ロードランは今日も平和です   作:ヨイヤサ・リングマスター

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 ~前書き~


 今回は『ディスガイアD2』と『ルイージマンション2』が発売されたのでしばらく更新を休むということを伝えるためにチャチャっと書きあげました。

 <かぼたん>がセンの古城を攻略するお話です。


 ◆ ◆ ◆


第十六話:かぼたん、師匠を超える

 『狭間の森』でヒュドラさんとハベルさんに見送られて次に私が向かったのはアノール・ロンド……ではなく、まずはアンドレイ師匠のところでした。

 

 

「鍛冶の心は火の心。

 火を恐れろ、そして支配するのだ弟子よ」

 

 

「はい、師匠!」

 

 

 すでに師匠から教わった技術は完璧。ですが生涯越えることが出来ないものをアンドレイ師匠は持っています。

 

 それは、心意気!

 

 

「鍛冶の技術に自惚れていてはいかんぞ<かぼたん>。

 わしの友人に防具を専門に作る鍛冶屋がおったが、そいつは武器を作らせても超一流じゃった。

 だと言うのに頑なに防具しか作らんのじゃ。何故か分かるか?」

 

 

「武器作りに何かしら嫌な思い出があるんですか?」

 

 

「そうじゃ。奴は自分の作った武器を息子に渡していたのじゃが、その武器のせいで息子が死んだことがトラウマなのじゃよ」

 

 

 自分が作った武器が死に直結したという事実を受け止めた結果、武器作りを封印することになったということですか。

 

 鍛冶屋の業は使い手に影響するんですよね。

 

 

「じゃからな、<かぼたん>。

 武器も防具も、何を作るのも鍛冶屋の自由。

 しかし全て誰かしらの命に関わっていることを忘れんといてくれ」

 

 

「師匠……。その教え、必ずや私の血肉としてみせます!」

 

 

「まぁ、<かぼたん>に関しては心配してはおらんがな。

 お主は誰よりも優しく、鍛冶技術を後悔するような使い方はせんと信じとるよ」

 

 

 信頼には結果で応えるもの。そこからは話に花を咲かせ、師匠に鍛冶を習ってからの出来事を報告しました。

 

 親の顔を知らない私ですが、もしも居るなら私のお父さんは師匠みたいな人だったのかも知れません。

 

 篝火を囲んでの会話は他愛もない話でも弾み、師匠の昔話へと移りました。

 

 なんでも師匠も若い頃は旅をして多くの出会いと別れを経験し、その思い出は今でも店の隠し部屋に隠してあるとか。

 

 

「色々な武具がありますね~……、って師匠。この竿状武器って……」

 

 

「ん? そいつは以前やってきた旅人がくれたんじゃよ。

 確か『燐光のポール』と言っておったな。

 スペアが沢山あるから出会いの記念と言っておったわい」

 

 

 流石は観光地ロードラン。ボーレタリアから私以外にも観光客が訪れるだなんて、世界は案外狭いのかもしれませんね。

 

 

「それよりも<かぼたん>。

 明日、お前さんが向かう『センの古城』じゃが、気を引き締めておくんじゃぞ」

 

 

「そんなに難しいんですか?

 腕っ節と言う点なら、私はそこらのデーモンにも引けを取らないつもりですけど」

 

 

「いやいや、あの古城は『鉄球ゴロゴロ』という豪快なトラップがあってな。

 それを避けながら進むのが面倒なんじゃよ」

 

 

「別に転がってくるたびに壊せばいいじゃないですか」

 

 

「壊せない仕様じゃ」

 

 

「そうですか……、じゃあこういう攻略方法はどうでしょうか?」

 

 

 私が一つ、古城の攻略作戦案を言うと、師匠はとても嬉しそうに笑ってくれました。

 

 

「流石はわしの弟子じゃ♪

 わしも若い頃は挑戦したが、あそこは面白いところじゃからな。

 このアンドレイの弟子として古城に住んどる連中に目に物見せてやれ」

 

 

「了解です師匠♪」

 

 

 ふふふ、この作戦が通るならクリアは簡単。

 

 明日が楽しみですね♪

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

 と言う訳で翌日。

 

 師匠の元で一晩語り明かした私が次に目指すのは『アノール・ロンド』。

 

 ……ではなく、そこに行くための通過点として『センの古城』です。

 

 師匠曰く、危険極まりないアトラクションが多いので『アノール・ロンド』へ行く人の数を制限をしているようですね。

 

 おや? 古城の門前に何やら人影が。

 

 

「ふん、挑戦者を受け入れるとか言って開かないじゃないか。この野郎、馬鹿野郎」

 

 

 古城の門前にやってきた私が一番に目にしたのは玉ねぎでした。正確には玉ねぎみたいな鎧の騎士さん。

 

 

「まったく、私を入れないだなんて、この古城おかしいんじゃないのかね」

 

 

「門でしたら開いていますよ?」

 

 

 俯いたままぶつぶつと文句を言っていたので関わるのもどうかと思いましたが、放って入ろうとしても絡まれそうだったので。

 

 でも物凄く面倒くさそうな人ですね。声を掛けたのは失敗だったでしょうか?

