次話で完結です。そして二話同時更新。ラストバトル前編。
どうぞ、最後の<かぼたん>の冒険をお楽しみください♪
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観光地として人気の高いロードラン。
エリアごとの特色を生かし、個々の目的はあれど共通してロードランの地を愛しているからこそ頑張っています。
そんな場所で血なまぐさいことをするのはロードランの住人全員を敵に回す行為。
それが常識のこの地で暴力による支配を行おうとする輩がいるそうなのです。
「私たち『病み村』警備部隊は皆不死者であるため死んだ者も全員生き返りましたが、これはロードラン全体への敵対行動です。
クラーグ様、早い段階で対策をとる必要があります」
「そうさねぇ~……。受けた被害ってのも人的なものだけで、不死者ばかりの『病み村』としちゃあ実質被害ゼロみたいなものだけど。
『病み村』ボスとしてもロードランの住人としても放ってはおけないね」
ミルドレットさんもすでに怪我は完治し、丁寧な説明をしてくれます。
内心で、プリシラちゃんと絡みあう<混沌の娘>ちゃんのキャッキャウフフをポーカーフェイスで眺めまわしているのは流石ですね。混沌の従者の鑑です。
「クラーグさん。それは私たち『火継ぎの祭祀場』一同とて同じことッス。
このことはロードラン全域にすぐに伝わりますし、敵は協力して潰しましょうッス!」
「敵さんも、自分の行為がロードランの全てを敵に回すことくらい分かっておろうて。
ならば儂も『巨人墓場』のボスとして力を貸すかの」
ボスとしての風格をにじませるクラーグさん。それに賛同するアナスタシアちゃんとニトさん。
謎の襲撃者はロードラン全体へ宣戦布告をしたのです。
「そして勿論私も協力しますよ。
アンドレイ師匠曰く、困っている人を助けないのは腰抜けですからね」
これに加え、ロードラン中を旅してこの地を愛する仲間になったこの私<黒衣の火防女>こと、<かぼたん>も本気で戦いましょう。
物語は最終章へ!
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暫しの話し合いの末、私達が向かうこととなったのは『最初の火の炉』。
そこへと続く細い道を歩いています。
「……なんで私たちは『最初の火の炉』へ向かっているんでしょうか?」
「そりゃ、<かぼたん>さん。行く当てもないんだから旅を楽しもうじゃないのさ。
なんせ鍛え抜かれたあたしの『病み村』警備部隊が正体も掴めずになくやられたんだ。
探そうにも手の着けようがないからね」
『火継ぎの祭祀場』を出た私たち一行は、ロードラン全域への『病み村』襲撃犯の指名手配を各エリアに要請した後『最初の火の炉』へ向かっています。
まぁ、犯人の正体も居所も見当がつかない以上、注意するように呼び掛けるだけだったんですけどね。
なので本来の目的を優先させるのも仕方ないですよね。することないですし。
クラーグさんは完全にピクニック気分。ミルドレットさんの用意してくれたお弁当からサンドイッチをつまんでいます。(ミルドレットさんは『病み村』復興のため先に帰りました)
同じくエリアボスのアナスタシアちゃんとニトさんは、プリシラちゃんと<混沌の娘>ちゃんに露店でねだられています。
『最初の火の炉』名物、黒騎士露店。
食べ物系が多いので二人の少女たちの幸せそうな笑顔は絶えませんが、二人の大人たちの財布が軽くならないか心配です。
「『最初の火の炉』に行くのにはちゃんと理由があるのさ。
他のエリアはすぐに連絡入れたけど、グウィンのおっさんの家は郵便が届かないからね。
犯人の居所も分からないし、<かぼたん>さんが王のソウルを集めていたからちょうどいいやって思ってさ」
「いえ、私も旅を目的にしているのでここに来たくなかった訳じゃないんですよ?
