リリカルなのはStrikerS ~喰らう牙~   作:ロンギヌス

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『仮面ライダー×リリカルなのは』のクロスです。

もしよろしければどうぞ。


第0話 降り立つ牙

かつて、一度も動く事なく封印された神の列車―――

 

封印から解き放たれし時―――

 

その牙が喰らうのは、過去か、未来か―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一面に広がる、白い砂漠の中。

 

砂漠の上に敷かれた長い線路を、銀色の列車が走り抜けていた。

 

その後部車両にて…

 

「ガツガツガツガツ」

 

ある一人の男が座席に座り、目の前の机に置いてある料理を食べていた。

 

食べているだけならまだ良い。問題はその量だ。

 

彼が既に喰い終わっている料理は、皿の枚数が二十枚である。しかもほとんどは肉料理ばかり。なのにこの男は食べるペースが全くダウンしておらず、次々と料理を喰らい尽くしていく。

 

「ムグムグ………ふぅ」

 

遂に最後の料理も食べ終わり、ペットボトルの水を飲んでから一息つく。

 

「…足りんなぁ」

 

これだけ食べたにも関わらず、男は喰い足りないと不満そうな表情を浮かべる。

 

そこへ…

 

「まだ喰ってるんですか? 牙王様」

 

緑色のトカゲみたいな姿をした怪人が、次の料理を運んで来た。

 

「まだだ。もっとたくさん持って来い」

 

「しかし、これ以上食べるとなると、残りの食料が…」

 

「無くなりそうなら、次の世界に着いてから街で買って来い。金ならいくらでもあるんだ、別に困る事もあるまい」

 

「ハ、ハァ」

 

そう言って男、“牙王”は怪人が持って来た料理を手に取り、再び喰らい始める。

 

彼の食事が終わるのには、もう少し時間がかかりそうである。

 

 

 

 

 

 

「やれやれ、参ったな…」

 

その後、緑のトカゲの怪人“モレクイマジン”は厨房のある車両に移動し、困った様子で頭を掻く。

 

「また食料切れでも起こしたか? モレク」

 

「…コブラか」

 

そんなモレクの下に、青いコブラの姿をした怪人“コブライマジン”がやって来る。

 

「すぐに否定しないって事は、肯定として受け取って良いんだな」

 

「あぁ……このままだと恐らく、あと二日程で綺麗に底を尽くだろうな」

 

「二日? 前に滞在した世界で、何ヶ月分もの食料を買い揃えたってのにか?」

 

「ここ最近、牙王様の食事の量も増えてきている。それに俺達の分も含めれば、食料なんてあっという間に無くなってしまう」

 

「…まぁ、それもそうだな」

 

コブラの脳裏に、牙王が料理を喰らい続ける光景が浮かぶ。

 

「で、お前がまた次の世界で買い出しという訳か?」

 

「お前等に任せると碌な事にならんからな。まぁ、金は腐る程あるからまだ良いんだが…」

 

「悪かったな、俺達が役立たずで」

 

そう言ったコブラは冷蔵庫を開け、冷蔵庫を物色する。

 

「自覚してるなら、少しは努力して欲しいところなんだがな」

 

「残念だったな。俺達にそれが出来るとでも思ったか」

 

「いや、強調して言う事じゃないだろ………それと」

 

モレクがコブラの右手を素早く掴む。

 

「その手に持った物、ちゃんと冷蔵庫に戻せよ?」

 

「…チッ」

 

コブラの右手には卵が二つ。企みがバレたコブラは舌打ちする。

 

「コブラ、そろそろいい加減にしろよ? 毎回卵のつまみ食いしやがって、少なくなった食料をまた更に少なくする気かお前は」

 

「良いだろ、卵の一つや二つくらい。喰わねぇとイライラするんだよ…」

 

「買った卵に麻薬を仕込んだ覚えはない。良いからさっさと戻せ」

 

「…分かったよ」

 

コブラは諦めて卵を冷蔵庫に戻す。

 

「ケチな奴め…」

 

「ケチで結構。俺が牙王様から食料管理を任された以上、無駄に減らす訳にはいかないんだ。大体お前という奴は―――」

 

-ガシャァァァァンッ!!-

 

「「……」」

 

モレクが説教を開始しようとした時、他の車両から何かが割れるような音が響き渡る。

 

「…モレク」

 

「あぁ……アイツ等…!!」

 

モレクは背後から黒いオーラを出しながら、鎌の形状をした大型のダガーナイフを手に持って厨房を出て行く。

 

「…ご愁傷様だな」

 

取り残されたコブラは、小さく呟く事しか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

「ふざけんじゃねぇぞコラァッ!!」

 

「んだと、この野郎ッ!!」

 

