……とりあえずアルベド様、掃除の邪魔なのでアインズ様のベッドから退いて貰って良いですか?
VRMMORPG『ユグドラシル』で悪のギルドとして名を馳せたトップギルド、アインズ・ウール・ゴウン。
そのギルド拠点たるのはナザリック地下大墳墓。かつて千五百人の侵攻を以ってしても陥落させる事は叶わず、地下八層における戦いで侵入した戦力は全滅した。
そんなナザリック地下大墳墓ではプレイヤーたる“至高の四十一人”を主とし、その下には守護者統括、階層守護者、領域守護者……といった高位のLv.を持ったNPCが位置付けられている。
最高レベルのLv.100のNPCの内の一人――セバス・チャンがリーダーを務めるのが、全員がメイドによって構成された集団であるプレアデスだ。
メンバーは全員Lv.45を越えていて、最低がシズ・デルタのLv.46、最高がナーベラル・ガンマのLv.63。
しかし、それはあくまで
戦闘に介入する事を想定されていない一般メイドはどうかと言うと、全員がLv.1……豚ですらLv.4である事を考えると始めから戦闘行為を行う事を考慮していないという事がよく分かる。
……そんな豚にも余裕で負ける一般メイドの1人である私は地下九層にある至高の四十一人たる御方の私室を掃除している。
ベッドのマットレスを取り替え、シーツを皺一つ無いように綺麗に敷いてからその上に布団を敷いていく。ここは私の得意分野で、微細に魔力を調整して至高の御方それぞれに合う寝心地を提供する。ここだけならば私はナザリック一、いやヘルヘイム一くらいなら取れる気がする。…まあヘルヘイムは二日前の
と、そんな事を考えている間に二度掃き──ベッドメイキングによって発生したであろう埃を掃除機らしき魔道具を使い吸い取る作業が終わった。最後に部屋の隅やベッドと壁の間、ドアの可動部の下など死角足り得る場所を全て確認して今日の掃除を終了する。
……全く非常に面倒な工程だと思うが、それが仕事であり私の存在理由なので文句すら言えないのが辛いところである。……
最も、掃除能力があったのかすら【記憶】に無い私にとっては〈清掃:上位〉
前世での不摂生が祟ったのか、度重なる徹夜や残業のせいなのか二十何歳という若さで死んで、このザマだ。
まぁ、好きだった『オーバーロード』の世界に来ることが出来たし、今のメイドライフも悪い物じゃないから、むしろ良かったと言えるんじゃないだろうか。
――豚にも劣る戦闘能力だがな!
この世界に来た最初の夜は、泣きに泣いた。生まれた世紀が二つ位違うのはしょうがないとしても。せめて、せめてレベル40位は欲しかったです。
既存キャラの自我を奪ってまで欲しい訳では無いけど、他にもあるよね?
エルダーリッチ?慎んでお断りしますが?
何故にLv.1やねん。
メイドは良いよ、掃除意外と楽しいし、見た目可愛いし。同性の私でも可愛いと思うくらいに。
一度無双してみたかったなぁ。
……っと、時間、時間。部屋のドアを閉め、食堂に向かう。
今は二日目――月はほとんど満月で、明日満月になるはずだ。明日、モモンガさんが言った『世界征服』がデミウルゴスによって、これからのナザリックの方針となって行く。
私の方針は……原作知識を利用して、気づかれないように良い方向に改変する事、かな。
もし、守護者達――特にデミウルゴスやアルベド――に私がある程度までの未来を知っていると知られたら……情報を聞き出してから殺されることも無いとは言えない。
あと、強くなれるんだったらなりたい。この転移後の世界でレベルアップ出来ないとは明言されてなかったしね。
でも先ずは、ご飯、ご飯。ナザリックはご飯も美味しいです。
感想・評価、お待ちしています。
2016.1/20 ※プレアデスの最低レベルについて変更
2018/03/02 大幅な加筆と修正、それに伴う設定変更
※投稿当時より文体が重くなっていたり、主人公の性格が変わってたりします。……なんか色々と薄かったんじゃ。