ラブライブ!~未来を拓く物語~   作:夜羽秦斗

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 どうも!感想もらえてテンション高い夜羽秦斗です!
 初評価もいただけて感動しております!

 それではどうぞ!


第九話 未来へ

 「え、きみだれ?」

 

 口に出してから気づいた。

 この子はもしかしたら俺の知り合いだったのかもしれない。

 いきなり誰?などと言われて傷ついてしまうかもしれない。

 とりあえず謝ろうととした時、女の子が口を開いた。

 

 「人に名前を聞く時はまず自分からでしょ?」

 「あ、うん。ごめん」

 

 と、いうことは、この子僕のこと知らないってことだよね。

 てか、つい謝っちゃったけど、ここ僕の病室だよね。

 部屋の主として当然の振る舞いだったと思うんだけど。

 

 「うーんと、藤間、拓人?です?」

 「なんで疑問形なのよ・・・もしかしてそれも忘れてたの?」

 「まあ、そうなるな」

 

 いや、覚えてることもあるよ。

 母さん曰くどうでもいいことらしいけど。

 

 「そうだったの・・・じゃあ、次は私の番ね」

 

 一瞬暗い顔になってしまったものの、すぐに元の澄まし顔に戻った。

 この子笑えばかわいいと思うんだけどなー。

 

 「私は、西木野真姫よ」

 

 ん?西木野ってどこかで聞いたことあるような・・・

 

 「・・・ねぇ西木野さん。ちょっと聞きたいんだけどさ」

 

 僕の気のせいじゃなければさっきの先生の名字も西木野だったような・・・

 

 「真姫でいいわよ。私も拓人って呼ぶから」

 「それじゃあ真姫、きみのお父さんって、もしかしてこの病院で働いてる?」

 「ええ、院長をしてるわ」

 「へぇー院長かー」

 

 あれ、院長って一番偉い人じゃね。

 

 「す、すごいね。院長の娘さんか」

 「別に私はすごくないわよ。パパがすごいだけ」

 

 そう言った真姫の顔は少し寂しげだった。

 そんな真姫の顔を見たとき、なぜか頭がズキッと痛んだ。

 突然の頭痛に顔が少し強張る。

 

 「ちょっと、大丈夫?」

 

 僕の顔が強張ったのを見て、心配してくれたらしい真姫がそんな声をかけてくれる。

 

 「ああ、大丈夫だよ。突然の頭痛でびっくりしただけだから」

 「・・・本当に大丈夫?私、邪魔になってる?」

 

 うーん、正直なところ寝たい。

 麻酔が効いてるとはいえ、結構きついんだよなー。

 でも、このまま帰しちゃいけないような気がする。

 そうしてしまったら俺は――あれ、今僕、一人称俺になってた?

 

 「やっぱり迷惑よね・・・ごめんなさい、そんな怪我してるのに・・・」

 

 やばい、真姫が落ち込んでしまった!なんとかしないと!

 もう僕でも俺でもヴァターシでもなんでもいいわ!

 

 「いや、そんなことないよ。話し相手になってくれて助かるよ」

 

 まあ、嘘ではないからな。

 

 「・・・本当?」

 「ほんとだよ。だからもう少しだけいてもらってもいいかな?僕から頼むよ」

 

 すると真姫の顔が笑顔に変わった。

 やばっ、かわいい

 

 「かわいい・・・」

 「ヴェェェ!?」

 「あ、今のは違くて!」

 

 やべぇ、声に出てたー。

 なんか知らんけどポロっと出ちまった。

 もしかして、前の僕ってこういうこと平気で言うやつだったのかな。

 ・・・母さんたちには悪いけど、なんか記憶なんて戻らなくていい気がしてきたよ。

 

 「イ、イミワカンナイ!」

 「ご、ごめんて」

 

 ふと視線を感じて扉の方を見ると、ニヤニヤした顔でこちらを見ている母さんの姿があった。

 もしかして聞かれた?いや、でもギリ聞こえてない可能性も・・・

 

 「聞こえてたわよ」

 

 やっぱ聞いてたー!