 

 

「おや? 本当に門が開いてる。

 私が来てからずっと閉まったままなのに、貴公が来た途端に開くだなんてどうかしてるよ、まったく」

 

 

「いえ、この門はロードランの二か所に設置されている鐘を鳴らすと開く仕掛けになっているんですよ。

 だから私が門前に来る前から開いていましたよ」

 

 

 その鐘を鳴らしたのは私ですけど。

 

 

「そうかい、それなら貴公に感謝する必要はなさそうだね。

 私は“カタリナ騎士”ジークマイヤー。

 一人でも平気だけど、もしも貴公が手を貸してほしければ一緒にいてやるけど?」

 

 

「いえ、結構です」

 

 

「正直に言ったらどうなんだい?

 探索は英雄の嗜み。

 英雄そのものである私が付き添ってあげるんだから安全極まりないんだぜ?」

 

 

「いえ、本当に結構ですから」

 

 

「……そうかい。あーあー、折角私が付いていてやろうというのに勿体ない事をするね貴公は。

 まぁ、私は一人でも平気だけどね。ふん」

 

 

 やっぱり面倒くさいことになってしまいましたね。

 

 ですが鬱陶しい誘いを穏便に断れてよかったです。

 

 世の中にはいろんな人がいますけど、危うく殴り飛ばしそうになってしまいました。

 

 

「では攻略を開始しましょうか。この大きな古城を」

 

 

 玉ねぎ騎士さんがいなくなったことでもう一度全貌を見てみるも、大きな古城。

 

 少しばかり圧倒されてしまいます。

 

 

「これはアレですね。

 作戦通り、別に壊してしまっても構わないでしょう」

 

 

 クリア条件は「攻略すること」。攻略方法は挑戦者の自由。

 

 アンドレイ師匠が笑って勧めてくれた作戦で攻略しましょうか。

 

 

「右手に呪術の炎。左手に黒松脂。

 弾けて混ざれ! 鍛冶屋奥儀『フレアギガデスロイヤル』!」

 

 

 放たれた炎は周囲の酸素を食らい、大きさを増しながら目の前の古城城門を粉砕。

 

 巨大な炎は一瞬にして古城を包みこみ、木材や装飾の金属は燃え溶け、石材の表面にはヒビが。

 

 ……と、あと少しで崩壊する予定だったのですが、今一歩のところで邪魔者が火を消してしまいました。

 

 

「こらーッ! 人ん家に火をつけるとか何者だー!

 もう少しで火事になっちゃうところでしょーが!」

 

 

 上から飛び降りてきた騎士さんの落下斬りの剣風が吹き荒れ、そして消火。

 

 あの炎を消すだなんて凄腕の剣士なんですね。

 

 

「えーと、騎士さん?

 別に火を付けるのが駄目だなんて聞いていませんよ?

 私の師匠が勧めてくれた方法ですし」

 

 

「いやいやいや、あんたの師匠が誰かは知らんが非常識だろ!?」

 

 

「私の師匠は“鍛冶屋”アンドレイ師匠です」

 

 

「なら仕方ないな」

 

 

 あっさりと分かってくれた騎士さん。

 

 もしかして師匠って有名人?

 

 

「いやね、アンドレイさんも過去に挑戦しに来たことがあったけど、あの人も君と同じ方法で攻略しようとしたんだ」

 

 

「あ~、それでですか」

 

 

 だから師匠、昨日の夜に私が古城に火を付ける方法を提案したのを嬉しそうにしていたんですね。

 

 弟子が自分と同じ段階に並んだことが嬉しくて。

 

 

「さて、それじゃ自己紹介でもしようか。

 私は<心折れたバーニス騎士>。

 最強の騎士団の生き残りで、この古城の管理と試練への挑戦者の歓迎をしている」

 

 

「私は<かぼたん>です。

 師匠と同じくお世話になりに来ました」

 

 

 自己紹介も済んだところで、<心折れたバーニス騎士>さんがこの古城の案内をしてくれるそうです。

 

 歓迎してくれていますが、これは私が無茶をしないためのお目付け役でしょうね。主に師匠絡みで。

 

 

「それじゃ、騒がず暴れずに付いてきてください。試練はクリア扱いで通しますから。

 この古城はスリルとサスペンスに富んだアトラクション満載の城です。

 そもそも二つの鐘を鳴らすだけの実力があればクリアは問題なく出来るでしょうからね」

 

 

「はい、よろしくお願いします♪」

 

 

 ロードランの旅が終わったあと、各地で知り合った友人や弟子たちの生活に活かすためにも色々と学んでおきたいですからね。

 

 

「まず『センの古城』と言えばここ! 入ってすぐのギロチンは外せません。

 ダンジョンの仕掛けとしては定番中の定番だけに、この城でも当然設置してあります」

 