ただ少し、気を抜き過ぎじゃないかなぁ~と思っただけで」
「ハハッ! らしくないこと言うじゃないのさ。
『病み村』が壊滅したのだって、あたしが不在の間なんだし、あたしらエリアボス達が直接襲撃を受けたのなら負けないだろ?」
自分達なら負けないという自信はボスの器ですし、私たちほどエリアボス級が揃った一行を襲撃する人もいないでしょうからね。
でもやっぱり、実際に狙われるとは私も思ってはいませんが、嫌な予感が消えないんですよねぇ~……。
こう、火防女的な勘みたいな。
まぁ、可愛らしい少女たちを眺めていると『病み村』が襲撃されたことなんてちっぽけなことのように思えてくるからどうでもいいんですけどね♪
そんなこんなで『病み村』襲撃事件の知らせから、一時間足らずでやってくることとなった『最初の火の炉』。
神の中の神とも言われるグウィンさんとは一体どんな人なのでしょうか?
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黒騎士さん達の露店をにぎわしながら、グウィンさん家の前についた私たちですが、中に入るのをためらっています。
『だいたいお前は! 私の勧めた仕事はどうした!?』
『暗月警察ならやめたよ!』
『お前はグウィネヴィアの警備という仕事を何だと思っているんだ!?』
『姉ちゃんの世話も守りも俺の元・部下がきっちりやってるよ!』
『くぅぅ~! 出来る事なら私自ら娘を見守りたいのにこの愚息がぁぁぁー!』
『いい加減、娘離れしやがれバカ親父! 姉ちゃんは俺や親父の助けなんていらねーよ!
今頃信者の前で歌って踊るアイドルでもやってんじゃね?』
『それを見れない私の怒りを知れぇぇぇー!』
ギャーギャーと、部屋の外にも聞こえる怒鳴り声。
親を知らない私からすれば親子喧嘩というのは羨ましいものですが、話の内容的には羨ましくないですね。
あちらこちらで噂になっていましたが、グウィンさんと、帰省中の息子さんのグウィンドリンさんは親子喧嘩の真っ最中だそうです。
「どうします……?」
あまりの喧嘩の激しさに、つい周りに尋ねてみますが誰も答えを持ちません。
ここの警備をしている黒騎士さんに聞いてみても、毎日こんな感じだそうです。
そして、あまり関係ありませんが、黒騎士露店に食べ物系のお店が多いのもグウィンドリンさんのパシリで買いだしが楽だからだとか。
「クラーグさん。別にグウィンさんに『病み村』襲撃犯のことを伝えなくてもいいんじゃないですか?
私たちが割って入れる空気じゃないですって、これ」
「……あたしもそう思うけど、エリアボスとしての責務は果たさなきゃならないんだよね。面倒くさくても。
入るしかないよ<かぼたん>さん」
エリアボスの責務。……ようするにロードランの危機には一致団結して連絡を取り合い困難を排除すること。
こちらにはクラーグさんだけでなく、プリシラちゃん、ニトさん、アナスタシアちゃん、<混沌の娘>ちゃんと、ロードランの要職に就いている人が多いので今更引き返すわけにもいかないのでしょう。
こちらの様子をうかがっている黒騎士さん達では家の中に入れないでしょうから。
これは私達が中に入って直接伝えるしかないですね。
ショオーーオーーン(SE)
「「敵か!?」」
「え?」
突然噴き出す殺気。
霧を潜った途端に襲いかかってくるグウィンさんとグウィンドリンさん。
あまりにも突然の攻撃だったので、勢いで『奥儀:火防女・超受け身』からの鍛冶屋パンチを決めてしまいました。
死んでいなければいいのですが。
「「……~~~~~~ッ!!!」」
「あの? 生きてます?」
二人揃って床に突っ伏し、声にならない声で悶絶。
これが“薪の王”とも呼ばれたグウィンさんと、“陰の太陽”グウィンドリンさんの姿だと思うと涙が出てきます。
これに加え、後から入ってきたクラーグさん達に気づかれずに踏みつぶされているのも威厳ゼロですね。
「うぉあ! グウィンさんにドリンさん。足元にいたのかい!?」
「ふむ、儂ら体が大きいからな。足元に居られたのでは気付かないものだな」
「私はエレーミアスに居た頃から踏んで欲しがる人に囲まれているので見慣れています」
「わはー♪ 私もね、『混沌の従者』たちの頭を踏んであげてるんだー♪」
「そういえば私はこの二人に会ったことないッスね。<かぼたん>先輩こそ至上の尊敬対象ッス!」
みんなの反応は似たようなもので、クラーグさんだけ敬意を持つべきか持たざるべきか悩む反応をし、
ニトさんは昔馴染みだからか気安く踏みつぶし、
プリシラちゃんは遠く離れた自分のエリアの仲間たちを思い出し、
<混沌の娘>ちゃんはグウィンさん達が踏まれたくて倒れていたと思って繰り返し踏みつけまくり、
アナスタシアちゃんは私をヨイショします。
そして私は「あぁ、この王様たちは敬意を持たなくても別に良かったんだ」と、王族に対する認識を改めて、友人や弟子や後輩の様子を楽しく眺めるのでした♪
「おい息子よ! この黒い娘さんがあの方の言っていた人に違いない! 借金返済のために協力しろ」
「ああ親父! 了解した。タッグでこいつらをボコればいいんだな? 借金返済のために」
え? 何だかこの二人。私達が誰か分かった上で再度攻撃しようとしてきているんですけど。
というか王様なのに個人的な借金があるんですか?
