愚者の回はここですか?……え、違う? じゃあどこに……「アラガミだ! アラガミが来たぞ!!」え、まだ避難してないんですk
「アリサ……」
眠り続けるアリサ。打ち切られたリンドウの捜索。
私たちは、このような運命を背負う為にゴッドイーターになったのでしょうか?
「シロウ……」
祖国、イギリスに待つ想い人。
彼なら、シロウならどうしていたでしょうか…?
「いえ、私は彼ではありません。ならば…それでも私は……」
「…………」
そんな時、ふと。
彼女の手を握った時を思い出す。
主治医の男は血相を変え、どこかへ走り去って行ったが……
あのとき、不思議な出来事が起こり彼女は―――目を覚ました。おぼろげな映像が見えると共に。
「……アリサ、失礼します」
再び、その手を――――
◇
『もういいかい』
『まあだだよ』
今度は、より鮮明に、よりはっきりと。
そして…より薄暗く。
私は今、アリサの視点なのでしょうか。
クローゼットの隙間から、向こう側の風景が少し……
『もういいよ』
『アリ―――』
――――アラガミだ! アラガミが来たぞ…ギャァァァァアアア!!!!
『アリサ! どこだい!?』
『アリサ―――あ』
――――ぐぁああああああああ!!!!!!!
「なんて……むごい……」
『やめて! パパとママを食べないで!!』
―――ァァァァ…………
人面のアラガミが―――ゆっくりと此方へ―――
◇
反転し、施設の様な場所へ―――
『ギッ…ぐぅ、カッ―――――――』
「これは……神機適合の……」
―――そうだ! 戦え! 打ち勝て!!
◇
再び反転、死んだ森の中に、肉片が散らばっていた。
『……………が、がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!』
ゆっくりと咀嚼を続けるヴァジュラへ、アリサの神機が―――
◇
反転、アリサの寝ていたところと、同じような病室へ―――
『そして最後に、こいつが―――』
映し出されたのは、リンドウの姿。
『君のパパとママを食べちゃった、【アラガミ】だ―――』
『パパ…ママ……』
『こう唱えて引き金を引くんだ。
『
「アリサ、いけない! それは…! リン――――」
◇
「――――はっ」
戻って、きたのでしょうか……?
「何…? 今の……」
「目が、覚めましたか……」
ほっと、胸をなでおろす―――
「もう一週間……早いもんだなぁ」
「だが、まだ一週間だ。シオ、もう良いぞ」
「はーい」
リンドウはぷはぁ、と煙を吐く。
そうして彼がもくもくと昇って行く煙を見つめていると、細胞の供給措置を施していたシオが手を離した。彼の異形の腕には、戒めるように、彼の身体を侵食することを遮るように、オラクル細胞の鎖が追加されていた。
「っと、また重心変えねぇとな。リハビリも、そこまで順調じゃないってか」
「ゴッドイーターとは言え、所詮は丈夫なだけの人間であろう? 吾輩の様なグゥレイトボデーと違うのだ。良くやっているほうだとは思うがな」
「あったり前だ。アイツらに合わせる顔、作るぐらいはしておかないとな」
「その意気にゃよ」
言いつつ、同じくタバコを持った手と手をコツンと合わせる。二人そろって煙を吸うと、精神のもやを振り払う様に、煙を吐き出した。
『こらこら、それぐらいにしておきなさい。隊長さんはまだ起き上がる事ぐらいしかできないんだから、そのまま身体壊しても知らないわよ?』
「ハハハ……アラガミに説教貰うとは、俺の人生捨てたもんじゃないな」
『誤魔化さないの』
「では、吾輩はさっさと止めることにしよう。所詮は嗜好品だからにゃ」
「あっ、ネコちゃんテメ…」
リンドウが言い切る前に、ネコカオスはぴょーいとその場からジャンプする。
彼はそのまま下の階に向かって自由落下を始めたので、リンドウ達のいる階からは声も聞こえなくなっていった。
「ぃよっと」