別の車両では、二人の怪人がド派手に喧嘩をしていた。

 

赤いヤモリの姿をした怪人の方が“ゲッコーイマジン”、紫色のイモリの姿をした怪人の方が“ニュートイマジン”である。

 

本来ならイモリであるニュートが赤であるはずだが、何故か配色が逆である。何故逆になっているのか………それについては謎のままである。

 

「良いぞ~もっとやれ~!!」

 

そして、茶色のサンショウウオの姿をした怪人“サラマンダーイマジン”は、二人の喧嘩を見て一人面白そうに盛り上がっている。

 

何故、ゲッコーとニュートの二人が喧嘩しているのかと言うと…

 

「よくも俺が大事に取ってたショートケーキを食いやがったな!! 今回ばかりは許さねぇ!!」

 

「テメェこそ俺のコーヒーゼリー勝手に食べやがって!! 人のこと言える立場か!!」

 

「よっしゃ~もっと暴れろぉ~!!」

 

どうやらこの二人、単純に食べ物関係で喧嘩しているだけらしい。しかし二人が喧嘩している所為で座席が壊れたり窓ガラスが割れたりと、その被害はだいぶ甚大である。サラマンダーに至っては止めるどころか逆に楽しんでいる。

 

「大体、何で俺じゃなくてテメェが赤色なんだよ、ヤモリの癖によぉ!!」

 

「うるせぇっ!! そんな事まで俺が知った事かぁ!!」

 

二人は遂に互いに武器を取り、より喧嘩が激しくなろうとしたその時…

 

 

 

 

 

「―――何やってんだアホ共がぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

-ドゴォォォォォォンッ!!-

 

「グボァァァァァァァァァッ!?」

 

騒ぎを聞きつけたモレクによる飛び蹴りが、ニュートの後頭部に炸裂した。

 

「…あ」

 

ニュートが蹴り飛ばされて気絶したのを見て、ゲッコーは顔が青ざめる。

 

「お前等……喧嘩ならここじゃなくて外に出てからやれと、何度言えば分かるんだ? 俺の記憶が正しければ、これでもう注意したのが十五回目なんだが?」

 

「い、いや、これはその…」

 

「ここまで散々破壊してくれてさぁ………ここの掃除をしてるのは一体誰だと思ってるんだ?」

 

「え、えぇっと…」

 

「その謝罪も、結局は口だけだと言うのか? お前等の頭には、努力しようと考える脳ミソすらないと言うのか? ん?」

 

「は、はい、すいません…」

 

「ただ謝るんじゃなくてさぁ……少しは本気で反省しようと思えよ……いちいちお前等の説教をしなくちゃいけない、こっちの身にもなってみろよ、な?」

 

「お、おっしゃる通りであります…」

 

さっきまでの威勢は一体何処へやら。ダガーナイフで肩を軽く叩きながら黒いオーラを放つモレクに対してゲッコーは何も言い返せず、その場に正座して縮こまっている。

 

ちなみにサラマンダーは…

 

「すげぇ……モレクの背中から黒いのが出てやがる…」

 

冷や汗を掻きつつ、座席の後ろに隠れていたりする。

 

「とにかく、口で何度言っても分からん馬鹿には…」

 

モレクがダガーナイフをギラつかせる。

 

「たっぷり、お仕置きしないとなぁ…!!」

 

 

 

 

数秒後、ゲッコーの断末魔が響き渡ったのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

列車の先頭車両。

 

列車の操縦席として中央に固定されたまま、自動で動いている一台のバイク。そのバイクの正面にあるモニターには、外の映像が映っている。

 

「このままいけば、問題はないか…」

 

厨房から戻って来たコブラはモニターを見て呟き、手に持っているタッチパネルを視線を移す。

 

「順調のようだな」

 

「! 牙王様…」

 

食事を終えてやって来た牙王が、コブラの横に並ぶ。

 

「もう、良いんですか?」

 

「本来なら、まだまだ喰い足りねぇところだがな」

 

(…まだ食べる気か)

 

コブラは内心呆れ果てる。

 

「それはともかく……そろそろか?」

 

「はい。あと五分程度で、次の世界です」

 

二人はモニターを見る。

 

列車が進む線路の先が、丸く真っ白な穴へと続いていた。

 

「さて…」

 

牙王がバイクに跨る。

 

「次の世界こそ、当たりだと良いんだがなぁ…!!」

 

 

 

列車の走るスピードが上がり、そのまま白い穴へと突き進んでいく。

 

 

 

この時、コブラが持っていたタッチパネルには…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

多次元世界の一つ、“ミッドチルダ”の名前が表記されていた。

 

 




次回でミッドチルダに到着。

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