その名に 相応しき最期と為ろう 然らば 堕ちたる種子の
階となりて 汝 その命の輝きを失せし時こそ 我が胸に
その全てを 迎え容れようぞ
「人のような、悪魔のような。君が"人修羅"か」
そう言う、マネカタにしては何かが違うそいつは俺に礼を云いそういえばと。
言葉を足して告げたのは、この向かいの部屋に捕らわれた"人間"がいると。
そして何の根拠があるのか妙な事を言った。
直ぐに会えと。妙な気って何だよ?。何だかよくわかんねーな。
「他のマネカタが気になるので、私はここで」
失礼するよ、と言って足早にソイツはここから出て行く。本当にマネカタか?。
あまりにマネカタらしくない、と言うと、それはそれでおかしな話になるけど。
「(「新田」がどうしたって云うんだ?まさか)」
首の後ろがざわり、何故か嫌な感じがしてガラリと扉を開けたそこには。
淡く光りながら回転するターミナルに手をかざして何かを読んでいるように
見える「新田」が、立っていた。ターミナルに刻まれた文字だか記号だかが淡く
光を帯びて回り続けていたが、俺が入って来た事でその動きを止めた。
その途端、「新田」が俺に気付いて振り返った。尤も。驚いていたのは最初だけ。
直ぐに、いつもの態度に。そして....責めるような、苛立ちを隠さない言葉。
「もう....オマエとか「裕子先生」とかアテにしねぇし」
関係無い、と。表情を曇らせながら言った。こんな世界である以上、誰もが
自分の事で手一杯で、助けてくれる者などいない現実を思い知ったと言って。
1人で生き延びて行くしかないんだと、俯いた。だが直ぐに顔を上げて
挑むような眼差しで俺を睨んだ時、また1つ、何かが定まった気がした。
流されず意思を灯らせた新田に応えるように。まるで移動時のように高速で
ターミナルが音をたてて、回り始める。何処かに、行先を決めたかのように。
「真理を求めよ、って声を聞いたんだ」
そう言われ思い出す。ここに来る時に俺も橘も内容は違えど声を聞いた事を。
それが、「新田」にも聞こえたってのか。なら、「新田」も。「橘」と同じ様に行くのか。
「俺は、誰の手も借りずに道を開いた。俺を導く力へ、な」
真理なんてもんは、自分の中に見つけるしかないんだと。今、自分が求めてる
その真理とやらなモノは、どうしてかアマラ経絡の向こうに在るんだと言って。
一際眩しく光った瞬間、ターミナルに吸い込まれて行ってしまった。
思わず後を追おうと手で触れたが、俺には全く反応しなかったけど。
「....「新田」まで,コトワリを目指すのかよ」
つい、ターミナルを蹴った。分かっていても蹴らずにはいられなくて。
どうしてだ。俺が来るのが遅かった
また取りこぼしてしまったのか。この手から。思わず、拳を握り込んだ。
「アラト、大丈夫?」
「あのヤロウ、消える前にぶちのめせりゃ」
『....大丈夫だ、何ともねえから』
ガラリ、と扉を開けて表に出ると生き延びたマネカタ達とフトミミとかいう
リーダーのマネカタが立っていた。さっさと逃げればいいものを俺に世話に
なったからと改めて礼を言いにきたんだと聞いて、ちょっと驚いたな。
ずいぶん律儀だなと半ば感心しているとソイツがまた妙な仕草で目を閉じて
何かを聞いていた。マネカタ達が苦しむ事のないよう生きるにはどうすれば
いいかを考える為に皆で旅立つと告げたあと、ソイツは。
「君を待っている男がギンザにいる」
だから会いに行くといい、と。そう言って去って行った。....予言、ね。
信じ難いけど他に何かあるでなし。何とも不思議なマネカタだと思った。
アイツだけが何故違う?。今は考えても仕方ねーかなと考えるのを止めた。
そして言われた通り、取り敢えず皆でギンザへと向かう、その道すがらで。
俺を待っている男、と聞いて何となくというよりは思い当たる相手について。
もしやという予感めいたものではなくて、確信といってもいいものはあった。
****
『俺を待ってるヤツって言ったら誰だろな』
「....アタシ、1人知ってるんだけど」
「....偶然だな。オレも1人、いるぜ」
「ワレモ、1人知ッテイルゾ」
「てゆーか、アイツしかいないだろーが!!」
全員で顔を見合わせて「だよなー、やっぱり」と吹き出した。
「まぁた、何か頼まれるんじゃねーの?」
『そうかもな。でも次への切っ掛けにはなるぜ』
「アタシ、アラトがパシリに使われるのイヤよ」
「パシリゆーな。情報源って言ってやれよ」
『なんだっていいさ。手を
前向きなんだか後ろ向きなんだかわかんねーな、主はと仲魔からそう言われて。
そうか?と首を捻ったけど。....本当はな、あんまり好きじゃねーんだけどさ。
あの時。フトミミが言った、仇名?種族名?だかの、俺の名を。
"人修羅"という呼び名の意味を、その時垣間見た気がしたんだ。
今の俺は、人であり悪魔であり、そのどちらでも無いイキモノだ。
それでも未だ心は、「人」だと思っている。その理由は....。
「おい、何ボサッとしてやがる。行かねーのか?」
『....悪い。よし、サクッと行ってみようぜ』
「ハズレタラ、罰ゲームカ?」
「今回はハズレ無しよ、さすがに」
「無い無い。全員当たりだろ、
そうそうー♪と、全員が満面の笑みとか、ノリいいよなホント。
****
そのまま、なんかよくわかんねーノリで、ギンザに着いた。そして。
ターミナルに、必ずいると言えるかもしれない
「おっ?。アラトじゃないか」
期待を裏切らねえなあ、と思ったのは秘密だ。
来い 来い 来い 全てを け散らし その名の如き
漆黒の闇を纏いて ここへ 二度と出られぬ 果てへ
至れ 道を違わず 全ては その為の布石 堕ちて来い
我らは ここで おまえが足掻く様を 見ているぞ