特権を有する。

 

 

『ラウンズの戦場に、敗北は無い』

 

 

 そしてその特権故に、ナイトオブラウンズは戦場で敗北することを許されない。

 帝国最強の名に恥じない貢献をすることが求められ、ラウンズが投入されただけで敵軍が戦意を喪失する程の脅威を与えることが求められる。

 それでこそ格式と伝統、特権と不文律を有する、「帝国の剣」に相応しい。

 

 

「お? ようやく来たな、遅いぞ、セイラン!」

「だっ!?」

 

 

 そしてその「帝国の剣」が集まる皇宮ペンドラゴンのラウンズ専用の談話室(サロン)、白亜の壁と品の良い調度品に囲まれたその部屋の入り口で、セイランは首に重い衝撃を受けた。

 別に戦場で不意打ちを受けたわけでは無いが、ある意味では同じことである。

 具体的には、女性らしい豊満な胸元に掻き抱かれると言う意味で。

 

 

「わ、ちょ……え、エニアグラム卿? いきなり何……あいたたたっ」

「固い固い、名前で呼んで良いって前から言ってるだろー?」

「いやいやいやっ、首っ、首絞まっ……いたたたたっ」

 

 

 皇帝との謁見を終えたセイランがラウンズ専用の談話室に入ると、突然、1人の女性騎士が腕を彼女の首にかけて引き寄せた。

 女性とは言え鍛えられた腕の力はかなり強い、セイランは痛みを訴えるのだが、むしろ力は強くなった。

 

 

 セイランの首を絞めて豪快に笑うのは、ノネット・エニアグラム卿。

 セイランが着ている物と基礎デザインが同じ騎士服を纏い、色違いの紫のマントを身に着けている――この衣装からわかる通り、彼女もナイトオブラウンズの一員である。

 席次は九番目、ナイトオブナイン。

 横髪の片方だけを三つ編みにした金髪のショートヘアに、長身でスタイル抜群の女性騎士だ。

 

 

「ヴァ、ヴァインベルグ卿、助けてください!」

「えぇ? あ~、ははは。まぁ、エニアグラム卿の気持ちもわかるしねぇ」

「な、何故(なにゆえ)に……たっ?」

「つーかお前、何でそんなバイザーしてんだ?」

「いや、それは陛下の命令で理由は良く……痛い痛い、極まってるから!」

 

 

 一番近くに立っていたが故にセイランに助けを求められ、しかし助ける所かノネットが羽交い絞めにしている彼女の頭に手を置いた青年。

 金髪碧眼に長身、長い後ろ髪をいくつか三つ編みにして肩に流している美青年だ。

 名前はジノ・ヴァインベルグ、ブリタニアの名門貴族の出身でありラウンズの一員「ナイトオブスリー」と言う、ある意味で完璧な組み合わせを有している。

 

 

「俺のことも名前で良いって言っただろ~? うりうりうりうり」

「うにゅにゅにゅにゅ……!」

「おいジノ、紳士としてそれはどうなんだ?」

「貴女にだけは言われたく無いです、それに何となく撫で易い位置にあるんですよ」

「ああ、わかるわかる。私も何となく抱き易い位置にあるんだよな……お?」

 

 

 ふとノネットが視線を下に下げる、するといつの間にかセイランが俯いていた。

 やり過ぎたか? と彼女がジノと顔を見合わせると、ジノは肩を竦めて見せるばかり。

 そして、次の瞬間。

 

 

「やめんか――――っ!!」

 

 

 セイランがキレた、両腕に渾身の力を込めてノネットの腕を振り解く。

 うわぉ、と大仰な仕草でノネットとジノが飛び退く。

 しかしその顔はおふざけモードであって、まだ遊びの最中であることを示している。

 そんな2人に対し、セイランは威嚇するように「フーッ」と肩を怒らせた。

 

 

「毎度毎度毎度毎度毎度毎度……毎度! いったい何回同じ事をすれば気が済むの!?」

「セイランもいつも引っかかってるじゃん」

「いやぁ、お前ってからかうと面白いしさー」

「馬鹿にされてる!? これボク馬鹿にされてるよね!? もう、今日と言う今日は――――」

 

