狂医者の死神奇譚   作:マスター冬雪(ぬんぬん)

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大したの書けなかったけど残念に思わないでね、なんてね。


▼徒競走とハイライト

 

只管地下道を走る無数の足音の中、ルカは中々理にかなった試験だと納得した。きっと最前列、大きなコンパスで歩いていくサトツという試験官は根が真面目に違いない。

 

第一次試験は、只管、試験官の後を追って走るだけ。

第二次試験会場にまで辿り着く事が一次試験の合格水準なのである。なお、到着場所とその時刻は伝えられない。延々と続くマラソンである。1時間で済むのか、何日も続くのか……それは全て試験官の匙加減に委ねられている。

 

 

 

外の景色の見えぬ広大であるが閉鎖した空間。周りはほぼ敵であり、それに伴って殺気すら漂うが故の緊迫感。じわじわと削られていく体力と気力に、増していく疲労と焦燥─────ルカにとっては、これ以上ない好条件である。

 

此処は巨大な手術室だ。

 

汗が噴き出すような緊迫感(プレッシャー)は命を扱う時のものと酷似。

削られていく体力気力は術中そのもの。

焦燥と疲労はより集中を深めるスパイス足り得る。

 

 

「そう考えると、ホラ。このマラソンも愛おしく思え、」

「る訳ねぇだろ馬鹿か!!」

 

 

そんなに怒鳴らなくたっていいのに、とルカは拗ねたように口を尖らせる。持久力試験という言葉には首を傾げるが、ハンターに必須な項目を問われていると言う点に於いてはルカも同意であった。

 

「こンのオペ中毒め……」

「ヒヒヒ、褒め言葉だよォ」

「ルカは今楽しいの?」

「ああ、とぉっても愉しいね。……というよりも、何事も楽しんだ方が得だろぉ?」

「……そっか!確かに!」

 

とうのルカが変人と言えるような擬態している事にはまだ誰も気付いていない。薄ら纏う血と薬品の匂いは医者独特の物と他者が勝手に勘違いするのだ。にこやかに笑う青年がまさか何百人もの人間を嬲り殺し、死体を冒涜する殺人鬼であるとは思いもしない。……限りなく素ではあるが。

 

と、一行の耳に車輪が転がるような音が聞こえ始める。

真横をスっと通っていった少年はスケボーに乗って進んでいたのだ。思わずレオリオの口から飛び出したのはそれに対してのブーイングだった。

 

「おいガキ!汚ねーぞ、そりゃ反則じゃねーかオイ!!」

「何で?」

「何でっておま……こりゃ持久力のテストなんだぞ」

「違うよ。試験官はついて来いって言っただけだもんね」

「小生もゴンくんに同意かねぇ……持ち込みがダメだなんて要項に一行たりとも書いてなかっただろォ?」

「んなっ……2人して、お前らいったいどっちの味方だ?!」

 

大人気ないなぁ、とクラピカに論破されるレオリオを眺める傍ら、ルカはその少年に目を向ける。その少年もルカを見ていたようで、視線がバッチリ合った。

 

「……何か用かい?」

「……いーや、別に」

 

第六感に近い嗅覚、とでもいうのか。互いに互いのニオイ(・・・)を嗅ぎ取ったのである。

少年はゴンの年齢を聞くと興味をそそられたのか、スケボーから降りて自分の名を名乗る。

 

「オレ キルア」

「オレはゴン!」

「オッサンと、そっちのオニーサンの名前は?」

 

 

ここでルカとレオリオが顔を見合わせる。

 

「……」

「オッサン?」

 

ルカがレオリオを指さすとキルアはこくりと頷いた。

レオリオは眉根を吊り上げる。

 

 

「オレはよォ!!これでもお前らと同じ10代なんだぞ!?」

「「「ウソォ!?」」」

 

「小生、もう成人してるのかと思ってたよォ……まさか小生と10歳以上離れてるなんて、」

 

「……、……はァァッ!?」

「えっ、あんた30歳なの?」

 

続くカミングアウトに、今度はレオリオが声を上げた。

 

