聖なるかな another -森羅万象-   作:清流

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第03話:誤算と異なる覚醒

 世刻望にとって、暁絶は特別な人間であった。

 お互いに認める大切な親友であり、忌憚なく何でも話せる頼りになる男、そのはずだった。少なくとも、つい昨日まではそうであったはずだ。

 

 「世刻望……お前を……殺す」

 

 だというのに、今やその親友は望に明確な殺気を浴びせ、殺害を宣言したのだ。

 望からすれば、わけがわからない。悪い夢であったならとすら思う。

 だが、これは現実だ。手にした神剣『黎明』の確かな重さと内から響く何者かの声がそれを認識させる。

 

 (泣き言を言っている場合か、タワケ!相手は、あのルツルジなのだぞ)

 

 「な、なんで……

 そんな……イヤだ……俺はイヤだぞッ!」

 

 それでも尚認められぬ現実に望は駄々を兼ねるように喚くが、絶は聞く耳を持たず、それどころか「この世界は間違っている」などという始末だ。挙句、最終的な結論は「苦しまないように殺す」である。なにも、状況は改善されていなかった。

 

 「絶っ!!何で……何でだよ……」

 

 あまりの理不尽に、わけのわからなさに望は我知らず涙を流していた。

 

 「戸惑う気持ちもわからないでもない。正直なところ、俺も悩んだからな」

 

 「だったらどうして、そんな剣を望ちゃんに向けるのっ?」

 

 望同様に理解できないと希美が悲痛な声を上げるが、それですら絶には効果を及ぼさなかった。

 

 「悩んだ末に、こういう結果を選んだ……。

 いや、選ばざるを得なかったのさ」

 

 絶に迷いはない。それどころか、言葉を発するごとにその覚悟を強固にしていくようであった。それでも、望は親友との殺し合いを受け容れられない。悪夢のような現実を認められず、悪い冗談はやめてくれと必死に叫ぶ。

 

 「待ってくれ、俺を殺すって、そんな。絶っ!?」

 

 「……さあ、殺し合おう、望」

 

 そんな望の心からの絶叫に、絶は極寒の殺意と冷たい刃で応じた。

 絶が身構え、その目つきが鋭くなった瞬間、放たれたのは超高速の斬撃だった。

 

 「うわあああああっ」「望ちゃんっ!?」

 

 望が絶叫しながらも、それに無我夢中で合わせられたのは偶然以外のなにものでもなかった。想い人の危機に希美の悲鳴があがるが、それを気にしていられる余裕は望にはない。

 

 「……覚醒して間もないのに、この力か……」

  

 そんな感心するような絶の言葉とは裏腹に、形勢は完全に決していた。

 絶の剣閃に辛うじて合わせることはできたものの、いいように振られ、一方的に攻撃される結果となっていた。致命傷こそ受けていないが、すでに無数の傷を望は負っていた。望が生きているのは、偏に絶にすぐには殺す気がなく、別の狙いがあるからに過ぎない。

 

 内なる声を無視したせいか、ミニオンと戦っていた時のような内から湧き出るような力が望にはないも痛手であった。戦闘技能もミニオン戦より明らかに劣化している。

 それでも、絶と多少なりともやり合えたのは、大したものであったが……。

 

 「だが、それもこれで終わりだ」

 「待ちなさいっ、暁絶!!」

 

 淡々と終焉を告げる絶と、迫る死に絶望しかけた望の間に、鋭い叫びと共に紅の戦乙女が光剣を携えて飛び込んでくる。

 

 「斑鳩か……外の掃除は終わったようだな。それにしても、随分と早い」

 

 その勇姿にも些かも怯みもせず、むしろ、愉しげに絶はそれを見つめる。

 

 「おかげさまでね。がんばって掃除したわよ。

 でも、その間あなたは何をやってるわけ?」

 

 紅の戦乙女こと斑鳩沙月は、絶の行動について詰問するが、絶は取り合わない。

 

