イッピーは本当に3流エロゲの顔無し主人公やってれば幸せだっただろうなって思わずにいられませんでした。
作者「もう気の毒で気の毒で…」
新華「泣くなよ作者君!」
作者「うっ(;ω;)」
新華「アイツ(一夏)だって頑張ってんじゃないかよ!」
---IS学園、食堂
「そーいやさー」
「おん?」
一夏が手に自身の昼食を持ちいつものメンバーに声を投げる。
それに手元の資料を簪とシャロの3人で覗きながら返事する新華。
「1年生の専用機持ちで『モンド・グロッソ』にも来てたぬいぐるみの」
「クーリェちゃん?」
「キュ?」
「そうそう、その子です」
クーリェの所属であるロシアの国家代表であり、世間でもIS学園でも時の人となって絶賛注目を浴びる存在の刀奈が反応する。
その肩には新華からのクリスマスプレゼントであるペットロボの『カーバンクル』が乗っていた。
「彼女、なんていうかこう、あれじゃないですか」
「あれって何よ」
「言いたいことは分かるが、その言い方はどうなんだ」
彼の後ろから同じように料理を持ってきた鈴と箒。その後ろにはセシリアとラウラの姿もあった。
「一夏さんの語彙が乏しいのはいつものことでは?」
「というか、その原因の一端は幼馴染の新華の言動ではないか?」
「否定出来んなー」
「でも普段あまり曖昧な表現しないよね?」
「映画の感想を語るとき、沢山言葉が出てくるよね…」
「相手に伝わりやすい、説明の仕方を学ぶには本を読むのが一番よ。内容の面白さ以前に第3者でも分かる文章でないと誰も買わないから、新聞とか文庫本は沢山読むべし」
シャロと簪の意見に手元の資料をトントンと叩きながら答える。曲がりなりにも教師の真似事をしていたのだし、立場上説明下手など言っていられないというプレッシャーも新華にはあった。
「で、あの子がどうしたって?」
「あー、いや、その。あの子って『見えてる』みたいだろ?」
「みたいっつーか『見えてる』な」
「やっぱマジなのかアレ。…それで思ったんだけど、幽霊って本当に居るのかなって」
そう一夏が言った瞬間、関係者一同の『なに言ってんだコイツ』な視線が彼に集中した。
「へいイッピー、俺の魂の変移をお忘れでないかい?」
「超特大の例外はカウントしてないんだよなぁ」
「『将門公の首塚』とか『屋久島の縄文杉』とかあるべ」
「ビックネーム過ぎて実感が湧かないって」
「神様居るんだから幽霊だって居るだろうに」
そんな会話をして一夏達も場所を確保し食事を開始する。対する新華達はもう食事を殆ど終えているところだった。
「で? なんでそんなこと今更言い出したんだ?」
「…今日、変な夢見てさ」
「夢?」
「現実味のある悪夢なら話してみるといい。話せば正夢でなくなると言うしな」
「せやせや。言うてみぃや」
軽い調子で話す新華に複雑な視線を向ける一夏。それを受けて新華は怪訝な顔をする。
「お? 俺なんかしたか?」
「いや、その夢ってのがな……。新華が、居ない世界の夢だったんだよ」
「ほほん」
「調べたら夢って色んな説があるらしいけど、なんというかどれもピンとこなくて。あの感覚はもしかすると幽霊みたいなものかなーって」
「明晰夢か? どちらにせよ内容に興味あるなぁ」
そう言って興味を示しつつ内心緊張し出した新華。自分の居ない世界というのは何度も考えてきたが、あの日以来そういった『if』は考えず今と未来に想いを馳せ楽しんでいた。
だが夢というのは時に真実を見せる。緊張、いや恐怖が沸く。
が、それは両脇の女性が晴らしてくれる。簪とシャロが彼の肩に頭を乗せる。
「ん」
「ほら」
「…ありがとな」
「うーんこの」
「ナチュラルに見せ付けてきますわね」
「いい加減人目を気にしなさいよそこのバカップル」
「これでも気にしてるが?」
「ちゃんと人目気にして場所を選んだりしてるものねぇ」
「やかましいわ」
もう一緒に居るのが当たり前になっている4人にため息を付き一夏は夢の内容を語っていく。
主に原作、『基本世界』と呼ばれる世界の、口外出来ない作戦をぼかした内容に一同は聞き入り頭を痛める。
「…一言言わせてくれ」
「おう」
「いろいろと酷くない?」
「自分が居ない世界なのに感想がそれですか」
「いやだって、ねぇ?」
いつのまにやら他の生徒達も集まり会話に参加する。蘭のツッコミに、最初は緊張して聞いていた新華も肩から力が抜け溜息を吐く。
「ツッコミ所があり過ぎて…」
「それな」
「実際夢の話でしょ。しかも過去の話だし。あたしら2年生よ?」