「うん。小生今年で……えぇっと、34?くらいだったかねェ」

「オレと20歳差だ……!」

「どんだけ若作りしてんだよ!」

 

ルカは世界を渡る前と後では幾分若返っている上、念能力の習得により老化が止まっている。彼の容姿は18の頃と大して変わっておらず、大目に見て20歳か幾らにしか見えないのである。

 

 

 

 

 

既に数時間が経過しているが、未だに脱落者が1人も居ない。さもありなん、ハンター試験に集まった者は猛者ばかりなのだ。……滝汗を流して息を切らす者もいるが、ハンター試験常連者はほぼ全員が余裕のある顔をしている。

 

必死に食らいつくレオリオが荷物を放り投げて駆け出し、偶然か否か、クラピカと並ぶ。

 

 

クラピカはレオリオの必死の形相に目を丸くしながら、何時間か前に会ったばかりの男、ルカの顔を思い出す。

青白いまでの白い肌に長身。まさかこの容姿でゴンのように野山を駆け巡ったとは言うまい。佇まいは戦闘やそういった動きに慣れたそれそのもの。

 

あの男には底知れぬ何かがある。

 

クラピカとしては、ルカ=ヒノハラという人間は未だ、信じるには値していない。

 

 

 

 

 

「アイツは、さ」

 

ぽつりとレオリオはクラピカに零す。

医者になりたいと、その為に金が要るのだと歯を食いしばって言ったそれには、確かな信念が感じられた。自身の決意と優劣付け難いそれを、クラピカは認めていた。

 

アイツ、と。その人物が誰なのか、クラピカは直ぐにルカの事だとわかった。

 

「オレの夢を笑わないでくれたんだ」

「……」

「頑張れって、後悔はいつでも出来るからって。……アイツはオレにとっての目標なんだ。その技術もだが、何よりもだ。見ず知らずの人間を救い上げてよォ、なんにも要求しねぇんだぜ」

「レオリオ……、」

「なんだよこいつ、かっけぇじゃねぇかって思った!あの時こいつがいたらとすら思った!こいつみてぇになりてぇって!!」

 

レオリオはルカがあの時助けた男性が目を覚ましたところを思い出す。

脚を失くしたというのに泣きながらレオリオに感謝するのだ。助けてくれてありがとう、ありがとう、と、何度も何度も。自分のした事ではないと告げても、それでも礼を告げる男の声を、顔を、涙を、レオリオはきっと一生忘れない。

 

 

『お金ぇ?要らないよォ。というか貰っちゃったら小生無免許だってバレちゃうじゃないかァ』

 

 

まるで幼い子に言い聞かせるように、おどけたように笑うのである。

 

「手術狂の変人だけどな!!」

「……そう、か」

 

クラピカは思い直す。もう少しだけ、ルカを色眼鏡無しに見てみよう、と。

 

 

 

 

 

ルカ達の前には、まるで天へと伸びるかのような階段が立ち塞がっていた。

経過、約6時間。ここで篩い落とさんとするかのように第一次試験 試験官サトツは厚みのある段を2段飛ばしに登っていく。

 

「レオリオちゃんも酷いよねェ、小生の事置いてって」

「いつまで拗ねてんだよ……」

「あはは……」

 

軽やかに脚を動かすルカとキルアとゴン。階段に差し掛かったあたりから心が折れた受験生がそこら中に膝を着き、這い蹲っている。

 

「あ、レオリオ」

「げ……上半身裸だし……」

「……うーん、ちょっと話し掛けづらいナァ。このまま通り過ぎようか」

「さんせー」

 

ルカの言葉にキルアが同意する。

そのまま暫く3人は突き進み、とうとう先頭までやってくる。

 

「いつの間にか1番前に来ちゃったね」

「うん。だってペース遅いんだもん。こんなんじゃ逆につかれちゃうよなー」

 

そういうキルアの顔は涼しいもので、汗ひとつ掻かず、息ひとつ乱れていない。それはルカも同じようなものだ。

 

「結構ハンター試験も楽勝かもな。つまんねーの」

「キルアは何でハンターになりたいの?」

「オレ?別にハンターになんかなりたくないよ」

 