 「お前には関係ないことだ」

 

 「……っ!!ふざけないで。望くんは私が守るっ!」

 

 自身の言葉を一顧だにせず切って捨てた絶に、沙月は激昂する。

 

 「そうか……ならば仕方ない。お前を殺そう」

 

 だが、絶の返答は苛烈であった。次いで放たれたマナの奔流は、望と希美を後ずさりさせるだけの衝撃があった。そして一人踏みとどまった沙月は最早戦うしかないことを悟り、苦渋の表情を浮かべる。

 

 「さぁ、どいてもらおうか」

 

 絶は言外に宣言する――どかなければ殺すと。

 

 「くっ。望くんっ、いける?」

 

 「な、何とかっ……」

 

 沙月は放たれたマナの奔流から、すでに絶が格上であることを悟っていた。

 これは無理も無い。沙月の神剣『光輝』は第六位であり、絶の神剣『暁天』は第五位である。一位差とはいえ、そこにある格の差はけして小さいものではないのだから。

 総合力No.1は沙月であるという久遠の評が間違っているわけではない。ただ、単純な戦闘力において、現状では絶が一人頭抜けているというだけなのだ。

 

 故、望に共闘を求めたのは、勝つ為に当然の判断だった。

 

 「次は二対一か。いいだろう、来いっ!!」

 

 小動(こゆるぎ)もせず、絶はそれを受けれ入れる。

 最早、ここに至れば彼には退路などないのだから当然だ。すでに輝ける日常を踏みにじってしまった以上、絶は本懐を遂げる以外ないのだから。

 故に、敵が増えようが仔細はない。何者であろうと、立ち塞がるならば斬り捨てるのみ。

 

 そうして、久遠の過去の行いにより、悲劇は起こる。

 

 斑鳩沙月に原作以上の余裕があり、力を残していたが故に。

 世刻望が原作よりも遥かにジルオルを受け容れ、戦闘能力を引き出していたが故に。

 上記二つの理由により、暁絶は殺さない手加減をする余裕がなかったが故に。

 

 見事に隙を突いたと望が思ったその隙は、絶の誘いであった。

 そして、絶はその絶好の機会を見逃すほど愚かではなかった。

 元より沙月と望は容易い相手ではないのだから。その失着につけ込むのは当然の判断であり、戦士としての本能だ。たとえ、絶本人にその気がなかったとしても、思っていた以上の苦戦が体を勝手に動かしてしまう。

 

 返しの刃は完全なカウンターとなり、無情にも望を袈裟懸けに斬り裂いたのだった。

 

 「!!……ッ!」

 「望くん!」「望ちゃん!」

 

 袈裟懸けに斬られ、血を吹き出して倒れ伏す望の惨状に絶は歯噛みし、沙月と希美は悲鳴を上げた。

 

 

 

 

 

 それを別の場所で見ている者がいた。神剣『千変』を介して、ライブ中継を受け取っていた久遠である。

 

 「くそ、この展開は予想外だ!」

 

 のんびり歩いていたのを瞬時に切り替え、疾風の如き勢いで久遠は走り出す。

 

 「暁の真の目的は、ジルオルの力を用いてのエトルとエデガへの復讐のはず。間違っても殺しはしないと踏んでいたんだが……ッ!」

 

 望や沙月が絶と戦う事になっても、久遠がのんびりしていられたのは、原作の展開を知っていたのもそうだが、その真意から考えて、現時点では絶が望を殺すことはないと確信していたからだ。

 だが、現実は思わぬ方向に転んだ。『千変』を介して目撃した望の傷は、明らかに致命傷だった。放っておけば、遠からず死ぬと確信できる重傷だった。思わぬ事態に、久遠は歯噛みする。

 

 「世刻が『黎明』の力を完全に引き出していれば話は別だが、現状ではな……。斑鳩は青で、癒やしに長けているわけでもない上に、消耗も激しい。最も治癒に長けるはずの肝心の永峰は未だ覚醒していない始末。

