接触禁忌アラガミと、ネタと
「……む、ぬぉぉぉぉ…………」
「おい、どうしたんだ?」
「電波を受け取った」
「は?」
ネコちゃんが頭を抱えたと思ったら、いきなりそんな事を言いだした。
「リンドウ、貴様は消息不明・除隊扱いになったらしいぞ? ま、こうして生きてるんだけどにゃー」
「やっぱりなぁ…腕輪のビーコンごと
「ほう? 中々冷静ではないか」
「なんだろーな。身体が動かないと、感情の起伏が緩やかになったみたいだわ。早く走り回りたいねぇ」
『【それなら】【いい加減真面目に】【リハビリ取り組みなさい】【はい今日のゴハン】』
「サンキューウロッち。お、肉質溢れるハンバーグか。ったく、なんでキサラギを潰したんだろうなぁフェンリルは。いただきますっと」
コト、とテーブルに置かれた美味そうなハンバーグを見て、食欲がそそられる。
それに付随していたフォークとナイフを誰かが持ち、食べやすいように切りそろえた。
「はい、あーん。フェンリルも、大方目先の利益に囚われたんじゃないの? “反逆の企業。市民の安全の為にフェンリルが討伐!”って具合にね」
『【此処の技術が】【変態要素の影に隠れてた事も】【一つの原因でしょうね】【生体兵器を開発するくらいだもの】【でも】【バイオテクノロジーは優秀だと】【判らなかったのかしらね】【食糧難も回避できたでしょうに】』
ウロッちの触手が横たわる部屋の一角に、次々に文字が浮かんでは消えて行く。
アラガミが言語形態を理解しているのは驚きだが、あの【ロシア大陸連合軍最終作戦】からの成長スピードを考えると、それも納得できる。
お嬢ちゃんの手で口に運ばれるハンバーグを咀嚼しながら、そんな事を考えていた。
「まあ、フェンリルも元々は生物工学、生物科学に特化した製薬会社だったからにゃ。対抗するような二大勢力だったキサラギを潰すのに、丁度いい理由づけだと思ったのであろう。…ぶっちゃけ、いがみ合いの結果っぽいですけどー」
「へぇー。フェンリルって製薬会社だったんだ。それが今じゃ人類の最終手段を作る最後の勢力か……深いなー」
「ふみゅぅ……」
「おぉっと、シオちゃん起きちまうぞ。もうチョイ静かにしようぜ」
此処に居ると、戦いの事を忘れてしまいそうになる。
早く前線復帰する為、サクヤや姉さん。アナグラのメンバーともう一度会うため。そして……アーク計画の詳細の為。
やらなきゃいけない事があるってぇのに、ここはそんな事が無いかのように平和なのだから。
『【シオちゃんか…】【悲しいけど】【この子特異点なのよねぇ】』
「まぁ、知っている。吾輩たちもただ生きるというワケではなく、計画阻止の為にも動きださなければなるまい」
「なっ…! アレの事、知っているのか」
「しーっ! ……まあ、全部カオスからの提供だけどね。ほんの少しが助かる為に、他の皆が犠牲になる計画なら、あたしは大反対だもん。シオちゃんは守りきらないと…」
お嬢ちゃんも、元はゴッドイーター。
人を守る事が生きがいだったらしいし、アーク計画に対して思うところはあるみたいだ。
「ま、あたしはこうしてのんびりアラガミ生活するだけで十分なんだよねー。アリサもこっち来てるし、カオスと居ると面白いしさー」
『【私も同意見ね】【基本この子達と過ごしたいもの】【キサラギのお父様が居なくなってから】【久しく家族のぬくもりを思い出させてもらったわ】【……不満は】【人型になれないコトだけどね】』
「人類救済はそのついで、が吾輩たちの原動力だな。どうせアラガミが有効的になれば、あっという間に変わるような絶対性があった世界だ。吾輩たちも、そう急いては事をし損じる。ゆったりマイペースが吾輩たちの基本にゃのだよ」
「「右に同じく」」
「ったく、こっちは命かけてやって来たってのに……情報源はどこなんだよ」
俺がそう言うと、ネコちゃんは意味ありげに顔を歪ませて…
「禁則事項だ」
「食事中のパクリネタ禁止法違反ー。カオスのタバコはお預けねー」
「にゃぁぁあああ! しまったぁぁあああ!!」
「ん…うるさいぞー」
『【第二法】【シオちゃんの睡眠妨害するべからず】【違反よ】【食糧班に任命ね】』
「ああ……こうしてキャッツ生は苦しくなっていくのか……マイペンフレンド。そして
パリーン。と窓を擦り抜けてジェットを吹かせて行ったネコちゃん。
……いま、二重の意味でどうやったんだ?
