「エリック、上田!」「どんと来い!超常現象」「教授は繋がっていない。帰れ」
――オレーシャ・ユーリエヴナ・バザロヴァ。
彼女はかつて、ロシア支部時代のアリサ・イリーニチナ・アミエーラと親友だった。
だが、彼女と打ち解けたところでヴァジュラと遭遇。ヴァジュラは第一部隊、第二部隊が前線で討伐している上級のアラガミだったので、第三部隊……主に拠点防衛で戦力を崩されたアラガミばかりを相手にしている彼女にとって、勝つことなど到底不可能な相手だった。
結果、善戦はしたものの敗北。
最後の一撃を受けた時、ものの見事にオレーシャの
彼女が言うには、捕食された後、ヴァジュラの中にオレーシャの意識が斬有していたらしく、ヴァジュラの五感を通して彼女はアリサがヴァジュラを倒した事を感じ取った。
崩れる細胞とともに、残留したオレーシャの意識も無くなって行ったのだが、気付けば廃墟の中で再びヴァジュラの五感を通して彷徨っていた。そして、吾輩たちを見つけ、構成されたばかりの体だったのか、襲いかかったら口の中にニボシを突っ込まれた。
そうすると、体の中にいた“ヴァジュラの意識だけ”が消滅し、オレーシャの意識はオラクル細胞を全て掌握したらしい。それからはなりゆきで、勝手に体が元の自分にまで構成されていった。そして、自分達を探して今、ようやくたどり着いたらしい。
「纏めると、ニボシパワーすっげぇ! かな?」
「言うまでもなくドクターの仕業!? ……つまり、貴殿はアラガミだと?」
「いえーい」
「いえーい?」
シオとオレーシャはハイタッチした。
何を思ったのか、ネコカオスはカメラを持ち出してウロッちに目くばせする。
「行くぞウロッち……“ようチューブ”の更新に、ついて……これるか!?」
『【テメェが……ついてきやがれ!】』
俺達の動画デビューは、これからだ!!
そして数日後。
「【ノルン】のデータベースで人気が出るかと思ったが、別にそんな事は無かったぜ」
「カオス何言ってんの? 今日はグボロの一本釣りでしょ」
再び【鉄塔の森】に訪れたオレーシャと吾輩は、シオを連れて食料確保とグボロのヒレを採集しに来ていた。
新型神機使いや他のゴッドイーターとは遭遇しなかったが、カノンの通信機からの情報では、アルトリアがあまりにも大食い過ぎてプラントの製造が追いつかない時がしばしばあるらしい。
ゴッドイーター達が餓死するなんて冗談にもならないから、吾輩張り切って、キサラギの促進剤を使って急成長させた、野菜やフルーツ(笑)を鬼○郎のブランコみたいなカラスに任せて送っておいた。
しかし、
「キサラギってすごいよね。成長促進剤、かけて2時間で種から実を作るなんてさ!」
「キサラギは変態企業。これだけは覚えておいて損はない」
「でも、美味しかったよ?」
そう。あのフルーツ達。(笑)を付けなければいけないほどの速度で一気に成長したのだ。しかも味は滅茶苦茶上手いと言う。
もう笑うしかなかった……まともな感性の持ち主は、吾輩だけにゃのか!? こんなネタキャラでしかない吾輩が常識人って、ホント誰徳よ?
「ん? な~に考えてるの」
「いや……それより吾輩を放してもらえんか?」
「え~~~~」
いやいや、ぶーたれないで欲しい。
しかもこの抱き上げてる子、順応性が恐ろしかったんだよね。アラガミになって一日目で無機物喰いだしたから。しかも、原作でシオがショート、リンドウがロングの神機(?)を使っていたからか知らんが、バスターにインパルスエッジがついたチート神機使ってるんだよね。
いつでも持ち歩けるバスターブレード。
空中で取り出して、後方にインパルスを放って勢いのついたバスターブレード。
両手に持って、二連チャージクラッシュを繰り出すバスターブレード。
あれ、これなんてチート?
そう思って進んでいると、グボロの代わりに人の話し声が聞こえて来た。
むむむ、この高貴(笑)喋り方は……
「君もせいぜい僕を見習って、人類のために華麗に戦ってくれたまえよ」
おお、生エリック! そして、吾輩たちの目の前にはオウガテイルが!!
そうか、ここでかの有名なシーンが……
「エリック! 上だ!」
「ん? ぅう、うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
って、オレーシャさん!?
「そりゃ!」
「へ?」
『ギャアアァァァアアアア!!』
オレーシャのブン投げたバスターモドキが宙を舞い、飛び掛かったオウガテイルを地面に縫いとめたぁ!? ちょ、エリックが助かったのはいいけど、原作改変!?
