コードギアス―抵抗のセイラン―   作:竜華零

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 他の話がSTAGE表記なのに、第零話だけ漢字表記であることに突っ込みが無い件について……!
 それはさておき、最新話です。
 今回は後書きにて募集がありますので、よろしければご確認ください。



STAGE6:「次へ の 胎動」

 

 営倉。

 いわゆる懲罰房であって、軍規違反などの理由で罪を犯した軍人を収監する独房である。

 旧日本軍を母体とする日本解放戦線においても、当然それはある。

 ナリタ連山の拠点の中でも最も地下にある暗い空間に、それは設置されている。

 

 

 電子ロックのかかった、重厚感のある大きな鉄の扉がそれだ。

 ここは特に重営倉と呼ばれる営倉で、通常の営倉よりも扱いは厳しい。

 広さは3畳、1日の食事は麦飯3合と固形塩、水のみ。

 そして、彼女がここに自ら入ってすでに2日目……。

 

 

「中佐殿に――――敬礼ッ!」

「ご苦労、ロックを開けてくれ。時間だ」

「はっ!」

 

 

 その場所に、藤堂がいた。

 当然だが藤堂が営倉入りの処分を受けたわけでは無い、そんなことになった日には日本解放戦線は冗談ではなく回らなくなってしまうだろう。

 逆に言えば、それだけ藤堂の肩に重圧がかかっていると言うことでもある。

 

 

 そして藤堂の後ろには、一組の男女がいる。

 朝比奈と千葉だ、それぞれ藤堂と同じ深緑色の軍服に身を包んでいる。

 それぞれ特に反応は無いが、千葉がやや疲れを感じさせる表情を浮かべているのは、彼女が先程別の営倉から出てきたばかりだからだ。

 2日、同じだけの日数を千葉は過ごしたのである。

 

 

「開きました。中佐殿、どうぞ!」

「うむ」

 

 

 電子キーに「開錠」の文字が表示されて、2歩下がって女兵士が敬礼する。

 それに頷きを返し、藤堂は扉の前に立つ。

 すると自動式の扉が重そうな音を立てながら横にスライドしていく、中も狭いが扉の開きも狭い。

 長身の藤堂が身を屈めて、中に一歩を踏み出して……止まった。

 

 

「藤堂さん?」

 

 

 急に動きを止めた藤堂に、朝比奈が訝しむ。

 しかしどう言うわけか藤堂は中には入らず、むしろ背を向けて外へと出た。

 そして、彼は目を閉じたまま咳払いをして。

 

 

「……千葉、すまないが起こしてやってくれ」

「は?」

 

 

 普段ならあり得ないことだが、千葉は藤堂の言葉の意味を図りかねて眉を顰めた。

 しかし朝比奈は「あ」と声を上げ、そこで千葉も何かに思い至ったのか表情を改めた。

 そして溜息を吐き、藤堂の横を通って狭い室内へと入っていく。

 

 

 後ろから聞こえてくる千葉ともう1人の声に微妙な表情を浮かべつつ、藤堂は何となく朝比奈を見た。

 すると彼の部下は肩を竦めて笑って見せた、藤堂は再びの咳払いでそれに応じる。

 藤堂としては珍しいことに、どこか気まずそうな表情を浮かべているように見えた。

 

 

  ◆  ◆  ◆

 

 

 青鸞は、恐縮していた。

 営倉に備えられている畳の上、白の襦袢姿で正座する青鸞がいる。

 そこから1畳を挟んで藤堂がいる、彼は傍らに刀を置いて正座で青鸞と向かい合っていた。

 藤堂はと言えば、どことなく気まずげな雰囲気を醸し出していた。

 

 

「その……すみません」

「む……」

「いえ、あの、直さなくちゃな、とは思ってるんです。ただその、寝てる間のことは自分でもなかなか……み、見苦しいものをお見せして……」

「い、いや、別に見苦しいと言う程では」

「え?」

「ああ、いや……」

 

 

 何故か営倉の向こうで朝比奈の悲鳴が聞こえた気がしたが、とにかくこのままではお互い話にならないということで、流すことにした。

 咳払いの後、藤堂は改めて青鸞を見た。

 白の襦袢姿の少女は、心なし袷を直しながら居住まいを正す。

 藤堂の視点から見て、僅か2日で少し痩せたようにも思えた。

 

 

「……本日一二○○をもって、お前の営倉入りは解除される」

「はい、先日の租界での独断行動、本当に申し訳ありませんでした」

 

 

 指をつき、青鸞が額を畳に触れさせるように頭を下げる。

 それに対して、藤堂は一瞬だが苦しげな顔を見せた。

 本来、軍人では無い青鸞が営倉に入る必要は無い。

 だが一度解放戦線の指揮下に身を寄せたからには、自身の行動に対して一定の責任は生ずると言うことで、自らの意思で重営倉に入ったのである。

 

 

 それを潔しと見る者もいれば、そうでない者もいる。

 だが青鸞の存在はナリタの保護住民や兵士の一部では象徴的なイメージがある、そのためこの処置を知っているのは藤堂を含む幹部連だけだ。

 重営倉が選ばれたのはその過酷さと、最大3日と言う時間の短さがちょうど良かったためだ。

 しかし、藤堂が苦しげな表情を浮かべたのはそんな理由からではなかった。

 

 

「……スザク君を、追ったそうだな」

「…………」

 

 

 ぴくり、と、頭を下げたままの青鸞が肩を震わせた。

 それを見て、藤堂は内心で溜息を吐く。

 

 

「そうか、わかった……もう良い」

「良くはないです!!」

 

 

 顔を上げて、青鸞が叫んだ。

 しかし藤堂は目を閉じて首を横に振り、取り合わなかった。

 

 

「情報によれば、スザク君は昨日晴れて無罪が確定したらしい。クロヴィス総督の殺害実行犯はゼロ、ブリタニア側はそう発表した」

「だからこそ……だからこそ、(ワタシ)。ボクはっ、結局……!」

 

 

 その先は、藤堂には聞かずとも理解が出来た。

 もしスザクが疑いの通りクロヴィス総督を仕留めていたのだとすれば、いろいろなことに言い訳が出来た。

 名誉ブリタニア人になったのはチャンスを待つためで、日本国最後の首相の息子としてあえて泥を啜っていたのだと言うこともできただろう。

 

 

 実際、日本解放戦線の中でも彼を英雄として扱うべきだという声はあった。

 しかし一般の日本人に対してはそれで良くても、青鸞にとってはそんなレベルの話では無い。

 スザクが本当はブリタニアにいるのか日本にいるのか、どちらなのかと。

 そして今さらブリタニアを敵とするなら、7年前に何故……と、そんな青鸞の心の声が藤堂には聞こえるようだった。

 

 

「ボクは結局、裏切り者を助けに行ったような物じゃないか……!」

 

 

 それで千葉や周囲に迷惑をかけたことが、青鸞には許せなかった。

 戻った時、藤堂には言ったが……本当に、どうしてあんなことをしたのかは彼女にもわからない。

 気がついたら身体が動いていて、何かを聞きたくて仕方が無くて、だけど出来なくて。

 結局、何の意味も無かった。

 

 

 スザクはブリタニアを敵とはしていなくて、今も名誉ブリタニア人の軍人として日本人を取り締まる側に回っている。

 そんな人間を、少なくとも形の上では青鸞は形振り構わず助けに向かうようなことをしていたのである。

 租界のブリタニア軍がジェレミアの暴走で混乱していなければ、どうなっていたかわからない。

 