『【あら】【量子化を憶えたのね】【これで地球七周も夢じゃないわ】』
新参だからか? コイツらの話についていけない…!
……此処のソースうまいな。
「ちくしょう…吾輩はどうして墓穴を掘るのだ……」
音速突っ切ってやってまいりました。毎度おなじみエイジス島。
……エイジス島?
「……………やらかした」
さあさ、皆さん上を見上げてください。あちらにございますはノヴァの触手! ウロッちとは比較にならない大きさで、一つ一つは脈を打っております! …やだ、卑猥。
「じゃ、にゃくて!」
あの触手にあるオレンジの球体って確か、アーコロジーとしての機能が備わってるんじゃなかったか? いや、どこぞの一節ではあの球体全てにアルダノーヴァさんが入ってるって言う噂も……
いやいや! それよりシブッチョに見つかったらマジヤベぇ! この体はネコアルク・カオス。時々忘れそうになるけど、ナマモノ代表の身体じゃん! …掻っ捌かれる…(汗
いや、せめてサンプルの一つは頂いておこうかにゃ。
「んー。おお、あそこにおわすはアルダノーヴァの女性体。プロトタイプの廃棄処分された奴じゃないですかやだー。……いいモン見つけちゃったよ…」
さっそく因子を開放。カラスさん30匹でいいかにゃ。
これを……紐に括りつけて……板を乗せて…………ああもう、ぐったりしてて…あ! 混沌の塊で無理やりにぎらせりゃいいじゃん………出来たぞ!
「アルダノーヴァver.鬼太郎のカラスブランコ…! カヲスとカラスって似てね?」
どうでもいい事はほっといて、括りつけて…ふはははは! ゆけ、ウロッちの元へー!
「吾輩も飛びますか」
未だにどうなってるか分からない足の変形でジェットを吹かす。
う~ん。このエンジンの熱い鼓動が止まらないぜ……あれ、エキゾーストじゃなくてエンジン音? ……そして吾輩は考えるのをやめた。
◇
んで、
「カムラァァァアアアアアアアアアアアンッ!!!!!!」
『キュォァァァアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!』
「フははは! 良いぞ兄弟! 戦いの基本は格闘だ!!」
『グキュゥォォォオオオオ!!!(己が身一つで我を越えて見せよ!)』
あれ、今の副音声普通はシユウ
そう思いつつ、煉獄の地下街に来ました。ネコアルク・カオスです。
只今、尻尾針の猛攻を避けまくっております。加えて、着弾した地点から竜巻が起こっております。非常に避けづらいです。カムランって、こんなのだったかにゃー。
…………これって、スサノオじゃね?
『ギャァオォォォオオオオオ!!(今更気付いたかバカがァ!!)』
「うっせ! バカって言った方がバカなのだぞ! やーい! バーカバーカ!!」
『グギュォウッ!!!(なんの! 神機噛みつき!!)』
「なんの! ヒートパイル! 天元ンン、突、破ァァァアアアアアア!!!」
接近するスサノオの神機をパイルバンカーで迎え撃つ。
射突ブレードにサイの因子を使い、打ち出す運動にチーターの加速因子を使ったパイルは、オラクル細胞と熱い火花を散らせながらスサノオの神機に衝突。ギャッギギャァッ!! という甲高い音を立て、スサノオの片腕にある神機を完膚無きまでに破壊した。
だが、それに怒るでもなく、破壊され、腕が弾かれた衝撃をそのままに回転へ連動。鎧のような尻尾を振りまわし、風を切り裂く一撃を繰り出してきたスサノオ。
突如の回転運動を認識できなかった吾輩は、次の初動を取ろうと一瞬硬直し、壁に叩きつけられた。
「くふぅ……やるな、きょォォォォだいィィィィィィイイイイイイ!!!」
『ぎゃぅおぁああああああああ!!!(オレに、オレに生きる実感をくれ!!!!)』
「リキッドォォオオオオ!!」
『ギュゴォォォオオオウ!!(スネェェェェェェク!!)』
正面から飛び込んできたスサノオを前に、カラスの因子を上空に配置。足をゾウに変え、両腕をカマキリの腕へ変化させ、正面から向かい打つ!!
そして―――衝突!
ドォォォォォォォォンッ!!!!