別段焦る事も無く、空で体を捻りながら彼は着地。
「さて、吾輩もアナグラへの仕送りに行くとしますか」
この間に
~サクヤさんが何かに気付いたようです~
みたいな
「あら、カオスちゃん。また来たの?」
「今日はメロンとスイカ、それから他のフルーツ各種を再現できたぞ。こっちはプラントで飼っている促成栽培の肉だ」
「いっつもありがとね。ウチのゴッドイーターは大食らいがたくさん居てさぁ、ホント、カオスちゃんには頭が上がらないよ。促成栽培の肉ってのはちょっと気になるけどねぇ」
「なに、気にすることは無い。吾輩とて好きでやっていることだ。…ああ、ジェリー料理長。デザートとしてフルーツはエリックとカノンに、それから今日の“この肉”はアルトリア用に作ってやれ。これがレシピだ」
「はいはい、その位ならお安い御用だよ。カオスちゃん! これからもよろしくねぇ」
手を振って笑顔で見送るアナグラの料理長。
鼻歌交じりにぴょんぴょんとスキップで歩き、それから暫くの居地を歩いた。
「そろそろ全世界を目指してみるのも良いかもしれません…! なんてにゃ、それより―――」
そして、ある程度の狩り場の近くに着いた時、唐突に彼は振り返る。
「―――フ。幾つかの気配を探ってみれば、ついてきたのは哀れな犠牲者5人とはな。出てくるがいい、そこの人間」
「「「「「…………」」」」」
無言で出てきたのは黒いスーツに身を包み、その手にはオレンジ色の変わった銃を持った5人の男女。
気付かれたのは想定内だったのか、すぐさまネコカオスを取り囲むようにして彼らは陣を取った。同時にスッと銃口をネコカオスに向ける。
「来て貰う。返答はイエスかハイだ」
「典型的な……まぁ、まずはゆっくり話でも――」
「やれ」
タァン。
男の一言で、ネコカオスの額には真っ赤な跡が出来た。
どさり、と倒れ伏したネコカオスを黒服の女が乱暴に肩に担ぐと、男はバカにするように、そのネコカオスだったモノに言った。
「死んでいても構わないとの命令だ。実験動物如きが、目立ちすぎたな」
「やれやれ、それはご忠告どうもだ」
「「「「なっ!?」」」」
黒服は、聞こえるはずの無い声に驚愕する。
どこからか声が響いたと思えば、柱の影から正真正銘、本物のネコカオスが出てきた。
だが、黒服の女が担いでいるモノも、確かに形は同じだ。これは一体どういうことか―――?
「貴様…!」
「貴様らの殺気如き、吾輩が気付かにゃいとでも? 随分と舐められたものですね…」
「撃て! コイツを殺せ!!」
リーダー格の黒服が言うと、一斉に特殊弾が施された銃―――かつてのロシア作戦で使われた対アラガミ銃器―――から一斉に弾丸の雨が、ネコカオスに向かって注がれた。
迫りくる弾丸を上に跳ぶ事で避けるネコカオス。廃材同然のビルの破片に乗ると、彼はグッと拳を握った(ように見える)。そして―――
「ゆ、許さん…許さんぞ貴様ら!! 一匹残らずなぶり殺しにしてくれる!!!」
言い終えると、ハァッ! という声とともにネコカオスの
担いでいた黒服の女に飛び掛かると、一瞬にして手の形を牛の角に変え、女の心臓を貫く。
なすすべなく亡骸となって崩れ落ちた女の死体を蹴り砕き、その臓物を撒き散らすと、ダミアン・アーミーはネコカオスの元へ戻って再び同化する。
「貴ッ…様ァアアアアアアアアアア!!!!」
「見っともない激昂はよせ。見苦しいぞ、人間」
「あ――ガハァッ!?」
仲間を殺された事で銃を乱射し始めた一人の黒服の男。彼にカオスは接近すると、その懐に取り付き、カマキリの鎌と化した足で一閃。音もなく視界をずり下ろされた男は、そのまま脳髄や眼球をゴロゴロとぶちまけて倒れ込む。サマーソルトで振りかぶられた体制を着地で直した瞬間、振り下ろされた巨大な武器の接近を感じたネコカオスはガゼルの角で受け止めさせた。
ガキィン! と甲高い音が鳴り響き、巨大な武器を持った男は弾き飛ばされる。
「チィッ!」