 

 パシャリ。

 

 

「……って、ふぇ?」

「記録……」

 

 

 カメラの音に引かれて顔を上げれば、そこにはセイランよりもさらに年少の少女がいた。

 頭の後ろで束ねた桃色の髪に、表情の無い人形のような綺麗な顔、小柄な体躯。

 しかし身に纏うのはセイランのそれより露出の多い――おへそまで見えている――騎士服と桃色のマント、セイランよりも年少の少女だ。

 

 

 アーニャ・アールストレイム、趣味は携帯電話での撮影とブログ更新。

 年齢が近い上に同性とあって、ラウンズの中では特にセイランと交流がある騎士だ。

 とは言え今は、ノネットとジノにからかわれるセイランを携帯電話で撮影しているばかりだが。

 彼女は無表情なまま、こてんと首を傾げて。

 

 

「……面白い、もっと続けて」

「良し来た!」

「え、ちょ……ア、アーニャ――――ッ!?」

 

 

 合点承知と羽交い絞めにしてくるノネットに抵抗しつつ、セイランはアーニャに非難の声を上げた。

 爆笑するジノの目の前、当のアーニャは静かにブログ用の写真を撮る。

 ちなみにアーニャ・アールストレイムのブログは、ブリタニア帝国でも屈指の閲覧数を誇っていることで有名だった。

 理由は、推して知るべし。

 

 

  ◆  ◆  ◆

 

 

 当然の話ではあるが、セイラン達の騒ぎに参加しない者もいる。

 ナイトオブフォー・ドロテア・エルンスト、そしてナイトオブトゥエルブ・モニカ・クルシェフスキー、黒髪に褐色の肌のドロテアと、長いブロンドの髪に赤のリボンを巻いたモニカ。

 どちらも若い女性で、それぞれ騎士服の上に薄青と黄緑のマントを纏った彼女達は、サロンのソファに座ってティータイムを楽しんでいる所だった。

 

 

 特に興味が無いのか、彼女らはサロン入り口の騒ぎにちらと視線を向けただけで、その後はすぐに元の話題へと回帰した様子だった。

 同じラウンズだからと言って、別に仲良しこよしのチームでは無いと言うことだろう。

 まぁ、この場合はセイランが加入して時間が経っていないと言うのもあるのだろうが。

 

 

「騒がしいわね、大陸出身者はお茶の時間を大切にしないのかしら」

「東洋系が珍しいんだろう。それより欧州戦線の方なんだが、どうも……」

 

 

 そして意外に思われるかもしれないが、ラウンズにおいて東洋系であるセイランへの人種的差別意識というものは、一部を除いて無い。

 これはラウンズが完全に実力主義の枠組みであるためで、皇帝シャルルの「強さこそ正義」の精神を体現しているためだ。

 明確な人種差別政策を執るブリタニアの、矛盾とも言えるだろう。

 

 

 生粋のブリタニア人であるジノ、アーニャ、ノネットは元より、そしてそれぞれ別大陸出身者の血を引くモニカとドロテア、まがりなりにもこれらの人材が一つに纏まっているのは、ラウンズの選定基準に人種・性別・年齢・人格が考慮されていないことに原因がある。

 しかしそれは同時に、人格破綻者が加入する可能性も排除しないと言うことでもある。

 

 

「おやぁ、卑しい豚の匂いがするなぁ……」

 

 

 その時、サロンにいやらしい響きの声がした。

 騒いでいた者も、静かにしていた者も、一様にその声の方向へと視線を向けた。

 帝国最強、ナイトオブラウンズ。

 サロンの隅で爪にヤスリをかけていたその男は、ラウンズの中でも特異な部類に入る男だった。

 

 

「いつから、ラウンズのサロンは豚小屋になったんだろうなぁ?」

「お言葉ですがブラッドリー卿、この部屋に豚などいませんよ。いるのは、咲き誇る花ばかりです」

「花ぁ? はは、貴族のお坊ちゃんは言うことが違うねぇ」

 