煉獄の地下街。ステージそのものが揺れ、接触による衝撃波で地面が陥没する。
「トリトリトリトリトリトリトリトリトリトリトリトリトリトリトリトリトィィィィィィィィィィィィ!!!!!!!」
ゲシュタルト崩壊するほど叫び、上空に配備した200種の鳥因子を降下させる。
スサノオは堅牢な盾となる神機はを展開したまま防ぐものの、先ほど破損させた片腕の神機から確実にダメージが蓄積される。そして、正面からの力の押し合いによって拮抗していた力関係は、鳥爆撃によって天秤を崩した。
一発一発の因子が激突するたび、スサノオの強靭な四脚は地面に爪痕を残して後退していく。その巨躯を圧倒する、明らかな手数によってスサノオは疲弊していた。
―――だが、
『ギッ…! ギャァァァアァアアアアアアアア!!(まだだ! まだ終わっていないっ!!)』
後ろ脚二本を地面に指し直し、尻尾を地面から高く振り上げる。
跳ねあがる運動エネルギーを持った大質量の尻尾は、鋭く鍛え上げられた剣状の針をカオスへと迫らせる。こうして拮抗する間、両者はロクに動けないが、スサノオは残された身体の一部分を武器として振るって攻撃手段を残していた。
それは正確無比にカオスへ迫り――――
キィィイイン!! と、固いモノに弾かれた。
「くっははは!! 吾輩のカニちゃんを舐めてもらっては困るよ。キャッツを見くびるんじゃねぇぜ、ボーイ!!」
言うや否や、カニを消し去り、現出させたどらごんているを振るって弾かれたスサノオの尾を弾き飛ばす。
再び甲高い音が響き渡り、これでイーブンといわんばかりに両者の尻尾は半ばからへし折れる。カオスはともかく、スサノオは攻撃手段を失ってしまった。
その時、スサノオは―――素早く跳び上がり、身を引いた。
『ギィィイイイ……(久しき強者よここまでだ。これはオレの負けだ)』
「なに…?」
『ギュァアアア……ギギィ、ギュクッカ(オレの尾を折ったのは貴様が初めてだ。他の個体と違い、この部分は最硬にしてあったのだが…それでも、この様だ)』
「マイルールか……いやはや、アラガミに措いてもその様なヤツがいるとはにゃ」
『キュィィイイイ!!(さらばだ強者よ! 再び遭いまみえようぞ!!)』
そうして巨体を後ろに振り向かせ、ゆっくりと去ろうとするスサノオ。
だが、カオスが彼を引き留めた。
「まて、名を聞こう。吾輩はネコアルク・カオスである。立ち絵はまだない」
『……ギュァ(オレは
「よかろう、吾輩でよければ愉快なキリングフレンドとしてオラクル登録してあげないコトもありません」
『ギャギギィ(フッ、其れも又良し)』
スサノオ…いや、益荒男は壊れていない方の神機を、カオスは己のまるい手を重ね合わせ、強者の契りを交わした。
「我ら生まれる時は違えど!」
『ギギャァアア!(死ぬ時は同じ年!)』
「同じ日!」
「『同じ時を願う!』」
嘗て、三国の桃園にて行われた契りが、今この二人によって再現された。
……二人なのはご愛嬌だ。
「では、最後に聞こう。――――貴様、鉄歯車は好きか?」
『ギュゥ…ギァァア(ファンの一人だよ……)』
それだけを言って、静かに去って行くスサノオ。
尾をもぎ取られた跡が痛々しいが、それさえも彼の漢気を感じさせる。
ゆったりと、彼がそこにいるという存在感を撒き散らしながら、益荒男の姿は見えなくなった。
そんな時、カオスの後ろで声が響く。
「あれは…スサノオ? 第一種禁忌指定アラガミが、どうして此処に……」
「む、アルトリアじゃにゃいか。どうしたのだね?」
振り返れば、凛と佇む騎士。アルトリア他、ゴッドイーターが四人神機を構えて立っていた。おそらく、この地に出現したアラガミを狩りにきたのだろう。
「ボルグ・カムランの討伐依頼を受けてきたのですが……無駄足だったようですね」
「あ奴以外、アラガミはここには居なかった。観測班が間違えたのではないか?」
「ふぅ…流石の僕も、スサノオ相手は無理だしね。カオス君が追い払ってくれたのかい?」
「なに……漢との勝負に勝った。それだけにゃよ……」
見れば、この場に居たのはエリック、アルトリア、ソーマ、カノンの四人。
いずれも見覚えのあるメンバー構成だった。
「チッ、終わったんなら帰るぞ。こんなとこに長居する程暇じゃねぇだろう」
「ソ、ソーマさん…」
「カノン、遺憾ですが彼と同意見です。この地に留まり続けるのは、いくらゴッドイーターといえども好ましくない。私たちの身体もなるべく万全を期さなければ」
「オイ、遺憾とはどういう意味だ」
