狂医者の死神奇譚   作:マスター冬雪(ぬんぬん)

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書きました。待っていてくれてたのかぁ……


▼12本足の蜘蛛の巣

そこは廃墟だった。電気はおろか水すら通っていないような、コンクリートで固められた、嘗ては何かしらの施設であっただろう場所。小生は地に座りぐるりと"彼ら"を見下ろした。

 

いつもの奇術師スタイルになったヒソカ。

黒ずくめの仕込み刀の小男。

毛皮の腰巻の大男。

金髪の腹黒そうな優男。

顔に傷のある耳たぶの長い大男。

 

そして、黒いコートを身に纏い……不敵に笑う影のような男。

 

 

「初めまして、小生はルカ=ヒノハラという」

 

小生も堅苦しいスーツ等脱ぎ去って今は無難にワイシャツだ。

どうやら盗みたい物は根こそぎ持ち帰ったらしく、そこら中に木箱やら酒やらが散乱している。

 

「ヒソカ。お前が弟子を取るとはな」

「クックック♥ルカにはボクに通ずる物があるからね♣」

「人格破綻に於いては同意するけれど、小生は変態じゃあないよォ。勘違いするような言い方は良くないねぇ」

 

初対面で変態を見るような視線は、例え小生であっても遠慮したい所である。

そも、ヒソカは嘗ても弟子を取った事はあるのだが。総じて"潰された"が。

 

「小生としても、まさかヒソカが組織に属するとは、ね」

 

行きの車で聞き及んだ幻影旅団とやらか。ネームバリューと規模、力量からして合っているだろう。

こてりとわざとらしく首を傾げて口角を吊り上げる。

何はともあれ、こういう面白……重要そうな事は言っておいて欲しいものだが。……まあ、ヒソカだからしょうがないか。

 

「で?今まで招集に応じなかったてめぇが今になって参加して来たのはコイツが切っ掛けか?」

「んー、まあそうかな♦いつもの気紛れ♠」

「気紛れでおおよそ死にかけたんだけどねェ、小生。……強かったよォ、そこの人」

「……フン、お前が弱いだけね」

「おぉう辛辣ゥ」

 

だけど小生も人形を補充出来たから、その甲斐もあったというものか。

 

「中々面白そうな念だったよね。アレ何?死体を操るの?」

 

と、金髪の優男が無遠慮に能力を聞いてくる。……能力者の能力を聞いてくるなんてマナー違反じゃないかなぁ。なんて、屑と下衆の集まりに言っても仕方ないか。

 

「当たらずとも遠からずかねェ。小生は殺した死体を縫い合わせる事で動く死体を造るのさ。凄惨に死んだ死体を繕って死化粧を施す。そォするとその死体は生ある全てを憎みながら再誕するんだ。……ふふ、想像を絶する責め苦を味わった死体はとっても美しいよォ。その様子を色濃く残しながら、苦痛に呻き、世を呪って蘇る」

「成程、死者の念を纏う分生前より強力な念獣となるのか」

 

影のような男が顎に手を当てて小生を見た。

 

「当たりィ」

「ねえそれ言ってもよかったの?」

「聞いてきたキミが言うのかい?」

「それよりその死体?は強ぇのか?!戦ってみてぇなぁ!」

 

と、野性味のある大男が小生に詰め寄ってくる。

 

「残念ながら小生の人形達はまだ未完成でねェ。名を冠した人形(ネームド)はまだ1人足りないし、素体が小生でも倒せる位弱かったり充分な痛みを与えられなかったりで、キミ程の実力者は到底満足出来ないだろうねェ」

「つまんねぇの」

 

うーん、キミが素体になってくれれば素晴らしい人形になるんだけど。

……ところで、小生が責め苦とか痛みを与えるとか口にしたところで反応した彼はどうして小生をじっと見るんだろうか。

 

「ヒソカの弟子って事は協力者って事になるのか?」

「んん〜、それはキミ達次第だよォ。少なくとも小生は協力は吝かでもないよ。むしろ大歓迎ェ。キミ達と一緒にいたら強い人間と戦えそうだしねェ」

「お前に何が出来る?」

 

影の男が闇そのものとした目に小生を映す。……いや、本当に彼の目に小生は映っているのかすら怪しい、深淵のような昏い目だ。

 

「小生の人形達は念獣未満の動死体も支配下にあってね。遠距離からリアルタイムでの情報収集はお手の物ォ。数はあるから雑魚の掃除も死体処理付きで出来るよォ。死んでるから薬品持たせて神風特攻(バイオハザード)も簡単だ。小生は好きじゃないけどォ」

 

人骨で出来た小さな鼠を掌に掬いあげて笑う。これのモチーフは仏教の畜生道だ。うーん可愛い。

 

「情報収集か……例えば?」

「そうだねェ……二つ隣の町の地下水路が古代に滅びた帝国の地下墳墓に隣接しているのは知っているかい?」

「……」

「小生、死者の復活と安息を願うような安らかなミイラ(死体)には興味がないんだけどねぇ……どうにも念の籠った古文書があるらしいよォ。内容は……うーん、悪魔の召喚?胡散臭い魔法陣みたいなのがあるねェ」

 

小生が重要視してるのは人形達の隠れ家や通路。古臭い書や黴臭い壁画には興味が無い。……ああ、だけど古代の拷問器具とかには興味が持てそうだ。

 

「どうだい?有用そうかな」

「確かめ次第だ」

「……キミ達盗賊だよねェ?トレジャーハンターの真似事もするのかい?」

「広義的に盗掘も盗みだろう」

「あ、因みにオレはハンター資格持ってるよ」

 

盗賊がプロハンターだなんて世も末だねェ。

のんびりと足を組み直してにっこり笑う。

どうやら協力者としては認められそうだ。ヒソカにしては中々の良縁を運んできたらしい。悪縁にならなければいいけれど、そういう訳にもいかないか。ふふ、それも悪くないなァ。

死体になったキミ達の苦悶の顔はどれ程美しいだろう?

 

 

 

「ところで、小生。そろそろキミ達の名前が知りたいなぁ」

 

 

 

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