ざわざわと騒がしくなる会場。怒声、怯えが場を満たす。
「重鎮のタマ狙いか、宝狙いか……」
「取り敢えず依頼人の所に行くか?」
「んー、そうだね、」
落ち着いてそう言葉を交わす彼らは目が暗闇に慣れる間は《円》で周りを注意深く伺っていた。
張り詰める空気。
それを切り裂いたのは、人体を切り裂く音と悲鳴だった。
「ぎゃああああああ!!!」
「!殺りやがったか……!」
小生も《円》を広げて、前方から襲い来る複数の影を補足した。
「行くよ新人!」
「……了解」
いいなァ、戦いたいなぁ。先輩方の後を追って走りながら思う。感知できた人影のオーラは明らかに格上の物だった。それはヒソカに迫る程。彼らの肉体ならきっと上質な素材になるだろうし。……勝てる確率は限りなく低いのだけどねぇ。
客が逃げようと外への扉が開けられ、またもや悲鳴。
「おやおや……外の護衛も全滅かな」
そこかしこに血飛沫が飛び散り、調度品は鉄錆色に染まっている。
引き続き銃声罵声怒声悲鳴が響き渡る。
そして……明かりが戻る。
数は4……いや、廊下のを合わせて5。手練の念能力者。
殆どの客とその護衛は切り裂かれ引き千切られ爆散している。残るは半数以下にもなっている。
パーティ会場は無残にも砕かれ、テーブルも何もかもが滅茶苦茶にされて横たわっている。
前を走る先輩から盛大な舌打ちと悪態が漏れた。
「くそ……っ」
「アイツ……奇術師ヒソカ!やっぱり敵だった……!!」
互いにある程度傷付いてはいるが無事のようだ。
宰相に嬉嬉として襲い掛かっているヒソカと目が合う。
「……♦」
「……」
目は口程に言う。
小さく言葉を紡いで黒ずくめの男と対峙した。
「来るぞ!」
仕込み杖らしき、剣を構えて高速で向かってくる男に意識をやった先輩方は互いを邪魔しないようある程度横に広がりオーラを高めて迎え撃つ。
「……、え、?」
「な、」
「は、……?」
崩れ落ちる先輩方。
滴る血を払ったのは、小生だった。
「……。どういうつもりか」
何処か訛りのあるような
「 小生も我慢の限界なんだよォ…… 」
強い獲物は大体がヒソカのモノだ。小生が殺せるのは一般人やらアマチュアハンターやらで手応えの欠片もない。能力者も念に頼り過ぎて戦闘技術のない論外な人間ばかりなのだ。
─────小生はもう、普通の殺しでは満足のイカない身体になってしまっていたのだ。
当初は宰相の代わりにこの先輩3人を標的としていた為に大人しくしていたが、黒ずくめの男が現れて変更した。
「殺ろう……、小生を満たしておくれ」
「……フンッ」
嫌そうな顔をしつつ鼻で笑った彼はオーラを滾らせて凄まじい速さで駆けた。そのスピードは瞬き一つで目の前に現れた、と言っても過言ではない程。
危なげなくメスから具現化させた
成程、彼はスピード特化のようだ。手数も中々多い。
両手で剪刀を支えて刺突を防御し、柄を開いた剪刀を片手で無造作に振り回し横一閃。《周》をしているため触れるだけで人体を切断出来るそれは、首を身体から切り離す事が出来たなら良かったが、掠る事なく彼は即座に離れていった。
追撃するように急所目掛け左手でメスを指の間に具現化させて放つも、剣に遮られて地に落ちた。
強い。これで全力ではないと思われるから力量が察せるという物だ。
「コレで殺せる思たか」
「いやぁ?とんでもない。ふふ、格上と戦うのはやはり愉しいねェ……」
唯、小生はこの場で死ぬ訳にはいかない。
まだまだ殺したいし、悲鳴が聞きたいし。
何よりも小生はヒソカを殺したいのだから……。
「《
「!」
技名を告げれば小生のオーラが肥大化していき、赤黒いそれがドロドロと地に広がった。
「
オーラから起き上がったのは3つの人形。
