SONIC  CRISIS KISMET   作:トラちゃん

3 / 16
次の日、エステルは皆という皆を呼んだ。


平穏よ、いずこ

皆が集まったところで、エステルが語り始めた。

 

 

「みなさん、お集まりいただいて、本当にありがとう。 急に呼んでしまってごめんなさいね... でも、本当に大事な事をお伝えしないといけないの」

 

「エステルは、あの碑文を解読してくれたんだ。 ...で、何が起こってるの?」

 

「ええ... 実はね、このままでは... この世界が無くなってしまうかもしれないの」

 

「は!? どういう...」

 

 

エステルは軽くため息をついて、ややうつむき加減になった。

 

 

「何からお話しすればいいのか... いいわ、最初から全てお話ししましょう」

 

 

彼女はそう言うと、どこからか円くて大きい鏡を取り出した。

 

 

「いい? しっかりご覧になってね。 いくわよ」

 

 

彼女が鏡の前に手をかざすと、鏡に何やら樹のようなものが映し出された。

 

それは桜のようにも、また桃のようにも見える、不思議な大樹だった。

 

花全体が虹色に輝き、花吹雪が舞って、まるでこの世のものではないように、その樹は在った。

 

 

「綺麗だな... 何だ、これ?」

 

「これはね、色々な呼び名があるけれど... 私のような特別な者は、これを、澪浄大華樹(みおしずのだいけしん)と呼んでいるの。 この樹はね、樹の姿をしているけれど、実は太古の神々の集合体なのよ」

 

「み、みお... 難しいな... で、それと、さっきの問題とどこが関係あるんだよ?」

 

「この樹は、世界に何らかの大危機が訪れたときに、この世の全てを吸収し、自らの内にそれを凝縮して、また世界を一から作り直す力を持っているの。 言い換えれば、『造物神』ね」

 

「と、いうことは...」

 

「そう。 今の私たちは、全て消えてしまうことになるわね」

 

「えぇ!? そんな... っていうか、その大危機って、何?」

 

「それだけは、いくら調べても分からないの。 きっと、私たちの知らないところで、何か起こってるんでしょうね。 ...人智の及ばないところで」

 

「な、何とかしてその樹を止められないの?」

 

「ええ、できるわ。 止められるわよ... でも、私だけでは、とても無理なの」

 

「何をしたらいいの?」

 

 

エステルは鏡をしまい、小さな宝石のようなものを取り出した。

 

 

「これは、澪浄大華神に携わる者にしか渡されない、いわば『切符』よ。 あの樹を止めるためには...そうね、試練を受けないといけないの。 『常世之四界(とこよのよんかい)』と呼ばれる異世界に出向いて、四つの神器を手に入れることができて初めて、あの樹が在るところに行けるの」

 

「ほう、要はアイテムを集めりゃいいって事だな?」

 

「あ...まあ、そうね... 一筋縄ではいかないと思うけど...」

 

 

エステルは立ち上がって、頭を下げた。

 

 

「お願いします... あなた達に来てもらいたいの。 私みたいな巫女だけでは、とても無理だわ... お願い、私と一緒に来てください」

 

 

「...当然だろ? 行くに決まってるじゃないか」

 

「みなさん...!」

 

「ま、俺らじゃないとできなさそうなミッションだしな」

 

「ちょっと~、調子乗らないでよ、ナックルズぅ」

 

「アタシは... まあ、道中でお宝が手に入るなら、いいかしら... ね、シャドウ、あんたも行くんでしょ?」

 

「...仕方ない。 僕も行こう」

 

「エミーは、じきに良くなるから、当然行きたがるだろうな」

 

「っていうわけで...エステル、ついていくよ」

 

 

エステルは、目に涙をためて、再び頭を下げた。

 

 

「ありがとうございます... 嬉しいわ。 ...では、行くのは早い方がいいわね。 彼女の具合が良くなってから、すぐに発つとしましょう」

 

「そうか。 何か、オレに手伝えることはないか?」

 

「では... 薬草を採ってきてくれないかしら? 特徴は、私が紙に記してあるの」

 

「分かった。 じゃ、すぐに帰ってくるぜ」

 

 

 




「薬草...ねぇ。 これか?」


ソニックは、森に入って、お目当ての薬草を一つだけ見つけた。

その薬草は、形はアヤメに似ているが、ヨモギのような香りがほのかにしていた。


「よし。 じゃ、早いとこ帰ろうか」


彼は走り出そうとしたが、何かに足を取られた。

見ると、さっきまで何も生えず、ただの土しかなかった地面に、いつの間にか蔓が犇めいていた。


「...!? し、しまった、動けない...!」


すると、蔓に毒々しい色の花がいくつも咲いて、ぞっとするような匂いを発した。


「...っ、い、息が...!」


刹那、花が蔓全体に広がり、彼は気を失った...。










◇◇◇

気がつくと、彼は、暗い色を湛えた川の真ん前にいた。

周りは霧に包まれ、空は曇っている。


「ど、どこだ...、ここは...?」

「お? あれ、君... もしかして...」


後ろから声がしたので、彼は後ろを向いた。

そこには、白い長めの上着を羽織り、プリーツと、レースの入った青色のスカートを穿いた、背の高い、凛とした青い目の少女がいた。

彼女の上着には、青の十文字(クロス)が入っており、ブーツには赤色の目らしきものが一つずつ付いていて、手には...鎌が握られていた。


「う、うわぁぁぁぁ! 鎌ぁ!?」

「ちょっと、驚かないでって... 別に、私は君を殺そうなんて考えてないよ。 それより、君、もしかして...ここがどこか、分かってないの?」

「わ、分かんないぜ... 気がついたらいて...」

「やっぱりね。 ...ここは、三途の川。 そして私は、死神」

「えぇぇ!? じゃあ、オレ...死んでるのか?」

「うーん、正確には...まだ死んでない。 一応、この川の向こう岸に行かないと、本当の死者とはいえないんだ」

「訳が分からない... なんで、いきなり...?」


彼女は微笑むと、彼の手をとった。


「...私は、とあるお方に、君を帰すように言われてる。 だから安心して。 君にはまだやることがたくさんある。 でもね、命あるものは、何を考えているのか分からないけど、命を超えたものを持つものは、更に何を考えているのか分からない。 これだけ、覚えておいて」

「...あ、ああ... そういや、助けてくれてありがとな。 オレの名はソニック。 オマエは?」

「私は、サオリだよ。 あのお方に、君に助言できるように、いつでも会えるようにしてって言われたんだ。 だから、これからよろしくね」

「ん? いつでも会える、って...」


そこまで聞くと、サオリは鎌を振り上げた。


「そう、君に憑依するって事かな。 ...じゃ、あんまり時間をムダにしちゃダメだし、早いとこやっちゃおうっと... ちょっとの間の辛抱だから、そこで動いちゃダメだよ~」

「んぁ!? な、何するんだ!? まさか、その鎌でオレを...」

「仕方ないじゃん! 殺さないように、生き物に憑依するってことが、どんだけ難しいと思ってんの!? 今は殺しやしないって、『半殺し』にするだけだからぁ」

「いやいや、でも痛いって...絶対! なあ、止めようぜ!」

「もう、じれったいなぁ... いくよ、『靈魂憑依術(ソウルキャプチャー)』っ!!」


途端に鋭すぎる痛みを感じ、彼は本日二回目の、気絶を体験した。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。