 

(……桐原公……)

 

 

 そして藤堂にも、目の前で苦しんでいる青鸞を救うことが出来ない。

 もしかしたなら、彼が知っていることを話せば一定の解決は望めるのかもしれない。

 だがそれがはたして青鸞にとって救いになるのか、自信が無かった。

 彼に出来るのは、ただ。

 

 

「……6月に、お前を解放戦線の顔として公表することが決まった」

 

 

 畳に手をついて身を震わせていた青鸞は、語りかけるような藤堂の言葉を聞いた。

 ブリタニア本国から正式な新総督が赴任する、その前後に日本解放戦線として日本中の反体制組織に協力と蜂起を促すことになる。

 象徴、核、そう言う存在に青鸞がなる。

 だがそれ自体は、5年前から決まっていたことだった。

 

 

「最終的には、お前自身が決めることだが……事前準備として、まず青鸞、お前に直属の親衛部隊が作られる。規模はそれほどでは無いが、しかし、将来のことを考えて人を率いる経験を積むべきだと少将閣下が判断された」

「……片瀬少将が……」

「それについて、私は何も言わない。だが青鸞、一つだけ約束してほしい」

 

 

 考えとは異なることを話しつつも、しかし藤堂は努めて平静な声で語りかけた。

 8年前から、剣と戦術を教えてきた少女に対して。

 

 

「二度と、先日の租界のようなことをしないと。お前に何かあれば……いろいろなことが、崩れてしまうのだから。何をおいても、まずは生き残ることを考えてほしい」

「……はい」

 

 

 真剣な顔で頷いてくる青鸞、その瞳に迷いは見えない。

 しかしだからこそ、藤堂は人知れず表情に陰を落とす。

 まるで、抱えた真実の大きさに押し潰されそうな。

 天空を支えることに疲れた、神話のアトラス神のような――――。

 

 

  ◆  ◆  ◆

 

 

 はたして自分が幸運な人間なのか不運な人間なのか、枢木スザクは判断がつかなかった。

 つい昨日までかれは大逆罪の犯罪者だった、クロヴィス総督殺害の罪を着せられた。

 もちろん無罪ではあるのだが、あの騒動の後ゼロの下から自主的に離れ――軍事法廷からの逃亡は、重大なルール違反だから――戻った。

 テロリストと繋がっていると思われても仕方ない状況、彼は死を覚悟していた。

 

 

 しかしジェレミア卿の暴走のせいで混乱していて、裁判どころでは無かった。

 そしてあれよあれよと言う間に証拠不十分で釈放され、とはいえ名誉ブリタニア人部隊に戻ることも出来ずどうするかと考えていた時、ある人物に出会った。

 そこが、彼の人生の転換点であった。

 

 

「本日よりお世話になります、枢木スザク准尉です。よろしくお願いします!!」

「はぁいよろしく~、あ、じゃあ早速だけどいろいろ測らせて……」

「よろしくね、スザク君。わからないことも多いだろうけど、私達も精一杯のサポートをするから」

 

 

 そして今、彼は新しい配属場所にいた。

 特別派遣嚮導技術部――――略称「特派」、名前の通り技術部である。

 ブリタニアの最先端技術を用いて次世代のナイトメアを開発するのがその役目であり、新技術を実地でテストすることも職務に含まれている。

 

 

 そして対照的な態度でスザクを迎えているのは、特派の上司2名だ。

 1人はロイド・アスプルンド、特派の長であり、伯爵位を持つれっきとした貴族であり、次世代ナイトメアの開発を一手に手がける天才科学者であり――――と、あらゆる意味で完璧な男性だった。

 ただ本人の全体的に「緩い」性格のせいか、縁なし眼鏡と裾の長い白衣、筋肉の張っていない細身の身体と合わさって、威厳の威の字も無い男でもある。

 

 

「いや、あの、セシル君? どうして僕の前に出るのかな、僕一応上司……」

「ロイドさん? まずは新人さんへの説明が先だと昨日私言いましたよね?」

「あ、あー、あはは、いやだなぁ。覚えてるよ~」

 

 

 そして長であるはずの男を笑顔で威圧している女性が、セシル・クルーミー。

 ボブストレートの黒髪に化粧の薄い顔、理知的な美人と言うのが表現としては正しいだろうか。

 もちろんどちらもブリタニア人、ナンバーズ出身のスザクとは背景からして違う。

 

 

 技術部、准尉、ナイトメア、その全てがブリタニア人にのみ許された特権だ。

 それが今、何故スザクの物となっているのか。

 全てはシンジュク事変からだ、あの時、スザクの運命は変わった。

 全てが変わり、昨日ある人と出会い、全てが決したように思える。

 

 

(あの日から、何かが……)

 

 

 シンジュク事変、悲しむべき事件。

 「同胞」の日本人が殺戮された事件、スザクはその場に名誉ブリタニア人の一等兵としていた。

 しかし日本人の殺戮には手を貸していない――貸すはずも無い――テロリストの強奪した毒ガスの奪還が任務だった、ゲットーで使われれば日本人がたくさん死ぬ、それを防ぎたかった。

 

 

 そこでの再会と負傷を経て、彼は出会った。

 セシルの説明を受けながら、スザクは「それ」を見上げた。

 彼の「力」、彼の願いを現実へと体現してくれるもの。

 白い西洋風の鎧兜を思わせる姿をしたそのナイトメアこそ、彼の「力」。

 皮肉なことに、その機体は<湖の騎士>の名を持っていた。

 

 

  ◆  ◆  ◆

 

 

 ルルーシュ・ランペルージ――あるいは、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア――は、その日、非常に疲れていた。

 元々体力に恵まれているわけでは無いが、ここの所は「課外活動」も多い。

 ある事情で「課外活動」については誰にも説明できない、よって学校の方を疎かにすることも出来ないからますます疲れる。

 

 

 加えて言えば、彼はアッシュフォード学園において生徒会のメンバーでもあった。

 通常行われる生徒会の仕事程度であれば問題は無かっただろうが、仕事量を何倍にも増やしてくれるミレイと言う生徒会長がいて――金髪でスタイル抜群のブリタニア人女生徒、元貴族でもある――彼の疲労を3倍の速度で蓄積させてくれているのだった。

 

 

「ルルーッ!」

 

 

 そしてその生徒会の仕事も何とか終えて、学園長のはからいで家族と共に住まわせてもらっているクラブハウスへと帰ろうとしていた時。

 聞き慣れた声が耳朶を打った途端、どういう気持ちの切り替え法を使ったのか、表情から全ての疲労と不機嫌を排除した。

 変わりに人の良さそうな、それでいて完璧な笑顔で振り向く。

 

 

「何だい、シャーリー」

 

 

 そこにいたのは、アッシュフォード学園の女子制服を着た少女だった。

 明るい髪色そのままの天真爛漫な笑顔を浮かべた少女の名は、シャーリー・フェネット。

 ルルーシュの級友であり、生徒会の仲間でもある。

 明るく美人、人気者の典型例のような少女だった。

 

 

「あれ? ルル、もしかして疲れてる?」

 

 