「神機使いまで持ち出したか。仕方ない、アルトリアには悪いが殉職者を増やしてしまうとしようか」
「ほざけ! 実験動物!!」
その神機使いの言葉と共に、黒服たちは再び銃弾を吐き出し始める。しかし、やはりそれらを受け流すようにネコカオスは避け続けていた。
銃弾を喰らってもどうにもならないのだが、着弾時の衝撃は伝わり、動きを止めてしまう。その一瞬の硬直の間に神機を振り下ろされれば、流石のカオスと言えど、たまったものではない。
故に―――
「ギャァァアアアア!!!」
「言った筈だ。一匹残さず、と」
彼は、その司令塔を潰しにかかった。
彼の手はカエルの舌のように伸び、的確な指示を飛ばしていたリーダー格の額を貫く。殺され方通り、蛙の潰れたような声を出した司令塔は、伸ばしたその先から漆黒の虎が具現化し、その死体さえも貪り食らわれた。
その感覚に酔いしれるように、うっとりとカオスは語り始める。
「最近、吸血衝動的なものが疼いて来てな。リンドウと話している時も、抑えるのがやっとだった、と言うワケですよ。そこんとこ…おわかり?」
「オォォオオオオオオ!!!」
わかってたまるか。その返事の代わりに、神機使いは大剣を薙ぐ。確かに神機使いの攻撃は素早く一般人とはかけ離れているが、やはり所詮は【ゴッドイーター】ではなく【神機使い】。その攻撃もネコカオスには当たる事は無く、代わりにカオスは神機の上に降り立って―――
獣を開放。
神機使いは、その生涯の最期を咀嚼音で過ごすことになった。
「さて、後三人か」
確実に人の形をなしていない死体の数々を見て、興味なさげに残りのターゲットを横目で見る。
面倒だ、という空気がひしひしと感じられるその姿に、襲撃者たちは恐怖を覚えた。
人間とは、その恐怖から離れようとする選択を取る事がある―――
「クソッ!」
「な、待て! 逃げる気か!」
「あんなの相手にしていられないわよ! 誰でも自分の命は―――」
本能のまま逃げ出し、その間に“惜しいでしょ”と。そう言い切る前に、彼女の身体は下半身だけとなっていた。
上半身を無くした足は、逃げ出そうとした最後の命令を受け取ったまま……数歩走って、バランスを崩してドチャッと崩れ落ちる。どこぞの
だが、今のはネコカオスの仕業ではない。
では、一体誰なのかと言うと――――
『ギィイイイ…(死合うと言うから来てみれば……なんだ、餌どもではないか)』
ネコカオスの戦いの友。
先日の戦いでオラクル登録をしたスサノオの益荒男だった。
「つまらない用事に突き合わせたな。ほら、オマエの好んでいる神機だ」
『ギャァアアアア…ガリガリガリガリ(む、すまんな……はむはむはむはむ。うむ、美味い。人間の血が要らないが)』
「ス……スサノオ…だと………」
「敵うか! 逃げ―――」
「られるワケにはいかないんだよにゃー。悲しいけど、これって食事なのよね」
逃げ出した黒服の一人が、その先の地面から顔を出したアリゲーターの口の中に消え、ごっくりと生きたまま混沌に飲みこまれる。おそらく生きてはいないであろう事から、実質的に黒服は一人だけとなった。
残った男を見て、益荒男の体が相談するようにカオスの方向にむけられる。
『ギ(喰うのか?)』
「いんや、殺すだけだ」
「ま、待ってくれ、降参だ! 俺はリーダーに言われただけだ! おまえらは誰も死んじゃいない!! ノーカウントだ、ノーカウント!! な、な? 同じ意志を持つ動物じゃないか!!!」
必死に命乞いをする黒服。
「ふむ……」
それに一考するように腕を組み、じっくりと考えたネコカオスは――――
「み、見逃してくれるのか…?」
「でも、吾輩のダミアン撃ったのオマエじゃね?」
「あ――――」
ぐちゃ
「……汚れてしまったな。この辺一帯」
比喩ではなく、このあたりは血の匂いで溢れていた。
