狂医者の死神奇譚   作:マスター冬雪(ぬんぬん)

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グロ入ります。拷問です。有り得ない事を有り得る事と化す、それが念だ(暴論)


▼力と意欲

修行は問題なく進んでいる。曰く、小生には才能があるという。この世界の平均に興味はないが、今の生活は元の世界よりも自由で楽で愉しい。ザクザクと肉塊を切り刻みながら心底思う。

前の世界は殺人に厳しくて、おちおち眠る事すら出来ないのだ。小生のような殺人鬼にとっては。

 

「あ゙、あ゙、あ゙、や゙め、ゃめ゙でぐれ、やめでぐれ……!」

 

豆腐のように手応えがないのは好きでない。殺戮の際は念を使うが、こういった殺人の際は純粋な自分の力でシたい。ピシャピシャと顔に頬に生暖かい液体が飛び散るのも気にならない。もう頭の先から爪先まで小生は真っ赤に染まっているから。元々、血は好きだしね。

 

「~♪……ん?ああ、小生とした事が。哀れな被害者の最期の嘆きを聞き逃すなんて……ごめんねぇ、もう1回言ってくれるかい?」

「い゙ぎっ?!」

「そうじゃないだろう?ほら、もう一度……」

 

十分に愉しんだ後は《発》を使う。小生の念系統は具現化系寄りの特質系だ。得物を持つ逆の手で掴むのはオーラで出来た針。ずっぷりとそれを首裏に埋め込むと男は四肢を一つ震わせて申し訳程度に悶えるのを今度こそやめた。麻痺だ。更に言えば麻酔のような物で、感覚はないが意識はハッキリしている筈だ。

 

「君はどれだけ耐えられるかねぇ……?」

 

恐怖で涙と鼻水と唾液と糞尿を垂れ流す男の視線ににっこり笑って応える。新たに具現化させたのは手術用の鋸だ。比較的大きなそれを男の右足の裏に当てる。

 

「今から君は足の裏から骨を分断しながら頭の先まで、ホントの意味で2枚におろされるというわけさ。徐々に顕になる断面に零れだした内臓から脳味噌まで余さず小生が見ているから、安心してオペされるといいよォ?」

「……ッ!!!」

「行くよ」

 

そして力を入れ、

 

 

 

 

 

息絶えた真っ二つの肉塊をぼうっと見下ろして、今度はアジの開きみたいにしようか、なんて考えていれば、路地裏の出入口から《絶》をした気配がした。それに顔だけ振り向かせれば、思った通りそこには赤髪の死神が満足そうにニコニコニタニタ笑って立っている。

 

「もうオシゴトは良いのかい?」

「ウン♥終わったヨ」

 

コツリ、ヒールの高い靴が音を立てる。相も変わらぬ奇抜さだと顔には出さず笑みを浮かべる。

遊んでも良いが此処を動くなと言われ大人しくして(人間を誘き出して遊んで)いた次第だ。彼は何処か小生を子供扱いしている節がある。小生の体年齢は大体18程なのだが。今日も派手に散らかしたねという言葉にお互い様だと、わざとらしく口を尖らせてみせた。どちらともなくクツクツと笑えば帰ろうかと手を差し出され、小生は素直にその手を取った。

 

「ああ、そうだな。……<術式完了>。」

 

オーラで具現化した道具が再びオーラとなって空気中に霧散した。

 

死体(ソレ)はそのままかい?」

「町に徘徊させている屍食犬(グールドッグ)に処理させるから問題はない」

 

腐食していくそれに興味なく目を反らしその手を取る。

小生の《発》は2つ。《狂った医者の手術室(マッドドクターズオペルーム)》とその派生《狂気の縫合術式(マッドネスサージェリィ)》。どちらもヒソカが命名した(愛とか恋とか入れようとした時は全霊を持って抵抗した)。

 

小生の家は医科家系。その為知識は十全とあるし、事実思い入れも強い。小生にはぴったりの念能力だと思わないかい?

狂った医者の手術室(マッドドクターズオペルーム)》は術式道具に関する物を具現化する能力。勿論それには特殊な効果があって、麻酔だの止血だのという薬品の効果を一つだけ込められる。能力の始めには<術式開始>、終わりに<術式完了>と宣言しなければならないとかいう細々した制約が多々あるけれど、割と使い勝手が良いと自負する。

二つ目の《狂気の縫合術式(マッドネスサージェリィ)》は簡単に言えば死体をゾンビ化する能力だ。自身の手で殺した死体に《狂った医者の手術室(マッドドクターズオペルーム)》を発動し、オーラを込めて縫合したのが動き出すといった念。その際オーラの込め具合でオーラを纏う唯の動く死体になるか念獣になるかが決まる。こちらも15針以上縫う等の制約が付く。

 

どちらかと言えば小生の能力は拷問、後方支援に当たるだろう。……まあ、小生はそのつもりで作った訳ではないのだけれど。

ともかく小生の作品(人形)である屍食犬(グール犬)が死体処理するという話だ。

 

「時にヒソカ、小生は待ち草臥れた」

「ハイハイ♠今日は君の好きなトマト料理にするからネ」

 

とっぷりと日が落ちた町、小生とヒソカは縫うように歩く。

 

 

隣を歩く影を見下ろして目を細める。随分と甘美に育ったものだ。内心舌舐めずりしつつその事実に酔う。ルカという少年は自分の期待に十二分と応えてくれている。まだ狩るには早い青い果実。食べてしまいたいという欲は強くなるばかりで、今も仕事とは名ばかりの殺戮を終えた所なのだ。だが少年の纏う血臭と興奮が冷めやらぬのか少し波のあるオーラに、端的に言えば欲情しかけているのを感じていた。

 

一口。そうほんの一口だけ……。

嗚呼、ダメだ。まだ、まだ早い……。

 

 

「ヒソカ、オーラを鎮めてくれるかい?触発されてしまうのでね……」

 

ふと再び少年を見下ろすが、少年の視線は変わらず真っ直ぐ前を見ていた。あの日感じていた一人称と話し方の違和はこの2年で完全に抜けきったらしい。自分は少し肩を竦めて洩れ出したオーラを仕舞う。

2年。そう、あれから2年が経つ。それなのに、まだこの子供に飽きが来ないのだ。気紛れで飽きっぽい自分が嘘のようだ。まだ青い果実だから、という理由では有り得ない。嘗ては何度も、その"まだ青かった果実"を喰らって来たのだから。

 

「……♦ルカ、」

「なにかな?」

「いつか、キミが美味しく熟した時。思う存分愉しくヤろうね♥」

「何を今更」

 

子供が自分を見上げた。浮かべた笑みは愉悦に歪み、昏く笑う。

 

 

「小生もその時を愉しみにしているよォ」

 

 

 




分かりにくくてすみません。
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