 

 「か、母さん。せめてノックくらいしてくれよ!」

 「それだけ聞くと、発電中に部屋に母親が入って来た時の息子のセリフみたいね」

 

 下ネタじゃねーか!僕の母親ってこんなんだったのか!?

 

 「発電中?どういうこと?」

 「頼むから真姫はそのままの真姫でいてくれ」

 

 真姫が発電の意味を気にしていたが、小学生(多分)に教えるわけにはいかない!真姫は僕が守る!

 

 「あらー、今のってプロポーズ?まだ早いわよー」

 「あんたもう黙っててくれないかな!?」

 

 これが母親との初会話とか悲しすぎる。

 

 「そうそう、あんたはそんな感じでいいのよ拓人」

 「え?」

 「変に気を遣わなくていいってことよ。こんな感じのやり取りなんていつものことだったんだから」

 「じゃあ、今の会話はそれを伝えるために?」

 

 母さん・・・あんたって人は・・・

 

 「いや?単純に私の趣味だけど?」

 「数秒前の感動を返せ!」

 

 記憶はないけど本能が俺に呼びかけてくる。この人は敵だと。

 

 「あ、そうそう、その子西木野さんの娘よ」

 「ああ、さっき聞いた――って、急に話しが変わった!?」

 「何言ってるの、いつものことじゃない」

 「それは少なくとも記憶喪失の人間にかける言葉じゃない!」

 

 しかし、これがいつものことって疲れそうな家庭だな・・・

 父さんの方がまともであることを祈るしかないな。

 

 「ちなみに父さんはもっと酷いわよ」

 「むしろ父さんの方が酷かった!ていうか心読んでるの!?」

 「あの人、マニアにしか分からないようなネタを平気でぶっこんでくるのよ・・・」

 「それはたしかに酷いな!」

 

 もうツッコむの疲れたよ・・・あ、真姫のこと放置しちゃってた。

 自分から残ってくれとか言ったくせに何やってんだ僕。

 そう思い真姫の方を見ると、真姫は微笑んでいた。

 

 「真姫、ごめんね。僕の方から頼んだにも関わらずほっといて」

 

 とりあえず声をかけてみることにした。

 

 「気にしてないわよ。拓人、すごく楽しそうだったから」

 

 僕が楽しそうだった?

 たしかにそうかもな・・・

 

 「ありがとな真姫」

 「どういたしまして」

 

 そういや、勝手に小学生認定しちゃってたけど、真姫って何歳なんだろう。

 

 「なあ、真姫って何歳なんだ?」

 「小六よ。来月から中学生になるわ」

 「よかった!」

 

 危ない危ない、ギリギリセーフだ。

 

 「え?なにがよかったの?」

 「拓人、あんたまさか・・・ロリコンだったの?」

 「なんでそうなる!大体僕は・・・」

 

 あれ?僕って何歳?

 

 「か、母さん。僕って何歳なの?」

 「フッ」

 「母さーーん!!」

 「ねぇ、ロリコンってなに?」

 「真姫、いい子だからその言葉は忘れて!」

 「ちょっと!子供扱いしないでよ!拓人だって私と同じくらいの年でしょ!」

 

 え?そうなの?

 

 「母さん・・・?」

 「そうね、あなたは今中一よ」

 「最初からそう言えよ!」

 「そしたら面白くないじゃない」

 「僕が面白くないんだよ!」

 

 ふぅ、ひとまずは安心だな。

 

 「それでロリコンてなに?」

 「・・・言わなきゃだめか?」

 「当たり前よ!聞いたことないわよそんなの」 

 「キ○トとクラ○ンのやり取りかっ!」

 「何言ってんだ母さん」

 「私にも分からないわ」

 

 そんな僕たちの反応に母さんは悔しそうにしていた。

 

 「あ、拓人。ちょっとお母さん電話してくるわね」

 

 かと思えば、一瞬で立ち直って部屋から出て行ってしまった。

 

 「面白いお母様ね」

 「いや、相手してると疲れるよ」

 「でも楽しいでしょ?」

 「・・・そうだな。本人には絶対言わないけどな」

 「ふふふ、素直じゃないわね。私とおんなじ。私もね、学校では素直になれないの」

 