 

 笑みの質を変えてジノが視線の先へと言葉を投げると、投げかけられた男は引き攣ったような笑い声を上げた。

 そこにいたのは、ソファの肘掛けに腰掛けるオレンジ色の髪を逆立たせた男だ。

 名前をルキアーノ・ブラッドリー、ナイトオブテンの称号を持つ騎士である。

 彼は猛禽類を思わせる瞳でセイランを見ると、嘲笑を隠すこともなく彼女にヤスリの先を向けた。

 

 

「だぁが、そこにいる花は見るに耐えない醜さじゃないか。何の功績も無いイレヴンの雌豚が一匹、ラウンズに紛れ込んできたってことだろう?」

「彼女はイレブンではありませんよ、日系ブリタニア人です。今では日本はエリア11となっているので、ただのブリタニア人……」

「貴族のお坊ちゃんは黙ってなぁ」

 

 

 8年前の戦争で、ブリタニアは日本を占領した。

 しかしそれ以前から両国には有形無形の交流があり、その中には移民と言うものも存在する。

 セイラン・ブルーバードは、そうした移民の子孫である。

 とは言え長い世代をかけてブリタニアと交わったためか、彼女の「弟」などは生粋のブリタニア人の容姿をしている。

 

 

 しかし「姉」たる彼女、セイランは先祖返りなのかどうなのか、ブリタニア人らしい容姿をほとんど有していない。

 唯一、流暢なブリタニア語と騎士叙勲だけが彼女を「ブリタニア人」たらしめているのだ。

 そのセイランは己の容姿や血筋を恥じるでもなく、ましてジノ達の背中に隠れるでも無く、バイザー越しにルキアーノを睨み返しているが。

 

 

「何だぁ? 東洋の雌豚風情がこの私に意見があるとでも?」

 

 

 しかし16の小娘に睨まれた程度で怯むような人間は、ラウンズにはいない。

 事実、ルキアーノはソファから離れ、セイランに向かってゆっくりと歩いてきた。

 その手の中には、相も変わらずヤスリが握られている。

 

 

「ふん……小娘ぇ、お前の大切なモノは何だぁ?」

 

 

 猛禽類のような瞳が愉悦に歪み、尖った舌が唇を舌なめずりのように舐める。

 ルキアーノの纏う禍々しい雰囲気に、セイランは足の裏に力を込めた。

 今にも衝突が始まりそうな空気に、他のラウンズもそれぞれ形にすることなく身構えた。

 

 

「戦場では常にたった一つの大切なモノを奪い合う、だからこそ美しいのさ。まぁ、イレヴンの雌豚には理解できないだろうがなぁ」

 

 

 ――――<ブリタニアの吸血鬼>。

 戦場における彼の素行をして、彼はそう呼ばれる。

 殺人・破壊に対して何よりも美意識を持ち、合法的に人を殺し、破壊を撒き散らすことが出来る戦場、そして戦場を作り出すブリタニア軍にいるのはそのためだ。

 自称「人殺しの天才」、れっきとした人格破綻者である。

 

 

「さぁて、お前の大切なモノは何かなぁ……?」

「…………!」

 

 

 ジノとノネットに挟まれる形で立っていたセイランは、濃紺のマントの端を揺らして身構える。

 頬に一筋の汗が流れるのは、人格破綻者であるが故の強さを持つルキアーノの力を感じ取ってか。

 笑みを深めるルキアーノ、表情を緊張させるセイラン。

 周囲のラウンズがそれぞれの緊張を表す中、2人の距離が確実に縮まり……そして。

 

 

「そこまでです、ブラッドリー卿、ブルーバード卿」

 

 

 そして、7番目の騎士(ナイトオブセブン)が姿を現した。

 セイランやジノ達から見て背後、サロンの入り口に立っていたのは騎士服を着た少年。

 纏うマントの色は――――黒。

 

 

