いかで我 この世のほかの思ひでに
風をいとはで 花をながめむ



散りゆく世界の少し外れで、愛しい人を待っていた。

少し間があってから、その人が見え、朧げになってまた見えなくなった。

…それは、幻想だと分かっていた。

たが、花吹雪に紛れて見えなくなったその人を、いつまでもいつまでも待ち続けた。

例え、その人がまた生まれ生まれ生まれて、生の始めに暗くなり、

死に死に死に、死んで死の終わりに冥すとも、

自分はいつまでも待ち続けよう。

それを見届けるのもまた、きっと罪の償いになるだろうから。




【挿絵表示】


X(Twitter)  ▲ページの一番上に飛ぶ