リリカルなのはStrikerS ~喰らう牙~   作:ロンギヌス

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第二話、投降しました。

それではどうぞ。


第二話 強奪・破壊

牙王達が立ち去ってから、数分後…

 

 

 

「何だこれ…」

 

「…酷いものだな」

 

赤いゴスロリのような服を着た赤毛の少女“ヴィータ”と、桃色の髪を靡かせた剣士のような風格を持った女性“シグナム”の二人が森林に到着した。二人の目の前では、無惨に破壊されたガジェットの残骸が散乱している。

 

「これ、例のガジェットって奴だよな。それが何だってこんなに…」

 

「ガジェットには、何故かは分からんがAMFの機能が搭載されている。並の魔導師ではガジェットを倒すのは容易ではない筈だが…」

 

「うげぇ……見ろよシグナム、こっちなんか機体が溶けて煙出てんぞ」

 

溶けて煙の上がっているガジェットを見て、ヴィータは気持ち悪そうに煙を手で払う。

 

(これだけの数を破壊するとなると……質量兵器を持った次元犯罪者によるものか?)

 

シグナムが思考を張り巡らせるが、残念ながら答えは出ずじまいだった。いや、出ない方が自然なのかもしれない。

 

今回のガジェット破壊は魔導師や次元犯罪者ではない。

 

首領である一人の人間と、複数の異形で構成された盗賊団による仕業なのだから―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方。

 

一度、時の砂漠へと撤退していた時の列車。

 

その後部車両にて…

 

「ハァ~…」

 

座席に座ったサラマンダーが、とてつもない負のオーラを放ちながら沈んでいた。モレクの後頭部に流れ弾を直撃させてしまったが故に彼からある意味での処刑宣告を喰らったのだから、当然と言えば当然なのだろう。

 

その向かいの席に座っているゲッコーとニュートがヒソヒソ喋る。

 

(凄ぇ落ち込んでんな、サラマンダーの奴…)

 

(そりゃまぁ、晩飯が小魚一匹になっちまったんじゃ、誰だって落ち込むだろうよ)

 

(…ま、そうだよなぁ)

 

二人がサラマンダーの方に振り返って見る。サラマンダーから滲み出ている負のオーラは、当分消え失せそうにない。

 

「いやぁ~それにしても、俺がそんな目に遭わなくて良かったぜホント」

 

「全くだ。個人的には、お前がそうなっちまえば良かったのにな」

 

「…ちなみに俺は、お前に喰われたショートケーキの恨みを忘れちゃいねぇぜ」

 

「そう言うお前こそ、俺のコーヒーゼリー勝手に喰ってくれやがったよな」

 

「それだけじゃねぇぞ。俺が飲もうとしたコーラを、一人で全部飲み干したやがって」

 

「俺が取っておいた冷凍ピザを勝手に喰い散らかした、お前が言える立場か?」

 

「「……」」

 

 

 

 

「「やんのかテメェッ!!!」」

 

「やめろアホ共」

 

-ガッゴッ!!-

 

「あべし!?」

 

「ぶげら!?」

 

再び喧嘩に突入しようとした二人だったが、モレクのパンチによって強制阻止。

 

「痛ぅ~……ゲッ、モレク!?」

 

「い、いつからここに!!」

 

「たった今だ。分かりやすく言うなら、ゲッコーの「いやぁ~それにしても」の辺りからだな」

 

「「ほぼ最初辺り!?」」

 

「うるさい」

 

-バキッドゴッ!!-

 

「また!?」

 

「何で!?」

 

「声がでかいんだよ馬鹿共」

 

再びモレクからパンチを受ける、しかもうるさいという理由だけで。だいぶ理不尽である。

 

「まぁ、それは別にどうでも良い。お前達にはある事を伝えに来たからな」

 

「…ある事?」

 

「あぁ……お前等の晩飯も、小魚一匹だ」

 

「な~んだ、そんな事かよ」

 

「あぁ、何かと思ったじゃねぇか…」

 

 

 

 

 

「「―――ハァッ!!?」」

 

モレクから突然発せられた一言に、二人は驚きの声を上げる。

 

「おいおい、いきなり何だよそりゃ!!」

 

「納得いかねぇ!!」

 

「おいおい。お前等まさか、さっき派手に大暴れして、車両をメチャクチャにしてくれたのを忘れちゃいないだろうな」

 

「「…あ」」

 

そう言われて、二人は顔を青ざめる。

 

「い、いやぁ~その、モレク……お、俺だって、好きで暴れてた訳じゃないんだぜ?」

 

