ロードランは今日も平和です   作:ヨイヤサ・リングマスター

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 ~前書き~

 そういえば<かぼたん>とロードランの主要キャラってどちらが年上なんでしょうね?

 ニト様なんて最初の死者とかですし、他の人らもタメぐらいでしょうし。

 今回は少しシリアスっぽいですが、これもまたこういうのが書いてみたかったからなんですよね。

 最終回でそれまでに出てきたキャラが全員集合してラスボスに挑む展開が大好きですけど、この作品はそういうラストにならない気がしますので<混沌の娘>をメインに書いてみました。


 生きる意味は追うものではなく、真面目に生きている人に向こうからやって来てくるもの。そんなお話♪


 ◆ ◆ ◆


第十二話:混沌の娘、涙の笑顔

 混沌の従者の朝は早い。

 

 日が昇る前に起き出し、マスターであるクラーグや<混沌の娘>のために働くためだ。

 

 ある者は人間性を求めて『巨人墓場』に向かい、またある者たちは当番制で畑仕事に精を出す。

 

 すべては主に美味しいものを食べてもらうため。二度と病気に無縁な健康な生活を続けてもらうため。

 

 『病み村』の住民たちは、皆幸せに暮らしているのだった。

 

 

 “自然と笑えてみんなが笑顔。楽しく遊べる豊かなエリア。みんなおいでよ『病み村』へ♪”

 

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

「それがこの料理に使われている野菜の出来るまで。

 どうだい? 美味いだろ♪」

 

 

「ええ、料理人の腕だけでなく、野菜そのものが美味しいので食べれば食べるだけ食欲が湧いてきます!

 これこそが『病み村』の住人に、ふくよかな人が多い理由だったんですね」

 

 

 どうも、現在お食事中の私<かぼたん>です。

 

 『病み村』に滞在して早数日。

 

 私は村に住む人たちに暖かく迎え入れられ、今日もこうして食卓を囲む一員となった訳ですが、ここの料理って本当に美味しいんですよ!

 

 

「<かぼたん>さんはデーモンだろ?

 だったら太ることなんて気にせず食いたいだけ食っちまえよ。

 食べたものを脂肪ではなくソウルに変換して吸収すればカロリー制限も簡単だからね」

 

 

「うーん、私は太る心配はしていないんですよね。

 元々のソウル量が多いので一日の消費カロリーも多いですし、むしろ沢山食べないと痩せ過ぎてしまう体質なんです」

 

 

「へー、ソウル量=基礎代謝なのかい。それであたしもいくら食べても太らないのかもねぇ。

 でも、そういうことならなおさらもっと食べなよ。

 うちの家族だとミルドレットやミスズは必要以上のカロリーはソウルとして吸収しているけど」

 

 

 それでもミルドレットさんやミスズさんがぽっちゃり体型なのは全部筋肉だからだそうです。

 

 デーモンでないので筋肉が目に見えて体についてしまうんですね。

 

 暖かな会話が流れる食卓には笑いが絶えることはありません。

 

 

「はむはむはむはむもぐもぐもぐもぐ」

 

 

 先ほどから勢いよくご飯を食べる音。

 

 次々とテーブルの大皿が空になっていきます。

 

 

「妹様、もう少しゆっくりと食べてください」

 

 

「え~、だってミルドレットの料理って本当に美味しいんだもん。

 食べるのが早くなるのは当然でしょ?」

 

 

「確かにミルドレットさんの料理はおいしい。

 何故なら愛情たっぷりだから!」

 

 

「こ、こらミスズ! 冗談言ってないで妹様を止めるのも家臣の仕事でしょ!!」

 

 

「ぱくぱくぱくぱくもきゅもきゅもきゅもきゅ」

 

 

 はい、このとても良く食べる子こそが、この家で一番可愛がられている子。

 

 クラーグさんの妹の<混沌の娘>ちゃんです。私の火防女としての弟子でもあります。

 

 

「ねぇ、<かぼたん>師匠。

 ご飯のあとの今日のお勉強って何するの?」

 

 

「そうですね。<混沌の娘>ちゃんも、火防女としての知識を十分に学んでもらいましたし、今日は鍛冶の仕事をしてみましょう。

 火(または『灯』)を守ることこそ火防女の仕事ですが、火から武具を生み出すのもまた火防女の仕事です」

 

 

 私はこの火防女精神を、鍛冶技術と一緒にアンドレイ師匠に習いました。

 