難関だと言われているから面白そうだと思っただけだとキルアは拍子抜けだと言い放つ。

 

「試験官が真ん前にいるんだけどなァ……」

「いーじゃん別に。で?ゴンとルカは?」

「オレは親父がハンターをやってるんだ。親父みたいなハンターになるのが目標だよ」

 

その親父さんがどんなハンターか分からない、というゴンの言葉にキルアは笑う。

ゴンは生まれてすぐ叔母の家で育てられた為、両親の顔を直接目にした事はない。父親の顔は写真で知ったのだという。

父親の弟子がゴンに話したあれこれの中、弟子は我が事のように師の偉業を誇っていた。

 

「それを見て思ったんだ。オレも親父みたいなハンターになりたいって。……ルカは?医者にはならないんでしょ?どうしてハンター試験を受けたの?」

「へー、あんた闇医者だったの?」

「医者として活動した事なんてあんまりないんだけどねェ……」

 

あの時のは慈善活動みたいなものだとルカはニッコリと笑う。

 

「小生はレオリオちゃんがハンター試験を受けるって聞いたから、ちょっと冷やかしにきたんだよォ。トモダチ思いだろぉ?」

「冷やかしって言ってんじゃんか」

「いやぁ〜、あの初さが懐かしくてね。ついお節介しちゃいたくなるのサ」

「じゃあ、レオリオの為って事?」

「切っ掛けはまあ、彼だねぇ」

「落ちるかもよ」

「その時はその時だよォ。助けはしない」

 

ルカにそこまでする気はない。諦めるならばそこまでだったという事。ルカの中でレオリオという存在が過去のものになるだけの話なのだから。

 

「レオリオの事、信じてるんだね」

「……ゴンくんが純粋で、小生とっても眩しいなァ」

「? ……あっ、もう出口だよ!」

 

そうこうしている間に辿り着いた地上。

周囲の受験生からは安堵が広がるが、続くのは更なる絶望だった。

 

 

 

 

 

地下道を抜け階段を登るとそこは広大な湿原が広がっていた。

ヌメーレ湿原。ザバン市から100km程離れた場所にある、弱肉強食の"詐欺師の塒"。

逃げ場を奪うかのように登ってきた階段に続く道にシャッターが下ろされる。目の前でハンターへの道が閉ざされてしまった受験生の悲痛な顔がとても痛々しい。

 

「この湿原にしかいない珍奇な動物達。その多くが人間をも欺いて食糧にしようとする、狡猾で貪欲な生き物です。十分注意してついて来てください。 騙されると 死にますよ」

 

 

「騙されるな!!」

 

 

よろよろと地下道に続く階段への建物脇から現れた男は大きく声を張り上げた。

 

「そいつは偽物だ!試験官じゃない!オレが本当の試験官だ!!」

 

その手には瀕死の人面猿が引き摺られており、如何にこの生物が狡猾かを説明する。人肉を好むが手足が細く非力である為に、人に扮して湿原に連れ込み他の生き物と連携し獲物を生け捕りにする。

真ん中分けに髭。

その人面猿、なんとサトツにそっくりであったのだ。

 

 

 

 

「なー、どう思う?」

 

小声でキルアがルカに話しかける。

 

「どっちが本物の試験官か、っていうやつかなァ?」

「そう」

「どうせキミも分かってるんだろぉ?笑っちゃうくらいお粗末なんだし」

「まーね」

 

分かりやすく暗く笑ったキルアに、ルカは変わらずヒヒヒと笑う。

 

「人の血のニオイじゃない、でしょ」

「ヒヒ。……更に言うならあの猿と男の傷はどれも浅い物だし。何よりも歯がねェ」

「……歯?」

「あの男の犬歯。鋭過ぎやしないかい?」

 

大きく口を開いて喋ってくれるお蔭でよく観察できたよ、とルカは指差す。

 

「横で伸びてる人面猿と同じ、喉笛を噛み千切れるくらいには鋭い牙じゃないか」

「、確かに」

「そもそもサトツさんが人面猿としたら、数時間もあのペースで歩ける筈がないよォ」

 