「そ、そうそう! 元はと言えば、こいつが俺のショートケーキ喰いやがったからであって…」

 

「あぁ!? テメェだって俺のコーヒーゼリー喰いやがっただろ!!」

 

「うっせぇ!! お前が先に喰わなきゃこんな事にゃならな―――」

 

-ズドンッ!!-

 

「「どぇい!?」」

 

言い訳をし始めた二人の顔の間に、ダガーナイフが深く突き刺さる。

 

「理由なんてどうだって良いんだ、言い訳を聞く気もないからな………そう。元はと言えば、お前等がそう何度も同じ事を繰り返さなきゃ済む話なんだ」

 

「「う…」」

 

「…それなのに、お前等二人は毎回派手に喧嘩して暴れまくって、しかも理由が「ケーキを食べられたから」とか「ゼリー喰われたから」とか、実にどうでも良い理由ばかりで、毎度同じような言い訳を聞かされる俺はどれだけウンザリしているのか、知らんだろう? お前等は」

 

「「は、はい…」」

 

モレクがダガーナイフを抜く。壁には刃物が深く刺さった後が残り、ゲッコーとニュートは思わず戦慄する。

 

「…まぁ、単に食料が少なくなってきたから、量を少しでも減らそうと思っただけなんだがな」

 

「「「本音そっち!?」」」

 

いきなり本音を曝け出したモレクに、ゲッコーとニュート、そして復活したサラマンダーが同時に突っ込みを入れる。

 

「そういう事だ、最早お前等には何の拒否権もない。潔く諦めるんだな」

 

「そ、そんなぁ~!?」

 

「そこを何とか!!」

 

「「「モレクの兄貴~ッ!!」」」

 

「引っ付くな気持ち悪い!!」

 

-ドカッバキッベシッ!!-

 

「ぐほえっ!?」

 

「ごぶはっ!?」

 

「ぼげふっ!?」

 

泣き付いてきた三人の顔面に、モレクの強烈なパンチが炸裂。三人をノックアウトする。

 

「全く…」

 

「随分と苦労人だな、モレク」

 

倒れた三人を足蹴にするモレクに、コブラがコップに入った卵の黄身を飲みながら呼びかける。

 

「忙しい事ばかりだな、気分はどうだ」

 

「本当に、胃薬と頭痛薬が欲しい気分だな………そしてお前は何当たり前のように卵のつまみ食いをしとるか!!」

 

モレクが飛び蹴りをかますが、コブラには難なく回避される。

 

「いちいち突っかかるな。別に卵の一個くらい、許容範囲でも良いだろう?」

 

「良い訳ないだろ。アホかお前は。お前の晩飯も小魚一匹にしてやろうか、」

 

「好きにしろ、どうせまたつまみ食いするだけだ」

 

「そのつまみ食い癖はどうにかならんのか」

 

「どうにか……残念、ならんな」

 

「一回死んで来い!!」

 

「だが断る」

 

モレクがダガーナイフを振るい、コブラはそれから逃げ続ける。

 

そこへ…

 

「面倒なもんだな、管理局ってのも」

 

「「!! 牙王様…」」

 

先頭車両にいた牙王が、串団子を喰いながらタッチパネルを持って現れる。牙王が姿を見せた事で、モレクとコブラも追いかけっこを止めて彼に向き直る。

 

「目的が、定まったので?」

 

「ここから先、調べ物をするには他の次元世界の事なんかも一通り把握しとかにゃならん。管理局から隠れつつ、他の次元世界の事も調べていく事にする」

 

「次元世界、ですか…」

 

牙王がタッチパネルを操作し、研究所らしき映像を映す。

 

「これから向かう先に、管理局に属する研究所がいくつか存在する事が分かった。まずはそこから攻め込む」

 

「攻め込む? 牙王様、一体何を…」

 

意図の読めないコブラが牙王に問いかける。

 

「おいおい、俺達は盗賊なんだ。元からやる事なんて、二つしかあるまい」

 

「「?」」

 

首を傾げる二人に、牙王が言い放つ。

 

 

 

 

 

「強奪、そして破壊だ。全てを喰らい尽くすぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

次元世界、とある研究所…

 

-ビィー! ビィー!-

 

研究所に、警報が鳴り響く。

 

「何事だ!?」

 

「主任!! 入り口にて、複数の侵入者が!!」

 

「複数だと!? 一体何処の輩だ!!」

 

監視カメラの映像には…

 

 

 

 

 

 

「食事の時間だ。思い切り、喰らいついてやれ」

 

牙王率いる、盗賊団の姿が映し出されていた。

 

 




さて、また暴れさせましょうかね。

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