何物にも縛られない<かぼたん>ならではの物語で行こうと思います♪
第四話:かぼたん、呪われた地に足を踏み入れる
ひゅ〜〜〜〜ズドン!
巨大カラスに運んでもらった<かぼたん>は無事に呪われた地、ロードランへと辿り着いた。
着地に関しては、かなり高いところから落とされたのだが特に怪我なくここに来れたのは幸先がいい。
「ありがと〜♪」
カラスにお礼を言って周りを見渡して見る。
篝り火を中心にして開けた場所。
その端に座り込んだ一人の戦士。
「へぇ、また一人この呪われた地に来たのか。
デーモン共のソウルを求めたか?
それともこの地を救おうとでも?」
かぼたんを出迎えたのは、は疲れ切った表情をした男。
「始めまして、私は<かぼたん>と申します。
あなたはこの地に来て長いのですか?」
「ハハハハハ……。まぁ、お望のデーモン共のソウルならこの先に行けば手に入るさ。
さぁ、行けよ。
そのために来たのだろう?
この呪われたロードランに」
「<楔の神殿>にも同じように心が折れて私が何を言ってもデーモン退治に行ってくれない人がいましたがその人にそっくりですね。
やっぱりこの人に協力してもらうのは無理なんでしょうか……」
男は「ハハハハハ……」と乾いた笑いを響かせるだけで会話が出来ないので諦めて他を当たることにする。
別段<かぼたん>には、この地での目的はないので何かしら面白そうな出来事があればその時々によって目標を変えるのも悪くないと思っているからだ。
そうして周りを見回すと<青ニート二世>(楔の神殿にいた初代青ニートから名前を拝借)の近くに階段を見つけた。
下って見ると、そこには鉄格子に囚われた一人の女性がいる。
「あなたは会話できますか?
私はボーレタリアから来ました<かぼたん>と申します」
囚われの女性からは<かぼたん>と同じく火防女独特の気配を持っている。
しかし囚われの女性からは返事がない。
「もしかして声が出ないのでしょうか?
良ければ私が治しますよ?」
それでも返事がない。顔も上げない。
囚われの女性は他社との接触そのものを拒絶しているようだ。
よほどのことがあったのだろう……と、かぼたん考えながらも行動は少しばかり荒っぽくなる。
「えい!」
鉄格子を掴むと力技で枠ごと抜き取り、同じ火防女の彼女に近づく。
近づいて見てみると分かるが、囚われていた火防女は両足の腱を切断されている。
かぼたんはその足に勝手に触れることで傷を治した。
「勝手な事をして申し訳ありません。
ですが同じ火防女として、無理矢理囚われる苦しさをあなたには味わってほしくなかったもので……」
「……優しい方なんですね」
鉄格子を壊したときも顔をあげなかった牢の火防女は<かぼたん>の目を見て返事をした。
「私はここ<火継ぎの祭祀場>の火防女、アナスタシアと申します。
それにしても……同じ火防女とは思えないほどの力ですね」
「ええ、私は人間ではなく、どちらかと言えばデーモンですので。
よろしくお願いします」
「あ、いえ。私はここから出る気はありません。
囚われの身とはいえ、望んでここに囚われているのですから気になさらないでください。
それと……けがれた声を聞かせてしまい申し訳ありません」
随分と卑屈な火防女。
望んで足を斬られ、望んで牢に閉じ込められているなど、見ようによってはそういう趣味にも取られかねないが、<かぼたん>は彼女を見て理解した。
自らの内にある17のデモンズソウルによって鋭敏に強化された想像力がアナスタシアの記憶を読み取る。
が、読み取ったところで、そんなアナスタシアの過去は関係なく、かぼたんは自身の望むままに行動する。
もう何物にも縛られずに自分の意思で生きると決めたのだから。
「よく分かりませんが一緒に旅をしませんか?
私はこの地に来たばかりで右も左も分からないのです。
自分の望むままに生きるのもいいですが、他の人と一緒に楽しく生きるのも悪くないと思いますよ」
アナスタシアは過去に愛する男を失い、その後絶望しているところを火防女としての素質を見抜かれ逃げ出せないように囚われていた。
不死であるために恋人を失った彼女にこれ以上失うものなどなく、だから自分が火防女となることで誰かのためになるのなら構わないという思いから火防女をやっていた。
しかし彼女と同じく火防女でありながら、自由に振る舞える<かぼたん>に惹かれないわけではない。
むしろ惹かれた。自分も彼女のようになりたいと。
「私は……火防女ですから……。
すいません、やはり一緒には「御断りします」……強引な方ですね」
「はい、私も以前は何よりも他者の望むように生きてきましたが、今は少しばかりわがままに生きてもいいと思うようになったんです。
そうして自分の意思で生きることの喜びを知りました。
あなたにも同じように幸せになってほしいんです」
かぼたんは思う。過去の自分とそっくりなアナスタシアにはぜひとも幸せになってほしいと。
人に望まれるだけの生き方よりも自分の意思で生きることの楽しさを教えたかったのだ。
「……分かりました。
私もいい加減に新しい生き方を探さなくてはいけないですよね。
……では『先輩』!
これからご教授お願いしまッス!
私はこれから自分の欲望に従って貴女に付き従うッスよ!!」
「え? 先輩って、どういうことですか?
というか、アナスタシアさん口調が……」
どうしてこなったのだろうか? だがよく考えてほしい。
アナスタシアは恋人を失った悲しみに打ちひしがれている時に周りに乗せられて火防女という役目を押し付けられ、足の腱を斬られ、鉄格子によって閉じ込められていたのだ。
本人が全てに絶望し、無気力だったから、そういう状況に流されていただけであり、足の怪我を治してもらい、生きる目的を新たに教えてくれた<かぼたん>に懐くのは自然の流れ。
というか元々熱い人だったようだ。
「私は<かぼたん>先輩のためにこの身を捧げましょう。
死んだ男を想って沈んでいるのも傍目にはいいかもしれませんがもう沢山!
私は私の意思で生きることにしたッスよ!」
「えーと、それじゃあよろしくお願いします」
「よろしくッス、かぼたん先輩!!」
こうして<かぼたん>はロードランの地に足を踏み入れ一日目にして旅のお供と出会った。
これからの彼女たちの冒険はどうなるのだろうか……。
アナスタシアさんって足だけでなく舌も抜かれたそうですけど実際にはどうなんでしょうね。
作中に舌の描写をいれていないのはグロくなりそうだからです。あえて描写する必要もないかと思いまして。
そして私はギャップ好きなので見た目に反して体育会系な性格って好きかも♪ 火防女になるまでの設定は私のフロム脳です。
それと、青ニート二世のセリフは覚えていなかったのでルーズリーフに残してあった青ニート一世のセリフから拝借。