「そのツンデレにも飽きたという事ですよ、ソーマ」
「俺はツンデレじゃねぇっ!」
「はいはい、ソーマもアルトリアも落ち着きなよ。カノンちゃんが怖がってるじゃないか」
ニヒルに笑って喧嘩を打ったアルトリアと、それに乗ったソーマをエリックが落ち着けた。
この二人がいがみ合うのはいつもの事のようだ。随分手慣れている。
「あ、カオスさん」
「なんだね?」
「今度、またそちらに行っても良いでしょうか? わたし、そっちの食事が恋しいなぁーなんて……」
「ふむ…悪いが、今はウロッちのオラクルが暴走気味でな。それなりに落ち着くまで待ってはもらえぬか?」
「あ…ウロッちさんどうしたんですか!?」
「なに、大事ではない。些細な…そうだな、女性で言う、月経の様なものだと思ってくれればいい」
「月経…あわわわわ!!」
すっかり顔を赤らめるカノン。
この手の話に彼女は弱いのかもしれない。
「まったく、帰還しますよ。それではカオス殿、再び会えた事に感謝と幸運を。再びまみえた時は、ゆっくりと語らいたいものです」
「その時はディナーに招待しよう。味の程は、エリックとカノンに聞くがいい」
「それじゃあ、帰還しようか。アルトリア! 行くよ」
ソーマは不機嫌なまま、エリックに引っ張られて行った。
そして、最後尾のアルトリアの姿が見えなくなったところで、ネコカオスはやれやれとため息をつく。
「口から出まかせ、千の偽り万の嘘。嘘から出た真にならぬよう、ウロッちが無事ならいいのだが……」
そう思い、彼はジェットを吹かせて飛びあがる。
誰も居なくなった煉獄の地下街には、マグマの煮えたぎる音だけが残った。
◇
……で、
「どうなってんのかなー。コレ」
「すごいな! ウロッちのいろちがう!」
「……ウロヴォロスか。やっぱアラガミなんだなコイツも」
『【身体が軽い…】【こんな気分初めて…】【私】【もう何も怖くない!】』
「すとぉぉぉおおっぷ!! ウロッち! それ死亡フラグ!!」
「ねえカオス。あんたツッコミ入れてるけど、大本の原因アンタだからね?」
「むぐぁっ!」
そんなあたし達の目の前には、立派に変色した……違うわ。立派な女性のモノみたいなのぶら下げた、進化したウロッちが君臨している。
この街に相応しくない、オレンジ色に薄く発光した触手体。
目のあった部分には、女神像の様な物がつけられている。そして、その下にはさっき言った通りのモノが……くっそ~~~~!! ウロッちにまで負けたぁ!!!
「オレーシャ! カオスいってたぞ! “ひんにゅうはステータスだ、きちょうかちだ!”って!」
「余計なお世話じゃぁああああ!!」
「ぎにゃぁあああああ!!!」
とりあえず、神機で叩きのめしておく。なんか異様にボロボロだったから、避けられずにカオスは床にめり込んだ。良い気味よ。
『というより、もうボード使う必要ないわね』
「おお、ウロッちしゃべった!」
「アラガミって、なんでもアリだなぁ……あれ、何か俺も麻痺してきたのかね? この状況にあまり動揺がねぇな」
「ふ、ふふふ……ようこそリンドウ。変態の巣窟へぷろぱぁっ!?」
「元凶、煩いよー」
「グフッ…というかウロッち、アルダノーヴァの試験体を喰ったな…?」
『神の導きがあった気がしてね。まあ、悪くないでしょう? ふふ…』
そう笑うと、女神像は腕を動かそうとした。でも―――
『あ、あら…? 埋まってるわね……』
「あー、なんだ。その前にその…服を着てくれ。少々俺にはキツイ」
「……ふーん。リンドウさんって、純情なんだ」
「ば…! オマ……いや、そうじゃなくてよ…ウロッちの女神像が…」
『ザイゴート相手にする時とは違うのかしら?
スポン!!
あ、抜けた』
「「「「え?」」」」
「今のは…!?」
「あれ…ここは…私どうして……」
「い、意識が…回復しただと? ま、まさか…失礼する!」
「主治医殿! アリサをこのままにするつもりですか!?」
タッタッタッタッタ……
「なんて…方だ……」
「今、あな…た……の……シロ…?」
「アリサ…」
「うう、ん…………」
■■■■
「…はい、ええ…まさか意識を取り戻すとは――」
『shgieaog? ndas;--dse』
「詳しくは分かりませんが、ええ…」
『…jiofs感応減少sh;a』
「そのようです……それで、あの
『sfoiaw;/fsdnfw……―――f;noaiewu』
「そうですか…隔離の方も?」
『fojfw利用d;jaoi価値ghr;oa』
「はい、では私はこれで……」
「クソッ、あいつら……私の『―――』を……!」