「「うおおおおぉおおおおー!」」
お金が絡んでいるようで、二人の突進力はすさまじかったですが、それはあくまでも一般的な不死者さん達やモンスターさん達レベルでのことです。
私は勿論ですが、ここにいるのは各エリアで常に最強にしてカリスマを備えた本物のエリアボスたち。
引き籠ってふんぞり返っていたような、燃えカスの王様たちに負けるはずがありません。
「なぁ、<かぼたん>さん。相手が目上の人でもこの場合は反撃してもいいんだろ?」
「当然です」
クラーグさんの炎で燃え上がるグウィンさん達。
「王としての威厳は古竜との戦いで捨て去ったようだな。
グウィンよ、隠居した儂に勝てんようでは<かぼたん>お嬢ちゃんには勝てんぞ?」
「流石は“墓王”だけありますねニトさん。
太陽の光すら消し去る闇の力は老いてなお盛んと言ったところでしょうか」
ニトさんの闇のパワーが剣の形となって貫きます。
「この面子で使うのもどうかと思うッスけど、『緩やかな平和の歩み』を盾持ってない人らに使うのは面白いッスね」
「確かにやり過ぎな気もしますけど、バカは痛い目を見なくちゃ治りませんからね」
アナスタシアちゃんの奇跡が動きを制限します。
「わはー♪ 合体技しよー♪」
「いいわよ<混沌の娘>ちゃん♪
<かぼたん>さんも一緒にやろ♪ 師弟三人の合体技♪」
「よーし、私も頑張っちゃいますよー♪」
<混沌の娘>ちゃんとプリシラちゃん。それに私が一緒になることでズタボロ状態のグウィンさんとグウィンドリンさんは爆発四散。
まさに王と言えども挨拶もなしに突っ込んでくる礼儀知らずにはちょうどいい報いです。
「こ、この“薪の王”グウィンが死んでも第二第三の王が現れるぞ……グフッ」
「くぅ、やはり男の娘は女の子のように優しく扱ってもらえないということか……グフゥ」
爆発四散しても、そこはダークリングによる不死者。ボロボロの状態で肉体は再生し、捨て台詞と共に敗北。
本当に何がしたかったんでしょうね。この人たち。
「<かぼたん>さん。気を抜いちゃいけないよ!
グウィンさん達が襲ってきたのにはきっと何かしら理由があるに違いない!
……弱かったけど」
「理由ですか? 確かに借金がどうのこうのって言っていましたね。弱かったですけど」
まさかねぇ~。幾らなんでも、仮にも王様がそんな金銭的なことでかつての仲間やいたいけな少女たちを襲う訳ないですもんねぇ~。
「いや、<かぼたん>お嬢ちゃん。
どうやらグウィンらが脅されていたのは確かなようだ。
そして今回の騒動の火つけ人は『病み村』襲撃犯と同じようだな」
一人だけ、遠くを見据えていたニトさん。
ソウルの扱いでは私が一番ですが、不死者のソウルを感知することに関してはこの人が一番。
そんなニトさんが注意を促すほどの存在がこの場にいるようなのです。
……それはそれで好都合。
物語の最後を飾るのなら圧倒的に強い人を倒してこそですからね。
出てきてくださいよ。ラスボスさん。
~後書き~
投稿初日と最終話は二話同時更新ってのは、こちらでも相変わらず。
引き続き次話のラスボス戦をお楽しみください♪
予定ではこの24話でバトル要素は終わっていたのですが文字数が増えてしまったのでw