「いや、そうだとしても新華さん居ない世界とか想像しづらいんですが。そんな薄いキャラしてないじゃないですか」
「(俺の一人称が元々『僕』だったって言って信じる奴どれくらい居るんだろうか)」
話を聞いていた他生徒達がざわめく中、新華と一夏に視線が集まる。一夏は肩を竦め空になった食器を横にずらす。
「で、俺が人造人間だったーって話」
「ねーよ」
「だよなぁ」
「そもそも俺が居ないってだけで大まかな環境に違いは無いんだろ?」
「見た感じだとな」
「成人してない千冬さん1人の稼ぎで過疎地でもない一軒家に住める訳ねーだろ。っつーか知らないっぽい『更識』ェ…」
「言わないで。情けなくなるから」
「せやな」
正直この設定は一番今更で一番ラブコメとしてはツマラナイと思いました(小声
というか今日日、人造人間でももっと人間的な魅力があるぞ。(例:イノベイド、ラウラ)
「それに俺の両親って…」
「や、まぁ、うん。千冬さんから聞いたか?」
「ああ。事故死だったんだろ?」
「あんま言いふらすような内容じゃねぇしな。あっちの世界は知らんが、間違いなくお前は両親に愛されて産まれてきてるから安心しろ」
「お前に言われると重いんだが」
「気にするな。俺はもう気にしてない」
原作に設定の整合性が無いのはいつものこと(白目
「後はなんだ、
「正直あのワンオフがあっても困るんだけど。それに暴走含めてもそれで強いのかって言えないし」
「(つうか白+展開装甲+暴走ってNT-Dじゃね?) 『白式』は一夏のことを体の良い生態CPUとしか思ってねーんじゃねーの? いや、こっちのがどうかは知らんが」
「サヤカちゃんなら何か知ってないか?」
「だってよ、サヤカ」
『白式』disが酷いが別世界の話であり、この世界で数少ない対話可能なISであるサヤカに話題が振られる。
新華の両隣が埋まっているため手乗りサイズで机の上に姿を現すサヤカ。
「他所は知りませんが、少なくとも織斑さんの意向を無視はしてませんよ。ただ物を知らないだけです」
「? というと?」
「彼女は『織斑 千冬の戦闘』を知っていても『剣道』は知らないのです。まして2人とも『雪片』を振るうのも利き腕も右手ですから、空いた左腕に『雪羅』を展開すればバランスが取れる、と。そういう考えみたいです」
「あー、なるほど。それで」
「あれ? 確か『白式』って…」
「例え話になりますが、紙に鉛筆で何か書いた後に消しゴムで消しても跡は残りますよね? そういうことです」
「そもそも表に出てないとはいえISに自我があるんだから、完全に消せたんなら自我そのものも消せてるだろ」
ちなみにこの世界で束自身もISを全部分かっていない理由は、彼女が仕込んだ自己進化が行き過ぎたためだったりする。
人の心が分からないから心が発生した存在を理解出来ないのはある意味当然ではあるが、それを作ったのが他ならぬ人の心を理解出来ない者というのは何とも皮肉である。
「ISの自我ってのは自己進化で意識を持ったプログラムのことでな。進化が進めば進むほど人間と大差無くなる。サヤカを見れば分かるだろ」
「フンスッ」
「まぁ、コイツは異例だがな。それでも本質はプログラムだ。っつーか俺と糞う詐欺以外が触れないブラックボックスそのものが自我を形成していると言っていい」
「……おい、今物凄く重大な話してないか?」
「というか話が盛大にそれてますわ」
「初期化ってのはブラックボックス以外のプログラムを消すだけだが、動かしているのがブラックボックス内部のプログラムである以上、IS側が『覚える』んだよ」
サヤカが胸を張るが無視して話を続ける。実際解析が驚くほど進んでいないISコアについて開発者の1人の語りは非常に重大なものだった。
周りの生徒達もいつのまにか聞き入りざわめいている。
「ただその『覚えた』情報は大抵コアネットワークに放流され共有化される。これが普通のISに同一のワンオフアビリティーが発生しない理由だな。わざわざ1つに絞って拘る必要は無いし」
「じゃあ『白式』は?」
「機体に使用されている技術が『暮桜』系。なおかつIS側の基準が千冬さんと糞う詐欺だから。コアが違ってたら発生してないっての」
「あ、やっぱり?」
「そんだけ特別なんだよ、『白式』は。全部糞う詐欺の仕込みだったとしてもな」
軽く話しているが割りと驚愕というかスキャンダルな発言である。まぁ知ったところで『だから?』という話だが。
「それはそれとしてご主人様。言われた通りタイトルとモチーフになったであろう伝記の纏めが終わりました」
「おっ、サンキュ」
「? 何か調べさせてたのか?」