「だいじょ~ぶ?」
「この、阿呆が!!」
「いったぁぁあぁぁぁぁぁ!?」
上から見下ろしてエリックに無事を問いかけたオレーシャに、ハリセンで引っ叩き落とす。足場の隅にいた為、中々の高所から顔面が先に落下したオレーシャは、アラガミならではの丈夫さで何とか無事のようだった。
そして、あまりの突然の出来事にポカーンと呆けるゴッドイーター一同。
最初に動いたのは、神機をカオスに向けたフードの男。ソーマだった。
「テメェ、なんだ? アラガミか?」
と、中々挑発的なことをおっしゃる。これは、吾輩もお答えしなければ……!
「にゃっにゃっにゃっにゃっ……カノンから聞いていないのか…仕方あるまい。ならば――」
クルクルとジャンプ。
着地で10点を出せそうなほど見事なフォームをとると、オレーシャを踏んずけた。
「見るがいい、ふやけたクッキーのような我が正体を!!」
バッ! と腕を広げると、バサバサと鳥`sが飛んでいく。
「吾輩の名はネコアルク・カオス! マカデミー賞最優秀候補のネコ。そして、ネコ27キャットの一匹……“ハリウッドのネコカオス”だ!!」
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「ナマモノ? (いや、カオスとはもしかして……)」
「結局それ!?」
そんな見事な突っ込みを入れたのは、新型さんことアルトリア。
その一言にカオスは落ち込み、三人連続ってどうよ…連続って……と、びっくりするほどユートピアなふいんき(何故か変換できない)を醸し出す。
その空気のままならよかったのだが、生憎ここはシリアスの場だったようだ。
「ふざけるな!」
ソーマは神機を構え直し、カオスの喉元に切っ先を突きつける。
空気を読みなおしたカオスは、一変して真剣な表情に戻る。タバコを懐から取り出したタバコを取り出すと、そのまぁるい手を腰に当て、片眼を瞑って彼を見る。
「うむ、ナイス神機。
今日も凶器片手にアレかね、友達探しかね? よかろう……」
空気がギシリと軋んだ。
「吾輩でよければ、愉快なキリングフレンドとして、メアド登録してあげないコトもありません。君、友達何人いるのん?」
「と、友達…ふざけるな! テメェはいきなり出てきて何を言ってやがる!」
ふざけた格好。ふざけた言動。
しかし、ソーマは確かに彼に恐怖していた。
この存在から感じる威圧感。余裕な態度が表す実力の高さ。アラガミの因子を体に宿す身として、アラガミとしての根本的な恐怖……捕食されるという恐怖が体を駆け巡っている。神機を握る手には汗が滲み、呼吸が荒くなる。
足がすくみ、立っているだけでもやっとの彼に、ノイズがかかった様な思考が入る。
それでも、これを乗り切りさえすれば――――殺せ――
「ストォォップ! 二人とも落ち着いて!」
「落ち着きたまえ! 彼らは僕を助けてくれた、つまり恩人だろう!」
復活したオレーシャと、オウガテイルが飛びかかって来た恐怖から脱したエリックが、二人の間に割って入った。エリックはソーマの神機をずらし、オレーシャはネコカオスの前に立って仲裁する。
不穏なふいんきは散り、再びの静寂が訪れた……
説明は省き、吾輩たちの正体を話すと、セイバー(似)から感謝された。
なんでも、助けられたことでずっと礼をしたかったらしい。やはり、この世界でセイバー役割を担う人物だったようだ。んで、エリックと一緒に吾輩たちの所に遊びに来るらしい。……原作ヤベぇ。
オレーシャとエリックは仲良くなり、吾輩もなぜかエリッ君に親友認定された。悪くはないのでそのまま貰っておいたが。
「ま、この辺りのアラガミもみ~んな狩っちゃったし、あなた達の仕事奪っちゃったかな」
「……勝手にしろ(こんなふざけた奴らが“特異点”なワケねぇか……ナマモノが)」
ふぅむ? 聞こえておるぞ、ソーマよ。
我がジョージ繋がりの荒耶ぱぅわーを使えば、心を読むなど造作ないコトだからな。
しかし、特異点か……シオが変化し過ぎだろ、
「とにかく、帰還しようじゃないか。僕も遅すぎると、エリナが心配するからね」
ナイスタイミングだ、エリッ君。吾輩たちも関わり過ぎると、シオの正体が看破されて一発KOされてしまうからな。
主に地球が。
「ふむ、何時でも来るといい。カノンの様な歓迎はもう出来ないが、食料なら豊富にある」
「本当ですか!?」
「うん、あたしたちがアナグラへのフルーツとか支給してるもんね!」
ソレを聞いて、目を輝かせるセイバー嬢。うむ、アレだね。この世界だったら、腹ペコキャラは自嘲して欲しかったものだ。
ある程度話し終わったと思ったのか、ここでソーマ君が動き始めた。
吾輩たちも見つかる訳にはいかないので、その場から離れることにした。
「帰還するぞ。ルーキー……ああ、それから言い忘れていたが―――」
彼は信号弾を撃ち上げると一言。
「…ようこそ。クソッタレな職場へ……」
急ぎ走って遠ざかる吾輩の耳に、その名言が聞き取れた。
くぅ~、イケメンは格が違うぜ…