 ふむ、素直になれない、か。

 学校に通ってた記憶はないけど、なんとなく親が院長って聞くと近寄り難いと思うやつは少なくないってのは分かる。

 現に僕もさっきそうだったしな。

 でもそんなのは付き合っていくうちに気にならなくなるだろう。きっと真姫は・・・

 

 「真姫は、その・・・」

 「ええ、学校で孤立してたわ。話せる友達もいなかったし」

 

 僕がそこまで言うと真姫は察したようで、苦笑しながら答えてくれた。

 辛いことのはずなのに、僕は言わせてしまった。

 

 「だからね、記憶喪失だっていうあなたをほっとけなかったの」

 「僕を・・・?」

 「だって、あなたの中にはあなたを支えてくれるものがなかったでしょ?私には音楽があったわ。でもあなたはそういう大事なものも忘れてしまったんじゃないかって、そう思ったから・・・」

 

 そうか、僕のことをそこまで考えてくれてたのか・・・

 真姫は本当に素敵な子だ。

 だから、真姫も幸せにならないと嘘だ。

 

 「ありがとな、真姫。俺のために」

 「え、拓人、今俺って」

 「ああ、僕じゃなんとなく弱そうだからこっちにした。なんかこっちの方がしっくりくるしな」

 

 自分から言ったんだけど、弱そうっって理由より、なんか今となっては俺の方が嫌にしっくりくるようになったというかなんというか。

 まあ、気にしたら負けだな。

 

 「そ、そうなの」

 「そ、気にしないでくれ。それじゃあ、真姫、俺と友達になってくれないか?」

 

 俺がそう言うと真姫はすごく驚いた顔をした。

 

 「・・・どうして?」

 「どうしてって、俺が真姫と友達になりたいんだ。それだけじゃだめか?」

 「だめ、じゃない・・・」

 「なら、これからもよろしく真姫」

 

 俺がそう言うと真姫は一瞬俯いたものの、すぐに顔を上げて満面の笑みで答えてくれた。

 

 「私の方こそよろしくね、拓人」

 

 その笑顔は今日見た中で一番魅力的だった。

 

 

 

*****

 

 拓人の病室を出てから私は院外へ向かった。

 院外に出てすぐにスマホを操作し、親友に電話をかける。

 

 「もしもし優子?どうしたの急に?」

 

 親友の真穂は三コール目で電話に出てくれた。

 

 「急にごめんね真穂、実は拓人が交通事故に遭って病院に運ばれたわ」

 「え・・・そ、それで大丈夫なの?」

 「三十分くらい前に意識は戻ったわ。まあ、しばらく入院することになったけどね」

 「そう・・・それで、電話してきたもう一つの理由はなに?」

 

 相変わらず察しがいい親友に自然と唇が緩むのを感じた。

 

 「拓人ね、記憶喪失なのよ」

 「記憶、喪失って・・・そんな・・・」

 

 真穂が動揺しているのが分かる。

 それはそうだ、記憶喪失なんて滅多にあるものじゃない。

 

 「それで、あなたにお願いがあるのよ」

 「お願い?どんなこと?」

 「記憶喪失のことは穂乃果ちゃんに、ううん、穂乃果ちゃんたちに知られないようにしてほしいの」

 「それって」

 「勝手なことだとは理解してるわ。でも、今の状態で会ってもいいことはないと思うの。これはあの子たちのためよ」

 「・・・そうね、その方がいいかもしれないわね。穂乃果たちには私から言っておくわ」

 「真穂ならそう言ってくれると思ってたわ。ありがとう」

 「でもね、優子」

 

 真穂が真剣な声のまま私にその言葉を突き付けてくる。

 

 「いつか向き合わなければいけない時が絶対に来るわ。その時はどうするの?」

 

 そう、いつまでもこのままというわけにはいかない。

 いつか絶対どこかで、拓人は己の記憶と向き合わなければいけない時が来る。

 ただ、それを先延ばしにしているだけなのかもしれない。

 穂乃果ちゃんたちに伝えなかったことを責められるかもしれない。

 それでも・・・

 

 「その時は私が全て請け負うわ。言いだしっぺは私だしね」

 