 折角なので<混沌の娘>ちゃんにも伝授しましょう。

 

 

「うん、分かった♪

 それじゃ沢山食べて今日も頑張るね♪」

 

 

「はい、頑張りましょう♪」

 

 

 ハナマル笑顔で今日も可愛い<混沌の娘>ちゃん。

 

 真面目に頑張るその姿勢は、師匠としても誇らしい気分になります♪

 

 

「助かるよ<かぼたん>さん。

 鍛冶仕事が火防女の仕事とは思わなかったけど、あんたのおかげで妹は前よりも元気になったからねぇ」

 

 

「いえいえ、火防女の先輩としては当然のことですよ。

 幸いにも<混沌の娘>ちゃんには火防女としての才能もありますし、努力もしているので私が教えられることはあと少しくらいでしょうけど」

 

 

 お酒ではないですが、水でクラーグさんと乾杯。

 

 

「ふふ、それじゃあんたはまた旅に出るのかい?」

 

 

「何処に居ても同じ空の下です。

 私が師匠として<混沌の娘>ちゃんに伝えられることを全て伝えたら、そこからはあの子が一人で頑張っていく領域です」

 

 

 それ以上の干渉は独り立ちの機会を失わせてしまいますし野暮ってものでしょう。

 

 それにしても……、楔の神殿に捕らわれていた時は、仕方なく火防女の仕事をしていた私ですが、こうして人に教えることが出来るのも長く火防女をしていたからでしょうね。

 

 『病み村』に来て一週間になりますが、弟子として教えている内に<混沌の娘>ちゃんや『病み村』の方たちとも親密になってきました。

 

 やはり人生は何があるか分かりませんし、何事も真面目にやっておいて損はないですね。

 

 今こうして仲良く出来ているのも、人生経験からくるものでしょうし。

 

 

「あ! またミスズったらお野菜ばかり食べて。

 もう少しお肉も食べないと駄目よ。私よりも肉体労働なんだからスタミナ不足になっても知らないわよ」

 

 

「うへぇ~、ミルドレットさんは目ざとすぎますよぉ~。

 クラーグ様の作った野菜は肉よりも美味しいんですから、肉よりも野菜を食べたいんですってば~」

 

 

「文句を言わないの。

 まったく、子どもじゃないんだから自己管理くらいちゃんとしてよね!」

 

 

 野菜が好き過ぎるミスズさんとお肉を食べさせようとするミルドレットさん。

 

 これってもう、

 

 

「ミルドレットとミスズって夫婦みたいだね♪」

 

 

「「い、妹様!?」」

 

 

 やっぱりそう思いますよねぇ~♪

 

 何だか甘酸っぱい雰囲気が見ていて微笑ましいですし、クラーグさんはあえて触れないようにしていますが、<混沌の娘>ちゃんは言わずにはおれなかったんでしょうね。

 

 まぁ、私が色恋沙汰の面白さを火防女としてのたしなみとして教えまくったのもあるんでしょうが。

 

 そうして頬を朱に染めた二人はもくもくと食事を続け、私もクラーグさんとにやにやしながら食事を続け、<混沌の娘>ちゃんはとても沢山食べ続けるのでした。

 

 あと、この村のお肉は“肉屋”のラレンティウスさんが提供しているそうです。

 

 彼もまた混沌の信者にして文字通り自分の血肉を売ることでクラーグさんや<混沌の娘>ちゃんに仕えているんですね♪

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

「では<混沌の娘>ちゃんのための最後の試練として鍛冶仕事を教えます。

 最後まで付いて来れますか?」

 

 

「おー、頑張るよ♪」

 

 

 手を突きあげて高らかに宣言する<混沌の娘>ちゃん。

 

 元気がいいのはともかく、この子も姉のクラーグさんを見て育ったからか上半身裸で目のやり場に困っちゃうんですよね。

 

 髪が長いので上手く隠れていますが。

 

 

「では今回<混沌の娘>ちゃんに覚えてもらう技術は豆腐で下駄を作るということです」

 

 

「豆腐ー? それに下駄なんて作っても私履けないよ?」

 

 

 鍛冶と言っておきながら作るのが豆腐下駄というのに疑問を持つのは当然かもしれません。

 

 ですが私は、あえてこの難題を彼女の成長するための最後の試練として提示します。

 

 

「世の中には靴を履く蜘蛛もいますし、下駄は喧嘩の時に手に嵌めれば攻撃力もアップします。

 炎攻撃や炎属性を付与しても焼き豆腐になるだけでずっと使えます。

 たぶんこれが出来れば<混沌の娘>ちゃんは火防女として、新たな領域へと登れますよ♪」

 

 

「おー、やってみるー♪」

 

 

 その後、何度も何度も<混沌の娘>ちゃんは豆腐を打ち、失敗を重ねながらも挫けることなく真面目に取り組み、そうして出来たのが一振りの剣でした。

 

 ……なぜ剣になったんでしょう?