 そして、勘が鋭いことで有名。

 今もルルーシュの取り繕った笑顔を看破し、彼の疲労を察した。

 明晰な頭脳を持ち心理学にも通じているルルーシュも、彼女には勝てない。

 一度だって、勝てた試しなど無いのだ。

 

 

「もし良かったら、皆で街にお茶に行こうと思ってたんだけど……」

「ああ、すまない。少し具合が悪くて、皆で楽しんできてくれ」

「そう……カレンさんもなんだよね、具合が悪いなら仕方ないけど、残念」

 

 

 心の底から残念そうにそう言うシャーリー、彼女の後ろには朱色の髪の少女が穏やかに佇んでいた。

 こちらはシャーリーとは対照的な大人しい印象を受ける少女で、ストレートの髪とぼんやりした目元が特徴的だった。

 名前はカレン・シュタットフェルト、病弱で出席日数は少ないが、「学生はどこかのクラブ・委員会に参加しなければならない」と言う校則に基づき生徒会に参加している。

 

 

「……大丈夫?」

「ああ……大丈夫だ、少し休めば」

 

 

 こてん、と可愛らしく小首を傾げて尋ねてくるカレンに、ルルーシュは頷いた。

 彼の目に、一瞬だけ剣呑な色が灯ったのだが……それは、誰にも気付かれない。

 彼だけが知る、彼だけの感情だからだ。

 

 

 シャーリーとカレン、2人の少女と別れたルルーシュは、そのまま帰路についた。

 全寮制の学園だが中には特例を受ける生徒もいる、ルルーシュはその1人だった。

 だがルルーシュにとってみれば、それは特段気にすることでも無かった。

 重要なのは、元皇子である自分とその家族が平穏を過ごせるかどうかなのだから――――。

 

 

 

「おかえりなさい、お兄様」

 

 

 

 ――――家族、妹。

 それが、ルルーシュにとっての何よりも優先すべき理由だ。

 だから彼は、クラブハウスのホールで自分を待っていてくれた妹に視線を合わせるように膝をついた。

 

 

 たっぷりとしたウェーブがかった栗色の髪、身体を締め付けないゆったりとした衣服に包まれた身体は華奢で、力を入れれば折れてしまいそうな程だ。

 肌は透き通るように白く、緩やかでたおやかな雰囲気を持つ少女。

 可憐、そんな単語を一身に凝縮したような少女にルルーシュは微笑みかける。

 

 

「ただいま、ナナリー」

「ふふ、くすぐったいです」

 

 

 ナナリー、それがルルーシュの妹の名前だ。

 自分の存在を知らせるように頬を撫でれば、言葉通りくすぐったそうに身を竦める。

 別にルルーシュは気障でそうしているわけでは無い、自分の存在を実感させたかったのだ。

 ……目の前の、瞼を閉じた盲目の妹に。

 

 

 瞳だけでは無い、ナナリーは車椅子の上に座っていた。

 両足が、動かない。

 ほとんど使わないために肉がつかず、ほっそりとした両足はスカートに覆われて見えない。

 目と、足、ナナリーが失った物。

 小さくは無いそれらは生来の物では無い、過去、外的な要因で失われた物だ。

 

 

「……ん」

 

 

 それはルルーシュの中の昏い部分を呼び起こす、だが……ナナリーが頬に触れた兄の手を握れば、それがさざ波のように緩やかな物になっていくのを感じる。

 癒し、それがルルーシュにとってのナナリーと言う存在だった。

 

 

(……アイツにとっても、そうなのだろうか)

 

 

 何となく、ルルーシュはそんなことを思った。

 記憶の向こうにあるのは、どちらかと言うと兄である友人に泣かされている女の子しかいないが。

 それでも、アレはアレで当人達にとっては大切な思い出にでもなっているのだろうか。

 租界で再会したあの少女は、今はどう想っているのか……。

 

 

「お兄様?」

「ん? ああ、すまない。ちょっと考え事をね」

 

 

 ふと黙りこくったルルーシュを心配するようなナナリーの声に、彼は少し慌てて応じた。

 ナナリーを不安がらせるようなことは、極力避けなければならない。

 だから彼はたとえ見えなくとも、妹のために微笑みを浮かべようとして……。

 

 

「…………」

 

 

 不意に、視線を別の場所へと向けた。

 柱の陰、こちらを妙に冷えた目で見つめる人間の姿に気付いたからだ。

 それは少女、それもこの世の物とは思えない程の美貌を持った少女だった。

 

 

 だが、ルルーシュはその少女を見て素直に「美しい」とは思わない。

 ナナリーを見て「愛しい」と感じることはあっても、その少女に一切の愛情を感じることは無い。

 何故なら、その少女は<魔女>だから。

 契約の魔女、緑色の髪の○○○だから。

 

 

  ◆  ◆  ◆

 

 

 営倉入り解除の翌日、青鸞は無頼のコックピットの中で緊張していた。

 日本解放戦線が基本戦闘訓練(ブートキャンプ)で使用する訓練場、ナリタ連山の深い渓谷の一部を使ったそこを無頼で疾走している。

 身に纏っているのは当然濃紺のパイロットスーツ、頬には一筋の汗。

 

 

 ディスプレイから見える空はすでに赤らんでいて、夕方の遅い時間であることがわかる。

 赤茶色の渓谷の土をランドスピナーで噴き上げ走りながら、青鸞は左右のディスプレイを何度も確認していた。

 何かを警戒しているようだが、それはどこか捕食者を恐れる小動物のようでもあり……。

 

 

『A-01、ポイントに姿なーし』

『A-02、目標地点に敵影無し』

『A-03、ポイントアウト』

 

 

 不意に通信機から声が響く、それぞれ若い男女の声だ。

 別々のポイントに向けて先行していたのだが、どうやら外れを引いたらしい。

 しかし青鸞がそれに思いを致した次の瞬間、コックピット内に警告のレッドランプが灯った。

 

 

 瞬間、青鸞は操縦桿を強く引いた。

 無頼が急速逆走を行った直後、下がった位置に土柱が3つ立ち上る。

 とはいえ規模は大きくは無い、それぞれ2メートル程の高さだ。

 

 

「流体サクラダイトの対戦車地雷……!」

 

 

 サクラダイト、日本固有のレアメタル資源だ。

 電気抵抗が無い超伝導物質であって、ナイトメアの駆動エネルギーを生み出すコアルミナスはこのサクラダイトが無いと動けない、それ程の戦略資源である。

 日本には世界の70%以上の埋蔵量があり、実は7年前の戦争の原因の一つでもあった。

 保有量が多いことと可燃性が高いことから、日本軍では兵器として使われることもある。

 

 

「く……!」

 

 

 ディスプレイを埋め尽くす土の雨に眉を顰める、もちろんこの程度でナイトメアは倒せない。

 避けたのはランドスピナーを守るためだ、しかしである。

 動きを誘導された、そう青鸞が気付いた次の瞬間、機体が断続的に大きく揺れた。

 直撃、砲撃、その意識が脳内を占めるよりも早く噛み殺した悲鳴が漏れる。

 

 

 コックピットの上に直撃したそれは模擬弾で、片膝をついた無頼が上を確認すれば、風雨で削れて出来た渓谷の土壁に伏されていた2両の戦車が確認できた。

 ずんぐりとしたそのフォルムは旧日本軍の制式戦車であって、言うまでも無く旧式である。

 7年前の戦争では、ナイトメア擁するブリタニア軍に散々に潰された兵器だ。

 

 

(こんな簡単な仕掛けにも、対応できないなんて……!)