人面猿は非力だと男は言った。つまりそれだけの筋力がないという事。歩くという行為には相応の筋肉が働く。今までの距離を顔色を変えずに歩き切ったサトツには当てはまらない。……尚、念能力という一種のチートがあるが、それがあるならば大抵の生き物は敵ではない為にこのような迂遠な行動は取らないだろう。

 

と。

ひゅん、ひゅひゅん。

空を切り裂くような鋭い音と共に、男の顔面に何かが突き刺さる。まるで人体が柔いスポンジのようだった。瞬く間に顔面から血が溢れ出し、男は何が起こったのか分からないまま意識を闇に閉ざす事になる。

 

「くっく♠なるほどなるほど♣️」

 

仕立て人はやはりと言うべきか、赤い髪の道化師のような男、ヒソカであった。突き刺さった何かの正体は何の変哲もないトランプであり、一瞬にして、いっそ芸術的なまでに無造作にその命が踏み潰された。視線をくれる事なく死んだフリをしていた人面猿を同じように仕留めたヒソカはくつくつと笑う。

 

「これで決定♦そっちが本物だね♥」

 

サトツの方にもトランプを向けていたヒソカ。サトツは掴み取ったトランプを弾いて捨てる。

 

「試験官というのは審査委員会から依頼されたハンターが無償で任務につくもの♠我々が目指すハンターの端くれともあろう者が、あの程度の攻撃を防げないわけがないからね♣️」

 

要するに手っ取り早く判断してやった、と言いたいのだろう。

サトツに注意を受け、2度目はないという言葉におざなりに返事をしたヒソカはサトツに背を向ける。

 

「……おっかねー奴」

「うーん、実に白々しい台詞だったねぇ。……そろそろ自制が利かなくなってきてるみたいだし」

「え?何が?」

 

ゴンがルカの声に振り向いた。

 

「……これから荒れる、って事だよォ」

ルカの手には2枚のトランプが握られていた。

 

 

 

 

 

擬態に罠、知性に訴え掛ける動物達によるトラップが山とある。標的を騙して食い物にする生物の生態系。"詐欺師の塒"という由縁に相応しい場所。

ぬかるみの酷い地面でのマラソンは容易に受験生の体力を奪っていく。湿気が肌に張り付く中、霧に映り込む生き物の影に注視し警戒しながらという条件の追加。いよいよハンター試験の本番とも言っていいだろう。

 

────ああ、また1つ、音のない断末魔を上げて命が摘み取られた。

ルカは口元に浮かぶ笑みを保つのに必死だ。少しでも油断すれば嗤い出して周囲の人間を無差別に切り裂いてしまいかねなかった。

 

「ルカ?大丈夫?」

「ん、大丈夫だよぉ。まだまだ余裕はあるからねぇ」

 

そう、まだ大丈夫。ルカは我慢の出来る男だ。

現代日本において一般人として擬態してきた過去がある。制限ばかりの窮屈で肩身の狭い思いをしてきた、現代日本が生み出した最悪のサイコパス。普段は穏やかな優しい人間が一番恐ろしいものである。自制しなくてもいい環境に置かれたとしても、長年被ってきた仮面はまるで人皮のようにルカの顔面に張り付いている。

その為ゴンに僅かな変化を悟られた時、ルカは内心とても驚いていた。勘だと言うゴンに流石は野生児、などとルカは思いながら、外れちゃったねぇと返す。流れるように吐かれた嘘は処世術だった。『ボク、最初キミは変化系だと思っていたんだよ♦』とはヒソカの言である。

 

霧がかかり、周囲の様子が更に分からなくなってからが本番だった。

それはこの湿原に潜む詐欺師(生物)達にとっても、彼ら受験生にとっても、……そして腹を鳴らした奇術師にとっても。

 

 

 

 

 

キリヒトノセガメ、という亀がいる。全長約4~6m、背中にヒトニイチゴという寄生植物を群生させた肉食の亀である。霧の深い日にだけ活動し、その背のヒトニイチゴで人間を誘い込み、一息に飲み込むのだ。

また、マチボッケという大蛙がいる。動きが鈍いために普段は大口を開けて地中に潜み、獲物が上を通り掛かるのを振動で感知し、土ごと食する。

 