 本当に、どうしてこうなった!?」

 

 神獣すらまともに扱えていない現状の望では、『黎明』の力を完全に引き出すなど、夢のまた夢だろう。

 沙月は青属性の神剣使いであり、どちらかといえば攻撃特化のタイプで、回復や治癒は不得手だ。

 希美こそが最も適任なのだが、そもそも覚醒していないのでは話にならない。

 絶は明確に敵対した上に、傷をつけた張本人である。沙月や希美が近づくことを許さないだろう。

 一目で致命傷と判断できる傷である。直ぐ様治癒しなければ、本気で命が危うい。出血も酷かったし、急がなければ失血死の可能性すらあるというのに、現実は全く優しくない。

 

 「ああ、くそ!間に合えよ!」

 

 久遠はままならぬ現実と自身の目論見の甘さを呪いながら、現場へと急行する。

 そして、彼はそこで奇跡を見た。

 

 

 

 

 

 

 「望ちゃん!駄目、死んじゃ駄目!」

 

 血を流して倒れ伏す望に、希美は涙を流しながら必死に縋り付く。

 

 「暁絶!よくも、よくも望くんをッ!」

 

 加害者である絶といえば、激高した沙月の遠慮のない猛攻を受けて、手一杯の様子だ。心なしか、絶の動きが鈍いのも、沙月に押し込まれている原因だろう。

 

 「……」

 

 想い人からの返答はない。血の気を失い、青褪めていく表情と傷口から零れ落ちる熱い血潮が、まるで失われる望の命ように思えて必死に抑えるが、袈裟懸けに斬られた傷口の大きさは、希美一人にどうこうできるものではない。焼け石に水もいいところだ。

 

 「――望ちゃんをこんなところで、絶対に死なせない!」

 

 だが、それでも希美は諦めなかった。鈍くて優柔不断なところがある望だが、それでも彼女にとっては大切な幼馴染であり、唯一無二の想い人である。つい先日、野犬に襲われた時――残念ながら覚えていないが――自分を守ってくれたのは、望であると彼女は確信している。

 なぜなら、幼少の頃同じようなことがあった時、守ってくれたのは望だったのだから。

 そして、同時に希美はその後のことも覚えている。どこからともなく剣を取り出し、野犬を殺した望を自分が首を絞めて殺そうとしたことも朧気ながら……。

 

 希美は、自身と望が何か大きな流れの中にあるのを確信していた。

 しかし、あえて彼女はそれに気づかないふりをしてきた。幸せな日常が崩れてしまうのが恐ろしくて――そこで待つ望との絶対的な別離の運命を無意識に感じ取って。

 

 「絶対に!!望ちゃんを死なせたりしないっ!!」

 

 だが、今はそれが必要だ。あの非日常を呼びこむ力が!

 故に、希美に逡巡はなかった。そも彼女は、傍らにある力を認識していたのであるから。

 明確な決意と覚悟のもとに、彼女は非日常への一歩を踏み出す。

 

 「望ちゃんを救える力を!――今こそあるべき姿に還れ!!清浄!!」

 

 求めれば、内より言葉は勝手に紡がれた。次の瞬間、希美の手には鎌と槍が一体化したような斧槍(ハルバート)の如き神剣が現れる。そして、放たれるは圧倒的な癒しの力。目撃した久遠をして、救世の女神であるファイム・ナルスの権能そのものを具現化したような『奇跡』だったと評させた程だ。

 

 「!?」

 「嘘!?希美ちゃんもなの!」

 

 激しく剣戟を交わしていた絶と沙月が、そのマナの奔流に瞠目し動きを止める。

 その間も、『清浄』から放たれる圧倒的な癒しの力が望に注がれていく。見る見るうちに塞がっていく傷口に、血色の戻っていく望の表情。まるで、時間を逆戻ししたからのような光景であった。

 それは覚醒済の神剣使いである二人をして、驚愕させるだけの凄まじい力の発現であった。

 