 

 

 後から考えてみれば、誰でも考え付くような戦術だ。

 地雷で止めて、戦車を固定砲台として使う。

 グラスゴーレベルの装甲しかない無頼が相手なら、戦車砲を倒せるのだから。

 

 

『――――青鸞さま』

 

 

 その時、無頼の通信機から落ち着いた声が響いた。

 知っている声だ、草壁の部下で佐々木と言う、シンジュクや租界に共に潜入した解放戦線のメンバーの1人。

 その冷静な声が、無頼のコックピットに響く。

 

 

『大将機が撃破されたため、第3次訓練を終了します。各機は指定されたルートで拠点内に戻り、整備と補給を受けてください――――以上』

 

 

 通信が切れて、静かになる。

 頭上では戦車が移動していて、その音がコックピットの中にまで響いてきている。

 それを聞きながら、青鸞は軽く唸りながらがくりと項垂れた。

 自分が、情けなかった。

 

 

  ◆  ◆  ◆

 

 

「――――ふん、未熟だな」

 

 

 ナリタ連山地下のナイトメア格納庫、古川達メカニックが戻ってきた4機の無頼を整備する音が響く中、青鸞の前で巨体の胸をそらしている男がそう言った。

 草壁である、彼の後ろには例によって彼の派閥の部下達が並んで立っていた。

 草壁の手にはファイルがあり、今しがたまで行われていた模擬戦の評価がそこに書かれていた。

 もちろん、草壁の手で行われた評価は最低である。

 

 

「大将機が我先に撃破されるとは、まったくもって片腹痛いわ! そもそも敵影を探すのに全機を分散させるなど愚の骨頂、それでは兵力を集中させた敵に遭遇した時、各個撃破の好餌になるということがわからんのか!!」

「……お言葉、返しようもありません」

「誰が口答えを許可したか?」

「…………」

 

 

 草壁の前、パイロットスーツ姿の青鸞が直立不動で立っている。

 今日の昼に営倉入りを解かれた彼女は、将来自分の直属部隊に発展するだろう一小隊を任されることになった。

 青鸞が正規の軍人になれる年齢では無いため、要人の護衛小隊と言う扱いになっている。

 

 

 所属ナイトメアは青鸞の専用機を含めて4機、日本解放戦線保有ナイトメアの1割近くである。

 それに伴い整備士・スタッフは20名弱ついている、今ナイトメアを整備している古川達がそれだ。

 ただ何分一日目のためか、部隊として纏まっていない印象を受ける。

 

 

「ふん、今日の所はこれで終了するが、後ほど報告書をまとめて私の所に持ってくるように。下手なものを書けば容赦なく書き直しを命じるのでそのつもりでいるように、良いな!」

 

 

 ただ、草壁が青鸞の教育係に任じられたのは誰にとっても意外だっただろう。

 何しろ草壁は今も昔も青鸞に対して厳しく、それを知らない者はいない程だったのだから。

 今も散々に青鸞をこき下ろした後、ズンズンと音を立てそうな勢いで歩き去っていった。

 ……殴られなかっただけ、まだマシと言うべきだろうか?

 

 

「青鸞さま、まずは部隊の者達に声をかけるべきかと」

「あ、はい……」

 

 

 そして副官のような立場で彼女をサポートしているのは佐々木、こちらは草壁の下からの異動である。

 どういう理由かは青鸞も知らないが、彼女はシンジュク・ゲットー行きの前後から青鸞に協力的な態度をとってくれていた。

 ただ人を纏めるという経験の少ない青鸞にとっては、非常に助かる存在ではあった。

 

 

「えっと、お疲れ様です。えーと……」

「青鸞サマー、いっスかぁ?」

「は、はい、何でしょう」

 

 

 青鸞の前に並ぶ3人のナイトメアパイロットの1人、山本飛鳥中尉が挙手をして言った。

 20代半ばのこの黒髪の男性は、パイロットの中では最も階級が高い。

 青鸞が18歳になるまで、護衛小隊を預かる隊長と言う扱いである。

 彼はどこか眠そうな顔で青鸞を見ると、妙に可愛らしく首を傾げながら。

 

 

「とりあえず、今日は解散ってことで良いですかねぇ?」

「え、えー……っと、それは困ります、たぶん」

「たぶん?」

「あ、いえ、たぶんではなくて……」

 

 

 まだ良く知らない相手だからか、あるいは相手がどこか野良猫然としたマイペースぶりを発揮しているためか、青鸞としては接し方にまだ迷いがある。

 すると2人目のパイロット、上原ヒナゲシが俊敏な動作で挙手、発言を求めてきた。

 黒髪に赤い瞳、青鸞の知るデータによれば山本とは士官学校からの付き合いだとか。

 

 

「青鸞さま。隊長には私が後でキツーく申し渡しておきますので、今はどうか無視を」

「い、いや、無視って言われても……」

「とりあえず報告書出せば良いんじゃね?」

「隊長! 失礼でしょう!?」

「あ、あ~……」

 

 

 藤堂やその道場出身者とは毛色の違う者ばかりが相手、藤堂系列の厳粛な軍人に慣れている青鸞には聊か厳しい。

 というか、気のせいでなければ一癖も二癖もある者ばかり集まっているような気がする。

 まさかとは思うが、他の部隊で持て余している人材を押し付けられたのでは無いだろうか。

 

 

 助けを求めるように周囲を見渡すのは、新人の性か。

 しかし佐々木も必要以上のことはしてはくれないし、山本や上原などはまだあまり良く知らない。

 もう1人、護衛小隊でナイトメアパイロットをしている榛名大和(はるなやまと)と言う男がいるのだが……。

 

 

(ど、どう呼べば良いのか……)

 

 

 黒髪黒目の典型的な日本人、鍛え抜かれた厚い胸板をそらして立つ男。

 山本と同年代だが年上に見えるのは、おそらく雰囲気のせいだろう。

 苗字がキョウト分家筋の少女、雅と同じなのは兄妹だからだ。

 なのでもちろん、青鸞にとっても遠縁ながら親戚と言う関係になるのだが。

 

 

 だからこそ、どう接すれば良いのかという判断に苦しむ。

 「枢木」として命じるのも躊躇があるし、「青鸞」として頼るのもどうかと思う。

 彼女にとって、両方の「自分」と関わりを持つ人間の相手は戸惑いが大きかった。

 

 

「……青鸞さま」

「あ、はい」

「……方針の、決定を」

 

 

 その大和に言われて、青鸞ははっとした、随分と時間を無駄にした。

 何となく部隊の皆も中だるみしているような空気でもある、青鸞は慌てて言った。

 

 

「と、とにかく! 草壁中佐に報告書を上げなくてはならないので、各員、今日の模擬戦について大至急レポートを提出してください!」

「すぐに揃えてお持ちします」

「してくださいって言われてもねぇ……」

「隊長!? 恥ずかしいからちゃんとしてください!」

「……承知しました」

 

 

 上から佐々木、山本、上原、大和である、まとまりの欠片も無かった。

 青鸞は溜息を吐いた、疲労が濃い、あとはどうすれば良いのかわからない不安。

 自分と異なる考えを持つ人間をまとめる、あの桐原公などは自然に出来てしまうことだろうに。

 

 