 色素の薄い茶色の髪に琥珀色の瞳、細身だが鍛えられた身体。

 先年のエリア11での戦いで実妹である「日本最後の首相の娘」を仕留めた功績でラウンズに抜擢された、ナンバーズ出身者初のナイトオブラウンズ。

 すなわち……枢木スザクが、そこにいた。

 

 

  ◆  ◆  ◆

 

 

 ――――記憶がある。

 それは数ヶ月前、極東の無人島……神根島での記憶だ。

 目の前で妹が撃たれ、そして幼馴染の少年の消失を見た、見ることしか出来なかった少年の記憶である。

 

 

『枢木よ、そうまでして妹を守りたいと吐かすか……ならばそれも良かろう』

 

 

 神根島の遺跡の向こう側、扉の向こう側から現れたブリタニア皇帝は少年に言った。

 少年は仮面の友のギアスを受け、胸を撃たれ一度は死んだ妹をほとんど無意識に庇っていた。

 はたしてそれがギアスによるものなのか、ギアスを言い訳にした本心の行動なのか、それはもはや少年にすらわからない。

 

 

『ならば、貴様がその娘を守るが良い。同じラウンズとして、記憶の無い、赤の他人へと成り下がった妹をな。その娘が目覚めるまでの、守り役として……』

 

 

 だから彼は、願う。

 青鸞――セイランが、記憶を取り戻さないことを。

 目覚めないでいてくれることを、願っていた。

 仮面を被り続けてほしいと、そう思った。

 

 

 その理由は、何だろう?

 

 

 後ろ暗いことは、たくさんある。

 だからだろうか、だとしたら何とも気分の悪い話だと自分で思う。

 救い難い。

 しかしそれでも、逃れられない物はあるから。

 

 

「ここは陛下のおわす皇宮ペンドラゴン、ここで無用な騒ぎを起こすようなら、皇帝陛下の御名において誅伐を与えなくてはならなくなります」

 

 

 だから彼は、妹を差し出して出世した男としてそこにいる。

 妹はもちろん、ジノやノネットすら通り過ぎて、ルキアーノの前に立った。

 セイランの視線の上に、漆黒のマントに覆われた背が入ってくる。

 

 

「あぁ……? イレヴン如きが、陛下の威を借りて私に意見しようと言うのか?」

「事実を申し上げているだけです」

 

 

 凄むルキアーノに対して、しかしスザクは微動だにしなかった。

 エリア11にいた頃に比べて、どこか据わったような目をしているのが印象的だ。

 その瞳には、人として持つべき何かが欠けているようでもある。

 一方で、庇われた形のセイランはやや訝しげな顔をしていた。

 

 

 実の所、スザクに庇われるのはこれが始めてでは無いのだ。

 東洋系、それも日系ともなればラウンズではともかく、外ではそれなりの扱いを受けることもある。

 そう言う時、さりげなさを装ってスザクが必ず傍にいた。

 そして生粋のナンバーズであるスザクにその場の攻撃が集中し、比較対象としてセイランが「マシ」になる……。

 

 

(……この人は、どうしてボクを気にかけてくれるんだろう?)

 

 

 同時期にラウンズに加入したと言う以外に共通項は無い、かと言って普段はまるで交流が無い。

 話しかけても無視されることが多く、事務的な会話しかしない。

 少なくとも、庇われるような関係では無いはずなのに。

 だからだろうか、侮られたという不満よりも疑問が先に立つのは。

 

 

 だから、気が付けばつい目で追ってしまう。

 表情の少ない顔、どこか哀しそうな瞳、人を寄せ付けない雰囲気。

 セイランがこの数ヶ月、最も気にしている相手であるとも言える。

 その時、スザクの背中を見つめるセイランに対して、何かに気付いたのかノネットが。

 

 

「好きなんじゃねーの?」

「そっ……! ……そんなわけ、無いよ」

「ふーん……?」

 

 

 不思議だった。

 不意の言葉に顔を赤くしたセイランだが、それが急に消えたのだ。

 鼓動と同時に跳ねた声は、即座に沈んで落ち着いて物となる。

 理由は、セイラン自身にもわからなかった。

 ただ、それは「違う」とわかっていただけだ。

 