1つは身体中に金銀財宝を纏った包帯男。
1つは鳥のような大きな羽を一対生やした神父。
1つは蒼白い肌と球体関節の目隠しをした白髪の女。
「……念獣か、」
「まだ未完成だけど、彼らが相手だよォ」
人間の大罪を模したそれらは、それに見合った醜悪な声を上げた。
それぞれが己が武器を構えて、殺したいと生きている人間に憎悪を向けながら、小生の命を彼らは待ち侘びる。
「……彼を凄惨に殺してあげなァ……?」
「「「グギィギャアアアアアアアア!!!!」」」
さぁてと、それじゃあ始めようか……。
《
《
《
彼らは
念獣となる前は弱くとも念能力者だった。
共通するのはヒソカを標的としていた事で、懸賞金の為に襲ってきたマフィア、旅の途中で詐欺に掛け殺そうとしてきた神父、一夜の相手で劣情を持った女といった具合である。それをヒソカはルカに対して戦闘用の相手として差し向けた結果、彼らは敗北し壊れるまでルカに従う人形と化したのだ。
その容姿は七大罪に適応した形に変えられ、人だった頃の名残は最早顔立ちと服装、オーラの質が1割程のみ。
残りはルカのオーラと想像力で構築され、生きとし生けるもの全てを憎悪する念獣と化す。
「《
その戦闘の陰でもう一つの《発》を使ったルカは手元に術式道具を生み出し、両手にオーラを集中させる。
手には、針と糸。
対象は言うまでもなく、先程まで生きていた同じ班の先輩念能力者3人。
「……おや、やはり女か」
心臓を的確に貫いた黒髪の女性に近寄り、傷口を広げて禍禍しいそれを刺す。譲渡されていくオーラが晒された心臓に蓄積し、脈打つ。
「っ、っ……っ、」
四肢を痙攣させながら、化物へと変貌していく様は狂気なくして直視は出来ない。
体をうつ伏せにして背中からも縫合を成すと、ルカはオーラの糸を断ち切った。
「ふふふ……出来たァ、キミは七大罪《
ルカはまた一人、血に染まった手を掛けた。
《
オーラの大半を使い果たした物の屍兵は完成した。
「……っ、」
先行して戦っていた《
「素晴らしいねぇ君……小生の人形がボロボロになってしまったよォ」
「は、知らないね。人形遊びなら他所でするがいいよ」
「生憎と小生の戦闘能力は劣っていてね……」
「減らず口を」
おどけてみたが不評らしい。残念。
「……《
押されているのは小生ら、護衛グループ。
嬉嬉として3体は護衛達を蛇腹剣で切り裂き、鞭で首を撥ね、裂けた大口で頭を喰らう。
「……仲間だたろ、どういうつもりか」
「元々こうするつもりだったらしいよぉ?」
医術用メスを大きく、刃渡りを長くしたようなナイフで斬り掛かりながら返答すると真横を細剣が小生の頬を裂いて通り過ぎた。お返しにそのまま指先でメスを眼球目掛けオーラを込めて投擲する。難なく顔を逸らすだけで避けた先、何も持っていない手で死角から手刀でもって脇腹辺りを掠める。
一度距離を開けて何合か打ち合い離れるを繰り返して暫く。
「ヒソカ」
「!」
「やっぱりグルだろォ?小生はヒソカに唆されたクチなのさァ」
「人聞きが悪いなァ♠ルカ」
「「!!」」
……どうやらタイムアップのようだ。何時の間にか会場に戦闘音はなくなっていて、数える程の生者のみが立っていた。ヒソカの後方では宰相は血溜まりの中に沈んでいる。
「……お前、ヒソカの何ね」
「ヒソカは小生の保護者兼師匠兼獲物だよぉ」
「そーいう事♥」
屍兵を呼び寄せて再びオーラを地に広げて、新たな《七大罪》と共に沈ませる。
「<術式完了>……」
全く、任務の裏にある思惑位、小生に教えてくれても良かっただろうに、ねぇ?
3000字超えた……。
戦闘描写は難しいです。
何時から先輩方が旅団だと錯覚していた……?(ドヤァ)
してなかった?すみません。
次は多分旅団アジトからです。