二話同時更新ですので前話を読んでいない方はそちらから先にどうぞ。
長くなりましたがエピローグも兼ねた最終話ですね。
今回出てくるラスボスはセリフなどの設定解釈が色々とあるあのキャラですが、私は私でフロム脳を働かせてみました。
◆ ◆ ◆
それは一瞬の出来事でした。
グウィンさんとグウィンドリンさんが私たちのチームプレイであっさりと敗北してすぐ。
ニトさんが注意を促してきたので気を引き締めて第二陣があるのかな? と戦闘モードになった時でした。
突如として『最初の火の炉』全体に奇跡『放つフォース』が着弾。
そのあまりの威力に全員吹き飛ばされ、聖職者のアナスタシアちゃんですら耐えきれずに一撃のもとに。昏倒。
私ですら結構なダメージを受けてしまいましたよ。草で例えると<後月草>一つ分くらいのダメージです。
「おや? 一人残ったか」
場に現れたのは、一人の冴えない不死者。この人が全ての黒幕にして王様たちを影で操っていたラスボスですか。
エリアボス級の面々である私達をたった一撃で全滅させたと思えるくらいには自惚れた人のようですね。
まぁ、事実として私以外は一撃で気絶しちゃいましたが。
「あなたは……、<城下不死街の商人>さんですね?」
「イヒヒヒヒッ、そうとも。
あんたからすれば『城下不死街』からソウルをぼったくり、『病み村』を襲撃した犯人と言った方が分かり易いかな?
そうとも黒幕の正体はこの俺<城下不死街の商人>。全ては愛しのユリアのためさ」
「私は彼を愛する恋人ユリア。愛してるわ、あなた♪(<城下不死街の商人>裏声)」
雰囲気は確かにラスボスのそれがありますが、どうにもさえない容姿の<城下不死街の商人>さん。
でもユリアって誰でしょう? 普通の人は見えちゃいけない類の人?
「俺はずっと求めていた!
商人として、不死者として、圧倒的なソウルをッ!
ユリアとの永遠の幸せをッ!
そして! 手に入れたッ!!」
「もしかしてグウィンさん達を借金で脅したとか?」
「その通りッ! 金の力こそソウルの力なのさッ!!!」
「私の彼は商人として、剣士や魔法使いよりもソウルを貪欲に集めたソウル至上主義なのよ(<城下不死街の商人>裏声)」
<城下不死街の商人>さんが言うには、彼は己の欲望を満たすためにソウルを荒稼ぎし、レベルを上げ、ロードランのエリアボス級の人たちすら凌駕するソウルと同時に、お金と言う絶大な力を手に入れた自分に勝てるものなど居ないんだそうです。
でも、そうは言ってもねぇ~……。
「見るがいいッ! 私とユリアの究極の姿を!
二人が一つとなり、古の獣を凌駕するソウル量を稼いだ愛の商人デーモンユリアッッ!!! 我こそ<城下不死街の商人>! 我こそユリア!」
「あ、ソウルを使って変身するのでしたらどうぞ。
(でも<古の獣>のソウル量って20万ぽっちなんですけどね)」
「イヒヒヒヒッ♪ 俺の変身した姿を見て腰を抜かすなよ? 変身ッ!」
「キャーステキー♪(<城下不死街の商人>裏声)」
がめつく稼いだソウルを取り込み、<城下不死街の商人>さんがソウルにのみ込まれる形でデーモンとなりました。
器の無い人って、使えもしない癖に莫大なソウルを求めるんですよねぇ~。
「イッヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒッ♪ 強靭! 無敵! 最強! 故に完璧で美しいこの商人デーモン・ユリア様の爆誕ッ!!」
見上げるほどの巨体で『最初の火の炉』を破壊して行く様はまさにラスボス。
<混沌の娘>ちゃんやプリシラちゃんよりも、ニトさんよりもずっと大きくなった<城下不死街の商人>さん。
これはやっぱりアレですよね。一応ラスボスですし、最後を飾るのにふさわしい戦いの舞台を演出してあげましょうか。
「アンドレイ師匠ぉぉぉー! ヘぇぇぇ~~ルプミぃぃぃ~~♪」
私が天に叫ぶのと同時に、天井を砕きながらドリルが登場。否ッ! ドリルに非ず。
アンドレイ師匠の最高傑作、<グレートアンドレイガー・X>!
「弟子に呼ばれて即・登場ッ!
<かぼたん>! 見て分かるが目の前の巨大デーモンを倒せばいいのだな!?」
「そうです師匠ッ!
人の身でありながら莫大なソウルを溜めこんでデーモン化した人ですので、ぶっ飛ばしちゃってください♪」
以前見た時よりもボディの光沢が増していることから察するに、師匠の鍛冶屋パワーによってこの<グレートアンドレイガー・X>はさらに強化されたらしいですね。
「わしの弟子だけでなく、その友人や孫弟子たちにまで攻撃するとは許せん!