 

 ――――何故かは、自分でもわからなかった。

 

 

  ◆  ◆  ◆

 

 

 一台のリムジンが、皇宮ペンドラゴンからロイヤルガーデン――皇族達の私邸や離宮のあるエリア――へと向けて、自然と近代的な道路が一体化した通りを走行していた。

 黒塗りに防弾コーティングと、典型的なVIP専用車である。

 その中にいるのは、運転手を除けば2人の少女だけだ。

 

 

「疲れた……」

「……お疲れ様」

 

 

 リムジンの広い後部座席、そこをたった2人で占拠しているのは、皇帝・皇族・貴族を除けばブリタニア帝国で最も高貴とされる集団に所属していればこそである。

 ナイトオブラウンズの6番と11番、アーニャとセイラン。

 しかしラウンズの騎士服を身に纏った2人の少女の姿は、都会の道を歩く女子達と少しも変わらないようにも見えた。

 

 

 それはそれとして、リムジンの車内でセイランはどこかぐったりとしているようだった。

 まぁ、ただでさえ緊張を強いられる皇帝との謁見の後、ノネットやジノに弄られ、かつこれまた胃が痛くなることにルキアーノに絡まれ、である。

 常人であれば、すでに辞表の10枚は書いていて良いような状況と言えた。

 そんなセイランに対して抑揚の無い声で「お疲れ様」とあっさり言うアーニャも、相当ではあるが。

 

 

「ラウンズって、変な人ばっかりだよね」

「そうでもない、普通」

「いや、普通、ではないと思う……」

「じゃあ、普通ってどんなの?」

「え、あー……そうだねぇ」

 

 

 うーん、と腕を組んで考えてみるセイラン。

 普通、とは何か。

 古いが現在でも語られる話題だ、なかなかに回答が出ることでも無い。

 

 

 しかし、セイランはそれとは別に愕然とした。

 自分の「記憶」を探る限り、彼女自身にも普通の知り合いと言うのがいないことに気付いたのである。

 だが、何故だろうか。

 ショックだと言うよりは、妙な空白感を胸に感じるのは……。

 

 

「セイラン?」

「え……あ、ああ、ごめん。ラウンズの中だと、ヴァインベルグ卿あたりが割と普通かな」

「ジノ、変」

「それは、本人に言わない方が良いと思うよ……?」

 

 

 苦笑しつつ、セイランは車内テレビへと視線を移した。

 そこには国営放送ニュースが流れていて、どうやら植民エリアに関する物らしかった。

 昨今、南米や中東などの諸地域のエリアで反ブリタニアを掲げる武装勢力の運動が活発化しているためだろう。

 

 

 先年のエリア11――旧日本における黒の騎士団の活動活発以降、旧式兵器グラスゴーの設計図と製造ノウハウが拡散した結果、世界各地でテロや紛争が急増した。

 拡散させたのは日本最後の首相の娘だと言うから、ブリタニアの騎士としては迷惑な話だった。

 最も、その張本人も先年の戦いで表舞台から永久に姿を消すことになったのだが――。

 

 

『続いて、エリア11についてのニュースです。先年のセキガハラ決戦以降、対話によって数十の武装勢力を降伏させられたユーフェミア代理総督は、本日未明さらに3つの武装勢力を解体させ――――』

 

 

 ――ずくん、と、左胸が疼いた。

 エリア11の名を聞いた途端、セイランは胸の奥が苦しくなるのを感じた。

 それは先程感じた空白感とは質の異なる、より強い何かだった。

 まただ、と、目を閉じながらセイランは軽く眉を顰めた。

 

 

 実を言えば、この感覚は今回が初めてでは無い。

 ふとした瞬間、昔のことを思い出そうとした時や、こうして他のエリアのことを聞く時。

 どうしようもなく、揺れる。

 胸の内、心の奥で――――何かが、疼くのだ。

 

 

「……セイラン?」

 