臓物を曝したまま血を流し続ける女の死体。顔の眼のあたりが一閃両断され、脳髄と脳みその混ざった汚水を流し続ける死体。そのほか、喰われた死体があったであろう場所に染みついた血の跡。
常人なら、それだけで気絶しそうなほどの惨状だった。
『ギギィ(小型の者どもが寄って来るぞ。しかしスサノオか、懐かしい名だ。益荒男よりは聞こえが良い)』
「ほう? 自分の名を蔑むとは…貴様の印象が少し変わったぞ?」
『ギギャギャ(食らった餌の知識からこの名を見つけ、俺もそうなりたいと思ったにすぎん。だからこそ、ありのままの姿でつけられた名より劣ると考えているだけだ)』
「真の益荒男か……吾輩は充分だとは思うがな」
その言葉を最後に、しばらく無言が続く。
夕焼けに染まりつつある空を見上げると、益荒男が唐突に呟いた。
『ギィ……(こうしていても始まらんだろう。また会うとしようか、友よ)』
「吾輩もやる事が増えたのでにゃ。しばらくは会えぬだろうが、次に会いま見える時は、再び刃を交えることも良しだ。さらばだ、友よ」
夕日を背に、カオスは更なる深みへ歩んでいく。
夕日に向かい、益荒男は更なる高みを目指した。
二つの道は――――交わる事が、あるのだろうか………
吾輩はネコカオスである~
―――――――――
そして1週間後。
「物語が終わったと思ったが、別にそんな事は無かったゼ」
感慨深く、カオスがうんうんと頷く。
「何言ってんの? あ、ほら来た来た!」
2日前から、連日で中型アラガミが【嘆きの平原】に出現していた。そのたびにアリサを連れたアルトリアが此処に訪れ、アリサの戦いのセンスを取り戻していった。
最初の日。アリサの動きはたどたどしく、攻撃行動や引き金を引くこと自体に恐怖を感じている様子だったが、2日目からはそれも解消。しかし、時々ぼぅっとしているアリサへ攻撃が降りかかった時、アルトリアが盾で受け止めて絆を深めて行った様子が見れた。
そして今回も、無事にアラガミを倒し、カンを取り戻せるぐらいにはなったようだ。
ただ………
「ア、ル、ト、リ、ア~……くぅッ! アリサとイチャイチャしちゃって…そりゃ任せるって言ったけどさ……」
「そこな百合、少々静かにしろ」
あ~、すさまじく鬱陶しい。オレーシャ黙んないかにゃー。と、カオスは内心毒を吐き捨てる。そんな時、グボロ・グボロを討伐し終えたアルトリアに、通信が入ったようだ。
『……そうですか、愚者の空母に四足のアラガミが出現。カムラン神種のようです。今動けるのが私たちだけだそうですが……行けます
『私は大丈夫です。急ぎましょう、アルトリアさん』
「愚者の空母でカムラン種………愚者の空母!?」
「あれ、どしたのカオス」
「ま、ままままままさかっ!」
カオスは急いでむ~ん、む~んと唸り始める。
≪伝令、益荒男は現在どこに居る?≫
≪返信、昔、人間が争った空母と呼ばれる場所だ。どうした?≫
≪追伸、そこに二人のゴッドイーターが来る。殺さず、ってか鍛えるようにして戦ってほしいのだが……どうかにゃ?≫
≪返信、………………む~ん≫
≪追伸、グレイフォックスの再現を―――≫
≪hえんs、のtた!≫
≪落ち着け、字面が崩れているじゃにゃいか≫
返信としてツッコミを入れると、【アラガミ通信☆ミ】を閉じるカオス。
今のとこオラクル登録されているのは益荒男(カオスの登録名まっちゃん)だけだが、今後も増えるかもしれない………多分。
「どしたのさ? アリサ行っちゃったよ」
「いや、知り合いのスサノオに修行をつけるように頼んでおいた。これで、アリサもアルトリアも立派なバグキャラになれるであろう……にゃ」
「いや、そんな取ってつけたように語尾入れなくても良いじゃん……ってスサノオおおおおお!? 第一種じゃない! 接触禁忌じゃない! どうするのさー!?」
「いや、修行つけるように頼んだだけ―――」
「精神汚染の
「…………あ」
ここで一句。
そういえば
黒服男も
電波受け
ノ―カウントだ! ノ―カウント!!