「まーな。というわけで、気になるタイトルあるかー?」
先程までの会話をぶった切りサヤカが新華達の前に空中ディスプレイを展開する。
そこには多くの映画タイトル画像と解説文が載っていた。
「あ、調べてくれたんだ」
「おう。俺も俺で傾向とか調査したことは無かったんでな。元映画部としても気になるところで」
「何だ何だ?」
「あー、去年のデートの時にペルソナの映画見てね。それからゲーム貸してもらったり調べてみたら、神話や伝記って結構面白くて」
「なおFateは深みに嵌るのでNG」
「Fate…?」
「…説明すると沼に嵌る連中が出るから、自己責任で調べてくれ」
どんどん話が逸れていき原作世界のことをどうでもいいこととして記憶の隅においやる。
時間が過ぎ休み時間も終えると授業のために各々が教室へと戻っていく。
「(俺の居ない世界、ねぇ)」
座学中、新華は一夏の語った世界を思い出していた。その世界が正しい形に近いのだろうと思いながら。
だがその世界に思ったほど魅力を感じていなかった。
「(多分、俺の位置に別の人間が居る世界もあるんだろうな。平行世界ってそういうもんだろ。でも)」
筆記類と教科書を机の上に出し足元でハロOを転がしながら、手の上でISコアを1つ転がす。
それは去年に束から作戦の報酬として受け取り解析を終えた個体だった。
「(じゃあ俺が居て上手くいかなかった、あるいはイレギュラーが俺だけじゃなかった世界もあるんじゃないか)」
そう考えISコアを握り思いつく最悪を想定する。
「(---ISコアの自我が全て、
367機という中途半端な数字は『選択戦争』に参加した乾燥者の総数であり、無人機はその前後で発生、死亡した少女である場合。
「(---『亡国機業』が『灰色領域』、いや、『情報生命体』の隠れ蓑である場合)」
『新生人類騎士団』を名乗った連中が存在しパラベラムが自分のみの場合。
「(---この世界そのものが、あの世界の2巡目である場合)」
戦友や恩師に似た別人が居る似て非なる世界の場合。
「(---あるいは、乾燥者は自己進化の果てに人類に紛れたISを祖とする生命体である場合)」
IS世界の遠い未来がパラベラム世界の場合。
「(---なんて、暇人の戯言か。他所は他所、うちはうち、ってな。っつってもISとパラベラムにはよく似た共通点があるのも事実)」
自身のマイナス思考で生まれたifを一笑し別のことを考え出す。
2者の共通点は以下の通り
・万人が搭乗(覚醒)することは出来ない
・1次移行と2次移行、『エゴ・アームズ』と『情報生命体化』
・『
・『絶対防御』と『トラウマ・シェル』
・慣性制御
……どちらかといえばISとパラベラム、ではなくISと乾燥者の共通点とも言える。パラベラムは戦争用であるが能力としては乾燥者のデットコピー、ISにとってのEOSでありISも乾燥者も女性しか居ないのだから。
「(それに、似ていると言っても『どっち』が『どっちに』似ているのやら)」
そこまで考え思わず一笑する。本当に下らないことを考えていると。
「(我ながら本当に何考えてんだか。子供の妄想にも程があらぁ。いつか言ったけど、俺の生きる道を邪魔する敵が居るなら、叩き斬るだけだ)」
机の上でISコアを弄ぶ。新華が考えるべきことはifより今行き場の無いこのISコアのことだった。
「(それよりこのISコアどうすっかな…。解析も終えてるから用済みだし、だからって破棄するのは勿体無い。とはいえCBじゃMSメインで使わんし、学園に預けるにはセキュリティ面でイマイチ信頼出来ないし…)」
なお国家機関やIS委員会に預けるのは論外である。どこかの国と取引すれば交渉の材料として十二分に役立つが、ナンバリングされていないコアを悪用される以外に道が見えない。
IS委員会は言わずもがな。
「(『更識』の戦力として刀奈に任せようかとも思ったけど、後々面倒になるだろうしなぁ。…技術部に回して好きに弄らせてみるか)」
などと考え再度ISコアを握りハロOに収納する。意識を授業に戻し、今日のスケジュールを再度思い浮かべ笑顔で---
---睡魔に敗北するのだった。
技術部に好きにさせたISは将来息子か娘が搭乗すると思います(爆
おかしい、最初は主要キャラのペルソナは何かってどうでもいい内容にする予定だったのに…
あとどうでもいい話ですが、『アーキタイプブレイカー』キャラはコメット姉妹以外概ねゲーム通りを想定。コメット姉妹はアイドルと音響兵器持ちというキーワードから新華に興味を持つだろうなーと。
Wiki見た感想ですけどね。