 

 はっ、として、目を開ける。

 横を向けば、そこには無表情にこちらを覗き込むアーニャの姿がある。

 一瞬、その無垢な瞳に赤い輪郭が見えた気がしたが、それは気のせいだろう。

 だからセイランは誤魔化すように笑みを作って、アーニャに笑いかけた。

 

 

「何でも無いよ、ちょっと疲れちゃっただけ」

「……そう。何なら、家まで送るけど」

「あはは、本当に大丈夫だよ。それにアーニャ、これからまた仕事でしょ? 何だっけ、えーと……」

「護衛」

「そうそう、皇女殿下の護衛。でもそれはそれでおかしいよね、ラウンズを護衛につけるだなんて」

 

 

 アーニャは今、ある皇女の護衛についている。

 しかし皇帝直属の騎士であるラウンズを貸し出すなど、本来はあり得ないことだ。

 まぁ、皇帝の勅命である以上、手足たるラウンズがどうこうは言うべきでは無いが。

 

 

「知らない、皇帝陛下の命令。あの子……」

 

 

 無いのだが。

 

 

「ナナリー皇女殿下を、守れって」

 

 

 どうしてだろうと、セイランは思う。

 想う。

 どうしてこんなにも、胸が辛くなるのか。

 

 

 何でも無いことのはずなのに、それにいちいち心が反応する。

 鬱陶しい、そして苦しい。

 この感情は、いったい何なのだ。

 自分は何かの病気にでもかかったのだろうかと、セイランは思った。

 ――――今にも泣き出してしまいそうな、そんな気持ちで。

 

 

  ◆  ◆  ◆

 

 

 ブリタニア本国が夜になろうと言う時間、エリア11では朝日が昇っていた。

 エリア11、先年のセキガハラ決戦で独立の是非が決まるはずだった植民エリアである。

 しかし現在、このエリア11はいささか奇妙な状況に陥っていた。

 

 

「失礼します、藤堂さん」

「……朝比奈か。千葉と仙波はどうした」

「草壁中佐とキタキュウシュウに詰めてます、あそこはブリタニア軍との接点ですから」

「そうか……」

 

 

 セキガハラ決戦でオオサカまで撤退した黒の騎士団(旧日本解放戦線含む)は、この数ヶ月でキュウシュウ・エリアまでの後退を余儀なくされていた。

 中華連邦の侵攻に合わせて奪取したキュウシュウと違い、チュウゴク・シコクには無傷のブリタニア軍の拠点が無数にあったためだ。

 背後に敵を抱えたままオオサカに居座れば、包囲殲滅されるのは目に見えている。

 

 

 だからこそ、この半年近くはキュウシュウへの転進と維持に腐心していたのである。

 1000万人の日本人が住むキュウシュウは、反体制派の拠点とするには十分だ。

 しかし食糧や水などの物資や工業的な必需品に関しては、十分とは言い難いのが現状だった。

 今の所は、キュウシュウ内のブリタニア人の本州への移送などで時間を稼いでいるが……。

 

 

「それで、どうした」

「はい、ゼロが紅月と護衛小隊を連れて作戦行動に入りました。ト号作戦、開始です」

 

 

 ただそれも、先年の戦いで行方不明になったコーネリア総督の代理としてトーキョーに君臨しているあのブリタニア帝国第3皇女、ユーフェミア・リ・ブリタニアの対話路線があればこそだろう。

 これがコーネリアであれば、3ヶ月前には全面攻勢に出て叩き潰されていたはずだ。

 まぁ、黒の騎士団はそのユーフェミア代理総督の対話要請を悉く拒否しているが。

 

 

「藤堂さん、やはり最近のゼロは何かおかしい。あまりにも秘密にしていることが多すぎます」

「……今は、ゼロを信じておけ」

 

 

 ただこれには、ゼロへの批判も組織内にはある。

 まずセキガハラ決戦で撤退したこともそうだが、戦場から消えていた空白の時間の説明が無いこと、枢木青鸞の件――そしてそもそも、ユーフェミアの対話要請の拒否理由も説明しない。