「………………」ダラダラダラダラダラダラ
「滝の汗かいてる場合じゃないよ! アリサとアルトリアがぁ!」
「落ち着け、メイビー落ち着け!!」
「多分落ち着けってそっちが落ち着いてーーーー!?」
『……うふふ、カオスね』
「そーなのかー」
「………ほっといていいのかよ。俺知ーらね」
愚者の空母。その昔、アラガミが出現し始めた頃に生き残ろうとした者達が争い、互いの食料や場所を奪おうとしたところにアラガミが乱入。人間は結局だれ一人いなくなり、そこに残ったのはアラガミだけ。という歴史を持つこの場所。
元々人間が争った場所だからか、この場所には身体そのものが兵器のクアドリガなどが良く出現する。そして、何故か小型も大型のアラガミも海の向こうを越えようとしてこの場所に集まって来るらしい。
そんな場所に、強い奴はいないかと探しに来ていた益荒男は、自分の攻撃を掻い潜っている二人の人間に舌鼓を打った。
『ギガガガガガ!!!!(最高だ貴様ら!!!!)』
「クッ…アリサ! 閃光を!」
「はい!!」
『ギャガァッ!?(うおっ、まぶし!?)』
アルトリアの指令に、アリサがスタングレネードを投げつける。眼前で凄まじい閃光が巻き起こり、一時的に益荒男は行動を止められてしまう。その隙にアルトリアが後ろ脚に回り込んで数回剣を振るう。一脚のみに照準を当てられた益荒男は、ついに膝をついた。
「ハァァァァァァっ!!!」
『キカカカカカカッ!!!(やぁーってやるぜ!!)』
その瞬間に尻尾の剣を狙ったアリサ。目の見えないアラガミは、普通なら見えるようになるまでその場で修復を行うのがセオリーだが、彼は闘いを選んだスサノオ。自らに名前を付けた彼は、周囲の気配を察知して大きく尻尾を回転させた。それに同時に発生する衝撃波も加わる。
その一撃にひとたまりも無く、ゴッドイーターの二人は薙ぎ払われるが、その直撃の瞬間にシールドを展開し、身体的な被害は靴と地面をすらせるだけに抑えた。すぐさま体制を立て直し、アルトリアは銃形態に変形させて益荒男の頭部を撃つ。
吐き出されたバレットは頭部のあたりで紫の火花を散らし―――
そして、大爆発が起こる。
『ギィィカカカカカカカ!!』
アルトリアのオラクルをほとんど消費する一撃。チップの全てを爆発に使った大胆なバレットは、益荒男の内部まで衝撃とダメージを浸透させる。
益荒男は一瞬ひるんだようにも見えたが――――
『ギャァァァアァアアアアアアアア!!!!!!』
「なっ―――グアッ!?」
「アルトリアさんっ!!」
爆発の煙の中から、益荒男の腕―――神機の
当然、彼女の腕からはおびただしい量の鮮血がほとばしる。だが、回復錠を懐から取り出し、半分を飲んで半分を患部に振りかけると、アルトリアは神機を握り直した。
アリサはその間、迫りくる益荒男の神機の猛攻を神機で逸らし、時に盾を展開させてアルトリアの復帰を待つ。
彼女たちの目は、まだ死んではいない―――
「セェヤッ!!!」
ドォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!
掛け声とともに、益荒男は背中に大きな衝撃を受ける。益荒男でも許容できないほどの熱量が背中を溶かし、その堅牢に思える鎧の様な細胞を大きく剥いだ。だが、その直後から鎧が再生され、傷口までもがふさがってしまう。
そんな絶望的な状況の中、ゴッドイーター達が剣を握り直したところで………
『…………』
「え……」
「止まっ……た?」
不動の二文字を体現するように、益荒男は急激に戦闘を止める。
かと思えば、二人をじっくりと、観察にするように見渡すと、その人の様な顔をうんと頷かせて海に飛び込んで行った。
あまりの事に、唖然とその場で立ち尽くす両名。だが、すぐさま脅威が去ったのだと理解し、辺りのアラガミの反応を探ってからその場にへたり込んだ。
こうして、アリサの復帰の為に必要な経験は積まれ、正体不明のスサノオに関しても、実的な被害が出ないという、結果的には良い方向に幕は閉じた。
アナグラとしても、このスサノオの行動力が危険。加え、どこぞのキサラギが創ったウロヴォロスと同じく知能を有していると認識。そして、アルトリア、アリサ両名の証言から、スサノオ……もといマスラオとしてこのアラガミを再認識するに至る。
奇しくも、こうして益荒男は人間に認められたのであった。
≪ふははははっ! いいな、奴ら。俺の求めていた強者だ! 神を喰らうと豪語するだけの事はある!≫
≪ちょ、オマ…どんだけー。キャラづくりも大概にしておこうゼ……ま、それはともかくどうでした? あの二人≫
≪息が揃っていたな。連携や、さりげないフォローも完璧だった。……あと足りないと感じたのは、あのアリサとか言う小娘は少々火力不足。アルトリアとかいうのは銃を使う回数が少なすぎる。あれではせっかくの変形という手数も泣くだろう。宝の持ち腐れとは、もったいない≫
≪サンキュ。ところで……≫
≪どうした?≫
≪結構押されてたよね? ねぇ、今どんな気持ち? ねぇねぇ今どんな気持ち?≫
≪………lasjgoa;irnaog;ien;hg;rehogendjnvdnvaapin\raepgihouhoijn:oiw:pe2j≫
「ギニャァァアァアアアアァァァァァアアアァァァアアアァアァァアアアアア!!!!!」
許容量を超えた言語と情報の濁流に、一匹の哀れなナマモノが奇声を上げて倒れ伏しましたとさ。
ま、最近こんな落ちばっかり。
チャンチャン♪