真っ白な視界。開けても閉じても、真っ白な世界。
....ああ。また夢、見てるのか俺。
静かな世界に、割り込んでくる声・声・声。
....うるさいな。誰だよ「今度は」。
「なぁんだよ、寝ぼけてんのか?。」
....は?。だれ?。
「もう、全員整ってんぞ。行かねぇのかよ?。」
....行く?。何処に?。....あれ?。....。.....。........。
「アイツ、あそこから引き摺り下ろすんだろ。」
「何やってんの?。今さら、怖気づいたとかナシでしょおー?。」
「マサカ、コノ後ニ及ンデ尻込ミシテイルノカ?。」
『...んなワケあるか。あの忌々しいアレ、引き摺り下ろして地べた這わす!。』
「何だ、寝ぼけるとは余裕だな。」
「オマエガ望ミ、叶ウハ直キニダ。緩ムデナイ。」
『...緩んでねぇよ。何か、懐かしいような感じの夢、見てただけだ。』
「夢ぇ?。」
「何と。ここに至りて、うたた寝とは。」
「ぼぉーっとしとると思うておったら、のん気じゃのう。」
『...うるさいな。しかたないだろ、「あと少し」なんだから。』
「そうね。〇〇〇とは、結構長く付き合ってきたものね。」
「早く終わらせたいんだろ。緊張してんのか?。だっせーな。」
「ナンダ、〇〇〇。何ヲ気ニシテイル?。」
気にしているのは。「お前達」のことだと言ったら、笑うんだろ?。
らしくないとか言って、呆れるんだろ?。
それとも、くだらねぇって、生温かい目をするのか?。
バカじゃんって、醒めた顔で見るのはやめろよな。
しょうもない「感傷」だって、わかってる。
けどこんな感情が、「まだ」残ってるなんて思わなかった。
「ここ」まで来るのに 必死だったから。
おかしいよな。「ここ」まで来る為に、「俺」だけでは無理だから。
だから、「お前達」の力を必要としただけなのに。
考えないようにしてた。「全部終わった後」のことなんて。
考える余裕もなかった時のほうが、長かったけど。
...ごめん。「俺」は、やっぱり「帰りたい」。
「俺」が「俺」だった場所へ、「戻りたい」。
だから、今の俺は、「お前達」と同じな俺は、違うんだ。
...なのに、どうしてだろうな。
割り切るには、「ここ」までに長くかかり過ぎた所為なのか。
「その時」が近づくのは喜ぶべきで、寧ろ早く進むべきことで。
足が進まない「理由」は、置いていくべきことで。
『...「お前達」がいてくれて、助かった(良かった)。』
「お?。何だぁ、今頃んなって有難みがわかったってか?。」
「今頃言う事なの?。いつも言ってたじゃない。」
「さあ、あと少しですよ。参りましょう、〇〇〇殿。」
ああ、すまない。「俺」は「戻る」よ。
「お前達」のいない世界へ。
***
ジリリリリ。がこっ。....痛ってぇ。
「相変わらず」、けたたましい目ざまし時計だよなぁ。
買い換えるか、あーでも起きれないか、このくらいじゃないと。「俺」は。
「アラト?。やっと起きたの?。...。」
「...何?。てか、年頃の息子の部屋にノックもなしとか勘弁してよ。」
「...だってアラト、うなされてたし。怖い夢でも見たの?」
「はぁ?。なんで?。」
「……鏡、見なさい。それで、顔洗いなさいね。」
母さんが指摘するまで気付かなかった。
生温い、頬を流れる「ソレ」に。そして。
気付いた途端、そっちに気を取られて。さっきまで見ていた筈の「夢」が
きれいに霧散したのはもう、仕方なかった。
「俺」、何で泣いてたんだっけ?。
もうすぐ本編...の、筈。
1000字以上書くのがやっとって...泣。