万死に値する! 覚悟せよッ!」
鍛冶屋の中の鍛冶屋――それこそがアンドレイ師匠。
常に精進を続ける師匠は鍛冶屋としては私よりも上。
<城下不死街の商人>さんが幾ら巨大なデーモンになろうとも、太古から綿々と受け継がれてきた人間の本能――鍛冶屋への畏怖は遺伝子に刻まれているのです。
鍛冶屋リアリティ・ショックで巨大化した<城下不死街の商人>さんは失禁。
「鍛冶鍛冶鍛冶鍛冶鍛冶鍛冶鍛冶鍛冶鍛冶鍛冶鍛冶鍛冶鍛冶鍛冶鍛冶鍛冶鍛冶鍛冶鍛冶鍛冶鍛冶鍛冶鍛冶鍛冶鍛冶鍛冶鍛冶鍛冶鍛冶鍛冶ィーッ!」
「グワー!」
地下深い『最初の火の炉』の、地上へと繋がる岩盤もろとも吹き飛ばされる<城下不死街の商人>さん。
地上にまで吹き飛ばされ、しめやかに爆発四散。
果てなき欲望にのまれてしまった哀れなソウルの亡者の末路です。
「デモンズソウルは生まれながらに持つ物。
後天的に身に着けようとするなら人間性を捨てる覚悟が無ければ人間には難しいということです」
アンドレイ師匠が掘り抜いた地上へと繋がる穴から降り注ぐソウルの雨が世界を潤していきます。
「ふむ、どうやらあの商人が溜めこんでいたソウルが大気中で弾けて雨となって降ってきたようじゃな」
「これで『城下不死街』には横領された以上のソウルが返ってきます。
<牛頭のデーモン>さんも、ミルドレットさん達『病み村』の人たちも失敗が帳消しになりますね」
物語の終わりは意外とあっけないもの。
ですが、私たちは忘れてはいけない。人の心にソウルを求める心がある限り、愛と悪はいつでもひっくり返ることを。
その事を教えてくれたことだけは、<城下不死街の商人>さんに敬意を表します。
さようなら。
◆ ◆ ◆
こうして私のロードランを巡る旅は終わりましたが、平和の概念が曖昧である以上、私に安息というのはないのかもしれません。
あの事件のあと、私は私で『火継ぎの祭祀場』に住むことになったのですが、
「<かぼたん>先輩。ターマイトで新しい必殺技を作ったッス!」
アナスタシアちゃんは休日のすべてをターマイターとして私に勝負を挑んできます。
「今度は私と遊ぶ番でしょ? <かぼたん>さん」
「うー、私の番は~~?」
プリシラちゃんと<混沌の娘>ちゃんは『王の器』をそれぞれに貰ってきたので自分のエリアから毎日遊びに来ます。
「ハハッ、妹共々来ちまったよ<かぼたん>さん。
弁当も持ってきたから一緒にお昼食べよう」
「作ったのはミルドレットさんですけどね(モグモグ)」
「あ、こらミスズ! つまみ食いしちゃダメでしょ!」
「(俺もつまみ食いしてるのに無視されてるのかな?)」
<城下不死街の商人>さんの溜めこんだソウルを浴びたからか、ますます元気で女に磨きがかかっているクラーグさん達。と、おまけのシバさん。
ミルドレットさんとミスズさんの関係は進展せず。シバさんは相変わらず。
「ふぉっふぉっふぉ♪ <かぼたん>お嬢ちゃんは人気者だな」
ニトさんほどじゃないでしょうに。というツッコミは言いませんよ。
子ども人気が妙に高いアクティブ隠居爺さんのニトさん。
たぶん財布の大きさと紐の緩さが原因でしょうね。
「<かぼたん>さーん。僕は魔法『姿隠し』を極めて隠密魔法騎士になれましたよー♪」
「それがなんでウチの水浴びを覗くのに使うんやハベルはん」
呆れるくらいにバカなことに一生懸命なハベルさんと、それでもハベルさんの傍を離れられないヒュドラさん。
「「zzZ zzZ」」
「流石は女神! 俺達に出来ないことを平然とやってのける!」
「そこに痺れる憧れる!」
「寝ていても息遣いではっきりと分かる大きな
ベルカさんとグウィネヴィアさんはたまに遊びに来ても寝ています。
ソラールさん、ロートレクさん、オーンスタインさん。女神様って食っちゃ寝するだけの仕事なんですか?
「お祝いと聞いてやってきたぞ」
「<かぼたん>様のおかげで、私もゴー師匠に出会えましたからね」
「だからって毎回作った仮面の試着を頼むのはやめてくれないか……」
ウーラシール王国からはゴーさん、スモウさん、チェスターさんが来ます。
そして……、
「さて、我が弟子よ。修行は怠ってはおらんか?」
「はい、アンドレイ師匠。今日こそ師匠を超えますよ♪」
巨大ロボ<グレートアンドレイガー・X>に乗ってやってきたアンドレイ師匠。
その手に持つのはターマイト。
今日も元気に鍛冶屋らしく『鍛造昆虫ターマイト』でバトルです♪
「チャージ三回、フリーエントリー、ノーオプションバトル!」
私の言葉に、その場の全員がマシンを取り出して構えます。
「チャージイン!」
同時に放たれたマシンが勝負を始めます。友情を深めます。全員を楽しませてくれます。
「ロードランは今日も平和です♪」
平和とは、つまりまったくそれでよいのです♪
~後書き~
これにて今作『ロードランは今日も平和です』は完結となります。
最後までお読みいただきありがとうございました♪
フロム作品らしい、暗くて陰鬱とした雰囲気は皆無でしたが、フロム作品だからこそ、こういう二次創作の一つや二つあっても良いでしょう。全ては愛ゆえに。
大好きな<かぼたん>を可愛らしく書けてたのしかったです♪
次回作はオリジナルを予定しているので『小説家になろう』での連載となりますが、また何かの二次創作を連載する時は、こちら『ハーメルン』の活動報告に事前に書きますので、気が向いたら読んでみてください♪
この作品をきっかけに、一人でも多くの方が小説を書く楽しさを知り、フロム作品の鬼畜な面白さの虜になればと思います。