 トップダウンが黒の騎士団の特徴とは言え、最近のゼロの行動はあまりに不信に過ぎた。

 

 

『――――藤堂』

 

 

 その不信と不満の代表とも言える部下を前にして、藤堂は事前に話をした黒の騎士団のトップ、ゼロと交わした言葉を思い出していた。

 今少しの間、キュウシュウの地を持ち堪えよと命じた後の言葉だ。

 ゼロは、藤堂を前にこう言ったのだ。

 

 

『私は、青鸞嬢を必ず取り戻してみせる――――』

 

 

 あの仮面のリーダーは、そう言った。

 知っている、確実に彼は何かを知っている。

 だがゼロがそれを藤堂に語ることは無いだろうと、藤堂には確信があった。

 確信があったからこそ、藤堂はゼロを信じていた。

 

 

 秘密を多く抱える中で、しかしそれでも騎士団を纏めていたのはゼロだ。

 その才覚に懸けて、藤堂はまだゼロに従う。

 かつて同じように奇跡を起こし、奇跡を求められた身だからこそ。

 そして、彼は――――……。

 

 

  ◆  ◆  ◆

 

 

 ミレイ・アッシュフォードがけたたましく鳴り響く携帯電話の音で叩き起こされたのは、トーキョー租界の時計が午前1時を過ぎた頃の話である。

 当然だが真夜中、夜空では極東特有の透き通ったような月と星が輝いている時間だ。

 いかに学園でお祭り女と呼ばれる彼女でも、穏やかに眠っている時間である。

 

 

「ん、んぅ~~……? もぉ、誰よぉ、こんな時間にぃ」

 

 

 広すぎず狭すぎない、それでいて上流階級とわかる調度品の並べられた寝室。

 その中心にある丸みを帯びた少女らしいベッドの上で、ミレイはもぞもぞと動きながらベッドテーブルの上に手を伸ばした。

 鳴り響くコール音が寝起きの耳に響く、彼女は秀麗な顔立ちを顰めつつ携帯電話を掴んだ。

 その際、2回ほど掴み損ねたのは愛嬌と言えるだろう。

 

 

 そしてベッドの中に持ってきたそれの画面を見ると、こんな時間にかけてきた不心得者の名前が表示されていた。

 リヴァル、生徒会メンバーである。

 こんな時間に乙女の就寝を邪魔するとは、ミレイの顔に不機嫌の色が浮かんだ。

 しかし無視することはなく、彼女は意外と素直に電話に出た。

 

 

「ちょっとリヴァル? 今何時だと思って……」

『会長! テレビ、テレビつけてみてください! ニュースやってますから!』

「ニュースぅ? 何でそんなもの……」

『良いから! 早く! ルルーシュが、ルルーシュの奴が……!』

 

 

 ――――ルルーシュ?

 その名前を聞いた時、ミレイの顔に隠しようの無い負の表情が浮かんだ。

 どこか申し訳無さそうなその顔は、半年前に目の前でナナリーが疾走したあの日のことを思い出しているのだろう。

 

 

 だが、あの日あの場で起きたことに関して、彼女にはどうすることも出来なかった。

 超常の力の前には、彼女のような唯人は無力でしかないのだから。

 それに彼女がナナリーを探そうにも、ある事情から警察にナナリーの捜索願いを出すことも出来ない。

 だから、やはり彼女に出来ることは無かった。

 しかしミレイはそのことにすら気付いていない、だから自責の念はどうしても残るのだった。

 

 

「リヴァル、ルルーシュがどうしたって言うのよ」

『テレビをつければわかりますって!』

 

 

 そのルルーシュも、租界の復旧が終わって正常化した学園には顔を見せている。

 だが生徒会には来ない、来なくなってしまった。

 それが、ミレイには殊の外辛い。

 辛いこと、なのだった。

 

 

「もう、何なのよ……」

『早く早く! ルルーシュが!』

 

 