 「永峰はまさか……役者は揃ったということか」

 

 絶は、その光景を見て何かを悟ったのだろう。得心したように頷いた。

 

 「暁絶、あなたは何を知って、何を企んでいるの?」

 

 望の心配はもういらないことに内心安堵しながら、沙月は意識を切り替えて、絶の真意を問い質す。

 

 「何度も言わせるな。お前には関係ない」

 

 「ここまでやっておいて、それが通ると思っているの?」

 

 絶の返答は変わらず、にべもない。

 が、沙月とて、ここまでやられてそれで済ますはずもない。

 両者の間に、再び一触即発の空気が流れる。 

 

 しかし、その空気を崩したのは、両者ともに埒外の人物であった。

 

 「……!」

 「――ッ!何のつもりだ、永峰?」「希美ちゃん!?」

 

 自身の首を正確に刈り取る軌道で迫った『清浄』をすんでのところで絶は弾き、思わぬ襲撃者に沙月は驚愕する。 

 

 「――ああ……ああああああああああっ!」

 

 それに対する希美の返答は声ならぬ叫び声であった。というか、その目に意思の光は見られない。

 にも関わらず、まるで肉体が勝手に動いているかのように、絶に対して正確で鋭い攻撃を繰り出し続ける。

 

 「覚醒の余波で、自意識を失っているのか……」

 

 希美の攻撃を捌きながらも、絶は冷静に希美を観察していた。その目は実験動物を観察する研究者のようですらあった。

 沙月は止めるべきか、自分も助成すべきか判断がつかないでいた。希美のおかげで望の傷が癒え、命の心配がなくなったせいで怒りが沈静化し、再び絶への同胞意識と共に冷静さと配慮が戻ってきていたからだ。

 

 そうこうしている内に、空間が、校舎全体が――――いや、世界が揺れた。

 

 「世界が断絶してゆく……。

 この莫大な力……そうか……神獣が」

 

 その揺れに何かを感じ取ったのか、絶は悟ったように呟く。

 そして、未だ続く希美の攻撃をいなし、両手持ちの力づくの斬撃で無理矢理吹き飛ばす。

 希美はその一撃を『清浄』で受け止めることには成功したものの、完全に体を浮かされて、吹き飛ばされる。

 

 「希美ちゃん!」

 

 沙月がすかさずフォローに入り、希美を中空で受け止めるが、勢いを殺しきれず諸共に吹き飛ばされ、絶に大きく距離をあけられる結果となった。

 依然、倒れ伏したままの望を挟んで、両者は絶と対峙する。

 

 「斑鳩、永峰、今回はここまでだ。……望の命は、お前らに預けよう」

 

 「逃げる気?」

 

 「さてな、あくまで殺し合いたいというのなら、俺は構わんぞ。

 だが、現状のお前に勝ち目があるとは思えんがな」

 

 「ッ!」

 

 絶の鋭い指摘に、沙月は黙らざるをえない。己の消耗は激しく、先程まで猛攻を繰り出していた希美も自分の腕の中で、電池が切れたかのようにピクリとも動かない。望の方は言うまでもない。続けても不利なのは、沙月の方であった。

 

 「理解した!?――何者だ!」

 

 形勢の有利を確信しきった絶が望の方へと一歩踏み出した瞬間、突如として銀糸の雨が絶に降り注ぐ。

 不意討ち気味のそれをどうにか躱した絶は、険しい声で誰何する。

 

 「悪いが暁、常のお前ならともかく、今のお前を気絶している世刻に近づくことは許可できんな」

 「「!!」」

 

 そんな言葉と共に現れたのは白衣に身を包んだ一人の男だった。銀糸が繋がった手袋をしている所から見て、先の絶への攻撃をしたのは、間違いなくこの男だろう。

 男は、絶にとっても、沙月にとっても見覚えのある男であり、それなりに馴染みのある人物だ。それだけに、両者は驚愕して絶句した。

 

 「やれやれ、学園が大変なこの時に仲間割れしている場合じゃないだろうに。お前ら、一体何をしているんだ?」

 

 心底呆れた様子で夜闇の中から姿を現したのは、糸目が特徴的な物部学園の養護教諭兼学校医である「永森久遠」だった。

 

 

 

 

 

 

 セーフ!ギリギリセーフ!