 

 

「お姉ちゃんがね、剣を一本しか持っていないから戦う時に片手が落ち着かないって言ってたの♪」

 

 

「そうですかー、お姉さん想いなんですねー♪」

 

 

「うん♪ あ、でも<かぼたん>師匠のこともお姉ちゃんみたいに思ってるよ♪」

 

 

「ありがとうございます♪」

 

 

 可愛いので良しとしました。

 

 

「さて、それじゃ今の鍛冶技能を最後に私が火防女として教えられることは無くなりました。

 修行も半日で終わったことですし、今日は夕飯まで散歩にでも行きますか?」

 

 

「おー♪ <かぼたん>師匠とお散歩ー♪」

 

 

 これで私がこの地でするべきことは全部終わりましたね。

 

 私がいる内に出来る限り師匠らしいことをしてあげたいですからね。

 

 汗をかいた服を着替え、ミスズさんにもらった『錆びた鉄輪』を装備。

 

 私の鍛冶能力で研磨しているので『ただの鉄輪』になっていますが、沼地で足を取られない仕様は変わりません。

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

「おぉ、<混沌の娘>様。今日もお美しい。

 そこの喫茶店でお茶でもいかがでしょうか♪」

 

 

「小生が取ってきた新鮮な人間性はいかがでしょう?

 刺身、ステーキ、酒蒸し何でもござれですぞ」

 

 

「いやいや、人間性の食べ過ぎは逆に健康によくありません。

 ここは基本に立ち返ってソウルをどうぞ。

 私自身のソウルを切り取ったものですので質には自信があります!」

 

 

 クラーグさんの巣を一歩出た途端にこれです。

 

 彼女の信者たちの鬱陶しいぐらいの愛情。

 

 

「<混沌の娘>ちゃん。あなたが巣の外に出るといつもこうなんですか?」

 

 

「んー、大体こんな感じだよ~♪(ニパー)」

 

 

「「「天使の笑顔キターーーー!」」」

 

 

 どうやら普通の信者の方たちのようで、不埒な輩ではないのには安心です。

 

 ですが、鬱陶しいので『姿隠し』の魔法と、『偽王のデモンズソウル』によるクイックムーブで移動。

 

 勿論、<混沌の娘>ちゃんを背負いながらです。

 

 

「わー、私おんぶされるの初めてー♪」

 

 

「<混沌の娘>ちゃんは体が大きいですからね。

 ですが私くらいになれば女の子一人背負うなんて楽勝です♪ なんせ師匠ですから!

 とりあえず、信者の人たちからは離れましたし、そろそろ降りてもらえますか?」

 

 

「だめー、何故なら私は<かぼたん>師匠の背中が気に入ったからです♪」

 

 

「なら仕方ないですね♪」

 

 

 弟子を持つのも、甘えられるのも、私のこれまでの人生で初めての経験です。

 

 たまらなく愛おしく、手放すには惜しいですが今日の鍛冶技術を教えたことで私がこの子にしてあげられることはもうありません。

 そろそろ別れの頃合いかもしれませんね。

 

 ならばせめて、最後にこの子の好きなようにさせてあげるのも師匠というもの。

 

 彼女を背負ったまま私は、『病み村』散策を続けるのでした。

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

 それからその日は夕方まで私と<混沌の娘>ちゃんは『病み村』を歩きまわりました。

 

 巣の入り口付近で大岩を投げ合うデブ門番隊三兄弟さんたちの曲芸を見たり、混沌家の一番上のお姉さんのクラーナさんにさらに強力な呪術を教えてもらったり……、

 

 

「お久しぶりっぱい♪ 麗しのレディ。

 俺の店に来てくれたのか?