 枢木青鸞は、これまで「人に見られる」ことや「他人に助けられる」「自分でやる、誰かを助ける」など、キョウトの女として必要なことは一通り学び、命令を受ける兵士としての訓練も受けてきたが。

 しかし今、新たに「人をまとめる」ことの難しさに苦しんでいた。

 

 

  ◆  ◆  ◆

 

 

 ……随分とヘコんだ顔をしている物だ、と、草壁は思った。

 彼の執務室は畳張りの和室の造りになっている、どことなく書斎のような雰囲気だ。

 応接室は別の場所にあるのだが、彼は和風のこの部屋をこよなく気に入っていた。

 

 

「…………」

 

 

 そして今、上座で座布団に座り、文机の上に片手を置いて十数枚の紙束を睨んでいる。

 電子化せずに紙で見る所は、草壁の微妙なこだわりのようだった。

 しかも手書きで筆ともなれば、なかなかこのご時勢できる者はいないだろう。

 

 

 だだ今回に限って言えば、その紙の上で踊っている筆文字は彼の目にとまる物だった。

 独特のうねりを持つそれは達筆と言うに相応しく、筆で文字を描くことに慣れていることが見て取れた。

 確か、何かのデータで見た気もするが……書道六段、だったか。

 

 

(まぁ、流石はキョウトの女と言った所か)

 

 

 そう思い鼻を鳴らすと、彼の前で畳に直接正座している少女がビクッと身体を震わせた。

 青鸞である、時刻はすでに午後10時、すでに3度目の報告書提出である。

 流石にもうパイロットスーツ姿ではなく着物――艶の青灰色の絹地に草葉や花兎の文様――姿だが、草壁の評価を待つその姿は罠にかかった小動物のようだった。

 

 

 キョウトの家の娘だからと言って、ナリタにいる限り甘い顔をするつもりは草壁には無かった。

 そもそも青鸞の広告塔(誰が何と言おうと草壁はこの認識を変えるつもりは無い)起用に反対なのだ、彼は。

 だからこそ、片瀬から部隊運用について教えてやるよう命じられた時は内心で愕然とした物だ。

 なぜ私が、と、問い質したいと思っても無理は無いだろう。

 

 

「……おい」

 

 

 ビクッ、と肩が震えるのが見えた。

 ……確かに認めてはいないが、そこまで怖がられると逆に面白く無い。

 

 

「そんな風に辛気臭い顔をされると、こちらも嫌な気分になるのだがな」

「す、すみません」

「私とてこんな時間まで付き合わされて迷惑なのだぞ、せめてもう少し頼りになる顔をして見せたらどうだ」

「は、はい……えっと」

 

 

 青鸞は草壁の言葉を受けて、俯き気味だった顔を上げた。

 そして背筋を伸ばし、頬の肉を上げ、笑顔を……。

 

 

「ヘラヘラ笑えとは言っておらんわ!!」

(じ、じゃあ、ボクにどうしろと……!?)

 

 

 青鸞はもう、今日一日で心身ともに疲れ切ってしまっていた。

 営倉から出た翌日のナイトメアでの模擬戦――簡単な罠に嵌まって戦車相手に惨敗――の後、慣れない護衛小隊の人々をまとめようとして――あの後も全くまとまりが無かったが――そして、終わった。

 文字通り何も出来なかった一日であって、租界でのことも含めて打ちのめされていた。

 

 

 そして草壁である、先日、大阪から来るメンバーの迎えで共闘した時もそうだったが、草壁は自分に対してかなり厳しい。

 藤堂なども甘いわけでは無いが、やはり草壁には敵わないだろう。

 そう言うしかない立場なのはわかっているつもりだが、最近では素で自分のことが嫌いなのではないかと思えてきた。

 

 

「ふんっ……まったく、それに何だこの文字を並べただけの報告書は。字が上手いだけで中身が無いわ、本当に何も出来ん小娘だな」

「…………はい」

 

 

 今日までは、それでもそれなりに自分も出来ると思っていた。

 これでもキョウトの、枢木の女だ。

 習字もだが、幼い頃から帝王学を始めとして習い事を叩き込まれてきた。

 ナリタに来てからはナイトメアと剣術、戦術などを藤堂道場で学び、1人の兵士としては最低限技量を磨いてきた。

 

 

 しかし、いざ父の跡を継ぐためのステップになると――――気付く。

 自分は、自分1人で出来ることに関してはめっぽう強いが。

 誰かと共に、チームとして何かを成すということに関してはまるで経験値が足りないのだと。

 今日という日は、それに気付かされた一日だった。

 まさに、何も出来ない小娘である――――……。

 

 

「……ふん」

 

 

 明らかに落ち込んでいる様子の青鸞に、草壁はもう一度鼻を鳴らす。

 草壁にしてみれば、落ち込むと言うこと事態がすでに甘えである。

 父の跡を継ぐ、なるほど大層な目標だ。

 だが実際は、そんなことが15の娘に容易にできるはずも無い。

 そう、出来るはずも無いのだ、だから。

 

 

「……貴様のような小娘に、最初から人を纏められるわけが無いだろうが」

 

 

 ぐ、と、膝の上に置いた手を青鸞が握り込む。

 気のせいでなければ、その目尻に光る物が生まれ始めていた。

 

 

「15の乳臭い小娘に威厳などあろうはずもないからな、第一、語り方もわからず他人行儀な小娘などと胸を開いて話す兵などおらんわ」

「…………」

「実績も威厳も無い小娘が小なりと言えど人の上に立とうと言うのだ、臍で茶が沸かせそうだな、兵のことを思えば笑えもせんが」

「……でも」

「何だ?」

 

 

 ぐ……と眉を下げた顔で目線をあげて、やや潤みを帯びた声で青鸞は言う。

 どうすれば良いのか、わからない。

 そう言うと、草壁は「甘えるな」と一喝した後。

 

 

「どうすれば人の上に立てば良いのかわからず、怖いか」

「……はい」

「そうか、では下の者はどうかと考えたことはあるのか」

「え……わぷっ!?」

 

 

 ばさっ、と顔に書類をぶちまけられて、紙の雨に呑まれた青鸞が目を閉じながら声を上げる。

 音を立てて畳の上に落ちていく紙を横目に、草壁は青鸞から目を逸らして身体ごと横を向いた。

 

 

「上の者は怖いだろう、だが、下の者は怖くないのか。そんなわけはあるまい、上に立った人間がどんな人格をしていて、どういう指示を出すのか。自分の命に直結する問題だ。上官たる者はそうした下の者の不安も常に考えて行動せねばならん」

 

 

 饒舌に過ぎるか、と思いつつ、草壁はつまらなそうな目を青鸞に向ける。

 対する青鸞は、少し目を丸くして草壁を見ていた。

 

 

「とはいえ、貴様のような小娘にそんなことを望むのもな。せいぜいお友達ごっこでもして、馴れ合いの関係でも築いてみたらどうだ。小娘にはそれが似合いであろうよ」

「……お友達、ごっこ、ですか」

「ああ」

「……お友達……」

 

 

 それ以上は話したくないとでも言わんばかりに、草壁は手を振る。

 報告書はもちろん再提出である、その点について草壁は容赦はしない。

 というか、容赦して良いことでは無い。

 

 

 一方で、青鸞は何事かを考えるような表情を浮かべていた。

 そしてふと気付いたように散らばった書類を集めると、それを胸に抱えたまま頭を下げた。

 それから慌しく部屋の扉の所まで小走りで進んで。

 