 本当に危ないところだったが、永峰が原作とは異なる覚醒をしたおかげで世刻は無事だ。

 おかげで、俺が正体をバラさずに済んだのも大きい。神獣ものべーもちゃんと出てきたみたいだし、何よりだ。

 なにせ、ここで世刻が死んでしまえば、全てが終わってしまうのだから。

 暁を救うには、世刻というかジルオルの『浄戒』が必要だし、ナルカナの説得or契約にはジルオルの転生体である奴が必須である。斑鳩や永峰には必須というわけではないが、それぞれ弟分、想い人を目の前で殺されたことは大きな傷になる。下手しなくても戦力外になりかねない。

 

 ――本当に永峰はいい仕事をした。

 

 そんなことをしみじみ思って傍観に徹していたのだが、どうにも風向きが怪しい。

 永峰の奴、明らかに暴走してないか?

 いや、神獣が暴走している時点でわかって然るべきだったのかもしれないが、暴走しているのにも関わらず、その処置は完璧だっただけに、案外本人は意識があるのではと油断していた。

 

 暁へと放たれる永峰の攻撃は、全て急所狙いの正確無比な攻撃だ。

 本来の永峰の精神性であれば、絶対に無理な攻撃――どう考えても神剣に振り回されているか、ファイムがやっているとしか思えない。

 

 とはいえ、暁は見事に捌いている。

 まあ、急所狙いで正確無比ということは、それだけ読み易いということでもあるから、無理も無い。

 現状での両者の技量差及び肉体の差は、明白なのだから。

 

 ――さて、本当にどうしたものか?

 

 俺はどうするべきか、本気で悩んでいた。すなわち、介入するか、傍観するかである。

 現段階での正体バレは避けたいのが本音だが、ここまで原作と違ってきてしまうと、そうも言っていられない。

 

 最早、原作は参考情報とするべきであり、確定した未来の情報と考えるのは危険だ。

 

 で、あるならば、養護教諭兼学校医という立場に留まるよりは、積極的に行動指針の決定に関われる神剣使いになっておくべきだ。物部学園の統治体制の本質は、結局のところ、神剣使いの圧倒的な武力を背景とした恐怖政治なのだ。養護教諭兼学校医で数少ない大人ということで、発言権は与えられるだろうが、それでも神剣使い達の決定を覆す事はできないであろうから。

 

 色々考えている内に、永峰が吹き飛ばされ、それを斑鳩がフォローする――が、どうやら、予想通り暁の方が上手であったようだ。見事に世刻を挟んで、距離をあけられてしまっている。斑鳩に受け止められたことで、永峰は動きを止めているし、度重なる連戦で斑鳩の消耗は言うまでもない。どう足掻いても暁の勝だろう。

 

 まあ、それはそうでいいんだが、位置関係が悪過ぎるわ!

 

 一度、世刻を本気で殺しかけた以上、暁は世刻の安全面では欠片も信用出来ない。

 ここでの「お前を殺す」発言はブラフであり、覚醒のための発破がけだと思っていたのだが、こうなれば本気であるととるほかない。少なくとも、死んでも構わないくらいの心構えであると考えるべきだ。

 故、暁が世刻の方に足を踏み出した時、俺は迷いを捨てた。

 

 「悪いが暁、常のお前ならともかく、今のお前を気絶している世刻に近づくことは許可できんな」

 

 俺は神剣使いとして舞台に上がり、時間樹エト・カ・リファと地位神剣第一位『叢雲』を巡る運命の物語に介入することを宣言したのだった。

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