射干玉の闇に灯るは幽けき淡い也   作:真神 唯人

2 / 45
今は、まだ「動かない」。

(「あの方」の次の思惑は まだ構築中、的な)




赤き霊(ヒ)と、渦巻

幾つもの、光る「渦」が現れては 消えて

 

幾つかの、光る「渦」が生まれては 死んでゆく。

 

「世界」は光る「渦巻き」で出来ている。

 

光る「渦巻き」は、数多の「赤い命の灯」で出来ている。

 

水の如き赤い灯の奔流が、世界を創る糧であり

 

世界を生む根源にして、すべての命の源である。

 

 

 -「禍つ霊(マガツヒ)」-

 

 

すべての命の源にして、世界を構築する為の基盤。

 

これがなければ、世界は、存在も存続も かなわない。

 

 

....これがあれば、世界を、「また」 生みだせる。

 

 

 

 

世界を創る条件は 二つ。

 

 

揺るぎ無き、確固たる構成理念をあらわす「理(コトワリ)」と

それを守護する、「神」たるもの。

 

 

そして。数多の命の奔流、すなわち膨大な量の「禍つ霊」。

 

 

この二つが条件として揃いし時

世界を生みだす、『 創世(そうせい)』へと至る資格を得るという。

 

 

 

....けれど、稀に。

 

 

「理(コトワリ)」無きままに、守護する神さえ無きままに

「世界」を生みだすことができることを、【消されし書物】を読んだ者は伝える。

 

 

いかなる手立てをもてば 可能なのか。どんな「世界」なのか。

 

 

読んだ者は語る。残念なことに、そのページは破れていて、

すでに失われていたということを。

 

 

....或いは「意図的に」破られていて、消されたのかもしれないと。

 

 

 

那由他の数の秘密によって、隠されし「真実」に、未だ至る者は無い。

だからこそ、それ故に明かされてはならないこととして 失われたのではないか。

 

秘密という名の「真実」が、たとえその一端にとはいえ。

 

終わりなき時の果てに、いつか、辿り着かれ 暴かれ 侵される時など来ないと

はっきりと言い切るには、「ヒト」の思いや念は侮りがたいものである、と。

 

 

だが、読んだ者は既に時の彼方に去り、もはやそれらの言葉は

大いなる闇の底に沈み、消えゆくのみであった。

 

 

 

 

***

 

 

数多の光りの「渦巻き」は、ボルテクス界と呼ばれ 存在する。

 

 

その中に、在りし日を失い「創世」へ至る為の「卵」となった世界があった。

揺るぎ無き「コトワリ」を持ちし 三人の「ヒト」と

揺らぎ続け「コトワリ」を持てぬまま 虚無に呑まれた「ヒト」と

 

「ある意思」により 望みもしない力を人ならざる姿と共に

与えられた「元・ヒト」だった者が 血と砂塵に塗れ 彷徨い続けて

 

 

 

進みゆく道を選択し続けた結果。

 

 

 

 

「卵」の殻が割れて、出てきたのは新たなる「コトワリ」の世界ではなく。

 

 

 

 在りし日の、さほど旧くない かつてヒトで満ちていた「世界」だった。

 

 

 

 

「創世」へと至る資格を手にしたのは

人ならざりし姿と力故に、誰より自由だった「元・ヒト」の少年。

 

 

彼が望んだのは 生まれ変わる前の「自分がヒトとして生まれた世界」の存続。

或いは 継続そのものだったのだろう。

 

 

  「ある意思」の思惑は、少年自身によって外されたのである。

 

 

 

***

 

ボルテクス界の「外側」。

 

 

赤き霊(ヒ)が満ちる経絡-アマラ経絡が敷かれたその先。

 

更なる深き層に分かたれた-アマラ深界の最下層。

 

ヒトが行きつけぬ-奈落の底の更に下。

 

 

何もない空間に、映るのは創世を成した「少年と、少年が生きる世界」。

淡々と、まるで無声映画のように次々と場面は進んでゆく。

 

 

そして薄闇に浮かぶ、不自然なほど巨大な玉座に座る「誰か」が

興味深げに、それを観ていた。

 

 

不似合いな、幼い子どもの囁くような声が

映像の向こう側の「少年」に向けられる。

 

 

 

  

  どれをえらんでも きみがのぞみ きょうかんして

  つくるのならと おもっていたよ

  

  

  いきつくさきは ぜんぶ ぼくのところになるから

 

  

  でも「これ」では ぼくののぞみは かなわないんだ

  だから せんたくし を あとひとつ ふやしてあげよう

 

 

 

「そうしたら きみは もっとじゆうになれるよ」

 

 

 

  

  ぼくのねがいをかなえる あたらしい ちから に なれる

  

 

  じかんは まだあるから 「やりなおそう」 いいよね?

 

 

 

 

 

 

 

「きみは きみのねがいを かなえたのだから」

 

 

 

 

 

  ぼくのねがいをかなえてくれる きみに なってほしい

  

  そのためなら どんな「どうぐ」でも そろえよう

 

 

  なんどだって 「やりなおす」から いいかい?

 

 

 

  さいしょの そうせい は

  

  そのための「えさ」なのだから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




本筋どこいった?感じになってしまいました。

2016/1/24 ちょこっと加筆しました。


...ますますワケわからんことに。



▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。