 

「あ、あの、草壁中佐はまだお休みには……」

「良いからさっさと書き直して来んか、小娘が!」

「は、はいっ……あの!」

 

 

 扉を閉める前に、青鸞はその場で腰を折って頭を下げて、再び顔を上げた後。

 

 

「ありがとうございます!!」

 

 

 弾けるような笑顔でそう言う青鸞を、草壁は見もせずに見送った。

 まぁ、笑顔であったことがわかったということは見ていたと言うわけなのだが。

 草壁はおそらく、それを認めないだろう。

 

 

 そして外に出た青鸞は、胸にバラバラの書類を抱えたまま通路を駆け出した。

 普段の彼女なら珍しい慌しさだが、その顔に浮かぶのは明るい笑顔だ。

 それを、偶然見かけた藤堂は意外そうな顔で見ることになる。

 通路を駆け去っていく少女の横顔を見送って、藤堂はやや口元を緩めると。

 

 

「……どうやら、杞憂だったらしい」

 

 

 そう呟いて、元のペースでゆっくりと歩き始めた。

 とはいえ、あらゆる意味で青鸞はこれからだと藤堂は思っていた。

 片瀬が彼女に与えた護衛部隊、それが上手く回るかどうかで青鸞の将来も決まるだろう。

 しかし今の笑顔をずっと保つことが出来るなら、何とかなるのかもしれない。

 この時の藤堂は、まだそう思うことが出来た。

 

 

  ◆  ◆  ◆

 

 

 ナリタ連山には日本解放戦線の本拠地としての顔と共に、温泉街と言う顔も持っている。

 地下水の豊富なナリタ連山、場所によっては地熱に熱せられたお湯が湧き出ている所もある。

 そして山の中腹にある自然の温泉に、彼女達はいた。

 

 

「地元出身の避難民の方に聞いた所、ここの温泉は溶存物質含有量が少なくて肌に優しい温泉だそうです」

 

 

 ちゃぷ……とお湯の雫を掌の上から落としながら、青鸞は暗記したらしい言葉を述べた。

 透明度の高いお湯の中、白いバスタオルで胸までを隠した彼女はちらりと横を見た。

 そこには佐々木と上原を始めとする護衛小隊の女性メンバーが10名前後いる、周囲は衝立と野外テントの布を重ねて仕切りが設けられている。

 

 

 皆、ほかほかの温泉で大なり小なり表情が緩んでいた。

 ナリタ連山を背嚢を持って行軍する踏破訓練、その帰りに皆を連れて来たのだ。

 帰還のルートにここを設定したのは、もちろん青鸞である。

 何故なら、護衛小隊の皆と親睦を深めるにはどうしたら良いかと雅に聞いてみた所。

 

 

『裸のお付き合いが一番かと……!』

 

 

 と、握り拳でアドバイスを受けたためである。

 ただ、その本人は小隊のメンバーではないので来れてないわけだが。

 

 

「青鸞さま、お気遣い頂きありがとうございます」

「ああ~、身体が解されます……」

 

 

 佐々木と上原などのメンバーは、肌に良いと聞いて肩まで湯に浸かっている。

 15歳の青鸞に比べて、皆がそれぞれ成熟した女性らしい身体付き。

 佐々木が鍛え上げられたシャープなスタイルなのに対し、上原は日本人離れした肉感的な身体付きをしている。

 

 

 グループから離れた隅の方では、茅野もいる。

 彼女は傷痕だらけの身体を特に隠すこともなく、目を閉じて温泉の縁に背中を預けていた。

 そんな彼女達を見て、青鸞は眉を上げた笑みを浮かべることが出来た。

 

 

「えっと、それでですね……」

「む、何かお言葉ですか。全員、整列! 湯の中で正座!」

「あ、いえ別に整列はいらないです」

 

 

 佐々木を止めつつ、でもお湯からは出ないんだと青鸞は思った。

 しかし本題はそこでは無い、青鸞は湯の中で足を重ねて正座した。

 目の前では十人前後の年上の女性が同じように湯の中で正座している、なかなかシュールな光景だった。

 

 

「――――改めまして」

 

 

 唇は小さく、しかし声が良く通るように大きく言葉を紡ぐ。

 タオルを当てた薄い胸に手を置いて、青鸞は目の前の人々を見つめた。

 自分を守るために編成された部隊の人々を、瞳に感情を込めたまま見つめる。

 

 

「皆様の中にはご存知の方もおられるかとも思いますが、この度、日本解放戦線の顔役としての協力を片瀬少将からお受けしました。キョウト出身、枢木青鸞と申します」

 

 

 ――――お友達ごっこと、草壁は言った。

 アレは別に、小隊の皆と友達になれと言う事では無いと青鸞は思う。

 むしろ、立場の異なる者同士が友人になることは無い。

 青鸞と佐々木達とでは、友人になってはいけない理由が多すぎる。

 しかしだからこそ、友人のような何かにはならなくてはいけないのだ。

 

 

「皆さんに、お願いがあります」

 

 

 凛、と、音を変えた擬音が響きそうな程に空気が張り詰める。

 

 

 

(ワタシ)を――――……ボクを、守ってください」

 

 

 

 湯のさざ波は、意識のさざ波。

 自分のことを「ボク」と呼んだ少女に、メンバーの間に若干だが動揺が走ったのだ。

 佐々木が手を挙げ、皆を鎮めるのを待つ。

 そして、青鸞は言葉を続ける。

 

 

「……ボクには、使命があります」

 

 

 皆さんが胸に抱いているのと同じ、使命です。

 そう言葉を続ける青鸞に、メンバーの視線が突き刺さる。

 見られている、その感覚。

 しかしその感覚は、青鸞にとっては慣れ親しんだものだ。

 

 

 枢木青鸞に、誰かに守られる価値があるのか?

 その問いかけに対しての答えは多くあるだろう、青鸞にも実際はわからない。

 しかし今は、日本の反体制派の象徴として自分の名と顔に価値があると言うのなら。

 青鸞は自分を守り、また守られるだけの理由があると思う。

 

 

「亡き父の跡を継ぎ、徹底抗戦と一斉蜂起を行い、そして日本を独立させると言う、使命です」

 

 

 何故ならば、青鸞自身が「日本独立」と言う絵を描く上で外せない一部であるからだ。

 反体制派側に立てる、唯一の「日本最後の首相の遺児」だからだ。

 彼女は、その自分の「価値」を知っていた。

 今はまだ、名以上の価値が無いとしても。

 いつかきっと、それ以上の価値を……玉将としての価値を。

 

 

「ボクにはまだ、こんな形でしか皆の苦労に報いることしか出来ません」

 

 

 ちゃぷ……と湯を手先で跳ねて、そう言う。

 実際、青鸞自身の持ち物は少ない。

 守ってもらったからと言って、必ず報いる保障などどこにも無い。

 だけど、青鸞は求め続ける――――日本の、独立を。

 だから。

 

 

「ボクが使命を果たすその時まで、皆さんの力を、貸して頂けませんか?」

 

 

 そして、共に。

 独立を果たしに、皆で。

 行こう、そして。

 

 

「独立を果たした日本で……皆と、会いたい」

 

 