 武器の匂いをかぐだけでもいいから見ていってくれ♪」

 

 

「……(シバ様の匂いをくんかくんかしたいです)」

 

 

 何故か『病み村』に出稼ぎに来ていたシバさんに出会ったり。(<混沌の娘>ちゃんが下の口から炎を吐いて燃やしてました)

 

 

 そして遊び疲れた彼女は夕飯を食べたらすぐに眠りにつき、次の日。

 

 ついにお別れの日がやって来ました。

 

 

「さみしくなるねぇ~。

 何だかんだで一週間程度だったけど、あんたはすでに立派な『病み村』の一員さ。

 いつでも来てくれ……いや、帰ってきてくれよ」

 

 

「ありがとうございますクラーグさん。

 大変お世話になり、ここでの生活はとても楽しいものでした。

 またこの地へ遊びに来ることを約束します」

 

 

 私が次のエリアを目指す日。

 

 クラーグさんだけでなく、ミルドレットさんにミスズさん。他にもデブ門番隊や大ヒル部隊に火吹き犬一族、小間使いの大蚊さんたちまで集まってくれています。

 

 そして……、<混沌の娘>ちゃんも。

 

 

「……師匠。本当に行っちゃうんですか?」

 

 

 小さな声で引きとめてくる<混沌の娘>ちゃん。

 

 

「ええ、私は旅を再開します。

 あなたには私の火防女としての技能は全て教えました。

 あとはあなた自身が自分で道を切り開いていってください」

 

 

 それでも<混沌の娘>ちゃんは俯いたまま何も言ってくれません。

 

 

「なぁ、<混沌の娘>。師匠の<かぼたん>さんを笑顔で見送ってやりなよ。

 最後の顔が泣き顔だなんて、つまんない子に思われるぞ?」

 

 

「……」

 

 

 クラーグさんも元気づけようとしますが、<混沌の娘>ちゃんの表情は晴れません。

 

 

「……では、お別れですね」

 

 

「……」

 

 

「……<混沌の娘>ちゃん。悲しいのは私も同じです。

 こんな時、あなたの師匠はなんて言っていましたか?

 あなたの師匠は誰ですか?」

 

 

 笑顔を見せてほしい。それが私の願い。私に笑顔のまま次に会う約束をしてほしい。

 

 その一心から出た言葉です。

 

 

「……別れの言葉は次にまた会うための言葉。

 笑顔で見送れば次に会う時も笑顔で会える……<かぼたん>師匠の教えです……」

 

 

「はい。よく覚えていましたね。

 師匠として私はあなたの成長を嬉しく思います。

 <混沌の娘>ちゃん。私は教えることがなくなったから出ていきますが、あなた自身の成長の余地がなくなった訳ではありません。

 私が教えたことを忘れずに、これからは自分で目標を見つけ、自分で達成するための方法を見つけてください。

 これが私からあなたへの最後の教えです」

 

 

「……<かぼたん>お姉ちゃん……」

 

 

 涙をこらえながらも、必至で笑顔を作って見せてくれた<混沌の娘>ちゃんに私も笑顔を返します。

 

 

「はい。私はあなたの師匠であるだけでなく、あなたのお姉ちゃんです。

 これからも火防女としてこの地の迷える人たちの道標となってくださいね」

 

 

 笑顔で手を振りながら『病み村』の人たちに別れを告げ、また来る約束と共に村を後にします。

 

 後ろ髪を引かれる思いですが、別れをいちいち惜しんでいては出会いと再開の楽しさが半減してしまいます。

 

 次に会う時はもっともっと立派な火防女になっていてくださいね。<混沌の娘>ちゃん♪

 

 

 




 ~後書き~


 次回は『狭間の森』での少しギャグ寄りな話になります。
 今回の話と二話同時執筆しているので話の骨組みは結構固まっているので割と早く書けると思います♪

 ……ですが、予定しているところまでで切ると短くなるんですよね。

 次話の予定は『狭間の森』だけなんですけど、次の次の話で『ウーラシール王国』を次話の続きとして考えているんですよ。

 なのでキリ良く長めに書くと次話と次々話――『狭間の森』と『ウーラシール王国』や、マヌス達をまとめて出すと長くなりそおうです……。

 気分で決めますが次回更新は『狭間の森』だけでなく『ウーラシール王国』まで書くとなると遅くなると思います。
 短く済ませるなら『飛竜の谷』みたいに『狭間の森』だけで短く上げるのもありなんですけどねw


 あと現在プレイ中の『神パラ』はレベル上げばかり。『マリルイ3』はサクサク進みます♪
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