ホラガラス。ジライタケ。サイミンチョウ。

それぞれが思い思いに誘い、騙し、喰らう。それこそが詐欺師の塒の真骨頂。その手口は意図せず協力した形となった多種生物により更に巧妙と化していく。

 

 

「ゴン!ボヤッとすんなよ。人の心配してる場合じゃないだろ」

「!……うん、」

 

レオリオにクラピカ。2人は後方集団のパニックに巻き込まれてしまっていたのだ。キルアの声にゴンは前を向き直す。

が。間もなく、レオリオの悲鳴が霧の奥から響き、それを聞き分けたゴンが飛び出して行ってしまったのだ。

 

「レオリオ!!」

「あっ!おい、ゴン!!」

「おやおや……若いねぇ」

 

無謀な行動だ。

キルアはどこか寂しそうな顔をしながらも、首を振って切り替える。

 

「行っちゃったね、ゴンくん」

「ったく……なんだよ、自分の夢と命よりアイツらの命のが大切なのかよ」

 

キルアの表情は拗ねているような、惜しんでいるような、子供らしいものだった。

 

「……アンタは行かねーの」

「まあねぇ。気になりはするけど、死んじゃった時は死んじゃった時かなぁ」

 

そうじゃないかい?とルカはにこやかにキルアに問う。

 

「そう……だよな。オレもそう思う」

「寂しいのは小生も同じだよぉ」

「オレは別に……」

 

素直じゃないなぁ。ルカは苦笑する。

 

「まあ、なんだろうねえ。クラピカくんの頭とゴンくんの野生の勘ならなんとかここまで来れそうな気もするけど、気掛かりなのは、」

「ヒソカ、だろ」

 

真剣な顔になったキルアにルカは頷く。

 

「先ず本気で狙われたら勝ち目はない。ふざけた格好してても彼奴の実力は本物だ」

「うんうん。小生もそう思うよ」

 

だが、その考えはヒソカの性質、もしくは性格、またの名を性癖を度外視したものに過ぎない。

 

「……まあ、多分大丈夫だと思うけどねぇ」

「はあ?」

 

キルアはルカとヒソカの関係を知らない。

本気で訝しげな声を上げたきり、キルアとルカは会話を止めた。

 

 

 

 

 

第一次試験の終了の通達の後、暫くして、森の奥からゴンとクラピカの姿が覗いた時、キルアは目を見開いて喜色を浮かべた。

 

「ゴン……?!どうやってここまで、」

「……見込まれたかあ、彼らも災難だねぇ……。……キルアくん、声掛けてこよう」

「あ、うん」

 

隣にルカがいたのをすっかり忘れていたのか、少し照れたような仕草で頭を掻きながらキルアは2人の背後から声を掛ける。

彼らの視線の先にはレオリオが大きく顔を腫らして木に凭れていた。

 

「はあ?!香水の匂いを辿ったァ?!」

 

味覚だけではなく嗅覚まで優れていたゴンのお手柄のようだ。

 

あの後、ヒソカはレオリオとクラピカ、ゴン以外の後続組を殺戮したらしい。1度は逃げたもののレオリオがヒソカに一矢報いんと襲い掛かり、ヒソカに頬を殴られたようだ。

殺されかけたレオリオを救ったのがゴンである。その際、ヒソカに気に入られ、見逃された。

 

レオリオはヒソカに担がれて第二次試験会場まで連れてこられ、ゴンはレオリオに付いていた香水の匂いを辿ってこの会場に着いたところだと語る。

 

「ヒソカは試験官ごっこ、と」

「あはぁ、言いそうぅ」

 

ああ見えてお茶目なところあるんだよねぇ、ルカは内心にその言葉を留める。

 

「良かったじゃないか。つまり3人とも見所があるって言われたも同然だよぉ。殺されなかったって事はそういう事さ」

「……?その言い方、ルカはヒソカと何か関係が……?」

 

クラピカの言葉にルカは首を傾げる。

 

「ああ、言ってなかったかい?ヒソカは小生の─────」

 

その言葉の続きは、規定時刻となって扉が開かれた事によって阻まれた。

 

 

 

 




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