 それは、まだ借り物に過ぎないのかもしれない。

 まだ「戦友」でも、「同志」でも、「仲間」にもなり切れていない者達からすれば。

 ――――沈黙。

 

 

 沈黙の中、湯の揺れる音だけが響く。

 青鸞もまた静かではあるが、内心では冷や汗を流している。

 冷静に見えて実はテンパると言うのは、枢木の人間の特徴なのかもしれない。

 そして、その沈黙は。

 

 

「――――日本」

 

 

 その沈黙は、グループから離れた位置にいる茅野の言葉で破られた。

 すなわち、日本の自主力を称え、人々を昂揚させる魔法の言葉。

 日本(にっぽん)万歳(ばんざい)

 

 

「万歳」

「日本……」

「……万歳」

「日本、万歳……!」

「日本、万歳!」

 

 

 最初は戸惑い顔を見せていた青鸞だが、しかし年上の女性メンバーと同じように拳を振り上げ、湯を飛ばしながら。

 

 

「日本・万歳!!」

「「「日本万歳!!」」」

 

 

 立ち上るコール自体には、実は意味が無い。

 重要なのは、それを共にしたという事実。

 全ての関係は、何かを共にしたという事実の積み重ねで重みを増していくのだ。

 それは、どこか友情に似てはいないだろうか。

 

 

 そしてそのコールは、仕切りで隔てられたもう一方にも聞こえてきていた。

 つまり、男湯である。

 こちらには実は猿が侵入していたりするのだが、女性陣とほぼ同数の男がそこにいた。

 古川であり、青木であり、大和であり、山本であった。

 

 

「いや、何かうちのアマゾネス達が盛り上がってんだけど……」

 

 

 小隊長である山本が、湯に溶けそうな顔で呟いた。

 

 

「……これ、俺らと青鸞サマの親睦を深めるのは無理じゃね? 温泉だし」

「そ、それ以前に、一回りも年の離れた女性と何を話せば良いのか……」

「……それは、わかる気もする」

「あ、おたく下の子が10歳下なんだっけ」

 

 

 そんなことを話しながら湯に浸かる、こちらはこちらで親睦を深めることは出来ているようだった。

 風呂ではまさに丸腰のため、その意味でも壁が低くなるのかもしれません。

 ただ、彼らが他の男性スタッフも含めて結束力を高める契機になったことと言えば。

 

 

 

「あ、ごめんなさい。後ほどちゃんとそっちにも行くんで……」

 

 

 

 と、青鸞の声が仕切りの向こうから聞こえてきたことだ。

 それに対して、男性陣はまず「え」となった。

 今、あの娘は何と言ったか?

 

 

「来んの!? こっちに!?」

「はい、やっぱりちゃんと顔を見てお話がしたくて……」

「い、いいいいいぃぃいいやいやいや! 来なくて良い! 来たら死ぬから!」

「え、誰が!?」

「俺達がだよ!!」

 

 

 山本の言葉に全員が頷く、波を立てて音を立てる程の共振だった。

 そんなことをされた日にはこの場で殲滅される、具体的には仕切りの向こうにいるだろう女性陣に。

 今もすでに何故か聞こえてはいけない銃器の音とか聞こえる、山本以下小隊男性陣としては無自覚な生命の危機を脱しなければならなかった。

 しかし諸悪の根源である所の少女の声は、それでも遠慮と不安に揺れていて。

 

 

「でも、ボクの気持ちをちゃんと」

「伝わった! 青鸞サマの気持ちは俺達にもすげー伝わりました! なぁー古川クン!」

「は、はははははいいぃ!」

 

 

 ガックンガックン揺らされながら、整備士の青年を道連れに後退する山本。

 そしてそのまま古川の肩を抱きつつ、温泉の縁に足をかけ女湯側に背を向けつつ。

 

 

「うおおおおおぉぉ、日本万歳いいいいいいぃぃっ! ほらお前らもやろーぜ、青鸞サマが来なくても良いように!」

「「「応ッ!!」」」

 

 

 そして山々に響き渡る低音の日本万歳、それはどこか鬼気迫る勢いだったという。

 ちなみに、枢木青鸞とその護衛小隊の関係は。

 この日を機に、少しずつ間隔を狭めていったと言う。

 

 

  ◆  ◆  ◆

 

 

 そしてその数日後、青鸞は再び片瀬に召還された。

 だがそれは顔役についてでも、まして護衛小隊やナイトメアに関してでも、一斉蜂起に向けた他組織とのキョウト経由での繋ぎを求めるものでも無かった。

 藤堂や草壁ら幹部連も揃って、板張りの道場のような大会議室に揃っている。

 

 

 それは、ブリタニア帝国本国が全世界に向けて会見を行うためだ。

 ブリタニア帝国を敵としている者達にとって、その方針を示すだろうことには無関心ではいられない。

 ましてそれが、ブリタニア帝国の絶対君主、世界の3分の1を支配する大帝国の皇帝の会見となれば――――。

 

 

『人は――――……平等では、無い』

 

 

 白髪の巻き毛、鋼鉄の板のような厚い胸板、豪華な衣装に高く大きい身体。

 全ての者を見下すような眼には、地上を睥睨する鋭い光が宿っている。

 神聖ブリタニア帝国第九十八代皇帝、シャルル・ジ・ブリタニア。

 

 

『生まれつき足の速い者、美しい者、親が貧しい者、病弱な体を持つ者……1人として同じ者はおらず、1人として並ぶ者もおらぬ。そう、人は――――……差別される為にこそある!!』

 

 

 たった一代で世界最強の軍隊を作り上げ、数々の侵略戦争によりブリタニア帝国を世界の3分の1を支配する大帝国へと成長させた鉄の男。

 かなりの高齢であるはずなのだが、それを感じさせない圧倒的な存在感。

 彼がその日全世界に対して行った演説は、息子クロヴィスの追悼演説などでは、断じて無かった。

 

 

 しかしモニター越しのその言葉に、聞く者は息を呑む。

 まるで目の前で話されているかのような錯覚を覚える、青鸞もまた着物に包まれた膝の上で無意識の内に拳を握ってしまっていた。

 息を詰める胸、世界最強の権力を持つ老齢の皇帝の言葉がそこに突き刺さる。

 

 

『不平等は……悪、では無い。平等こそが悪なのだ! そこにこそ進化が、強さが、発展が――――生まれるのだ!!』

 

 

 皇帝は言う、権利を平等にしてどうなる、富を平等にしてどうなる。

 そこに何かが生まれたか、否、ただただ停滞だけであると。

 不平等であるブリタニアこそが、ブリタニアだけが強者の道を歩み続け進化し続けるのだと。

 

 

(――――強ければ良いのか)

 

 

 それを聞き、仮面を被った黒髪の少年をそう思った。

 妹を守るために起ち、妹が安心して暮らせる「優しい世界」を求める少年は思う。

 強者が勝つのは良い、だが、強者の作る世界に弱者の居場所はあるのかと。

 もし無いのなら、そんな世界を自分は認めない、必ず破壊してやると決意して。

 

 

(――――弱いことは、いけないことなんだろうか)

 

 

 自分が仕えるべき皇帝の言葉に、茶色の髪の少年はそう思った。

 裏切り者と呼ばれ続けてなお、正しいルールに従って生きたいと願う少年は思う。

 飢餓、病気、汚職、腐敗、差別、戦争とテロリズム、繰り返される憎しみの連鎖。

 せめて、戦争とテロだけでも無くしたいと、世界をより良くしていきたいと願って。

 