 すると、スマホからあきれたような溜息が聞こえてきた。

 

 「あんたは昔からそういうとこは変わらないねー。私だって共犯なんだからその時は一緒に責められてあげるわよ」

 「真穂、ありがとう・・・」

 「ただ、このことは南さん、園田さん、小泉さん、星空さんたちも呼んで話しましょう?」

 「そうね、そうした方がいいわね。ほんとにありがとう」

 「さっきもだけど、いいわよ、お礼なんて。それより、あんたしばらくこっちにいなきゃいけないでしょ?家に泊まりなさいよ」

 「え、でも迷惑じゃないかしら?」

 

 こんな状況とはいえ、頼りにしていいのだろうか?

 

 「大丈夫よ、拓人君来る予定だったからちゃんと部屋も準備してたのよ?」

 「じゃあ、お言葉に甘えさせてもらうわね。もう少ししたらお邪魔させてもらうわ」

 「それでよろしい。じゃあ、また」

 「ええ、また」

 

 真穂との電話を終えた私はゆっくりと拓人の病室へ向かって歩き出した。

 病室に着くと、既に真姫ちゃんの姿はなく、拓人は穏やかな顔で眠っていた。

 

 「いつか、向き合う時が来ても、あなたには九人の女神がいるんだから大丈夫よ」

 

 例え、九人同士は面識がなくとも、拓人の存在が九人を繋ぐ。

 そして、それはきっと拓人を支えてくれる存在になる。

 そんな予感がする。

 

 「だから、今は身体を治しなさい。いつか、きちんと自分から大切な人たちに会いに行けるように」

 

 そう口にしてから私は再び病室を後にした。

 

 

 

 

 

*****

 

 そして月日は流れ、あれから三度目の春休みを迎えた。

 怪我もすっかり完治し、リハビリによって元のように動けるようになった拓人。

 だが、事故によって起きた記憶喪失によって、拓人は勉強の記憶も断片的に失っていた。

 遅れを取り戻すまでに大分時間をかけることとなったが、なんとか仙台の普通高校に進学することができ、それなりに高校生活を楽しんでいたが、同時に物足りなさも感じていた。

 拓人はあれ以来たまに思い出すことはあったが、今まで一度も女の子たちのことを思い出すことはなかった。

 なぜなら、きっかけがなかった。

 退院してすぐ拓人は仙台に戻ることを望んだ。両親はそれに従った。

 そして、拓人が戻った時には隣の女の子は引っ越していた。

 だから出会うこともなかった。

 

 しかし、ようやくここで運命は交差する。

 

 「国立音ノ木坂学院の共学化?」

 

 年々生徒が減少している音ノ木坂学院。

 今年度から共学化し、学校を存続させようという動きになっていた。

 

 「そこはね、母さんのお友達が理事長をやってる学校なのよ。拓人も是非誘ってほしいって頼まれてね」

 「でも、ここ元女子校なんだろ?それにこっちの高校入ったばっかだし・・・」

 「拓人、そこにはあんたの望むものがあるわ」

 「俺の、望むもの・・・わかった、編入試験受けてみるよ」

 

 

 そして、拓人は編入試験をパスし、音ノ木坂に二年生から編入することとなった。

 両親は仙台に残るため東京へ行くのは拓人ただ一人。

 しかし、小学五年の頃に父親とした約束が一年遅れで果たされただけのこと。

 

 通り慣れた道、よく遊んだ場所、家族三人で過ごした家のこと、そして大切な少女たち。

 

 これは全ての記憶を失った少年が、その大切なものを取り戻す物語。

 それがようやく動き出す。

 

 中学生編END




 いかがでしたか?
 
 あ、拓人のお母さんの名前初ですね。優子(ゆうこ)さんです。多分これからも出るので覚えていていただけると幸いです。
 
 次回から原作に入っていきます。
 え?穂乃果たちの描写?ちょっと何言ってるか分からないですねー。
 基本的に拓人目線で進めんでいきます。
 穂乃果たちの間でどのようなやり取りがあったかが気になる方は言ってください。頑張って書きますw

 それではご覧いただきありがとうございました!
 
 田千波 照福さん投票ありがとうございました。
 
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