 溜息を吐き、足取り重くベッドから出る。

 ゆったりとしたベージュのネグリジェの裾を床の絨毯の毛と擦り合わせながら歩いて、1分後には電話の向こうにいるリヴァルの言う通りにテレビをつけた。

 するとそこには、あり得ない映像が流れていた――――……。

 

 

 ……――――ここで、場所を変えるとしよう。

 距離にして、トーキョー租界からおよそ8800キロメートル。

 神聖ブリタニア帝国、帝都ペンドラゴン。

 深夜のトーキョーと異なり、朝を迎え各機関が正常に動き始めた午前9時頃のことだ。

 

 

「お久しぶりです、皆様」

 

 

 それは月に一度行われる、御前会議の席上でのことだった。

 帝国宰相シュナイゼルを始めとする閣僚、第一皇子オデュッセウスを頂点とする皇族・大貴族、そして高級軍人が参加して国家の行く末を討議する重要な場だ。

 今日の議題は植民エリアの安定やEUとの戦争についてであるため、帝都にいるナイトオブラウンズも参加するよう命じられている。

 

 

 だから、セイランを含むナイトオブラウンズはそれを直接見ることになった。

 まるでその場にいる全員が、たった1人の少年の演出のために用意された駒であるようなその状況を。

 その場で誰かが声を上げたようでもあるのだが、セイランはそれを良く覚えていない。

 例外として、ラウンズの列から一歩を下がったスザクの様子だけを覚えていた。

 他には、目の前の……現れたたった1人の少年のことしか、覚えていない。

 

 

「神聖ブリタニア帝国第11皇子、第17皇位継承者――――」

 

 

 夜のように黒い髪、深い紫の瞳、少女と見紛うばかりの美しい容姿。

 細いその身には金のラインをあしらった黒い衣装を纏い、春の涼風に乗るように颯爽と現れた少年。

 大扉を支える門番の兵士は、何故か少年が真の主君であるかのように頭を下げていた。

 

 

「――――ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア」

 

 

 そしてその少年の姿から、セイランは視線を外すことが出来ない。

 視線を外すことができないでいるセイランに、その少年……ルルーシュは。

 気のせいか、微笑んだような気がした。

 その微笑を見た途端、セイランの左胸が軋みを上げた。

 

 

「地獄の底より、舞い戻って参りました」

 

 

 そして彼は、挑戦するように顎先を上げる。

 顔を上げたその先にいるのは、至高の座にいる彼自身の父親。

 神聖ブリタニア帝国皇帝、シャルル・ジ・ブリタニア。

 

 

 彼の者もまた、玉座より己が息子を見下ろしていた。

 8年ぶりに再会した息子に向けるには冷たすぎる視線を、少年に向ける。

 そして少年もまた、父親に向けるには多分に剣呑な視線を向ける。

 そうして、父と子はいつまでも視線を交わし合っていた。

 見詰め合うのでは無く、睨み合うことで。

 

 

 ――――彼らは、互いの存在を確かめ合うことが出来た。

 




 最後までお読み頂きありがとうございます、竜華零です。
 今話からR2編の出だしがスタート、うん、状況はわかって頂けましたでしょうか?
 原作を読んでおられる方々にはわかったかなぁと思いますが、そうでない方々に通じるか不安です。
 まぁ、通じてない方が好都合な面もありますがね……!(きりっ)。

 と言うわけで、R2編ではブリタニア陣営もどんどん出てきます、もちろん日本側の人達もさらに頑張ってもらわなくては。
 ともすれば中華連邦とか忘れそうですが、まぁ何とかしましょう。
 そして長らくお待たせ致しました、次話から以前に募集したブリタニアの投稿オリキャラが登場してきます。
 誰が採用されるか、お楽しみに。
 と言うわけで、久しぶりの次回予告です。


『ルルーシュ皇子、初めて見る人。

 だけど、どうしてだろう……彼を見ていると、胸が苦しくなる。

 とても、切なくなる。

 どうしてかは、わからない。

 ……ボク、どうしちゃったんだろう』


 ――――TURN2:「皇子 の 帰還」

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