 

(誰かが勝てば、戦争は終わる。そう、人は結果だけを求める。だから……最後には、俺が)

 

(間違った手段で得た結果に、意味は無い。だから僕は、父さんとは違う方法で……)

 

 

 2人の少年は皇帝の言葉に思う、自らが求めるもののために。

 そして、もう1人。

 少年2人とはまた異なる視点で、少女はそれを見ていた。

 

 

『――――戦うのだ!! 競い奪い獲得し支配せよ、その果てにこそ……未来がある!!』

 

 

 枢木青鸞がそれに対して受けた感想は、純粋な脅威。

 そして、拒絶。

 抵抗の意思、彼女はそれを持った。

 

 

 ブリタニアは良いだろう、戦いを仕掛ける側は、競い奪い獲得し支配する側は、その傲慢な腕を振るいたいだけ振るえば良いだろう。

 そこに、ブリタニアと言う国の発展が約束されているのだから。

 青鸞には、ブリタニアを壊す気も変える気も無かった。

 破壊でも変化でもない、ただただ純粋な抵抗の心がそこにあった。

 

 

 

『オオォォオルハァイルブリタアアァニアアアアアアアアアアアアアアアァァァッッ!!!!』

 

 

 

 皇帝の絶叫のような声がモニターから響き渡る、聞こえてくるのは臣下達の唱和だ。

 オールハイルブリタニア――――皇帝シャルルとブリタニア帝国の時代を象徴するようなその叫びが、まるで目前で響いているかのような錯覚と震えを解放戦線の大会議場に与える。

 それはまるで、ブリタニア帝国の強大さを全世界に教えているようにも見えて……。

 

 

 ……抵抗する。

 ブリタニアと言う傲慢な強者に対し、弱者として抵抗する。

 彼の国を変えようなどとは思わない、ただ日本人として戦い、海の向こうへと叩き返す。

 徹底抗戦、少なくとも現時点でその象徴となっているその場で。

 彼女は、青鸞はそのための声を作った、皇帝の言葉に反発を覚えるその感情のままに。

 

 

「……日本(にっぽん)

 

 

 つい数日前、彼女を守るために組織された者達と共に唱和したその言葉。

 彼らと確かに繋がった、そう思えた言葉を。

 それを、青鸞はその場に立ち上がりながら呟いた。

 何故か、モニターの向こうから響くブリタニアを称える声に掻き消されることも無く。

 

 

「万歳……!」

 

 

 青の着物を纏った少女の静かな言葉は、最初、空虚な響きすら感じられた。

 道場にも似た大会議室、そこに小さな少女の声が反響する。

 応じる声は、無い。

 

 

 否、いた。

 その男はズドンッ、と片足を床に立てると、そのままの勢いで立ち上がった。

 彼は若干横に太い巨体を持ち上げると、右手に刀の鞘を持ち、頭上へと掲げた。

 

 

「日本――――万歳ッ!!」

 

 

 草壁の怒鳴りつけるような大きな声が、場の空気を圧するかのような震えを帯びて拡散した。

 ビリビリと床板が震えたのは、錯覚ではないだろう。

 青鸞が驚いたような視線を向ける、すると草壁はいつものように鼻を鳴らして目を逸らした。

 そして、驚く他の一同を睨む。

 その目はこう言っていた、貴様らは小娘に遅れを取るのかと。

 

 

日本(にっぽん)万歳(ばんざぁい)っ!!」

 

 

 再び響く声に、今度は応じる声があった。

 日本万歳、オールハイルブリタニアの唱和に比べてまだ小さい、だが。

 それは徐々に、徐々にだが大きくなっていく。

 高揚する気分が伝播するかのように、青鸞と草壁の叫びはさらに高らかさと声量を増していく。

 

 

「日本、万歳……!」

「日本、万歳!」「日本万歳!」「日本万歳ッッ!!」

「日本万歳!」「くたばれブリタニア!」「帝国主義に死を!」「日本独立!!」「日本万歳、日本万歳ッ!」「日本万歳!」「日本解放!」「万歳!」「万歳ッ!」「日本万歳ッッ!!」

 

 

 その声は大会議場を制圧し、通路から各部屋へ、そして他の区画へと広がりを見せる。

 ナリタ連山それ自体が鳴動するように、国を失った日本人達の叫びが唱和する。

 その声は、決してモニターの向こうのブリタニアを称える声に劣るものでは無かった。

 

 

「日本、万歳ッ!!」

「「「「「日本、万歳ッッ!!!!」」」」」

 

 

 青鸞と日本人達の声が、ナリタ連山を揺るがす。

 だが、唱和だけ伍しても意味が無い。

 くだらぬ精神論は身を滅ぼすだけと、後世の歴史家達は賢しげに皮肉るかもしれない。

 それだけでしか対抗できない、哀れで小さな者達だと同情すら覚えるのかもしれない。

 しかし精神無くして物事を成し遂げられないのも、また事実だった。

 

 

 そのエネルギーは膨大であって、向ける方向さえ間違えなければ日本独立を成せるかもしれない。

 そしてその方向に皆を導いていけるのか、どうか。

 唯一唱和に参加せず、その場に座したままの藤堂はそれを考え続けていた。

 図らずも、日本人の中心にいる少女を見つめながら――――。

 




採用キャラクター:
ATSWさま(小説家になろう)提供:榛名大和。
ありがとうございます。
(そろそろ増えてきたので、いったん整理が必要かもしれませんね)。

 と言うわけで、今話の注目としては……。
 やはり草壁さんプッシュでしょうか、ひたすらプッシュしています。
 何故でしょう、最初はここまでプッシュするつもりは無かったのですが。
 加えて、青鸞のための護衛小隊を投稿キャラクターを中心に設置。
 着々と準備が整う中、そろそろ最初のターニングポイントです。


*以下募集、募集のため次回予告は今回はお休みです。

「雅さんの青鸞さま衣装募集」!
 青鸞の親戚筋の割烹着少女、雅の名を冠した募集となります。
 どんな募集かと言いますと、一言で言えば青鸞のコスチューム募集です。

雅:
「この度はお世話になります、雅です。
 私は青鸞さま、まぁつまりお嬢様の生活面をサポートさせて頂いているのですが、最近青鸞さまも成長期ですので、衣装の総替えが必要になって参りました。
 そこで、皆様に青鸞さまのお召し物などを用立てて頂きたいのです」

募集条件!
1:貴方(ユーザー)は枢木家御用達の職人・業者です。
2:和洋問わず、青鸞の衣服(下着から普段着、着物・ドレスまで)を募集。
3:衣服に限らず、料理・お菓子・装飾品など小物も物によっては採用。
4:投稿は1人3点まで、メッセージ投稿のみを受け付けさせて頂きます。
5:締め切りは3月11日18時までです、それ以降は受け付けませんのでご了承ください。
6:採用されるとは限りません、不採用のご連絡は致しませんのでご了承ください。
7:以前のキャラクター投稿に応募頂いた方に限り、自身の応募キャラクターの衣装案などを別枠で受け付けさせて頂きます(締め切りは同日時)。


 以上です、繰り返しになりますがメッセージ投稿のみとさせて頂きます。
 ハーメルン、あるいは「小説家になろう」にて竜華零までご投稿くださいませ。

それでは、失礼致します。

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