「う、うーん…」
「おい、大丈夫かみんな?」
彼らが次に飛ばされたのは、中世の町だった。
前には広いレンガ道が広がり、前方に城も見えるが、人はいなかった。
錦丸がやや遅れて空から降りてきた。
「ではあらためて…ようこそ、おいでなさいました。ここは常世之四界の中の最初の界、名を『一之界』といいます」
「いちいち名前ついてるのね…」
「『四之界』までございますよ。この『界』ひとつごとに、皆様には試練を一つ受けていただきます… もっとも、場合によって増えたりはするのですが」
「うーん…」
「まあ、あまり深く考えないでください… これからの皆様の試練の場は、あの城となっておりますゆえ、それまでに各々心の準備をなさいますよう」
「近いな! まあいいか」
「では、私はここで失礼いたします。何かあれば私の名をお呼びください。すぐに参りますので」
そう言って、彼は去っていった。
「なあ、みんな… 本当に大丈夫か? 後戻りはできなさそうだが」
「入っちまったものは仕方ないしな」
「心配には及ばん」
「ならいいんだけど…」
刹那、誰かが猛スピードで駆けてきた。
「うわー! ソニックじゃーん! いらっしゃーーい!!」
「!? さ、サオリ!?」
サオリは来るなりソニックの肩を掴んで揺さぶった。
「なーんか久しぶり! 本当に来たんだねー! よろしくー!」
「い、いててて…」
サオリの馴れなれしい態度に、エミーがすかさず食ってかかった。
「ちょっとアンタ、誰なのよ!?」
「…え? あ、もしかして、お仲間に何も言ってなかったの?」
「そ、そりゃそうだろ! 怖くて言えねぇよ!」
「えー、本当にー… あー、私はサオリ。 死神だよ。 訳あって、ソニックに憑かせてもらってるんだー! 別に怪しい者じゃないから、よろしくね!」
「…し、死神…!」
「え? 引いてる?」
「そりゃ引くだろ!」
一悶着あったあと、彼らはようやく歩き出した。
里程の半ばまで行くと、威勢のいい声が聞こえてきた。
「お? 兄ちゃんたち、尋ね人でしょ?」
「?」
「やっぱりなー! 私はここでちょっとした便利屋をやってるんだ。 リボンウィッチっていうの、お見お知りおきを〜」
リボンウィッチと名乗ったその少女は、名の通り全身にリボンがあしらわれた格好をしていた。
彼女は、持っていたカゴから何かを取り出した。
「えーと、私はただの便利屋じゃなくって、『今本当に必要なもの』を売るお仕事をしてるんだー。 で、今の兄ちゃんたちに必要なものは、っと… あ、コレね!」
彼女の手には、ミニサイズの十字架が握られていた。
「十字架ぁ!?」
「そうだよ、十字架だよ? あ、コレね、ここを押すと光が出るようになってて〜、懐中電灯なんかにも使えたりするんだよ〜。 あと、お札の効能があったり〜、爆薬としても使えるよ〜」
「なんで…そんな物が」
「だーかーらー、そりゃ私にもわかんないよ! でも兄ちゃんたちには絶対にいる。 そう出てるの」
「…分かったよ… で、代金は…」
「あーいいよ! 兄ちゃんたちがちゃんと二之界に行けること…それが一番の代金だから」
「ありがとう! もらっとくね!」
「て、テイルス…」
「じゃーお気をつけて〜!」
1人に一つずつ十字架が行き渡ったところで、彼らは城の前に着いた。
門前には騎士が控えていて、サオリが軽く会釈をすると、門を開けてくれた。
中は真っ暗だった。
「えーと、試練… スタートっぽいね」
「うー… いよいよかぁ」
「じゃあ、呼ぶよ」
「え?何を?」
サオリは大声で叫んだ。
「出てきなさーい! 挑戦者が来たよー!!」
刹那、キィキィと音がして、黒い影が城中を舞った。
影が一点に集中したかと思うと、三つの人影が現れた。
「え… えーと、その…」
「何ビビってんの? ビビるのはあっちの方じゃないの?」
「こらこら二人とも、喧嘩はダメですよ」
「う、人数が多くて…」
「もー!このビビり野郎めー!」
「だから喧嘩はダメだと…」
彼らは口々に喋ったが、サオリに思いきり睨まれて、やめた。
「すみません… 我々としたことが」
「むー、だってノワールがビビるから…」
「い、いやその…うぅ」
「あーもう! 死神を何だと思ってんの!? まあいいや。 …みんな! この3人が今回の『試練』を出してくれる人らだよ」
ちょうどその時、どこからか差した月光が、彼らを照らした。
「…、なっ…!?」
「ほらビビられた!あーもうノワールのせいだー!!」
「アンディ、止めなさい。 あなたは子供ですか?」
「違うもん! いくら賢いからって黙っててよ、ワイズ!?」
中央の者は吸血鬼、左端の者は霊体、右端の者は悪魔だった。
「えーと、真ん中から… ノワール、右はアンディ、左はワイズだよ」
「…!? こいつらが、相手…!?」
「正解! じゃ、ルール説明、よろしくね、ワイズ」