 

「この城って定番とか基本を重視した仕掛けが多いんですか?」

 

 

「そうですね。

 冒険好きの人には飽きている人も多いかもしれませんが、それでも王道は鉄板です。

 それにホラ、見えてきましたがそこを出れば鉄球ゴロゴロが間近で見られますよ♪」

 

 

 古城内を進み始めて割と早い段階で師匠の言っていた『鉄球ゴロゴロ』を発見。

 

 

「この鉄球って仕掛けはどうなってるんですか?」

 

 

「巨人に落してもらった鉄球をカラクリハンマーで打ち出し、各通路をゴロゴロするだけの簡単なものです。

 鉄球の通り道を変える遊び要素も挑戦者にはありますので、良かったらあとで動かしてみてください♪」

 

 

「なるほど、アスレチック要素の強いアトラクションですね」

 

 

 鉄球ゴロゴロの通り道を急いで駆け抜ける途中、横目に入口で鬱陶しかった玉ねぎ騎士を見つけましたが、スルーします。

 

 どうせ鉄球ゴロゴロが怖いのでしょうが、解決を人に任せてばかりで面倒な人ですからね。

 

 通り過ぎざまに、太ってるから行かないけどね、と連呼している辺り、誰かに解決してもらおうという意思が分かりやす過ぎます。

 

 

「そしてこれがこの古城の第三の名物“トゲ天井エレベーター”!

 上まで上がったら素早く下りなければ天井のトゲでチクッとしちゃいますよ♪」

 

 

「トゲが刺さってチクッとするだけなんですか?」

 

 

「だってここに来る人たちってみんな不死者ですし、鎧着ていたり固い鱗で身を守ってますからね。

 ちなみにアンドレイさんが前回来た時は、パンチでへし折っていましたよ」

 

 

「流石は師匠。では私も♪」

 

 

 師匠を越すのは弟子の義務。内に眠る全てのデモンズソウルを活性化させ、天を貫く拳の一撃!

 

 先ほどの<心折れたバーニス騎士>さんの剣よりも鋭く大きな拳風は天井に大穴を開けました。むふん♪

 

 

「ちょっ! 壊すのはやめてくださいよぉ~。

 ただでさえこのエリアは従業員の人件費や設備維持にソウルがかかってるのに」

 

 

「もしかしてここのエリアボスって人望ないんですか?

 私がこれまで見てきたエリアでは、カリスマのあるボスの元に無給で隷属している人たちがエリア管理をしていましたけど」

 

 

「ええ、悲しい事にこの『センの古城』のボスはカリスマとは程遠い方です。

 巨人に爆弾投擲でサポートさせているのに、肝心の本人が落っこちて負けるなんてのもザラですからね。

 あ、私も商人としての稼ぎ以外に固定給をちゃんともらっていますよ」

 

 

 エリアによってそれぞれ違いはあるものですが、普通にこれだけ大きな施設の管理をするとなると莫大なソウルがかかりそうですよね。

 

 可哀想なエリアボスさんへの同情もそこそこに、先ほど聞かされた鉄球ゴロゴロの向きを変える仕掛けを弄らずに進みます。

 

 本音は玉ねぎ騎士さんを放置するためですけど。

 

 

「さてと、それじゃこの霧をくぐればボス部屋ですけど、その前にマスコットキャラ『タルカスくん』との握手サービスはどうですか?」

 

 

「どうでもいいです」

 

 

 そしてボス部屋。私はクリア扱いなので、これもスルーしましたよ。

 

 

「……」

 

 

 何かを訴えるような目で見てきますが目線を合わせたら絶対に面倒なことになります。

 

 

「<かぼたん>さん。話しかける必要はないですよ。

 ボスは寂しがりなので一度話し始めると長いですから」

 

 

「そうですね。このエリアの城門前で鬱陶しい人に会ったばかりなので気をつけます」

 

 

 こうして<心折れたバーニス騎士>さんに呼んでもらった<蝙蝠羽のデーモン>さんに連れられて空から『アノール・ロンド』へ。

 

 これまでのエリアが子供だましだとするなら、ここから先は真のロードラン。

 

 さぁ、一体どんな人たちが出迎えてくれるのでしょうか♪

 

 




 ~後書き~


 ディスガイアD2面白い♪
 なのでしばらくは更新を休みますので次話は気長にお待ちください。

 とりあえずルイージマン2と合わせて半ばくらいまでクリアしたら書き始めるかも知れません。
 どの道、気まぐれ更新なので気分次第では明日に更新するかもしれませんがねw

 私がデモンズソウルをプレイし始めた頃、燐光のポールの存在に気付いたのはずいぶんとあとなんですよね。

 攻略サイトで存在を知り、挑戦しまくっては意外に強いライデルに殺されまくったのは良い思い出♪ なんかあの人って若い頃にロードランにやってきていそうな感じがします。
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